ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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警視庁公安部外事3課資料流出の犯人は?

 昨日発売された『軍事研究』に、「先軍政治の鍵は急浮上した党中央軍事委員会~金正恩世襲に向けた党/軍人事の布石」という記事を寄稿しました。先のエントリーでも触れましたが、金正恩は趙明禄・国防委員会第1副委員長の葬儀でも金正日に次ぐナンバー2の座をアピールしましたから、これから世襲プロセスはますます加速化していくでしょう。
 さて『軍事研究』今月号では、私の研究テーマのひとつでもある情報戦に関連するところで、テクニカルライター/軍事研究家の井上孝司氏の「サイバー防衛・サイバー攻撃とは何か」、軍事リポーター・石川巌氏の「三沢・ゴルフボールが17個から20個へ」、ムック企画などで何かと関連記事にタッチする機会の多いミサイル防衛に関する河津幸英編集長監修の「テポドン2号発射に出動したBMD統合任務部隊」、これも関連の記事にタッチすることが多い民間軍事会社に関するミリタリービジネス研究家・阿部拓磨氏の「民間軍事会社に依存するイラク・アフガン作戦」などなど、いろいろ勉強になる記事が目白押しです。ぜひ皆様もご一読をお薦めします。

 さて、尖閣ビデオの流出犯発覚のニュースで、世間は盛り上がっています。案外単純な話でした。情報管理の不備ということで海保や政府は世間に断罪されていますが、本来はたいした内容でもない映像素材が「門外不出の国家機密」に政治的になぜか祭り上げられたのは、かなり日時が経過した後のこと。
 その間は誰もそんな「門外不出の国家機密」になっちゃうだなんて知らなかったので、海保内では通常の参考資料として広く出回ってしまっていたわけです。海保側からすれば、「それなら撮影直後に国家機密に指定しろよなー」というのがホンネではないでしょうか。
 一旦それだけ庁内で出回ってしまえば、情報の管理は不可能です。末端の内部者がネットにアップしたのは「個人の犯罪」であり、それを政府・海保の情報管理の不行き届きと責めるのは、今回のケースに限っていえば酷ではないかと思います。
 ただし、同映像が「国家機密」になっているのを知った後に漏洩した犯人は、気持ちはわからないではないですが、決して免責されるべきではないと思います。それを世論に迎合して免責すれば、それこそこの国の「情報管理」は崩壊します。「国民の知る権利」とか「隠す政府が悪い。彼のやったことは正しい」とか言っている識者もいますが、それはまた違う話です。
 今回のケースは、組織の不正を告発する「内部告発」とはまったく違う次元の話であると思います。まあ、この映像がなんで「国家機密」になっちゃったのかは、たしかに大いに疑問ですが。

 さて、それではもうひとつの国家機密漏洩事案である警視庁公安部外事3課の内部資料流出ですが、こちらの犯人はいまだ明らかになっていません。かなり用意周到に偽装工作が行われていたようなので、なかなか漏洩ルートの割り出しは難しいかもしれません。尖閣ビデオのように、簡単に「投稿された漫画喫茶を特定」というようにはいかないでしょう。
 では、流出した資料からプロファイルするといっても、こちらの犯人は、それも自分にたどり着くことがないように、それこそ徹底的に検討しているはずですから、なかなか簡単にはいきそうもありません。
 警察庁か警視庁かということになりますが、それでいえば、どうやら警視庁の可能性が高そうです。以前のエントリーでも書きましたが、外事3課長かその周辺の人物の手による「レジュメの下書き」が含まれているからです。これが、「当時の外事3課長周辺に疑いの目を向けさせる犯人のトラップ」の可能性はありますが、それなら部外者がどうやってこの文書を入手したか、非常に線が絞られてくるのではないかと思います。
 愛知県警から警察庁に提出された資料が2点あることから、警察庁からの漏洩だとする見方もあるようですが、これらの資料は、警察組織の外事畑の関係者で広く共有されてもおかしくない種類のもので、警察庁から警視庁に流れた可能性はあると思います。前述した「レジュメの下書き」と比べ、それこそケタ違いに多くの関係者が目にした機会があったと思われます。
 ただ、警視庁と警察庁の外事部門では、とくに幹部は人事交流がありますから、元は外事3課の資料だとしても、漏洩犯が今現在、警察庁にいるという可能性もあります。ただし、警察庁へ目を向けたくないなら、愛知県警の資料を流出させた意図がわかりませんが。
 いずれにせよ、こちらの方が本来なら、尖閣ビデオ流出などよりずっと深刻な情報漏洩事案です。内容の機密性もそうですし、尖閣ビデオを違って最初から門外不出が前提ですから、それが漏れたとなれば、それこそ情報管理の欠陥という話になります。なにより犯人がまだ警察組織内の中枢部にいる可能性もあります。情報管理の観点から、それこそ徹底した捜査をすべきです。
 もっとも、アメリカなどでは、アフガン戦の機密資料が9万点以上、イラク戦のがなんと40万点もウィキりークスに流出し、大問題になっています。ネット時代の情報漏洩はもはや阻止できないとの前提で、情報管理体制の根本的練り直しが必要かもしれません。

 ところで、前述した愛知県警の資料ですが、いろいろ細かい事案まで記載されていて、面白いと言ってはマズイですが、たいへん興味深い内容でした。ちょっと驚いたのが、ここで具体的事案までは引用しませんが、偽のタレコミ情報と、氏名の酷似による要警戒対象者情報ヒットがものすごく多いことですね。
 イスラム圏の個人名は似たようなものが多いので、これはしかたないですね。しかし、それにしても怪しいタレコミ多すぎです。しかも、どうも同じ外国人の知人からの嫌がらせが多いようです。
 その度に愛知県警は出動ですから、たいへんです。それでいちいち捜査して、結果は全部シロ(不法滞在などの別件摘発はありますが)。むろん他府県でも事情は同じはず。外事の対イスラム・テロ部門は日本全国でそんなことの繰り返しを今日も続けています。これはしかたないことですが。

追記
 先ほどミヤネ屋を視てたら、尖閣ビデオの犯人がすでに以前に読売テレビに自分から連絡し、取材まで受けていたそうです。隠れる気まったくないじゃん!
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  1. 2010/11/11(木) 12:52:51|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<情報漏洩の多くは内部職員から | ホーム | 警視庁公安部外事3課資料流出で雑誌寄稿>>

コメント

ウィキリークスから尖閣から公安流出まで全部あります。
公安流出もダウンロードできます。

裏2ch@アングラステーション - トップページ
http://www21.atwiki.jp/ahyachujo/
  1. URL |
  2. 2010/12/07(火) 20:22:12 |
  3. 匿名 #-
  4. [ 編集]

srt

http://uni.2ch.net/test/read.cgi/police/1349421787/
警視庁外事3課流出資料  国際テロリズム緊急展開班班員名簿 かな?
  1. URL |
  2. 2012/10/05(金) 17:40:39 |
  3. dfせ #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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