ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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無人偵察機が主役となる現代の戦争

 昨夜、NHKスペシャル「危機と戦う/テクノ・クライシス②ロボット技術・軍事転用の戦慄」を興味深く観た。さまざまなロボット技術がいまや戦争の中核的技術になりつつあるという現状を紹介する企画だった。
 だが、「クライシス」がテーマだったためか、全編に「軍事転用はけしからん!」「なんて恐ろしいんだ!」という点が強調されるように、MAやナレーションなども恣意的に演出されて構成されていた。NHKとしては珍しい強い〝反戦メッセージ〟を持った番組だった。
 ただ、筆者が思うに、先端技術の軍事・民生の壁というのは現実にはないも同然だから、障害者向けのすばらしいロボット技術も、いずれ否応なく戦争に応用される。番組では、軍事転用を悪と断言する大学の先生がいかにも「いい人」で、軍事に関わる人がみな悪玉と描かれていたが、「いい人」も言ってみれば「自分の手を汚さない」だけでもあるわけで、そうした根本的な問題提起まで踏み込めばもっと良かったかなという印象だ(もっとも、番組担当者はそんなことは百も承知だと思うが)。
 もっとも、主旨を隠して取材し、撮影した素材を恣意的に悪用する手法は明らかにアンフェア。野心的なテーマに取り組んでいただけに、そこがちょっと残念ではある。

 さて、それはともかく、同番組には興味深いロボット技術がいくつも紹介されていた。とくに偵察機の世界は、『ワールド・インテリジェンス』創刊号でも巻頭グラビア特集で取り上げたが、もはや戦争の主役となってきた観がある。
 番組が紹介したなかで筆者がもっとも興味を覚えたのは、現在開発中の兵器として、無人ヘリから超小型ラジコン・ヘリを有線操作する2段構えの偵察用兵器である。建物の上空でホバーリングした親無人ヘリから発進されるその子ヘリを、窓などから建物の中に侵入させるということで、とくに市街戦で威力を発揮しそうだ。
 イスラエルの偵察機専門部隊も取材されていたが、イスラエル軍将校も「いまや偵察機が投入されない軍事作戦は考えられない」と断言していた。
 そのイスラエル部隊の軍事作戦の例として、96年4月のレバノン侵攻作戦が挙げられていた。当時、イスラエル軍は南レバノンの国連軍ポストを爆撃し、100人もの避難民を殺害したことがあったのだが、その攻撃中も上空でイスラエル軍の無人偵察機が投入されていたことから、イスラエル軍は故意に国連軍ポストを攻撃した可能性があるというのである。
 じつは、筆者はそのとき、ちょうどその戦争を現場取材中で、国連軍ポスト誤爆事件も現地でリアルタイムに取材していた。爆撃された国連軍ポストには、かねてからヒズボラが避難民に紛れて潜り込んでいたことは事実なので、故意の攻撃の可能性は大いにあり得ると思っていた。
 真相は不明だが、無人偵察機の偵察能力は、それほど高いことは事実である。
 番組でも、イスラエルの無人偵察機が撮影したヒズボラの映像、あるいは米軍の無人偵察機が撮影したイラク武装勢力の映像、さらに米軍無人偵察機が撮影したアフガンのアルカイダ訓練キャンプの映像などを紹介していたが、個人の詳細な動きまで判別できるきわめて精緻なものだった。
 今後、通常戦力でみるならば、この無人偵察機を持つ国と持たざる国では、実戦能力に雲泥の差が出ることは間違いないだろう。
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  1. 2006/07/11(火) 17:21:37|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

ヒズボラUAV

始めまして。
ワールド・インテリジェンス、興味深く読ませて頂いています。

さて、僕のような若輩が書き込みするのも気がひけますが、
OSINTで重要なのは、多くの人員による情報分析のための情報集め、だと思いますので、
勝手にコメントさせていただきます(ご迷惑でしたら削除してください)

ヒズボラ所有のUAVですが、
2004年11月にイスラエル領空を侵犯し、ニュースにもなりました。
Defense Industry Dialyによると、
2005年に入ってからも、領空を侵犯し問題となったようです。
イスラエルの防空システムでは小型で低空を低速度で飛行するUAVは非常に探知しづらいようです(2005年時点)
http://www.defenseindustrydaily.com/2005/04/hezbollah-mirsad1-uav-penetrates-israeli-air-defenses/index.php

また、イランがヒズボラにUAVを供給していると言う話でしたので、
globalsecurity.orgで確かめてみると、Mohajer-4というUAVだそうです。
8機をヒズボラに売った、と書いてありますが、1機は2004年に海に突っ込んだので、残りは7機前後でしょうか。
NHKスペシャルの中では「50kg」の武装を施せる、との話でしたがglobal securityの記事を信じれば
現在のところ装備は光学系だけのようです。
(無理をすれば爆薬を抱えてイスラエル北部の施設に突入させることも可能だとは思いますが…)
http://www.globalsecurity.org/military/world/iran/mohajer.htm

しかし、ヒズボラのようなNon-state actorがUAVを運用するとは、
いくらイランの援助で成り立っているとしても、気味の悪いものを感じます。



  1. URL |
  2. 2006/07/11(火) 20:13:56 |
  3. しんか #-
  4. [ 編集]

コメントありがとうございます

しんか様
コメントありがとうございます。
弊誌も立ち上げ直後で態勢が整っていませんが、なんとか頑張ってHPのほうでこうした意見交換の場を設定するとともに、いずれは弊誌への記事寄稿を広く募集するシステムを作りたいと考えています。
 年齢性別国籍経歴思想信条犯歴などなど一切関係ありませんので、その折にはぜひ弊誌への寄稿も御検討ください。
 さて、ヒズボラのUAVですが、まあ今のところはそれほど脅威になるようなものでなさそうですね。50キロ爆弾というのはNHK番組ではヒズボラの自己申告でしたので、実際にはせいぜい「十数キロくらいだったら爆弾を抱いて特攻ができるよ」という程度のことではないかと思います。アラブではなんでも10倍くらいふっかけるのは普通なので、わすか数キロでもおかしくない話です。攻撃力は今のところは脅威レベルにはないといえるでしょう。
 ただし、UAV投入でこれまでほとんど当たらなかったカチューシャの攻撃効率が若干上がるなどの効果はあるかもしれません。
  1. URL |
  2. 2006/07/12(水) 02:34:11 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

返信ありがとうございます

もし、お役に立てるのでしたら寄稿でも何でもしたいものですが、
恥ずかしながら薄弱な知識ですので「猫の手」にも成れるかどうか(苦笑)

そうですね。
偵察型UAVは直接の脅威としては低いでしょうね。
それにそんな高いものを突っ込ませるよりは、おっしゃるとおり、
カチューシャの着弾観測に使ったほうがいいでしょうね。
  1. URL |
  2. 2006/07/12(水) 22:04:08 |
  3. しんか #LdnfTID.
  4. [ 編集]

ロボット戦争ねえ、間違いなくそうなるんでしょうね。
先日見た放送では、自走式ロボットのレース。優勝国がイスラエルだったのが、やっぱりねーという感じ。

憲法改正できれば、日本のロボット技術は売れるのかな?
  1. URL |
  2. 2006/07/19(水) 16:38:43 |
  3. MR.WHO #6Q0aW8YQ
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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