ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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写真館⑤ダメダメな国の代理戦争

 ニカラグアでも反政府ゲリラばかり取材していたのではありません。私は自分の原則として、「敵対する両サイドを取材する」ことに決めてました。片方の情報だけだと、全体がよく見えないからです。
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 こちらは政府軍です。ソ連&キューバに支援されていたので、こちらは装備・軍服から訓練まで、ソ連/キューバ軍方式でした。
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 まあ、ゲリラも政府軍も、どちらもかなり貧弱な武装です。もともと貧しいうえに、外国からの軍事援助も、いわれているほどたいしたものではありません。しかも、両サイドともに、訓練もあまり行き届いていません。厳しいことが苦手な国民性なのかも。たとえば、隣国ホンジュラスの陸軍の規律正しさに比べると、ニカラグアは内戦中だというのに、政府軍もゲリラも同好会みたいなノリでした。私自身はそういうほうが好きですけど。
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 実戦で役に立つとは思えないような、少女たちの高射砲部隊もありました。上写真は、ギャル好き戦場ジャーナリスト・加藤健二郎さんに案内していただいた首都マナグア防衛の部隊です。
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 上写真は、政府軍の集会で見かけたギャル兵士たちです。当時の政府軍は学生運動出身者が主導する左翼革命軍だったので、ギャル兵士をかなりフィーチャーしてました。マッチスモの中南米では珍しいです。実際にはあまり本気ではないですが。
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 上写真は国軍ではなく、それよりも武装が優遇された内務省軍のヘリ基地です。旧ソ連製の古い機体ですね。ニカラグアでは長い間、アメリカと旧ソ連の代理戦争が続いたわけです。で、旧独裁政権下ではそこそこあった国力も、内戦を通じて、中米一の最貧国に成り下がりました。それに対して、アメリカやソ連のせいだと言う人もいますが、なんか違う気がします。周辺国に比べて、やはりダメダメな人が多かった印象があります。なぜなんでしょう。内戦終結後も、いまだダメダメはあんまり変わってないようです。
 平和になった後は仕事で訪れる機会もありませんでしたが、私の初の長期取材地であり、個人的に非常に思い入れの深い国なので、ぜひ頑張って欲しいと思います。
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 上写真は、オバンドさんというカトリックの枢機卿です。『サルバドル』や『アンダー・ファイア』でも描写されていましたが、中南米の内戦ではカトリック教会が政治的に非常に重要な役割を果たしてきました。この枢機卿もニカラグア政界ではVIPのひとりでした。
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 上は当時の左翼政権を率いたダニエル・オルテガ大統領。小さい国なので、VIPの撮影・取材がたいへん容易です。オルテガ氏は最近、16年ぶりに政権に返り咲いて、現在も現職の大統領の地位にあります。
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 この恰幅の良い男性は、エデン・パストーラという人物で、非常に変わった経歴の持ち主です。もともと独裁政権時代の反政府ゲリラ創設メンバーでもある最古参のゲリラ司令官で、1979年に24人の部下とともに政府中枢施設を急襲して政府要人多数を人質にとるというテロを成功させ、有名になりました。本国では「コマンダンテ・セロ」(ゼロ司令官)として知られています。
 このテロで、収監中の仲間の釈放と多額の身代金をゲットし、それをきっかけに翌年にゲリラは政権を奪取します。コマンダンテ・セロは、いわば革命第一の立役者だったわけです。
 パストーラは新政権で国防次官に就任しますが、新政権では学生活動家出身のオルテガら左翼系幹部が主導権を握り、どんどんソ連/キューバ寄りになっていきます。パストーラは冷や飯食いとなり、ついには嫌になって政権から飛び出し、再び反政府ゲリラを組織します。最初はアメリカCIAなどから資金・武器を得ていたのですが、やがてアメリカとも対立するようになって、最後はゲリラ組織を解散し、引退します。私が会ったときは、隣国コスタリカに亡命し、ロブスター漁の漁師になってました。
 内戦終結後は、コスタリカでの漁業を続けながら、本国で大統領選挙などにしばしば立候補し、泡沫扱いで落選したりしています。後に一度だけ、その選挙活動を現場で取材したことがあるのですが、ちょっとイタい感じでした。

 ところで、国家建設はイマイチなニカラグアですが、その国土は非常に素朴な美しい風景を持っています。人々の暮らしぶりを少し紹介します。
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 東部カリブ海沿岸地方です。家屋は高床式ですね。
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 湿地帯ではコメを作っています。国民のほとんどは農業です。
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 コメを乾燥させているところ。後ろを歩いているのはコントラの一派のインディオ系部隊です。
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 人々の暮らしは、中南米でもかなり貧しいほうです。
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 ニカラグアには小規模ながら金鉱があり、一攫千金を夢見る山師が集まってます。ただし、船戸与一さんの南米3部作に出てくるガリンペイロみたいなアウトローな雰囲気はなく、たいへんフレンドリーな人々でした。
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 ニカラグア人のほとんどはカトリック教徒ですが、布教の経緯から、カリブ沿岸地方にはモラビア教というプロテスタント系の宗派が根付いています。上写真はそのモラビア教のミサの風景です。
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  1. 2010/09/09(木) 12:42:11|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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