ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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石破茂・元防衛庁長官に取材

 最近は『太田総理・秘書田中』でもお馴染みの石破茂・元防衛庁長官にインタビューした。今回は「自民党政務調査会・国家の情報機能強化に関する検討チーム座長代理」ということでの取材である。
 じつは何を隠そう石破議員は愛読誌のひとつが『軍事研究』だそうである。また、議員会館の本棚には私がかつて企画・編集を担当した別冊宝島のシリーズもズラリと並んでいる(もっとも、それが日本の防衛政策に影響したなどということはまったくないだろうが)。
 それが素晴らしいというわけではないが、情報機関流に言えば、それだけでも書棚に『論語』だの『五輪書』だの『文藝春秋』だの『世界』だのばかり並んでいるセンセイよりは、ざっくばらんな人柄らしいということがわかる(麻生太郎外相の場合は『課長・島耕作』とか『ゴルゴ13』らしいので、もっとざっくばらんだが)。
 今回の取材は日本の情報機構改革プランの政治的な動きについてのものだったが、昨年は『日本の防衛・7つの論点』(宝島社刊)という本で、3回にわたり取材させていただいた。徹底的に防衛論を聞いたが、その主張はほぼ9割方、私の考えと同じで、逆にあまりツッコみどころが見つからなくて困った覚えがある。
 石破氏の考えの基本は、「なんだかよくわからない理由で今まで続いてきた慣習なんかブッ飛ばして、税金使っているのだから、もっと合理的な軍事体制にしましょう」ということだ。むろん「軍隊は悪」と単純なレッテルを貼って済ませてきた左翼・進歩的文化人とは対極にあるが、それと同時に、気分だけで中国・北朝鮮批判あるいは韓国・アメリカ批判のカタルシスに自己陶酔しているような単純右翼とも一線を画している。
 ベストセラーとなった氏の著書『国防』は、タイトルだけみるとバリバリの右翼本のような印象を受けるかもしれないが、それはまったくの誤解であって、合理的な考えと浪花節がせめぎ合うようなリアルな国防論が展開されている。著者自身は「これまでの左派の考えはおかしい」ということに力点を置いているフシが伺えるが、左翼の国防論が滅茶苦茶だったことなどすでに常識と思っているような層(すでに日本人の多数派ですね)からすると、むしろ右翼的言説とのギャップのほうが新鮮だったりする。
 そんな観点で俯瞰すると、石破氏と最も近い国防論スタンスの人は誰かというと、おそらくそれは前原誠司・民主党前代表なのではないかと思う。『日本の防衛・7つの論点』では他にも何人もの専門家に話を聞いたし、参考となりそうな論考を各誌紙や書籍などからも拾ったが、同書で取材した前原氏と石破氏の主張にはほとんど違いがない。左右のしがらみにとらわれない合理的な思考がその特徴ともいえる。
 最近は「声が大きい」との理由で右翼系の言説が論壇を席巻している観があるが、私は、日本人の多数派はすでに左右の範疇に入らなくなっていると思う。石破氏や前原氏は、ある意味で当たりまえの国防論を語っていただけだ。小沢民主党は対立軸重視でなんでも反対の姿勢だが、防衛問題に関しては、合理的に検討すれば与野党でそう政策に違いが出るはずがない。
 私がインタビュー取材したかぎりで石破=前原・両議員を比較すると、保守派はむしろ前原氏だった。石破氏は合理的な戦力再配置のなかで陸自のリストラもやむなしとの立場を微妙に出していたが、前原氏は国際情勢とは別の次元で、「自衛隊の本来任務はあくまで国土防衛であり、陸自の陣容は縮小できない」との主張を表明していた。国際情勢よりも原則論を重視したということで、前原氏はより保守派であるといえる。
 いずれにせよ石破=前原両氏は、その個人的な人間関係はともかく(というか、私は両者が仲がいいのか悪いのか知らない)、互いが中央政界のなかでそう数も多くないだろう理解者同士として共鳴していると睨んでいる。かつて両者は国会で相まみえたが、それも与野党の攻防というよりは、むしろタッグを組んでいたかのような印象だった。
それにこの2人には隠れた共通点がある。石破議員が無類の鉄道オタク、戦闘機や艦艇のプラモデル・オタクであることは自ら著書でも公表していたことだが、私は議員会館の前原事務所を訪れたとき、なるほどと膝を打たずにはいられなかった。ラムズフェルドとの記念撮影などよりずっといい特等席に飾られていたのは、本人撮影のSLの写真たちだった。前原氏も少年時代からの筋金入りの鉄道オタクだったのだ!
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  1. 2006/08/06(日) 00:03:46|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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