ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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麻生幾『瀕死のライオン』刊行

 麻生幾さんの新刊『瀕死のライオン』が幻冬舎より刊行された。
 その主役は「陸上自衛隊特殊作戦群」と「内閣情報調査室」。両方とも取材NGの国家の「奥の院」だ。いつもながら、そのディープなインテリジェンスに感嘆!である。
 弊誌では前号で麻生さんにコラムを書いていただいたが、次号では『瀕死のライオン』執筆についてじっくりお話をお聞きする。乞うご期待!
 麻生さんはご存知のように、公安警察や自衛隊のインテリジェンス事情を書かせたら右に出るものはいない作家だ。私はその取材方法をもちろん知らないが、相当な情報源を持っていることは、その描写の正確さが証明している。ご本人は「フィクションです」と強調しているが、日本のインテリジェンス事情について、一連の麻生作品はほとんどテキストのようなものになっているといって過言ではない。
 麻生さんはかのベストセラー『宣戦布告』で作家デビューする前、長いあいだトップクラスのジャーナリストとして活躍された人だ。私はかれこれ20年ちかく前の業界駆け出し時代に縁があり、その後も何度かお世話になった。ご本人がプロフィールを公開していないので、これ以上は控えるが、私のもっとも尊敬するジャーナリストのひとりである(ご本人は今はフィクションをメインにしているということで、謙遜してあくまで「ジャーナリスト」の肩書きを嫌がるのだが…)。
 麻生さんのすごいところは、まったくの独力でこれだけの取材網をつくってきたことにもある。しかも、個人でも才能さえあれば入りやすいルポルタージュの分野でなく、インテリジェンス情報を追うということなら、なおさらだ。
 そんな意味でもう1人、「この人はすごいな」と私がやはり20年くらい前から注目している人が、今はSAPIO誌で活躍されている恵谷治氏である。私は氏がアフガンや西サハラのルポを書かれていたときからのファンだが、その後のソ連軍事情報の分析、現在まで続く北朝鮮の分析は、その圧倒的な量のデータ分析により、それこそ他の追随を許さない。正直、個人の力でよくあそこまでできるなと思う。
 国際ジャーナリストを名乗る人のなかには、ちょっとどうかな?と思わざるを得ない人もいたりするが、恵谷氏は世界に通用する数少ない日本人ジャーナリストの筆頭だと思う。
(ちなみに、私は残念ながら恵谷氏とは面識がない。ご本人は絶対に覚えていないだろうが、1度だけ15年くらい前に新宿ゴールデン街で隣り合わせ、知人の紹介で計40秒くらい会話をしたことはあるのだが…)。
 海外に目を転じても、米情報サイト「グローバル・セキュリティ」のジョン・パイク、国家安全保障アーカイブのジェフリー・リッチェルソン、NSA研究のジェームズ・バムフォード、ニッキー・ハーガー、ダンカン・キャンベル、軍事アナリストのウイリアム・アーキン、英ケンブリッジ大のクリストファー・アンドリューなどなど、ほとんど個人の力でインテリジェンス分野を開拓しているすごい人たちがいる。ワシントンポストのボブ・ウッドワードもインテリジェンスの深奥に迫る傑作をいくつも書いているが、彼の後ろにはポスト紙の取材ネットワークが控えているわけだから、そこは私としては個人研究者たちの仕事のほうにより敬意を覚える。
 読者の側は普通はそんなことを考えたりしないだろうが、「この著作が組織力で書かれたものなのか、あるいは個人の力で書かれたものなのか?」ということを確認したうえで作品を読むと、また違った読み方ができる。
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  1. 2006/08/05(土) 11:47:20|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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