ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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歴史は記録すべし

 7月4日付『朝日新聞』にコメントを採用していただきました。「語り始めた自衛隊元スパイ」という記事で、最近、自衛隊情報部門OBが何人か手記を発表していることを伝えたものです。
 私はそうした手記や証言が出てきた理由として、 「一つにはインテリジェンス(諜報)・ブームの中で、自分なりに持っていた専門知識を明らかにしたいという思いから。もう一つは、金大中事件で自衛隊の情報機関が『影の黒幕』のように報じられたことに不満があり、汚名を晴らしたいという気持ちがあるのではないか」とコメントしました。「~ではないか」と言いましたが、実際に手記筆者や証言者の何人かの方々からそう聞いてます。深層心理まで問えば、それだけではないかもしれませんが、いちおうご本人たちから聞いた話以外は憶測になるので、こうしたコメントに留めました。
 ところで、同記事のなかに、他の方の興味深いコメントがありました。
 最近情報部門を退いたばかりの元幹部の談話として、こうあります。「自分たちの活動を絶対に明かさないのが我々のおきてなのに、驚きあきれている」
 ちょっと驚き、あきれてしまいました。この方の考えはまったく間違っていると思います。
 インテリジェンス活動というのは国家の公式な業務であり、後世に記録として残すべきものです。それは秘密エージェントの氏名や、今でも公表すると国益を毀損するような秘密工作などまで明かす必要はないですが、国家が国民の税金でどのような活動をしたのかを正確に記録し、後世の国民にフィードバックすることは、税金で活動した公務員の当然の義務です。
 たとえばインテリジェンス先進国のイギリスでは、インテリジェンス活動の記録はすべて保存しておき、一定期間の後、不都合な部分のみを除き、オフィシャル・ヒストリアンの手によって正史が編纂され、公表されます。
 アメリカのCIAの場合などは、元工作員の手記を検閲する部署まであって、そこをパスしたものはどんどん出版されます。ある程度は諜報活動の実態を公表することが、予算を国民からもらうための当然のパブリシティと考えられてます。
 その昔、陸軍中野学校が「秘密戦は墓場にもっていけ」と教えたのは、大日本帝国がずっと続くことを前提とした機密保持です。話すと国家のダメージになるからです。
 仮にも正当な国家の業務としてインテリジェンス活動に携わったのなら、その記録は正々堂々と、正確に残すべきです。なにか後ろめたいことをしていたとか、あるいは逆に、予算を使うだけでまったく役立たずだったとかいったことでなければ、なにをビビることがあるのかと思います。
 そもそも「掟」なんて、他人に圧力をかけるための嫌な言葉ですね。「掟破り」のほうがカッコいいですね。
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  1. 2009/07/06(月) 02:33:54|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

インテリジェンス史の史料についての言及、全く仰るとおりだと思います。議会制民主主義を標榜する以上、政策・予算に関して説明責任は果たして欲しいところです。またきちんと外部研究者(歴史家等)によりチェックを受ける事で、将来的により妥当な政策をとれる可能性が高くなることになります。英米のインテリジェンスの起源から歴史家が深く関わっていたことを考えると、両国でインテリジェンス史が盛んなのは当然でしょう。沖縄密約などの問題もありますし、日本でどこまで歴史家による検証が実現できるか不安を抱えつつ見守りたいです。
  1. URL |
  2. 2009/07/25(土) 14:14:32 |
  3. 通りすがり。 #PY5q1fV.
  4. [ 編集]

コメントありがとうございます。
現在発売中の『軍事研究』に「ムサシ機関」について新たにわかったことなどを書いています。ご興味あればぜひお手にとっていただければ幸いです。
  1. URL |
  2. 2009/08/14(金) 20:28:44 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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