ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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イラン民主革命前夜?

 今週出演したNHKハイビジョン『世界発掘 時空タイムス編集部』では、20年前の東ドイツでの反政府デモがテーマでした。私は当時の東欧政変はタイミングが合わなくてリアルタイムでは取材できなかったのですが(翌年の統合直前に取材しました)、その頃の世界というのはそういう熱気があちこちに結構あって、私自身も中国やソ連でそうしたデモをずいぶん体験したものです。
 で、2000年代に入ってそういうのもなかなかなくなってきたところに、今回のイランです。イランはもう四半世紀も前になるイラン=イラク戦争最中の1984年と、やはり18年も前の1991年の湾岸戦争時に行っただけなので、最近の国内事情はまったく知らないのですが、中東諸国のなかでは国民がわりとオープンで批判精神に富んでいる印象があります。
 つまり、アラブ諸国などと比べて、隣近所だとか職場だとかでの精神的抑圧がそれほどキツくなく、周囲と違う意見を正直に話すのも、ある程度はOKなわけなのですね。
 そのかわり、政治的反体制派につながることをイスラムの名で徹底弾圧する秘密警察「コミテ」(イスラム革命委員会)や革命防衛隊(パサダラン)、民兵(バシージ)なんかのコワモテが国民をきっちり抑え込んでいます。お上に逆らうことはまずできません。
 そんなところに現職大統領に反対する大規模デモです。アハマディネジャドばかり矢面に立ってますが、要はイランの抑圧社会に対する「ノー!」というものが根底にあります。今回のデモについて、いろいろ解説がメディアでもなされていますが、人間は誰でも強制的に抑えつけられるのは嫌だということでしょう。
 冷戦終結や湾岸戦争の後、「CNN効果」という言葉もできました。以前なら独裁権力が強権的に反対派を弾圧しても、報道統制下ではそれはなかなか外部には流出しなかったものですが(中国の文化大革命、ソ連のスターリンによる粛清、70年代の南米軍事政権などは典型的ですね。戦中は日本も同じでしたが)、国際的なテレビ・ニュース配信が飛躍的に発達したことで、世界は事件をリアルタイムで知るようになりました。なにより当該国内で情報が飛び交い、本来弾圧する側にいる人間にもそうした情報が突きつけられるようになってきたわけです。
 NHK番組で紹介した東ドイツのデモなども典型例ですが、メディアの力が人々に勇気を与えたということはよくあります。イランの場合も、ネットが大活躍しています。
 イラクのように外部から軍事力で民主化をもたらそうとも、なかなかうまくいかないことが多いです。批判の矛先が外国に向かうからですね。やはり、東ドイツのように国内の人が勇気をもって自力で立ち上がることが必要です。ですが、勇気をもって発言・行動することが不可能な国も世界にはまだたくさんあります。
 中東諸国を取材していて思うのは、「なんとか自由に発言・行動する勇気を持てる社会にならないかな」ということです。ナチス・ドイツやアルジェリア(イスラム勢力躍進)のように、自由意思がおかしな方向に向かう可能性はありますが、私たち外国人は、その国民が自由に発言できるように手を貸すべきだろうと思うのです。
イランのデモ動画、ユーチューブへの投稿続く
【6月17日 AFP】

イラン大統領選:現職再選 抗議行動の市民、ネット駆使 情報共有、世界へ映像発信
毎日新聞 2009年6月19日

トゥイッターに点検延期要請…米国務省、イラン抗議行動激化で
6月18日 読売新聞

 イランからは久々に血が騒ぐ写真・映像が続々マスメディア&ネットに出ています。事情があって私は行けませんが、これほどの「画になる事件」はめったにありません。
 ある大手メディアの記者と話しましたが、今、外部からの記者の入国は厳しく制限しているそうです。知人のカメラマンもトルコで足留めをくらっているとのこと。そういうの突破するのが、私はわりと得意技なんですが……。うーん、やっぱり現場見たいなあ。
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  1. 2009/06/19(金) 17:09:58|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<イラン動乱の行方 | ホーム | 金正雲派が金正男を暗殺未遂?>>

コメント

中東の国々に本当に民主主義が根付くのでしょうか?

アメリカ型の多数決主義は、イスラムの教えと相容れない気がするのですが、黒井さまはどうお考えですか?

  1. URL |
  2. 2009/06/20(土) 21:37:57 |
  3. sin #-
  4. [ 編集]

時空タイムスは本当に良い番組ですね。単発のプログラムかと思っていたので嬉しいです。
当時のライプツィヒの画は、はじめてみました。
東欧革命の流れはどこの国にもドラマがあって不謹慎ですが面白く感じます。

イラン絡みならパーレビー国王の追放なども取り上げてくれるのを期待したいですね。
  1. URL |
  2. 2009/06/25(木) 00:03:40 |
  3. ろん #.T/miu9o
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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