ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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核ノドンから日本国民を守るために何が出来るか

 本日、TBS「THE NEWS」にコメントを採用していただきました。「日本政府は、北朝鮮が核ノドンを配備することを想定したシミュレーションを急げ」といった当ブログでこれまで主張してきたようなことをお話ししました。
 北朝鮮の今回の核実験で、新聞報道などをみると、「北朝鮮はこれで小型起爆装置を完成した可能性が高い」との見方も多いようですが、現時点での情報では、それはわかりません。米韓の最高度のインテリジェンスを入手しうる立場にないのに「間違いない」という人がいたら、テキトーと思っていいかと思います。
 で、私のテキトーな勘なのですが、今回はそこまではいっていないのではないかという気がします。2年半前の実験でおそらく不完全爆発だったのが、今回、それなりに起爆に成功したとまず考えられます。前回の不具合を2年半で改善したのでしょう。前回の起爆が不完全だったということは、普通に考えると、開発担当者としては、とりあえずそこはきっちりと直しておきたいというのが第一目標です。技術開発はステップを踏むのが普通で、いきなり高度な2ステップ特進の実験に進むのは、普通ならちょっと考えづらいです。もちろん普通の国ではないので、断言はできませんが。
 ですが、それはそれとして、北朝鮮が小型起爆装置開発に向け、今後も邁進していくことは確実です。日本政府としては、「近い将来」に北が核ノドンを実戦配備するものとして政策を決めていかなければならないと思います。
 では、日本はそういった事態になったとき、何が出来るのでしょうか?
 まず、ミサイル防衛をどんどん進め、核ノドンに対する防御力を高めることを目指すという選択肢があります。
 ですが、現在のミサイル防衛では、核ノドンを完全に迎撃するのはまだまだ難しいのが現状です。理論上はかなり有効な手段にまで技術が進められているのはそのとおりなのですが、所詮100パーセントの確実性は期待できません。どんな機械でも、ほんのわずかの誤作動というのは常に起こりえます。攻撃サイドの場合は、多少の誤差があっても効果的なことが多いですが、防御側、とくに迎撃ミサイルともなれば、ほんのわずかな誤差でも取り返しのつかない失敗となります。高校野球にイチローが出場したとしても、必ずヒットを打てるとは限らないようなものです。空振りしたら殺すよ、と言われれば、余計に凡ミスするかもしれません(喩え、なんか違うかな?)。
 とはいえ、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるということで、ものすごい数のMDイージス艦を揃え、大げさに言えば「SM3の弾幕を張る」ような態勢を作れば、かなりの確率で迎撃に成功できるかもしれません。もう陸自を解散し、その防衛予算をすべてそっちに回すくらいのことをすれば、それもいいかなという気がします。
 では、いま結構話題になりつつある「敵基地攻撃能力を持つ」というのはどうでしょう? 手っ取り早いのはトマホーク導入ですが、車載化された核ノドンをつぶすというのは難しいですね。対地攻撃機、空中給油機、電子戦機、偵察機のセット運用というのもアリではありますが、それでも神出鬼没の車載ノドン相手では限界があります。空挺もしくは強襲揚陸の特殊部隊の投入というのも、それだけでは出来ることは限られてます。つまり、いずれにせよ完全な防衛というものは保証されないわけです。

 ということは、来るべき核ノドン配備のときに、日本政府は日本国民の生命を完全に保証することはできなくなります。
 いえ、ちょっと待ってください。よく考えたら、それでも日本国民を守る究極の方法が2つありました。
①金正日を応援する。
 いくら核ノドンを持っても、平時において北朝鮮が対日核攻撃をすることは考えられません。米軍の徹底的報復を呼び、北朝鮮政権が瞬時にこの世から抹殺されることが確実であるからです。核ノドンが実際に使用されるとしたら、北の体制崩壊時の最後っ屁とか、北の国内が騒乱状態になった場合のノドン部隊の暴走といった局面です。
 ということは、北朝鮮の独裁体制が揺るがなければ、日本に核ノドンが飛んでくることもまずありません。よって日本政府は、北朝鮮の独裁体制をどこまでも支えていくことが、自国民の生命を守ることにつながります。アメリカが何と言おうと、拉致被害者や日本人妻や北朝鮮の可哀想な住民たちがいくら犠牲になろうと、日本政府は自国民のために将軍様を助ける。あくまで自国の国家安全保障のみを考えた場合、これが日本政府の正しい選択ということになります。
 たとえば、94年の核危機のとき、寧辺の核施設への限定的爆撃に動こうとしたクリントン政権に対し、ときの金泳三大統領は、「戦争は絶対に許さない」姿勢を貫きました。1万門以上ともいわれる休戦ライン沿いの長距離砲によって、首都ソウルがいわば人質にとられていたからです。当時の韓国政府に対し、日本では「軟弱だ」といった批判もありましたが、今度は東京を核ミサイルで人質にとられる日本も同じ立場に立たされます。
②先に北朝鮮をボコボコに攻撃する。
 核ノドンが実戦配備された時点で、日本の国家安全保障は崩壊します。ですので、その前に自衛隊の総力をもって北朝鮮を攻撃し、少なくとも核ミサイル開発が二度と出来ないようにボコボコにしてしまえばいいわけです。
 たとえば、イスラエルだったら躊躇なくそうします。たぶんアメリカもそうします。なんだかんだいって、自国が同様の立場に立たされたら、ロシアや中国だってそうするでしょう。それが「普通の国」というものです。自衛隊の場合、現有の空自の戦力だけでは難しいですが、そこは海自と陸自も総力戦であたり、さらにアメリカから大量にトマホークを買えれば、なんとかなるとは思うのですが・・・・・・。

 北の核問題について、日本はアメリカや国連安保理を頼っているようですが、いずれもあまり頼りになりません。安保理はロシアと中国がいますし、アメリカはまだ北がICBMを持っていないという余裕があります。日本は独自に安全保障政策を考えなければならないわけです。
 けれども、上記したように、「ミサイル防衛」も「敵基地攻撃能力」もそんなにアテにはならないと考えるべきです。以前当ブログでも書きましたが、核武装なんてなんの抑止力にもなりません。
 となると、完全な安全保障政策は上記①②しか残りません。でも、それは現実に無理ですね。無理なんだろうけれども、まったく話題にも上らないというのは、なんだかそれはそれでおかしいのではないでしょうか。
 他に「日本国民の生命を完全に守れる施策」はあるのでしょうか?
(反戦派みたいに、日米安保条約を破棄して在日米軍基地を閉鎖すればどうかというシナリオも考えてみましたが、それでも北朝鮮の体制崩壊のとき、自暴自棄の勢いで「積年の恨みだ!」とか言って核ノドン撃ち込まれる恐れは残りますよね)
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  1. 2009/05/26(火) 21:06:18|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:1
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コメント

夷をもって夷を制す。

いかに中国に押し付けるか腕の見せ所ですな。
  1. URL |
  2. 2009/05/31(日) 00:58:34 |
  3. しまだ #1wIl0x2Y
  4. [ 編集]

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  1. 2009/06/22(月) 15:38:19 |
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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