ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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3・5島返還論の妄想

「3.5島返還」発言 谷内政府代表「一切していない」

 谷内氏や外務省の方がロシア側とどういう話をしたのかは知りませんが、ロシア側が「3・5島返還ならいいよ」などと言うなんて、ちょっと私には信じられません。
 あちらの外交担当者も仕事しているふりしなければなりませんし、政治家も単なる社交辞令か、あるいは面倒くさいからか、「すべての選択肢を考慮する」くらいのことを言ったかもしれませんが、それを思いっきり希望的観測で妄想してしまったのではないでしょうか。私は「ロシアでは何の権限もないロシア外務省日本担当者が、領土問題にマジな日本外務省に辟易し、適当に調子よく話を合わせただけなのに、日本外務省がいちいちそれにマジに反応した」という構図なのではないかなと見ています。実際、ロシア外務省内がそんなような空気であることを、同省職員から聞いたこともあります。
 日本では2島返還とか3・5島返還とかを「国辱的譲歩だ」と考える人が多いようですが、現実問題として、あの国では「1割返還」の可能性すら現実的ではありません。プーチンでさえ、それやったら政治生命が終わるのではないかと思います。
 ロシアが領土で譲歩するとしたら、せいぜいが言葉上ではなく現実として係争している土地に限られます。北方領土はロシアが100パーセント実効支配し、国際社会から立ち退きを命じられているわけでもないので、要は言葉上の問題にすぎません。つまり、ロシア政府の「係争の存在を認める」スタンスとは、現状維持でいこうということにほかなりません。
「係争の存在を認める」→「自分の非を認める」→「いずれ返す気だ」とはなりません。ロシアでは「係争の存在を認める」→「けど、どっちが正しいとかは考えない」→「このままでいいじゃん」となります。彼らは「このままでいい」というスタンスを、私の知るかぎり一度たりとも崩してません。なぜか日本側では何度も「北方領土交渉の進展」と騒がれましたが、ゴルバチョフもエリツィンもそうでした。
 プーチンのイルクーツク宣言とかで最低2島返還は約束されたと日本側では考えていますが、ロシア側ではそう考えている人はたぶんほとんどいないと思います。ロシア側は領土交渉は「実現性ナシ」と踏んでいますので、あくまで「日本外務省の立場に配慮し、言葉上、空手形に付き合いましょう」という程度の話なのではないでしょうか。私は、仮に日本側が「国後・択捉主権放棄」を決めたとしても、ロシア側はなんだかんだと前言を翻す可能性が高いと思っています。
 いずれにせよ、谷内氏が3・5島返還の可能性を言ったにせよ言わなかったにせよ、現実に何の影響もありません。
 以前にも同じようなことを書いた記憶がありますが、毎回同じような話が出てくるので、ロシア社会を多少知る者としてまた書きました。私はべつにロシアの肩をもつ気はさらさらありませんし、国家の根幹で立場を揺るがせるなという主張に異論もありませんが、現実を直視することは必要ではないかなと、北方領土問題での日本外務省の「定期的な空騒ぎ」を目にするたびに強く思います。
 もしかして、外務省もわかってやってるのかも。高度な外交戦略ってやつでしょうか? あるいは国内向けのパフォーマンス? いずれにせよ、そうであれば空騒ぎに巻き込まれるマスコミ&国民の立場はどうなるのかという話になりますが。 
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  1. 2009/05/22(金) 11:13:10|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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