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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

写真館2(モスクワ)

 前々回のエントリーでモスクワ在住時代の話を書きましたが、当時撮影した写真を4点アップします。
①エリツィン派デモ
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 エリツィン支持派の集会です。撮影は1991年6月。ソ連初の直接選挙となったロシア共和国大統領選挙での一場面です。まあ当時はエリツィンもモスクワ市民の圧倒的支持を受けていたのですね。まるでヨン様ファンの追っかけみたいです。ゴルバチョフ軟禁クーデター事件が発生し、エリツィンがロシアの実権を手中にするのはこの2か月後のことです。
 自分としては歴史の熱気をとらえた自信作ショットのつもりなのですが、当時、あちこちの雑誌編集部にフィルムごと送っていたので、自分でも誰に何を預けたかわからなくなってしまい、この写真の原版も紛失してしまいました。よってこれも掲載誌の誌面切り抜きからのスキャンです。

②極右組織
極右組織2
 戦後日本の「みんな民主主義」みたいに、ロシアも急に「みんな改革派」の時代になったので、そうなると保守派のほうが珍しく、取材価値が出てきます。この人は、ロシア最後の皇帝ニコライⅡ世をまつった祭壇の前に立つ「ロシア愛国主義運動」のリーダー。モスクワのロシア正教会にて。91年10月撮影。仕込みではなく、ある取材でロシア正教会を撮影してまわっていて偶然出会いました。

③ヌード撮影風景
ヌード撮影風景
 いつも政治ネタばかり追っていたのではありません。共産主義時代なら「ラーゲリ送り」間違いなしのエロ本もペレストロイカでようやく解禁されました、というようなネタです。これも原版はカラーなんですけど、もう手元にはありません。

④オセチア紛争
オセチア紛争
 いちおう自称・戦場カメラマンなので、オセチア紛争にも行きました。写真は南オセチア州で、ソ連内務省軍の装甲車パトロールに従軍した際のもの。91年3月撮影。これもカラー原版はどっかにいっちゃいましたが、反転ネガが残ってました。あんまりいい写真でないですが。
 これはグルジア人村ですが、このとき、オセチア人の襲撃者が捕まった場面に遭遇しました。いや凄かったです。羽交い絞めされて暴力的に撮影を妨害されたので撮れてないのですが、いわゆるリンチってやつですね。もうぞっとする恐怖の叫び声でしたね。殺されるところまでは見ていませんが。ちなみにソ連軍は政治的にはオセチア寄りのはずなんですが、このときのソ連兵は見てみぬふりでした。

 以上、古い写真を見てると、当時の写真送りの苦労を思い出します。モスクワの場合、たいてい私は「国際空港に行って、日本に帰る日本人旅行者に土下座してフィルムを託す」方法をとってました。これがいちばん確実です。もう毎週のようにやってましたね、土下座。
 いまやネットで送れるなんて、夢のようです。ちなみに当時の私の海外からの写真送付方法は他には以下のとおり(早い順)。
▽自分で現像キットと写真電送機を持参し、ホテルなどから国際電話回線で送る。
 新聞社・通信社のカメラマンなんかはこれです。私は湾岸戦争取材のときだけ、某社に支給されてこれやりました。荷物がバカ重で面倒くさいですが、数百万円の高額機材なので、欧米人のフリーカメラマンなんかからは「やっぱ日本人すげー!」という目で見られます。
▽通信社の現地支局を通じて電送する。
 本社同士でビジネスとして話をつけると、これが可能です。私はペルーの大統領選(フジモリさんが大統領になったとき)にこれやりました。ロイターだったかAFPだったか忘れましたが。早いですが、難点もあります。通信社の現地支局なら、もっといい写真いっぱいあるので、「こんなの送んの?」という冷たい目で見られることです。
▽業者を使う。
 航空貨物で送る方法です。航空会社直でも国際貨物会社でも出来ます。貨物会社のなかには、成田の営業所がどういう裏技か税関を超特急でスルーしてしまう会社もありました。バカ高ですが、たしかに早かったので週刊誌なんかではよく使いました。

 ネットがない時代、日本への連絡とか、外電ニュースの入手とかでもいつもひと苦労でした。仕事の3割くらいはそういう面での手配でしたね。
 年寄りの昔話にて失礼しました。
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  1. 2009/05/21(木) 00:41:04|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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