ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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核ノドンの標的になった場合のシミュレーションを

 ここのところの金正日ですが、敵ながらちょっとさすがに痛々しいですね。いよいよああなってくると、本人も「自分の死後」を切実に考えているのでしょう。
 で、思うのですが、金正日は自らの死を意識したとき、まず何を考えたでしょうか?
 息子への世襲? 普通の独裁国のトップならばそうなりますけど、あの人の場合、ちょっと違うのではないでしょうか。あの人は自分=国家ですから、父・金日成から受け継いだ共和国をどう生き残らせることができるかという観点で考えるのではないかという気がします。
 自分の死後、後継体制がどうなるかに関わらず、権力の指導力低下は避けられません。そんな祖国の将来にとって、脅威はなんといってもアメリカ軍です。つまり、金正日はおそらく、自分の死後、祖国がアメリカの攻撃で滅ぼされることをなんとか回避したいと願っているのではないか。父が作った共和国の存続を永遠のものとしたいと願っているのではないか。そんなふうに思うわけです。
 といっても、金正日の頭には、中国の改革開放のよう選択肢は入ってないでしょう。主体思想=金日成主義の敗北になるからですね。
 そうなると、金正日が頼るものは軍事力しかありません。軍事でいえば、アメリカの攻撃を防ぐ唯一の手段が「アメリカ本土に届く核ミサイル」ということになります。北朝鮮指導部では、核ミサイル武装は父・金日成の代からの悲願であり、父を受け継ぐ金正日の悲願でもあります。彼らは二代にわたって核ミサイル開発に邁進してきており、そこにはまったくブレはありません。
 けれども、今回のテポドン実験で露呈したとおり、実際のところ長距離ロケットは技術的にまだまだ難しいものがあります。北は旧ソ連製のロケットを研究し、その技術を応用してここまでこぎつけましたが、ICBMクラスになると、そういった応用技術だけではなかなか難しいものがあります。今後も開発は進めるでしょうが、長期戦の構えですね。
 では核はどうか? 基本的な装置でともかく起爆できるところまでは来ています。あとはその精度を上げることと、小型化することです。これについては、すでにそれなりの時間が経過していますから、理論的にはかなり進んでいる可能性が高いでしょう。
 で、おそらく最終的には、ノドン搭載可能な1トン以下程度の小型核爆弾の実験を実行することになります。ノドン搭載型の実験が目標でしょうが、その前に、それよりははるかに大きい十数トン規模の起爆装置の実験をする可能性も(少しですが)あります。テポドン2の新型の第一ブースターには、精度はともかく、そのくらいの重量を日本まで投射できる能力がありますから、形状を工夫すれば、それを大型弾頭にすることも、まったく不可能ではないからです。軍事的な合理性を考えれば、もうすごそこまで来ているはずのノドン核弾頭開発を優先するはずで、わざわざ使い勝手の悪い大型弾頭(テポドン2の第一ブースターをミサイル化した場合、車載化は無理で、せいぜいサイロからの発射となりますから、軍事的にはどうしても脆弱性が残ります)を開発する可能性は少ないですが、まったくゼロとはいえないでしょう。仮にそれが実現すれば、核ノドンほどの危険性はないものの、それでも日本は核ミサイルの脅威下に入ることになります。

 いずれにせよ、そんなわけで私は、北朝鮮は次は再び核実験を行う(いつになるかはまったくわかりませんが)と見立てています。
 仮に核実験を行った場合でも、国際社会の制裁は受けるでしょうが、軍事的に攻撃を受けるわけではありません。むしろ、これで核ミサイルを手にした北朝鮮の立場は飛躍的に強化されます。日本、そして在日米軍が核ミサイルの射程に入り、いわば人質となるからです。
 現在、六カ国協議脱退とかIAEAの査察官を退去させてプルトニウム製造再開などといった瀬戸際外交をやっていますが、すでにプルトニウムを手にしている北にとっては優先順位は低いので、単なる外交カードかと思います。外務省は6カ国協議最優先の方針ですが、少々ピントがずれているのではないかという気がします。

プルトニウム製造再開→外貨獲得のため売却、の可能性を問題視する声もありますが、核流出は北にとってリスクがメリットをはるかに上回るので、現実的な脅威という感じには見えません。いくら外貨がほしいとはいえ、露呈した場合にアメリカから軍事攻撃を受ける可能性の高い選択を北朝鮮がチョイスするとは思えません。
 体制引き締めのために軍事的な緊張をつくるとか、威信を高めるために核武装をするとかいう見方もありますが、あの国は金正日こそ国家なので、そういうノリとはちょっと違うのではないかなと思います。このへんは、たとえば戦前の日本を思い起こせばわかりやすいかと思います。
 北はとにかくアメリカから攻撃されることが怖いんだと思います。朝鮮戦争の時代から、それを回避するのは核ミサイル武装しかないという信念があるように見えます。

 94年の核危機で米軍が寧辺空爆を検討した際、韓国政府は絶対反対の立場を崩しませんでした。北の長距離砲でソウルが人質になっていたため、戦争はできないのです。
 東京が核ノドンで照準されたら、日本も韓国と同様の立場に立たされます。そんな状態でもしも朝鮮有事が発生したら、日本政府はそれでも米軍支援を行うのかどうか。本当はそのくらいのシミュレーションを政府はしなければならいと思うのですが・・・・・・。
 ミサイル防衛も敵地攻撃力の獲得も、車載化核ノドンが実戦配備されたら、それほどアテにはできません。6カ国協議がどうでもいいとは言いませんが、日本にはもっと重大な問題があるのではないかと思います。

 ところで、自衛隊の件で、もうひとつ。ソマリア関連で、このたびP-3C哨戒機のジブチ派遣が決まりました。これは国際標準で言うと、護衛艦派遣などより格段にポイントが高い参加になります。なんてったって、これで現地の自衛隊員はかなり一目置かれる立場になります。こういう経験はきわめて重要です。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
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  1. 2009/04/17(金) 16:28:49|
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北朝鮮 ノドン

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  1. 2009/06/20(土) 17:56:07 |
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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