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ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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テポドン騒動のかげで、核搭載ノドンが日本を狙う?

 昨日発売の週刊朝日に「テポドン騒動で空騒ぎの間に・・・核搭載ノドンが日本を狙う!」という記事を寄稿しました。
 イージス艦やPAC3なんかのニュースが連日採り上げられ、テポドンが大きな話題になっています。昨日お昼に入った町の食堂でも、隣のテーブルのサラリーマン風2人組が、熱心にこの問題を語り合っていました。
 けれども、なんだか空騒ぎに見えるのは私だけでしょうか? 上記の記事で私は、テポドンの件は基本的にはアメリカの問題で、日本はあまり関係がないということ。すでにノドンの射程に入っている日本にとっては、北の核爆弾小型化こそが安全保障上の最大の問題であるということ。しかも、それはまさに目の前に迫りつつある大問題である、ということを指摘しました。
 おそらく北朝鮮は現時点ではまだノドンに搭載できるほどの起爆装置小型化には成功していないと思われます。北朝鮮の核爆弾はプルトニウム型なので、起爆装置はかなり高度な技術になりますから、いくらパキスタン(構造がずっと簡単な濃縮ウラン型核爆弾を開発)と技術提携しているとはいえ、そんなに簡単ではありません。
(なお、今の濃縮ウラン型爆弾も効率化のために爆縮型起爆装置を使うので、そのデータに関しては北朝鮮とパキスタンとの情報交換はあると思われます。それで北朝鮮がすでに核弾頭を持っていると推測している専門家もいますが、濃縮ウラン型とプルトニウム型では要求される精度のレベルが格段に違うので、やはりプルトニウム型の核弾頭はそれだけでは難しいと思われます)。
 しかし、どこかの秘密施設でそれに邁進しているのは確実ですから、いずれはそれを成功させることは疑いありません。それで核ミサイルは完成ですから、その時点をもって日本の安全保障は完全に崩壊するということになります。
 私は拙著『北朝鮮に備える軍事学』にも書いたとおり、北朝鮮が対日攻撃に出るとは思ってませんが、純粋に軍事的なことだけで考えると、小型起爆装置完成の時点で日本は北朝鮮の核脅威下に入ります。ミサイル防衛はいくら揃えても完全ではないので、核の脅威を完全に除去することは出来ません。
 ノドンはどれくらいあるのかというと、誰も確認したわけではないので不明ですが、数年前に米軍当局は「200基以上」と言っていますから、さらに増えている可能性があります。正確な数はともかく、それなりにかなりの量のノドンが車載化され、秘密基地に隠されているという事実は決定的です。プルトニウムは現時点ではまだ核爆弾5~8個分程度であると思いますが、それだけあれば充分に核の脅威と考えられます。

 ちなみに、ミサイル防衛について、私はその完成度には疑問をもっています。制御不能になった高速・高高度のアメリカの偵察衛星をSM3が爆破したことで、SM3の評価は上がりましたが、充分な時間をかけて入念に緻密な軌道計算をして行われた迎撃だという点は割り引いて考えるべきかという気がします。
 その他の実験の結果も大きく勝ち越してはいますが、盾とするにはまだまだ失敗率が高いですね。核戦争というものを私は現実的には想定していませんが、純軍事的には、戦争における核ミサイル攻撃は数発単位で考えるものではないです。MDの有効性を担保するほどのデータは公表されていませんので、今のところMDの有効性は確認されていないということになります。

 それはともかく、先走って考えると、たとえば北のテポドン発射→国連安保理制裁決議→六カ国協議崩壊→核再実験、ということも充分あり得ると思います。北朝鮮は06年の核実験は半端な結果でしたので、完全な成功をおさめておきたい。できれば弾頭サイズも試しておきたいというところかと思われます。プルトニウムがもったいなからやらないのではないかとの見方もありますが、あと1~2発なら構わないでしょう。確実な起爆装置のほうがはるかに軍事的に重要だからです。

 ということで、実際にはモニター不可能な核弾頭完成を阻止することはできないにせよ、それを世界の関心事とする努力はすべきでしょう。アメリカ主導の六者協議ではこれまで、アメリカはホンネでは核流出阻止を最大の戦略目標にしてやってきていて、核爆弾小型化にはほとんど注目してきませんでしたが、今回のテポドン騒動で米メディアにちらほらこの問題が採り上げられるようになりつつあります。北朝鮮がアメリカを射程におさめるミサイルを持ちつつあるというようで、さすがに本気になってきたのかもしれません。
 もっとも、ではアメリカはどうするかというと、たぶんまた何かで譲歩するということになりそうな気配です。ですので、日本はどうすべきかをもっと独自の視点で考える必要があります。本当に核ノドンが配備されたら、日本は、(北の長距離砲によって)ソウルを人質にとられている韓国と同様に、金正日体制を安定させることが戦略目標になってしまうという情けない立場に立たされます。拉致問題の解決など、夢のまた夢に遠のいていく結果にならざるを得ません。
 では具体的にどうすべきか? それは正直いってわかりません。けれども、アメリカの安全保障最優先の6者協議に任せておいて安心するのではなく、日本にとっての安全保障という視点で議論するということころから、私たちみんなが考えていくべき話ではないかなと思います。
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  1. 2009/04/01(水) 02:45:14|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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