ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

「教徒」だからといって信心深いとは限らない

 北大生の事件の件で『週刊現代』先週号、シリア空爆の件で『週刊新潮』先々週号にコメントを採用していただきました。
 また、北大生の事件に関連した記事をJBpressに寄稿しました。
▽戦いたい!海外の戦場へ向かう日本人たちの系譜~元自衛官からイスラム国を目指した北大生まで(2014.10.17 JBPRESS)
 海外の戦場を目指した人は、これまでも何人もいました。事情は人それぞれです。
 今回の事件に関連して、こうした日本人兵士のことも話題になりましたが、個々の事情を知らずに十把一絡げに断罪する論調が散見されるのは残念なことだと思います。

 また、今回の件では、「イスラム」についてもさまざまな議論が出ているように感じます。というか、日本ではイスラムはほとんど浸透していないので、イスラムってどういうの?というところから必要に思います。
 ということで、現在発売中の『月刊宝島』に「イスラム国 8つの謎」という記事を寄稿しました。
 また、JBPRESSに下の記事を寄稿しました。
▽イスラム過激派はなぜ過激なのか?~「平和」な宗教がテロを生み出すメカニズム~オバマとイスラム国の戦争(その4)(2014.10.27 JBPRESS)
 この記事では、あくまで過激派の土壌というか社会的背景についての考察だったので、割愛しましたが、イスラムの曖昧さの他に、「イスラム教徒」の曖昧さという問題も、個人的な体験からは強く感じています。
 たとえば、イスラム教徒の中には、イスラム教徒であることにそれほど本音では強くこだわっていない人が、実は結構いるのではないかということです。
 イスラム教徒のほとんどは、自分で望んで信者になるわけではなく、社会的なポジションとして、生まれながらにイスラム教徒になります。その後、周囲の環境で信徒として社会生活を送りますが、それは多くの場合、惰性です。
 たとえば、私自身の体験でいえば、現地で仲良くなった人の家に泊めて貰ったとき、家族や友人たちの前では熱くイスラムの素晴らしさについて語っていた人が、深夜に家族が寝静まった後などに、「実はイスラム、俺あんまり好きじゃないんだよね」と告白するようなことが、何度もありました。筆者の体験に過ぎない小さなサンプルの話ではありますが、そうしたことは、実は何度もありました。
 これは私がそういう話を仕向けたから初めて出てきたことで、普通に会話していれば決して出てこない「本音」ですが、まあそういうことがよくあったわけです。
 私の感覚では、とくに若い人にそういう人が多く、年配になると急に敬虔な信者に変貌するパターンがよく見られるように思います。
 なので、本音ではそうしたこと、みな口に出しては言わないけれども、言わずもがなだったりもするので、イスラム社会の同調圧力にドライブがかかっている面もあるように思います。敬虔なモスレムであることをアピールするため、共同体の中でことさらそれを強調する。周囲の人にもそれを求める。そんな感じですね。
 禁忌の問題もそうです。じつはイスラム教徒で、隠れて飲酒している人など山ほどいます。人によるし、環境にもよりますが、人はそれほど禁欲的にはできていません。
 たとえば、こんな例がありました。
 パキスタンからモスクワ経由ロンドン行きのアエロフロートに搭乗したとき、乗客はほとんどイギリスに向かうパキスタン人労働者でした。席に着くと、隣のオジサンがさっそくいつものようにイスラムの素晴らしさについて滔々と語り出したわけです。
 ところが、飛行機が離陸した瞬間ですね、そのオジサン含めて乗客全員が立ち上がり、我先にと、CAにビールやワインを注文したのです。ホントに乗客ほとんど全員です。
また、これはお国柄ということもありますが、フィリピン南部のイスラム・ゲリラでは、モスクでお祈りした後に私服に着替えて町の酒場に直行、などという人も普通にいます。
 それと、これはイスラムの問題ばかりでなく、中東社会の問題という面もあるのですが、性の抑圧もそうですね。まあそれでもキリスト教徒の町ではそれほど抑圧的でもないことが多いので、イスラムのほうが顕著ではありますが。
 なので、イスラム教徒には、30代で童貞などという方が、普通にたくさんいらっしゃいます。これは馬鹿にしているのではなく、社会的環境の問題なので、可哀相だなと思うのですが、それで性に対する欲求不満がもの凄く強いわけです。なので、イスラム社会では痴漢がもの凄く多くいます。イスラム社会では家族の女性をあまり人前に出さなかったりといったこともあるのですが、それは男たち全員がエロい視線で見ることを知っているからということもあります。イスラムの戒律のせいにしていますが。
 話がちょっと脱線しますが、そんなわけで、イスラム社会では男色行為が普通に行われています。同性愛ではなく、性欲発散のためです。
 これはバックパッカースタイルの旅行経験者なら多くの方が経験してらっしゃるかもしれませんが、日本人の若者(男性)などは、普通にセクハラされます。また、やはり家に泊めて貰ったりすると、そこで誘われたりもします。外国人を積極的に家に誘うような人、ということではあるでしょう。でも、「そんな人ばかりじゃない」かどうかはわかりませんが、実際、普通に多くいます。(女性の場合はなおさらで、日本人に限りませんが、外国人女性は誰でもたいてい誘われます。まあ女性を誘うことはイスラム社会でなくとも世界中であることですが、イスラム社会はやはり男性陣のパワーが半端ない感じですね)
 私は同性愛者ではないですし、まあ図体も無駄にでかくて腕力もそこそこあるので、暴力的に襲撃されたことはありませんが、ひやひやしながら警戒して寝れなかったことも何度もあります。目の前で現地の若者同士がなされているのをずっと見させられたことも何度もあります。あ、べつに同性愛を差別するわけではありませんが。そういえば、ヨルダンでヒッチハイクしたトラック運転手もそうで、拒否したら砂漠のど真ん中で降ろされ、途方に暮れたこともありました。
 ともあれ、こうした社会で生きるということは、本音と建前を区別するのが当然ということであるわけです。
 イスラム社会では、イスラムの優位性を強調する人は非常に多くいます。結構過激で攻撃的なことを熱く語る人も、普通にたくさんいます。
 けれども、彼らがだからといって過激派かというと、そういうことではありません。イスラム過激派っぽいことを共同体の中では叫んでいても、ほとんど場合、口だけのタテマエであったりします。そういう曖昧さがイスラム社会というか、同調圧力の強い社会のひとつの特徴なのでしょう。昔の共産圏もそういう面ありましたし。
 ですが、どんな世界にもさまざまな人がいて、純粋に本音で過激思想になる人もいます。あるいは、自分で言っているうちにそうなってしまう人もいます。同調圧力に流され、群集心理でそうなるケースもあります。そこは人さまざまなですが、そういう中から、過激派に参画する人がちらほら出てきます。また、宗派対立が先鋭化すると、けっこう素早く戦闘集団が誕生したりもします。
 ただし、大多数の人は、現実優先で生きています。イスラム社会に過激な言説が流れていても、実際にはほとんどの人は、行動面ではホンネ重視でいきます。一時的には好戦的な「空気」が流行することもありますが、長続きはしません。
 こうしたことは、データで統計することは難しく、あくまで個人の体験による印象論ではあるのですが、中東経験者なら似たようなことは結構感じているのではないかなと思います。表面的なタテマエ会話しかしていないようではダメでしょうが。
 男性であちらに行かれる方には、ぜひ差し向かいで深夜にじっくり話をされることをお薦めします。エロ話から政治話へ、そこから宗教の話にもっていくと、昼間とは全然違う話が聞けるのではないかなと思います。 
スポンサーサイト
  1. 2014/10/29(水) 12:05:57|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
<<「イスラム国」問題続くも、殺人規模はアサド軍が桁違い | ホーム | テスト>>

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. |
  2. 2014/10/30(木) 09:31:35 |
  3. #
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://wldintel.blog60.fc2.com/tb.php/1425-4a3d0593
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

月別アーカイブ

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。