ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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主軸は宗派よりも「敵の敵は味方」

 ブラジルW杯に世界中が注目している今も、各地で戦火が拡大しています。
 シリアでは相変わらず内戦が続き、政府軍機による市街地爆撃が継続中です。
 リビアでも紛争が拡大。治安が崩壊しつつあります。
 東部ウクライナでは政府軍と親露派民兵の戦いが拡大。親露派側ではロシアが裏でかなり暗躍しています。
 パキスタンでは、「パキスタン・タリバン運動」(TTP)によるカラチ空港テロに参加したウズベク人民兵組織「ウズベキスタン・イスラム運動」(IMU)のパキスタン北西部の拠点を、パキスタン軍が攻撃。ウズベク人ゲリラ多数が殺害されています。IMUはこのところ中国国内での活動が強化された可能性のあるウイグル人テロ組織「東トルキスタン・イスラム運動」(ETIM)との関係が深いですが、今回のパキスタン軍の攻撃によって、ETIM兵士が死亡した可能性もあるようです。

 で、もっとも風雲急を告げているのがイラクですね。
 スンニ派イスラム最凶過激派「イラクとシャームのイスラム国」(ISIS)と、シーア派主体のマリキ政権軍の攻防が激化。ISISには旧サダム・フセイン政権派残党が協力し、他方のマリキ政権側にはシーア派繋がりで事実上の後見人でもあるイランから革命防衛隊が参戦。さらにISISの勢力拡大を阻止したいアメリカも、対ISIS戦を支援するようです。対ISISで、奇しくもイランとアメリカが同じ陣営に入るという珍事となっています。
 ということで、イラクではおおまかに言えば「スンニ派過激派VSシーア派」の構図がさらに拡大したことになります。
 ただし、これは宗派対立が戦いの主軸ということでもないですね。スンニ派のクルド民兵は同じスンニ派のISISと戦っていますし、イラクのスンニ派ではISISの強引な恐怖支配に反感も強くあります。要するに、「敵の敵は味方」「敵の味方は敵」の徹底ともいえます。
 中東は昔からそうですね。

(追記)
 少し補足します。
 もちろん現地にもいろいろな考えの人がいますし、対立構造も単層要因ではなく複合的なものではあるのですが、パレスチナ問題などもそうですが、日本の中東研究者や、私より一世代前のジャーナリスト、あるいはその影響を強く受けた方々には、どうもイズム偏重の傾向があるように感じます(もちろん全員ではありませんが)。
 その点、私の現地経験での印象は、イズムよりももっと打算的な要因が強いわけです。
 ただ、「すべて打算だけ」でもないです。これは現地の人にも多い考えなのですが、「どうせみんな金儲けのため」だけでもないように感じます。紛争の深層を経済的利益の視点だけで見る言説もありますが、それも違うように思います。
 要するに、中東の紛争地域でサバイバルするということは、かなり熾烈なもので、表面上のイズムを逸脱しないように気を遣いながら、「敵の敵は味方」「敵の味方は敵」が基本形になる、と。もちろんその裏では本音の打算もある、と。大雑把に言えば、そのような構造が主なのではないかな、と思っています。
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  1. 2014/06/16(月) 07:14:05|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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