ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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アサド再選「得票89%くらいにしておきますか?」

 仮定の話。
 たとえば北朝鮮で指導者の選挙が行われたとします。個人独裁との批判をかわすため、金正恩はどうでもいい対立候補を2人くらい立てます。ですが、選挙結果は圧倒的支持で金正恩当選になります。当然ですね。それが独裁体制というものです。

 さて、北朝鮮同様の世襲独裁秘密警察国家シリアの場合。
 アサド大統領が88・7%の「得票」で再選されました。独裁政権の官製選挙だと90%超えがあたりまえなのですが、内戦中でもあるし、「ここは少し少なめにして80%台後半でどうすか?」と側近グループが話し合って「設定」された数字ということになります。
 シリアのような国では、こういった選挙は民意とはまったく何の関係もありません。開票もちゃんと行われず、「選挙をした」という体裁と、後は政権側が「どのくらいの得票にしちゃおうか?」と随意に決めるだけの話です。
 もっとも、実際に投票した人の多くは、おそらくアサドに投票しています。今回の投票は政権側支配エリアだけで行われたわけですが、アサドと書かないと酷い目に遭うからです。
 在外公館での投票もそうですね。じつは内戦が3年をすぎ、海外に逃れたシリア人には「パスポート期限切れ」という問題が生じています。旅券が切れるといろいろ不都合なことが出てくるので、シリア大使館とはなかなか敵対できません。それで今回も、在外公館でアサドに投票した人が少なくありません。
 比較的民意が現れるのは、難民キャンプでの世論ですね。こちらも本国の親族が人質にとられ、思うように発言できない人が少なくありませんが、それでもシガラミを断ち切って本音で話せる人の割合が多いので、こうした人々の世論動向がもっとも真実に近いということになります。
 難民キャンプはこれまでさまざまなメディアが取材してレポートを発表していますので、とにかく反アサドが大勢ということは明白ですが(いつぞやテレ東でかの池上彰氏も取材していました)、参考になるのがこのレポート。まあ数字は妥当な線でしょう。
▽Syria's 2014 Presidential Elections: Internally Displaced Syrians and Refugees Give their Verdict (アラブ調査政策研究センター (ACRPS)の世論調査)
 難民を対象にした世論調査です。
 今回に選挙については、17%が「有効」、78%が「無効(非合法)」と回答しています。
 内戦の解決に必要なことについては、回答者の64%が「体制変更」、23%が「和解」、6%が「政権勝利」との回答です。
 また、民衆蜂起6ヶ月目までと、3年後の意識比較では、反体制支持が52%から60%へと増。アサド支持が19%から13%へと減。中立派が28%から15%へと減(この他、3年後だけの調査で「どちらも反対」派が11%)。
 希望する将来のシリアは「世俗国家」が50%、宗教的国家が30%。
 現在のシリアをもっとも支配している勢力については、28%がイラン、22%が「アサドとアサド家」、16%がロシア、10%が秘密警察、6%がヒズボラ、4%が軍部、1%が富豪との回答でした。
 以上をみると、大雑把に言えば、反体制派支持が6割、アサド支持が1割、どちらも反対派が1割、その他が2割といったところですね。

 欧米主要国などが「選挙は茶番」と断定していることについて、反米バイアス方面からは反発もあるかもしれませんが、まあシリアの実情をご存じないだけのことでしょう。
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  1. 2014/06/11(水) 15:50:50|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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