ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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グルジア紛争

 今回のロシア=グルジア紛争の発火点となった南オセチア自治州は、同地の紛争が始まったばかりの91年3月に現地取材したことがあります。州都ツヒンバリに入った後、ロシア軍側に従軍して付近の村々をまわりました。
 紛争の構図としては、報道されているように、ロシアvsグルジアという対立がまずあって、そこにグルジア人vsオセチア人という対立があり、敵の敵は味方ということで、ロシアがオセチアを支援しているという構図です。
 ですが、あまり報道されていない点をひとつ。
 公式にはグルジア領内になっている南オセチア自治州(オセチア側は南オセチア共和国を主張)は、ロシア軍の介入によってほぼグルジアの支配がおよばず、事実上の〝ロシア勢力圏〟になっているのですが、じつはオセチア人ばかりでなく、グルジア人もかなり多く住んでいます。ツヒンバリでも紛争初期に両民族間の戦闘があり、市中心部からはグルジア人がほぼ一掃されていましたが、同州内はオセチア人の村とグルジア人の村が混在しているのです。
 南オセチアがすべてオセチア人オンリーの場所であれば、グルジアなんかから早く独立しちゃえという話になるのですが、ことはそう簡単ではありません。紛争にどちらが悪いということもないのですが、現実として、同地では少数派になるグルジア人住民は、隣人であるオセチア人住民にかなり非道な扱いを受けています(グルジア人の一部もオセチア人一般住民を襲撃してますけど)。
 よく国際報道の現場では、どちらかが一方的な悪者で、どちらかが被害者というくくり方をされますが、オセチア紛争では、「ロシアにいじめられるグルジアが可哀想」という見方と、「グルジアにいじめられるオセチアが可哀想」という見方がどちらも成立するので、なかなか善悪で語ることが難しいようですが、このあたりはもともとそれらの見方が当てはまらないわけです。
 また、グルジアにもマフィアは多いのですが、オセチア人もかなり大掛かりな犯罪組織を形成していて、麻薬をはじめ、かなり悪辣なことをやっています。どちらかが一方的に可哀想な犠牲者だとはなかなか言えません。近傍のチェチェンやアブハジア、アルメニア、アゼルバイジャンなんかもそうですが、カフカス地方というのは旧ソ連でも有数のガラの悪いエリアで、以前からマフィアが発達しています。そういう土地柄なんですね。
 関係のない都市の一般市民を空爆するロシアも悪いですし、唐突に軍事侵攻に踏み切ったグルジアも悪いですが、紛争当事者の現地のヤクザたちもろくなもんじゃありません。結局、とばっちりを受けるのはまじめな人々ということですね。
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  1. 2008/08/14(木) 09:55:30|
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  1. 2008/08/16(土) 10:00:23 |
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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