ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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シリア政府軍が塩素ガス使用?

 シリア政府軍が化学兵器を再使用との情報がさかんに流れていたのですが、どうも非即死性のガスを使用しているっぽいので、窒息性、嘔吐性、あるいは塩素系あたりかなと思っていたところ、少なくとも塩素ガスが使用された可能性がきわめて高いようです。
▽シリアで塩素ガス攻撃か、化学兵器廃棄での合意に抜け穴も(ロイター)
▽「シリア政権が塩素ガス使用の疑い」 米当局者(CNN)
被害エリアには直接のアクセスがないので、同情報の真偽に関して私には独自情報はありませんが、状況からみて、そういうことでしょう。
 塩素ガスは廃棄処分リストに載っていない⇒だから使用OK・・・・いかにもアサド軍の考えそうなことです。
 それに、ジュネーブ2で「樽爆弾での民間人無差別爆撃禁止」となったはずなのに、その後もどんどん使っていますね。
 前から出ていたアサド政権による捕虜拷問・大量処刑の件ですが、それもこういうことです。
▽「シリア政府、1万人超拷問・殺害」=明白な証拠と専門家チーム-安保理会合(時事)
 アサド政権がこうしたことをやっていることは、シリアではとうの昔から常識です。これは証拠写真がある部分だけで、実際にはこの何倍もの虐殺が行われています。
 もっとも、反政府軍でもイスラム過激派系の部隊のなかには、捕虜の即時処刑を行っていた部隊が、少数ですが実在します。そこでアサド政権側メディアやロシア・メディアなどは、ことさらそれを強調し、「反政府軍は暴力的」との宣伝を盛んに行っています。一部を全体に誇張する初歩的なプロパガンダですね。
 反政府軍にもいろいろいますし、全員が清廉潔白なわけではもちろんありませんが(とくに外国人主導のイスラム過激派にはひどいのが多い)、反政府軍の主流は、独裁打倒に生命を賭した志願兵です。反「反体制派」プロパガンダでは、あたかも「反政府軍は私利私欲のためだけに戦っている」「利権のために主導権争いをしている」かのような言説を垂れ流していますが、間違いです。
 外国人兵士を除けば、反政府軍兵士の多くは、なにも好き好んでゲリラになったわけではありません。独裁政権打倒のためにやむなく銃をとった人々です。政府軍兵士とは違って強制されたわけでもない志願兵ですが、反政府軍に身を投じるということが、どれほどシリアでは危険なことかを知っていれば、その覚悟のほどが理解できます。私は直接、そうして戦ってきた兵士を何人か知っていますが、死地に向かう彼らは、そんな目先の利益で動いているわけではありません。
 ついでに言えば、海外にいる活動家の多くも、ちゃんとした人々です。いまやシリア国内の反体制派からも「ホテル革命家」などと揶揄されていますが、カタール資金などに群がっているのは一部の人で、多くの人は自腹持ち出しで活動しています。私自身、そうした在外活動家を何人も知っています。主張が乱立してまとまらないのは事実ですが、カネの取り合いに血道を上げているわけではありません。とにかく誰もが命がけでやっているのですが、そこがなかなか外国の人には理解されないようです。

 そんななか、こんな情報も。
▽米・サウジ、最新式ミサイルをシリア反政府勢力に提供(ウォール・ストリート・ジャーナル)
 反体制派の中から反米系を排除し、選別して武器を流そうという試みです。戦争の趨勢は兵器レベルでほぼ決まるので、これはひとつの朗報ですが、やはりMANPADSはアメリカが認めないそうです。
  
 ところで、アサド政権は6月3日に大統領選挙を行うそうです。
 立候補者は10年以上同国に居住している人に限るそうなので、反体制派の有力者はすべて排除されます。
 というか、国際的な監視もなく、これまでどおり完全にアサド政権が管理する選挙となるので、アサド政権支配地域内のみで、アサド軍・秘密警察の監視下の選挙になります。いまや国民の半分が避難民状態ですが、その人達も投票しません。大量の難民など国外にいる人は、アサド政権側の在外大使館で秘密警察の監視の下で投票できます。
 何と言うか、まさに民主主義のパロディですね。アサド政権はこんな茶番をもって、国民の虐殺を継続していこうとしているわけです。
 いずれにせよ、アサド軍による国民虐殺は相変わらず進行中ですが、欧米諸国はウクライナ情勢にかかりきりで、シリアの危機的状況は相変わらず放置されています。国際メディアでの報道も目に見えて少なくなっているのが残念です。
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  1. 2014/04/24(木) 08:13:28|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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