ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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『バンバン・クラブ -真実の戦場-』

 今まで機会がなくて観ていなかったのですが、ケーブルチャンネルで2012年公開の『バンバン・クラブ -真実の戦場-』を初鑑賞しました。90年代初頭の南アフリカを舞台とした報道カメラマンたちの物語です。
 実話がベースになっていて、「バンバン・クラブ」とは実在の4人のカメラマン仲間の通称。日本語でいえば「ドンパチ・クラブ」といったところでしょうか。4人のうちのひとりは、有名なスーダンの「ハゲワシと少女」の撮影者ですね(この実在記者の自殺まできちんと描かれています。また、他のカメラマンですが、惨殺された子供の遺体を撮影する葛藤などもあります。なので、単なるヒーロー物語ではありません)。

 戦場記者の世界を描いた映画はこれまでいくつもありましたが、私とは微妙に時代がずれていることが多かったように思います。が、この『バンバン・クラブ』は、まさに場所も時代も取材対象もノリもドンピシャで、思わず「おおー」と見入ってしまいました。
(ちなみに、これまでもっとも空気感がハマっていたのはニカラグア革命を舞台にした『アンダーファイア』でした。自覚してはいませんでしたが、初戦場取材先にニカラグア内戦を選んだのは、その影響が少しはあるのかもしれません)

 かつて南アフリカといえばアパルトヘイトの国で、多くの記者が白人vs黒人という構図で優れたレポートを書いていましたが、90年代はどちらかというと、黒人多数派のコーサ人VS少数派のズールー人の殺し合いになっていて、当時の私も『バンバン・クラブ』と同じく、そちらの紛争を主に取材しました。
 拙ブロブ既出ですが、当時の取材は以下です。
 ▽写真館⑳南アフリカ部族対立(ワールド&インテリジェンス 2010/10/04)

 当時はアパルトヘイト終結の時期で、世界中のプレスがマンデラおよびANCを取材しまくりましたから、私は逆にズールー人勢力に注目。ズールー人の政党「インカタ自由党」指導者、ズールー人ギャング、ズールー人のホームランドであるクワズールー・ナタール州などを取材しました。
 当時からヨハネスやナタール州は危険地帯だったのですが、私がもっとも緊張したのは、黒人居住区だったソウェト地区のミードウランズ・ホステルですね。ホステルというのは地方からの出稼ぎ者収容施設なのですが、実際にはコーサー人とズールー人のホステルが点在していて、それぞれ戦闘グループのアジトになっています。
 私が突撃潜入取材を行なったミードウランズ・ホステルは、ズールー人戦闘グループの最大拠点のひとつでした。『バンバン・クラブ』の冒頭は、主人公がやはりズールー人のホステルに迷い込む場面でしたが、まさに同じ感じです。とにかく怖い場所でした(ただし、私は映画のように殺人場面は目撃していませんが)。

 映画を観ていて「ん?」と思った部分を1点。『バンバン・クラブ』ではズールー人戦闘グループは白人政権と裏で繋がっていることを強調していますが、私がミードウランズ・ホステル取材中、警察部隊がホステルを急襲し、大掛かりな武器捜索を行なっていました。味方同士という雰囲気ではありませんでしたが、どういうことかよくわかりません。

 ところで、同映画でこんなシーンがあります。南アには黒人カメラマンもいるのですが、黒人間抗争の取材はできません。どちらからも敵方と疑われるからだというのです。
 そこで白人カメラマンがこう言います。「白人でよかった。白人はどこへでも入っていけるからね」
 なるほど。白人だけでなく、日本人もそうですね。日本人は国際政治の部外者なので、たいていの取材対象に白人記者より軽く扱われますが、その代わりほぼ世界中の紛争地で「部外者ゆえ無害」と見なされ、敵対する両サイドにさほど警戒されずにアクセスできます(もちろん例外はありますが)。そういう意味では、得しているのかもしれません。
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  1. 2014/02/25(火) 05:01:26|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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