ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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予想どおり逆効果に終わったシリア和平交渉

 拙ブログで「断言」していたとおりの結果になっています。
▽シリア和平協議、具体的成果なく終了(CNN)

▽Nearly 1,900 dead in Syria since peace talks began: NGO(AFP)
シリア人権監視団集計。ジュネーブ2期間中、およそ1900人が死亡。うち498人以上が市民。そのうち40人が封鎖による餓死・病死。市民27人はISISと他の反政府軍との戦闘に巻き込まれて死亡。政府側戦闘員は515人が戦死。ISISとヌスラ戦線は208人戦死。ISISや政府軍との戦いでイスラム戦線などでは646人戦死。

 市民の被害の大多数は、政府軍による反体制派(自由シリア軍&イスラム戦線など)支配地域への未差別砲爆撃の犠牲者です。
 とくに北部で目立つのは、政府軍が爆撃した地域にISISが攻撃を仕掛けること。なので、一部にはアサド=ISIS共闘・密約説まで出ていますが、まあ政府側がISISを「利用」しているということでしょう。

▽反体制派地区に「たる爆弾」、90人死亡か シリア北部(CNN)

▽シリア内戦の死者、1月末時点で13万6000人超(AFP)
 昨年12月末時点の死者は13万0433人。アサド政権と反政府勢力の間の戦闘やイスラム武装勢力との戦闘で、その後の1ヵ月で6000人近くが死亡したとのことです。

 ということで、和平会議なるものが、むしろ政府軍に一般住民殺害の機会を与える結果になっていることが証明されています。
 こんなことは、多少なりともシリアという国、あるいはアサド政権というものを知る者にとっては「常識」なのですが、それでなくとも、過去のアサド政権の言動を検証すれば、客観的にもすぐにわかることです。
 実際、私の知る限り、シリア国民でジュネーブ2なんぞに期待している人は皆無に近いです。アサド政権を対等な交渉相手としているかぎり、無駄なことです。仮に停戦だの人道支援だのが合意されても、どうせアサド側は適当な理屈をつけて反故にするだろうことを、かの国では誰もが知っています。国際社会に対しては、アサド政権を封じ込める圧力だけが期待の対象ですが、これまでもずっと裏切られ続けていたので、もう誰も期待していません。
 今後の交渉再開が模索されていますが、無駄どころか逆効果となり続けるでしょう。

 和平会議の報道をみていて、気になったことをもう1点。
 ジュネーブ2が単なる政治ショーに終わった理由のひとつは、ISISが台頭した今、欧米主要国も完全に及び腰になっているということもあるわけで、それはもちろん各国の様々な思惑が交錯しているのではありますが、それでもそもそも国際社会が動けなかった最大の要因がきちんと明示されていないですね。
 これまで3年弱、国際社会には幾度も介入の機運がありましたが、それをことごとくツブしてきたのは、国連安保理で拒否権を濫用したロシアです。シリア内戦の主犯はもちろんアサド大統領ですが、それに匹敵する最大の戦犯はプーチン大統領です。
 これまで幾度も提出されていた安保理決議を、従来のようにロシア(その政策決定権はプーチン個人が握っています)が棄権してくれてさえいれば、事態はここまで悪化していません。
 反体制派の人々の誤算も、この「プーチンの安保理拒否権」にありました。政府軍に徴用された兵士も含めて、これまでの13万6000人の死者。そしてこれからさらに増加していくことが確実の多くの死に対し、プーチン大統領個人に最大級の責任があります。
 これは私だけではなく、多くのシリア国民に共通の認識です。
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  1. 2014/02/03(月) 13:52:49|
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  2. 2014/02/03(月) 22:06:01 |
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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