ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

「シリア政府が1万1000人処刑」は氷山の一角

▽シリア政権、1万人以上殺害か=証拠写真持ち出される-米英メディア(時事)
 こんな数字は氷山の一角でしょう。アサド派民兵による私刑を含めれば、数字は何倍にもなるはずです。

 アサド政権が「抵抗する者は容赦なく徹底的に殺害する」こと、「抵抗する者を殺害するためなら一般国民の犠牲を屁とも思わない」こと、「人々が抵抗しないように徹底的な恐怖支配を貫く」こと等々は、シリア国民なら皆、最初から知っていたことです。叛乱軍の主力は、それゆえに自己防衛としてあくまで抵抗を続けてきたわけです。

 反体制派は「国際社会の介入」と「政府軍の分裂」を期待して抵抗運動を続けてきたわけですが、「政府軍の内部統制が強固だった」ことと「国際社会が無介入だった」ことで、革命は頓挫しました。昨年夏頃からはISISの乱入でとくに北部・東部で自由シリア軍が後退を余儀なくされ、戦線が政府軍優位で推移。政府軍による非支配地域への樽型爆弾の無差別爆撃、あるいはライフライン封鎖による兵糧攻めなどで、ますます悲惨な状況になっています。

 事態がここに至れば、現在進行中の無差別殺戮を緩和・停止するためのアサド容認も選択肢かもしれませんが、その後にはポト派級の大量処刑が待っています。
 国際会議に関しては、シリア国民連合とイランの出席をめぐって駆け引きが続いていますが、アサド政権はあくまでアサド存続前提で、抵抗運動根絶を主張するだけですから、反体制派の実質的な全面降伏しか妥協点はありません。それに、国民連合は反体制派をまとめていないので、同会議が仮に開催されたとしても、実質的な前進はないでしょう。
「いったん妥協し、後から選挙」とか「とりあえず停戦し、現在の支配地域で勢力を分ける」などというのは、絵に描いた餅です。アサド政権はそれほど甘くないし、それを反体制派も国民も知っています。
 現在、軍事的にアサド政権が打倒される要素が消えた状態なので、今後の見通しとしては「アサド独裁存続で大弾圧・大量処刑」か「政府軍による無差別殺戮継続」かしかないようです。
 一方、今や抵抗運動最大のガンとなっているISISですが、情勢がどちらに向かうにせよ、中長期的にはいずれ勢力は減退に向かうでしょう。しかし、その過程で多くの犠牲者が出ることは避けられません。
 いずれにせよ、今年も「希望」はまったく見えません。
スポンサーサイト
  1. 2014/01/21(火) 17:21:06|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<ヒューマン・ライツ・ウォッチのシリア提言に溜息 | ホーム | コメント欄停止のお知らせ>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://wldintel.blog60.fc2.com/tb.php/1344-0a36ca80
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

月別アーカイブ

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。