ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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シリア反体制派勝利がもっとも犠牲者を抑制する

 昨日のエントリーにコメントをいただきました。シリア内戦の今後の犠牲者数予測について、政府側、反政府側どちらが勝利したほうが結果的に少なく済むのかといった主旨だったのですが、私の考えはほぼ以下になります。本来ならもう少し緻密に論を進めたいのですが、余裕がないので大雑把に書きます。

 まず、欧米の大規模軍事支援で反政府軍が勝利した場合、短期間戦闘の犠牲者が相当数、出ます。アサド軍は敗北すれば抵抗はほぼ終わり。残党がゲリラ的抵抗を続ける可能性は非常に小さいでしょう。
 その後の反アサド勢力による報復や内紛に関しては未知数で、大小どちらにも振れる可能性がありますが、動機は「復讐」だけなので、小に留めることは充分可能です。反政府側の勢力図がどうなるかなどの変数があるので予想は難しいですが、シーア派やアラウィ派への大弾圧に必ずなるというのは想像にすぎません。仮に一部で衝突が発生しても、少なくとも新体制で主導権を握る可能性が高い自由シリア軍の主流派が、民族ヘイトの大虐殺にはしることは考えられません。

 逆に、政府軍が反体制派を殲滅する場合ですが、戦闘の過程で犠牲者は極大になります。抵抗のモチベーションが違いますから、前述した逆パターンより戦死者は増えますし、政府軍は一般住民への攻撃を躊躇しませんので、民間人の犠牲者はケタ違いに増えます。
 また、政府側勝利後ですが、反体制派狩りが徹底的に行なわれます。独裁は抵抗を殲滅しないと存続できない性質のものなので、これは徹底的に行なわれます。そして、反体制派に加わった国民は膨大な数になりますから、膨大な数の国民が弾圧の対象となります。アサド政権の先代からの実績を鑑みれば、拘束・拷問で済めばまだいいほうで、多数が処刑となる可能性が高いでしょう。
 さらに、政府軍が勝利しても、反体制派のゲリラ戦はずっと続きますので、双方に犠牲者がカウントされ続けていくことになります。いつまで続くかわかりません。おそらくずっと続きます。結果、たいへんな数の人命が失われます。

 最後に、このまま国際社会が放置(私は、平和的解決模索などはこの放置と同義と考えています)した場合ですが、政府側も反政府側もどちらも引きませんから、犠牲は日々カウントされ続けるということになります。
 そして、その後は「このまま内戦継続」「政府側勝利」「反政府側勝利」のいずれかしかありません。後二者の場合は上記した道で、前者の場合は解決がどんどん後に延びるだけです。
 以上のことから、シリア内戦における犠牲者総数は①現状維持 ②政府軍勝利 ③反政府軍勝利、の順になることが予想されます。
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  1. 2013/06/07(金) 16:02:20|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

分析に全面的に同意です。
難民問題を考慮しても同じでしょう。

内戦が終結しない限り難民の発生は続きます。
反体制派が勝利した場合、アラウィ派や大統領支持者への大報復を行うという最悪のシナリオを考えたとしても、内戦継続や政権側勝利シナリオよりも難民の発生や未帰還は少ないとしか思えません。

アサド政権支持派はよく反体制派は外国の支援を受けたテロリストだ式の物言いをしますが、仮にその言い分を受け入れたとしても『反体制派のゲリラ戦はずっと続きます』は自明ではないでしょうか。
  1. URL |
  2. 2013/06/07(金) 17:48:55 |
  3. うそこばん #mQop/nM.
  4. [ 編集]

進むも地獄。退くも地獄。黒井先生は軍事ジャーナリストから離れ妙に価値判断をしているが、結局は勝てば官軍で負ければ国賊。ナポレオンは勝っている間は皇帝であったが負ければ刑務所送り。この際、綺麗事抜きに日本の国益という観点からの分析も欲しい。例えば北朝鮮・イラン・シリアの核開発同盟の解体という視点から。

反体制派が勝った場合にイランや北朝鮮との関係を切るのだろうか?

シリアの支援が無くなればレバノンでヒズボラが大きな顔を出来なくなるがイランがその状況を許すのか?

その場合にイラン・シリア戦争という様なシナリオは?

シリアで人口の八割を占めるスンニー派が政権を奪取すればイラクのスンニー派が勢いを増しシリアによるイラク併合へと進みシリア大帝国が出来る可能性は?

このまま数年内乱が続いて犠牲者が五十万人とか百万人とかになるシナリオは?

如何でしょうか。
  1. URL |
  2. 2013/06/08(土) 07:11:32 |
  3. 道楽(どら)Q #-
  4. [ 編集]

 現状では日本の国益とはあまり関係ないように思います。北朝鮮と核・ミサイルで同盟関係にあるのはなんといってもイランで、シリア革命がイランに飛び火したらわかりませんが。
 アサド政権が打倒されれば、革命シリアはどういった勢力が主導権を握っても、ヒズボラとイランとは敵対関係になるでしょうね。
  1. URL |
  2. 2013/06/11(火) 12:01:30 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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