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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

『配達されたい私たち』

 現在、wowowで放送中のオリジナル連続ドラマ「配達されたい私たち」最終回〈6/9(日)22:00、再放送は6/13(木)22:00、6/16(日)正午)の劇中、私の戦場写真3点を使っていただきました。
 このドラマは、鬱病で自殺志願者の青年が、あるとき偶然、廃棄されていた古い手紙7通を拾い、それを代わりに配達していくなかでさまざまな人と出会い、自らも救われていくという物語なのですが、主人公が元戦場ジャーナリスト志望という設定で、最終話のとある回想シーンに「戦場シーン」がカットインされています。その戦場シーンの中に私の3点(ボスニア☓2点、ニカラグア☓1点)を採用していただいたわけです。
 こういうの、ドラマ・ファンの自分としては、かなり嬉しいです。しかも制作者の方は、洋泉社ムック『戦場カメラマンという仕事』を見て、私の写真を選んでくださったとのこと。それもたいへん嬉しいことです。

 ところで、そんなわけで同ドラマをひと足お先に拝見させていただいたのですが、感動的なお話でうるっと来ました。
 原作・脚本は脚本家・一色伸幸さんですが、一色作品は先日NHKで放送された震災ドラマ『ラジオ』もそうでしたが、人間の喪失と再生を深く描く手腕が素晴らしいですね。もう放送が始まっていますが、本日22:00に第3話(全5話)の再放送があるそうなので、皆様もぜひどうぞ。

 主役は塚本高史さん。共演は栗山千明さん、長谷川京子さん他。主題歌の佐野元春『虹をつかむ人』もグッと来ます(ちなみに上述『ラジオ』でもイナズマ戦隊やソウルフラワーユニオンなどの楽曲が効果的に使われてましたね)。
 以下、公式サイトから解説を引用します。

 32歳、ウツ。心を失くした男が配り始めた7年前の7通の手紙が、小さな町に奇跡と感動を巻き起こしていく。涙とユーモアにあふれる異色のヒューマンストーリー。

 大ヒット映画『私をスキーに連れてって』(’87)、『僕らはみんな生きている』(’93)の脚本家・一色伸幸氏が、自身のウツ病克服経験をもとに描いた、出会いと別れ、再生をテーマにした素敵な涙とユーモアにあふれる異色のヒューマンストーリーが連続ドラマWに登場。
 ウツ病の男が配り始めた7年前に捨てられた7通の手紙。開封されるたびにさまざまな思いが解き放たれ、やがてひとつの奇跡の渦となって町を駆け抜けていく…
 塚本高史、栗山千明、長谷川京子ほか、個性豊かな豪華俳優陣が出演。そして、古厩智之、小林聖太郎という2人の気鋭の映画監督が演出。さらに、佐野元春が、「二十歳の約束」(CX)以来、21年ぶりに連続ドラマに主題歌を提供することが決定。すばらしいクリエイターたちの力を結集し、多くの人々に「心の処方箋」をお届けします。

<ストーリー>
澤野始(塚本高史)、32歳。ウツ病。仕事も失くし、妻・正美(長谷川京子)との関係もきしみ始め、6歳の息子・輝ともうまく関係を築けない。ある日、自殺しようとして訪れた元映画館の廃墟で、7年前に捨てられた7通の手紙を拾う。澤野は人生のカウントダウンとしてその手紙を配達することにした。そして最初に、理容店を営む有(栗山千明)に手紙を渡す。それは、幼い頃に有と父親を捨てた母からのもので・・澤野が向かう先々で、悲喜こもごもさまざまな人間ドラマが巻き起こる。果たして澤野は生きる意味を見つけていけるのか。小さな町の小さな冒険譚の始まりだ。

(追記)
 同作品についてネットでいろいろ見ていたところ、とあるブログが第2話のこんなセリフを採り上げていました。

「戦争を伝えたかったんだ。俺のカメラの前で子供が殺されれば、夢は叶った。女や子供、弱い奴が殺られれば、俺の夢は開いた。欲望を美化するための言い換えが『夢』だ」

 なるほど。身も蓋もないですが、一面の真理ですね。
 私も現役の頃、しばしば同じようなことを考えていました。上記『戦場カメラマンという仕事』では、私の同世代の最強戦場カメラマンだった村田信一さんが、戦場の人々を撮影することの傲慢さについて正面から論じています。
 戦場カメラマンに限らず、他人様の人生について勝手に撮ったり書いたりする仕事というのは全部そういうところあると思いますね。なので自分的にはどうも「報道の使命は~」とかいう話は苦手な感じで・・・(以下自粛)

 あと、こんなセリフもナルホドですね。
「死ぬのが怖いって以外の生きる理由は、全部、嘘だ」

(追記その2)
 上記のNHKドラマ『ラジオ』が総合テレビで、6月2日(日)16:15より再放送されるそうです。お薦めです。
 公式サイトの解説は以下。

「東日本大震災の被災地・宮城県女川町。ここに今も放送を続ける臨時災害放送局がある。震災の一か月後に地元の人たちの手で作られた「女川さいがいFM」である。このドラマは、地域に必要な情報を届けようと集まった、高校生など若いスタッフと地元の皆さんをモデルにしている。
原作となったのは、「女川さいがいFM」にアナウンサーとして参加している女子高生のブログである。そこには、震災からの二年間、被災の現実と向き合いながら、前を向いて歩んでいこうとする若者の胸の内がつづられていた。 被災地で生きる女子高生と彼女を見守る大人たちが織りなす青春群像」
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  1. 2013/05/30(木) 09:29:25|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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