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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

シリア革命 使えない支援

 SNSで知ったのですが、日本外務省中東第一課シリア担当のツイッターだそうです。
▽MofaJapan_syria desk
 日本政府として少しでも同問題に関わっていただければ嬉しいですね。

 さて、日本ではもともとシリア問題がまったく関心を持たれていませんが、それはしかたないとして、ごく一部の「関心のもたれ方」について、半分関係者としての個人的感想。
 日本では主に以下の2つの論点に集約されているようですが、
①難民支援
 ⇒これはわかりやすいですね。もちろん大賛成です。
②平和的解決への期待
 ⇒甘いですね。日本らしいといえばそうですが。

 本日読売朝刊に、ヨルダン北部ジャーベル国境での取材(貞広貴志記者)に基づく「シリア反体制派 支援効果薄く」という記事が掲載されていました。欧米や湾岸からの支援物資ですが、「燃費が悪くて使えない車」「旧ユーゴ製の当たらない旧式対戦車砲」などなど。こうした声は実際、シリアからのSNSコメントにも多くあります。
 上記記事で、叛乱軍の兵士はこう語っています。
「我々に必要なのは高性能の対空砲と対戦車砲。これさえあれば戦況は変わるのに」
 反米イスラム勢力に渡る恐れがあるため、反体制派には高性能兵器が引き渡されていません。他方、ロシアは政府軍に高性能兵器をいまだ供給し続けています。
 解決への最短の方法は、反体制派に高性能兵器を供給することなのですが、それが実現しないと今後も市街地への砲爆撃が継続され、多くの国民が殺害されるでしょう。
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  1. 2013/05/18(土) 17:43:33|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

ロシアのアサド政権への武器輸出の継続は問題です。アサド政権による犠牲者が十万人どころか、二十万、三十万とアサド政権存続が引き伸ばされればされるだけ増え続ける。

オバマ米国大統領はシランプリ。米国が無人飛行機でバシール・アサド一人を狙い打ちすれば死者が増える事無く終わる気がしますが(笑)。そういう訳には行きませんか。
  1. URL |
  2. 2013/05/19(日) 07:23:19 |
  3. 道楽(どら)Q #-
  4. [ 編集]

>「燃費が悪くて使えない車」「旧ユーゴ製の当たらない旧式対戦車砲」

>我々に必要なのは高性能の対空砲と対戦車砲

 レーガンによる本格支援の前の,アフ【ガ】ーニスタンへの支援の状況と酷似していますね.
 アル=カーイダの悪夢が頭をよぎる限り,アメリカは本格支援には踏み切らないのではないかと愚考いたします.
 残念なことではありますが.
  1. URL |
  2. 2013/05/19(日) 20:49:32 |
  3. 消印所沢 #-
  4. [ 編集]

サウジアラビア、ヨルダン、トルコ、イラク、レバノンあたりのシリア隣接国の同意を取り付けたあとでNATO諸国だけでなんとかできないものでしょうかね?シリア政府軍機の出撃中止勧告>トルコ領内にNATO諸国空軍を展開させ、シリア領空で停戦監視・勧告及び違反した政府軍部隊を攻撃という形などで圧力をかけていけば、政府軍将兵もアサドを見限るのではないかと私は愚考します。全くの推測ですが、特にアメリカが介入をためらっているのはロシアの意向というよりはむしろ戦後処理が安定して進むかどうかの懸念ゆえではないでしょうか?ただ現状を放置していても、イスラーム主義の影響力が強まると言う点ではアメリカに利は無い気がしますし、アメリカの「自由と民主主義」の価値観外交も信頼性を失墜するように思われます。ロシア抜きでもアクションを起してしまえば、却って当地域からのロシアの影響力を排除する結果になりますから、そういう点からもロシアに同意を取り付けるよう迫れそうにも思われるのですが…。
  1. URL |
  2. 2013/05/23(木) 19:17:20 |
  3. AJAX #qXOZr2Kk
  4. [ 編集]

 NATOの軍事介入は当面ないと思います。将来の行方は、武器弾薬の供給レベル次第で、これが充分に実施されればシリア叛乱軍の兵力だけで政権を打倒できるでしょう。
 ですが、やはりイスラム過激派の存在がネックになっていて、高性能兵器の供給が行なわれていません。せめて既存の旧式武器用の弾薬の大量供給への道が開かれれば、それだけでも戦況は劇的に好転すると思うのですが。
  1. URL |
  2. 2013/05/24(金) 03:03:34 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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