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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

サリン使用をめぐる情報戦

▽シリア反体制派がサリン使用か、国連調査官(AFP)
 反体制派がサリン使用という疑惑が濃厚、との情報です。
 さて、その真相は如何に?ですが、私はその可能性は非常に低いと思っています。
 シリア軍はサリンを大量に保有していますが、反体制派がサリンを入手できたとは考えにくいのが、その理由です。国外からの調達などほぼ不可能ですし(露呈した場合、提供者がたいへんな不利益を被ることになります。また、闇市場でも出まわっていません)、政府軍からの離反兵が持ち出す可能性はゼロではないですが、仮にそんな事例が発生すれば、アサド政権は宣伝しまくっていたはずです。
 可能性としてもっとも高いと考えられるのは、政府軍が「反体制派=テロリスト」のイメージを作るため、反体制派のしわざに見せかけて使用したということでしょう。アサド政権は事件直後から「反体制派の犯行だ」と断定し、外部の検証を遮断したまま、その対外アピールを迅速に行なっています。
 となれば当然、それなりの偽装工作を準備していたわけなので、その調査はきわめて困難な作業になります。上記記事の国連調査官ですが、大丈夫かなと、ちょっと心配です。
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  1. 2013/05/06(月) 23:04:25|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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