ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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ゾルゲ事件 端緒情報の謎

▽松本清張「日本の黒い霧」の訂正求める(NHK)
だそうです。
 松本清張説では、そもそもの密告者は伊藤律ということですが、実際にはそう確認されていません。
 拙著『謀略の昭和裏面史』でもそのあたりに言及しているので、以下、ご参考までに。

ゾルゲ諜報団はなぜ露見したのか?

 第二の謎は、ラムゼイ機関の情報を、日本の特高警察はどうやって知ったのか?ということである。
 ラムゼイ機関は太平洋戦争開戦直前の昭和16年10月、警視庁特高部により一網打尽で摘発されている。
 特高の網に最初にかかったのは、アメリカに16年間の滞在歴を持つ元アメリカ共産党員の北林トモという女性で、北林の供述からアメリカ共産党員でラムゼイ機関の正規メンバーである画家・宮城与徳が逮捕され、この宮城の自白によってゾルゲのグループがすべて露呈してしまったというのが、その経緯である。
 だが、このラムゼイ機関摘発の端緒に関しては、今でも諸説があり、いまひとつハッキリしていない。従来の定説では、特高の取り調べを受けた日本共産党幹部の伊藤律が「アメリカ帰りの奇妙なオバさんがいる。アメリカのスパイかもしれない」などと語ったことから、その奇妙なオバさん=北林トモの存在が浮上したということになっている。
 これは、ゾルゲ事件の検事調書にそう書かれていたことに加え、伊藤律を取り調べてその端緒情報を最初に掴んだ当人である宮下弘・元警視庁特高部第1課第2係長がそう語っていること(『特高の回想~ある時代の証言』宮下弘編)、さらに本人の伊藤律自身が後にそれを認めていること(伊藤律遺稿)などから、それなりに説得力のある定説となっている。
 だが、それは本当は違うのではないか?との説もいまだ根強く囁かれている。
 たとえば、伊藤律特高スパイ説(戦後、伊藤はそれで共産党を除名された)の誤りを論証した渡部富哉著『偽りの烙印』によって、伊藤律が「アメリカ帰りのオバさん」の話をする以前から、特高警察が北林トモを内偵していたことが明らかにされたが、それはつまり、伊藤律供述が端緒だったということではなかったということにほかならない。
 また、平成4年に『週刊文春』取材班によってソ連秘密警察のスパイだったことが暴露された元日本共産党議長・野坂参三が、もともとゾルゲのスパイ活動に関わっており、その情報を特高に伝えていた可能性があるのではないかという見方もある。
 その根拠は、アメリカにいた宮城与徳に対し、ラムゼイ機関に合流するため日本に行くように指示したコミンテルンの連絡員と称する日本人もしくは日系人の“ロイ”という正体不明の人物が野坂本人だった可能性があること。そして、野坂自身に、ソ連秘密警察だけでなく、日本の特高警察にも情報を流していた疑惑が色濃くあることである。
 これは、この事件を長く追及している元米軍情報将校のジェームズ小田という人物がかねて主張していることで、小田の見方によれば、伊藤律供述発端説というのは、野坂参三というスパイを隠すための特高警察の偽装情報だったということになる(『スパイ野坂参三追跡~日系アメリカ人の戦後史』(ジェームズ小田著)『未完のゾルゲ事件』元朝日新聞モスクワ支局長・白井久也著)。
 ゾルゲ事件も大事件だが、野坂参三や伊藤律の正体もまた、ミステリーである。

(初出2006年当時の情報を元にしています)
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  1. 2013/04/16(火) 10:33:41|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

 案外,マイジンガーの根拠なき密告のせいだったりして.
  1. URL |
  2. 2013/04/22(月) 04:20:23 |
  3. 消印所沢 #-
  4. [ 編集]

 まったくわかりません。なんでわからないのかもよくわかりません(笑)
  1. URL |
  2. 2013/04/25(木) 20:35:16 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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