ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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シリア革命・自コメントまとめ④(2011年8~9月分)

8月1日
「機甲部隊による流血の弾圧が続いているシリアのハマから、新しい映像が出ました。複数の装甲車とその兵士たちが、デモ隊を襲うのをやめています。軍の一部が反乱したということでしょうか? ただ、この映像を見ると、兵士たちは積極的にデモ隊に合流したという感じではなく、なんだか所在なげに途方に暮れているふうに見えます。ちょっとまだわかりません」

16日
「あるメディアの記事を読んでいたら、「シリア軍・治安部隊側の死者も多い」ということに言及されていたので、解説します。
 シリア国内から流出している映像には、しばしば兵隊が任務を放棄してデモ隊側に加わる場面が映されていますが、かといってこうした離脱兵士が国民側に立って反政府軍が誕生したという確認情報はありません(噂はたくさんありますが)。兵士たちは「無法暴力集団が暴れているので、撃ち殺せ!」と命令されて現場に送られるのですが、そこで一般市民の群衆を目の当たりにします。当然、いくら命令とはいえ、そんな同胞たちを撃ち殺したくはありません。それで、発砲を躊躇したり、任務を放棄する兵隊も出てくるわけです。
 シリア軍では、そうした離脱兵士の増加をもっとも警戒していて、前線での軍内の粛清が日常的に発生しています。兵士の死者のほとんどはそういうパターンです。
 治安部隊(アムン)はもともと国民弾圧の組織なので、軍に比べるとそういうことはほとんどないようです。
 反政府側にも血気にはやる若者はいますので、政権側を襲うことが皆無ではないようですが、軍や治安部隊を攻撃した例は、少なくとも私は知りません。住民側が狙うのは、主にシャビーハ(民兵)メンバーが多いと聞いています。ただ、それもたいした数ではないです。
 それにしても、どうしても報道では政権側の発表も併記しなければならないので、概してトーンが低いのが残念です。あの国は北朝鮮みたいな国なので、国営SANA通信の情報(つまりシリア政府の公式発表)などまったく意味がないのですが」

19日
「この国はもはやアサド温存での改革などではおさまりません。アサドは2000人の国民を殺害していますから、もはや免責されません。知らなかったでは絶対に収まりません。あとは政権を打倒するまでに何人の国民が死ななければならいかという数字の問題になってきます。反体制派の主流派はこれまで、非暴力闘争を訴えてきましたが、もはや機は熟したものと思われます」
「シリア情勢が大きく動き始めました。17日、国連事務総長と電話協議したアサド大統領は「軍や警察の作戦を停止した」と約束しました。18日、米英仏独加+EUが、「アサド退陣要求」を表明。さらに米英(※訂正⇒英仏独葡)は国連安保理で制裁決議案を提出する考えを表明しました。で、本日未明の拙ブログ前エントリーで、「日本政府も同調を!」と書いたところ、19日中に、さっそく松本外相がアサド退陣要求を表明しました。素早い動きで、たいへん良かったと思います」
「一方、国連人権高等弁務官事務所がシリアでの人権侵害を認定。「『人道に対する罪』にあたる可能性がある」として、国際刑事裁判所に調査・捜査を促すとともに、国連調査団を今週末にシリアに派遣することを決めました。こうした動きに、シリアのジャファリ国連大使は「軍・警察の作戦が停止されているのに、おかしい」と反発しましたが、実際には18日も19日もシリア各地でデモ弾圧は続いています。とくに同国南部のホラン地区で軍事作戦が続いているほか、首都ダマスカスでもアムン(公安警察)が大々的にデモ隊を排除しています。他にもホムスなど各地で弾圧の事実が報告されています」
「国連安保理では、おそらくこれまでと同様に、ロシアと中国がシリア制裁に反対するでしょう。しかし、「弾圧停止を約束したのに、約束を守っていない」となれば、ロシアや中国としても、いつまでも庇い切れるものではないでしょう」
「デモ隊側は、抗議行動を緩める気は毛頭なく、大掛かりな街頭行動を今後も続ける計画です。独裁政権はそれを放置できませんから、必ず弾圧を強化するでしょう。流血は続きますが、アサド政権は確実に追い詰められていきます」
「そもそもアサド政権が「改革」とか口先で言っていることに、まともに期待するほうがおかしいと私は当初から考えてきました。国中にアサド親子の肖像画飾って「大統領万歳!」としか言えないような国ですからね。国外向けの口約束なんて初めから守る気ないです。北朝鮮と同じです」
「メディアの人と話すと、だいたい皆さんそのことはわかっていても、情報鎖国国家の場合、証明する材料が不足しているので、報道機関としての建前上、独裁政権の言い分も併記しないといけないということです。90年代くらいまでの北朝鮮報道と似たようなジレンマですね。当時、私も何度か北朝鮮を糾弾する記事や番組の企画を提案したことがあるのですが「一方的な内容だ」と却下された経験があります。まあ、そこを説得する材料を準備するのが本来のプロの仕事なのでしょうが」
「本日、反政府運動を担ってきた本当の主役である44のグループが結集して「シリア革命総合委員会」(SRGC)という組織が結成されました。各地でのデモの組織化、あるいは映像ネット配信などを命がけで行ってきた匿名の若者たちが中心です。シリアの反政府運動は核となる統一組織の欠如が弱点でしたが、今後、このSRGCが中心になります。今はまだ国内の活動家が実名を出して活動できる状況ではないですが、いずれこの中から指導者が出て来るでしょう。国際社会は彼らを支援すべきではないでしょうか」

28日
「シリアの反体制運動では、いよいよ首都ダマスカスで火がつきました。本日、アムン(公安警察)とシャビーハー(体制派暴力団)がダマスカスのモスクを攻撃し、死者を出したことで、ダマスカス中心部でもデモが始まりました。もうこの流れは止まらないでしょう。デモ隊は「バシャール(アサド大統領)を殺せ!」と叫んでいます。アサドはもう自分の生命の心配をしなければなりません。自業自得ですが。ただし、軍がまだまだ機能しているので、さらなる大量虐殺の懸念が高まってきました」

9月2日
「ハマの検事長が、「アサド政権による反政府デモ弾圧に抗議するために辞任した」との声明を、ユーチューブで発表しました。ビデオ声明では、「7月30日、拘束中のデモ参加者や人権活動家ら72人を治安部隊が処刑」「翌31日、軍が戦車を投入し、少なくとも420人を殺害」「アサド政権が、犠牲者は武装集団によって殺害されたとする偽の報告書を作成するよう検事局に命令」したことなども指摘しています。
 アサド政権側は、「彼は武装集団に誘拐され、脅されて話している」としていますが、検事総長は「そんなことはない」と明言。「出国後に正式に声明を発表する」としているで、そのときに明らかになるのでしょうが、自発的反逆であれば、過去最高レベルの高官ということになります」
「民衆側はもはやアサド退陣まで反体制デモを止めませんし、アサド政権は自ら辞任することもないでしょう。流血の弾圧がさらに激化していくことは避けられない状況ですが、リビアと違って政権側が暴力装置を独占しているので、最終的には政権側の幹部層や中間層の離反を待つしか道はなさそうです。こうした政権幹部高官の離反が相次げばいいのですが、政権側は当然、幹部たちの家族を事実上の人質にとるなどのカウンター措置をとっていますから、なかなか難しいのが現状です」
「側面からふたつの工作が必要になってきています。ひとつは、国連安保理やアラブ連盟などを動かし、国際社会でアサド政権を孤立化させることです。孤立したからといってアサドが辞任するわけではありませんが、政権幹部・中間層の謀反を促す「空気」づくりになると思います」
「それと、欧米インテリジェンスによる幹部離脱の誘導工作も、この局面では非常に重要です。インテリジェンスの秘密工作が実際にどう行なわれているのかを知る術はありませんが、リビアでの反カダフィ工作ではそれなりの動きがあったものとみられます。シリアでも当然、何らかの工作は試みられていると思われますが、寝返り工作の成否は決定的に重要になるでしょう」
「私は、中東で起きている「アラブの春」は、20年前の冷戦終結に次ぐ現代史上の重要事案だと考えています。冷戦期は当然、東西両陣営の角逐が世界最大の懸案事項でしたが、冷戦終結後の世界の火種は、いわゆる「不安定の弧」に集中しています。その本丸が中東です。90年代以降の国際政治は、中東を軸に動いてきたわけで、中東が民主化されるということは、世界が変わることを意味するのではないかと私は考えています。
 かつてのソ連・東欧では、人々に事実を伝えるメディアが登場し、人々が自由に発言できる環境が誕生したことで、社会主義イデオロギーを建前とした強権独裁体制が崩壊しました。中東でも同じようなことが起きています。シリアがひっくり返れば、中東情勢はもちろん、アラブの人々の「空気」も激変すると思います。
 旧ユーゴスラビアやチェチェンなどのように、戦争を含む混乱が過渡期で発生する可能性は当然ありますが、大きな流れは止まらないのではないかと思いますし、私はそれは人類社会の大きな進歩なんだろうと考えています」

4日
「シリアはアサド家およびその取り巻きによる超独裁体制です。アサド家は国民の約12%といわれる少数宗派=イスラム教アラウィ派の出身で、同国ではアラウィ派が多数派のスンニ派住民たちを支配している構図がもともとあったわけですが、どうも私の見るところ、今ではかつてほど宗派対立構造にはなっていないのではないかなと思うのです。
 たとえば、ひとつにはバース党、軍、秘密警察の上層部に、今ではスンニ派もかなりいるということがあります。スンニ派でも、アサド家やその親戚、側近などに個人的に近ければ、そうした権力構造の上層部に食い込み、利権の甘い汁を吸えるようです。たしかに権力機構の上層部は今でもアラウィ派が多いのは事実だと思いますが、必ずしもアラウィ派独占ということではなくなってきています」
「たとえば、ハフェズ・アサド前大統領の盟友だったトラス元国防相はスンニ派でしたが、その息子は貿易利権でかなりの利益を手にしています。スンニ派でも、中国で言うところの「太子党」はいるわけです」
「また、ラタキアをはじめ、西部の海岸地方の町では、アラウィ派住民からも激しい反体制デモが発生しているということがあります。少数宗派といっても、国民の12%もいれば、そのなかにはアサド系もいれば、そのインナー・サークルに入れないアラウィ派もたくさんいるわけです」
「シリアでも都市化・中産階級化が進んでいますが、とくに若い世代はあまり「何派」とか気にしていないと思います。あえて分けるとすれば、「アサド独裁体制でうまくやっている派」と「そうでもない派」という感じでしょうか」
「反体制派の中でも、モスレム同砲団などの宗教グループの存在感は予想外に低いように見えます。それはスンニ派自体は多いわけですから、デルゾールのモスクが砲撃されたり、ダマスカスのシェイフが襲撃されたりすれば信者たちの猛反発を呼ぶわけですが、かといって宗教系のグループの発言力が強まっているというようには見えません。誰かが(CIAなど?)意図的にそう誘導している可能性もありますが、シリアでも都市化・中産階級化された若者層が、反体制運動の中心になっているように見えます」

8日
「ハマとホムスの間にあるアル・ラスタンという町から、本日入ってきた映像です。軍を離脱した兵士グループが、デモ隊の前で演説しています。まだまだ数は少ないですが、徐々にこうした動きが出てきています」
「ただし、まだ反乱軍が正規軍と交戦するような場面の映像は出ていません。なので、政府軍・治安部隊と対決できるほどのまとまった反政府軍の創設までは至っていないものと推測されます」

10日
「いま現在、国民を虐殺しているシリアの治安機関・秘密警察は、大きく分けると「総合情報局」(ムハバラート)と「内務省」の2系統があります。総合情報局は大統領直属の強大な秘密警察で、シリアでは裏の権力をいちばん握っています。
 総合情報局の下には、いくつも秘密警察セクションが設置されています。「軍事情報部」(ムハバラト・アスカリエ)、「政治治安局」(アル・アムン・アル・シアセ)、「空軍情報部」(イダーレト・ムハバラート・アル・クワト・アル・ジャウィーア)、「秘密事務局」(アル・マクタブ・アル・スリ)、「内務治安部」(フルウ・アル・アムン・アル・ダーヒリ)、「政府治安局」(アル・アムン・ダウレ)、「民族治安局」(アル・アムン・アル・カウミ)、「情報部」(フルウ・アル・マルマト)、「海外情報局」(ムハバラト・アル・ハーリジ)、「捜査部」(フルウ・アル・ブフース)、「パレスチナ部」(フルウ・ファラスティーン)、「対テロ部」(フルウ・ムカファハト・アル・エルハーブ)、「212部」「911部」「215部隊」などがあるようです。
 各部局の詳細まではわかりませんが、このうち、とくに軍事諜報機関兼軍内秘密警察である「軍事情報部」、公安政治警察の「政治治安局」、独立系の秘密警察兼諜報機関である「空軍情報部」などは、それぞれ独自の指揮系統を持っていて、大統領に直結し、互いに忠誠を競い合っています。このあたりの仕組みは、独裁を磐石にするために先代のハフェズ・アサド前大統領が築き上げたものです。
 ちなみに、なぜ空軍情報部がこんなポジションなのかというと、先代ハフェズがもともと空軍司令官出身で、最高権力に就いた後も、秘密警察のなかの対抗馬として、空軍情報部に独自の諜報活動・公安活動の権限を与えたからです。なので、空軍の情報セクションなのに、実際は空軍司令官ではなく、大統領に直結しています。
 空軍情報部はハフェズ時代から、旧ソ連のKGBと密接な関係があるといわれていました。実態はよくわからない部分も多いのですが、かつてはパレスチナ関係やテロ支援などの海外工作などでも暗躍していたとみられています。現在は国内で反体制分子の密殺なども行っているといわれ、空軍情報部の管理する政治犯収容所に入ると「生きては出られない」と噂されています。
 また、軍事情報部も独自の強力な機構を持っています。現在は軍副参謀長となっているバシャールの義兄のアセフ・シャウカトは、長くこの軍事情報部長を務め、軍・治安機関全体に睨みを利かせていました。軍事情報部は、総合情報局本体に匹敵する権限と陣容を持っています。
 政治治安局は、さしずめ「武装した特高警察」といったところです。政府高官でさえ震え上がる公安警察の最上位になります。
他方、内務省系には一般の警察と、公安警察である「総合治安局」(アル・アムン・アル・アーム)があります。一般の警察も、諸外国の警察のような感じではなく、要は独裁体制のための公安警察そのものです。武装した治安部隊があります。
 総合治安局は、一般警察より上位の公安警察で、こちらも治安部隊があります。日本政府の資産凍結リストでは国家治安局となっていますが、局長の氏名からすると、おそらくこの総合治安局のことだろうと思います。
 総合治安局には、メインのセクションが3つあります。「国家治安部」(シュエバト・アル・アムン・アル・ワタニ)、「海外治安部」(シュエバト・アル・アムン・アル・ハーリジ)、「パレスチナ関連部」(シュエバト・アル・シュウン・アル・ファルスティニヤト)です。他にも細かな部局がいろいろあるようですが、詳細はよくわかりません。
 なお、総合情報局と総合治安局で、似たような名称の部局がいくつもあって、似たような任務を担当していますが、それも裏権力を分散させ、互いに牽制させることで独裁を守るための措置です。ただし、大統領直属の総合情報局のほうが、内務省系の総合治安局よりもずっと格上になります。
 現在、デモ隊を弾圧する中心になっているのは、総合治安局の国家治安部です。ここが私服要員に加え、武装した制服治安部隊も投入して、デモ隊を襲撃しています。
 また、総合治安局は、体制派民兵と一般警察部隊を現場で指揮しています。体制派民兵の主力は、私服のゴロツキ集団である「シャビーハー」(亡霊)ですが、その他に、西部アラウィ派エリアを地盤とする戦闘服姿の武装グループもあって、「フルカト・アル・マウティ」(死の部隊)と名乗っています。一般警察もデモ隊の弾圧の前線に駆り出されています。弾圧場面映像で「POLICE」と書かれた制服を着ているのは、すべて一般の警察になります。
 総合治安局はもともと独裁維持のための公安組織なので、市民弾圧はいわば本来の任務になります。ですが、一般の警察官にはそうでない人も少なくありません。なので、総合治安局の要員は、一般警察を監視する役目も負っています。
 他方、総合情報局系の組織は、街角でデモ隊を蹴散らすというよりは、反体制分子を逮捕・拷問することがメインです。しばしば20人くらいのグループで1人もしくは数人の標的を密かに拉致するという活動を盛んに行っています。国民も、一般警察や総合治安局に逮捕されただけならまだいいほうで、総合情報局系の秘密警察に逮捕された場合、非常に危険な状況に陥ってしまったことになります。
 ところで、街角でデモ隊を弾圧・虐殺する主役は、シャビーハ、一般警察、総合治安局になりますが、彼らで対応できない場合、軍が出動となります。ただし、一般の軍はあまり信用されていないので、軍の後ろに大統領の弟が指揮する精鋭部隊が配置されることがよくあります。共和国防衛隊と第4機甲師団です。
 アサド政権がいちばん恐れているのは、政府軍の内部から反乱する者が出てくることで、そのため精鋭部隊は一般部隊の監視の役目も果たしています。各部隊の上級幹部はむろん、軍事情報部の監視も受けます。こうした二重三重の監視体制のため、シリア軍内部からの大掛かりな反乱は抑えられています」

14日
「在英人権団体「シリアン・オブザーバトリー・フォー・ヒューマン・ライツ」の集計では、これまで7万人が逮捕され、現時点でも1万5000人が拘束されているとのこと。その中で、私の古くからの知人で、シリア総合治安局に数ヶ月間拘束され、つい最近ようやく賄賂で釈放された人物が、ある第3国に出国し、連絡がとれました。その人物から聞いた話のなかで、ちょっと興味深い点を以下に挙げます。
▽一般警察、および総合治安局(アムン)のなかで、拘束者を賄賂で釈放するのが、一種の裏ビジネスになっているとのこと。ムハバラート系だと、そういうわけにはいかないようです。
▽デモはとくに「いつ、どこで」という情報が住民に事前に行き渡ってはいないようです。なんとなく町の中心部に行くと、自然と人が集まってきて、誰かがシュプレヒコールを叫ぶと、それにつられてまた人が集まるという感じだそうです。各町村ごとにデモの調整委員会があるはずなのですが、それはどうなっているのか一般の住人はあまり知らないそうです。
▽ずっとビビって暮らしてきたので、とにかくデモは開放感にあふれ、気持ちが高揚するようです。曰く「お祭りみたいな感覚かなあ・・・」とのこと。
▽デモの中心になっている活動家は、実際にはデモ中も身辺を警戒しているので、民兵やアムンによる銃撃で犠牲になることは、じつは少ないそうです。どちらかというと、端のほうで参加している一般住民が、逃げ遅れて犠牲になるケースが多いとのこと。
▽現在、フェイスブックよりもツイッター、ツイッターよりもスカイプのほうが安全だということで、国外との連絡にはスカイプが広く使われているそうです。
▽経済が半ばマヒしているので、国民生活はかなりシンドくなってきているとのことです」

16日
「反体制派はようやく内外の各グループが連携し、「国民評議会」が作られました。が、リビアの国民評議会と決定的に違うのは、国内で「支配区」を持っていないことです。なので、国民評議会の会合もトルコで行われています」
「今後、反体制運動はこの組織を中心に動いていくことになりますが、まだまだ先の見通しは立ちません。欧米・アラブ諸国と外交的に連携し、アサド政権に圧力をかけていくことになるかと思います。もっとも、今のところは反体制デモを継続する以外、国内での活動の方針は決まっていません。同じような状態で半年経過しましたが、このままでは埒があかない感じになっています」
「当然、反体制派も次なる展開を考えているのでしょうが、今後、国内でリビアのような内戦化を目指すのか、あるいはアサド政権に国連監視下の早期選挙を突きつけるなどの交渉路線に転じるのか・・・ただし、今のところそうした方向に進む徴候はありません」
「とにかく、シリア革命は中東民主化の天王山です。イスラエルやイランの情勢に直結するシリアが民主化されれば、そのインパクトはエジプトやリビアの革命など比べものにならないほど大きいと思います。シリアが民主化されれば、将来的には次はいよいよ本丸のイランが視野に入ってきます」
「世界は今、冷戦終結に次ぐ時代の大転換期を迎えていて、その第一幕のクライマックスが現在のシリアであり、第2のクライマックスが将来のイランとなるのではないかと私は考えています。シリアとイランが民主化されれば、世界はまったく違うステージに突入することになります」

28日
「シリアでは本日も過酷なデモ弾圧が続いているわけですが、反体制派フェイスブックなどでは、各地で軍の逃亡兵が続出しているという情報が盛んに流されています。なかには、反乱兵グループが正規軍と戦闘になったというような話も多いのですが、これだけネット経由で映像が流出する態勢が整えられていながら、「内戦」の映像が一切ないということは、おそらくこれまでのそれらの情報は、希望的観測に基づく「噂の増幅」が多かったのではないかと推測されます」
「もっとも、逃亡兵自体の映像はこれまで何度もネットにアップされていて、皆無というわけではないことは明らかですが、まだまだ反乱軍と呼べるような反政府武装集団までは出来ていないということなのでしょう」
「ただし、一向に収束する気配のない反政府デモと弾圧のなか、離脱兵がさらに増えていることは、おそらく間違いないと思われます。そうした離脱兵の映像は過去すべて「軍服は着ているが、非武装」のものだったのですが、自動小銃を抱えた離脱兵たちの映像が一昨日の26日、初めてネットに登場しました」
「以前、画面上は非武装でしたが、ラスタンの反乱兵士の映像は今月8日の当ブログでも紹介しています。今回の映像のグループも同じグループかと思われます。今回の映像で確認されるのは、大尉を筆頭に全9人だけですが、「逃亡兵は数百人」などとの情報も出ていて、規模はよくわかりません。ただ、昨日の27日には、国軍が数十台の戦車・装甲車両およびヘリをラスタンに進攻させたとの情報が流れています。それなりの規模の反乱部隊が出たために、鎮圧作戦に乗り出した可能性があります」
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  1. 2013/04/02(火) 23:05:51|
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  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

>「シリア革命は中東民主化の天王山。(中略)シリアが民主化されれば、将来的には次はいよいよ本丸のイランが視野に入ってきます」

>「世界は今、冷戦終結に次ぐ時代の大転換期を迎えていて、その第一幕のクライマックスが現在のシリアであり、第2のクライマックスが将来のイラン」


シリア内戦が長引き「本丸」イランの事は危うく意識から消えてしまいそうです。反米の故か日本にはイランびいきが多いですが中東民主化とか綺麗事を抜きに徹底的に国益を考えた場合に我々にとり「本丸」はイランでなく北朝鮮。

逆に言えば北朝鮮と核弾頭付きミサイルや化学兵器の開発さえなければ、イランやシリアの事など他人事。この辺は民主化の理念が日本の利益に優先するとお考えの様の黒井先生とは意見を意にするところかも。

欧州でも、革命、恐怖政治、独裁、再革命と繰り返した訳ですから、中東的な民主主義を確立するだろう事を前提にしても百年単位の話でそうそう付き合ってられない。ブッシュ・ジュニアは石油利権は当然としても本当に善意で中東民主化を信じていたが中東で米国に対する反発だけ残した。

シェールガスやシェールオイルが開発され化石燃料の中東依存度が十パーセントになった現在の米国が中東に興味を失いつつあるのとオバマ大統領がシリア情勢に冷酷なのは機を一にしている。

加瀬英明氏が二月二十二日のコラムで米国議員の元スタッフから「アメリカが中東の石油を必要としなくなったら、ペルシア湾の自由航行を護るために、第5艦隊を貼り付けているが、撤収することとなるね。年間80億ドル(約6000億円)も、かかっている。第5艦隊がいなくなったら、日本があとを引き受けるかね?」と言われ当惑。
http://www.kase-hideaki.co.jp/magbbs/magbbs.cgi

そういう米国の厭戦気分をエイミー・スピースが中東で戦死した弟マイケルを歌った「地球の重さ」で表現している。
http://www.youtube.com/watch?v=la7ISvtKs-g
  1. URL |
  2. 2013/04/08(月) 17:06:39 |
  3. 道楽(どら)Q #-
  4. [ 編集]

ソ連を初めて旅したのが84年でした。強固な支配システムに見えましたが、10年を経ずに崩壊。冷戦末期前後に取材した中南米や東南アジア、バルカン半島の紛争地域も、10年後にはもう政治的にはほとんど民主化されています。中東の独裁・権威主義国も、かくあって欲しいなと期待したいところですが・・・(もちろん北朝鮮や中国もですが)
  1. URL |
  2. 2013/04/21(日) 03:35:35 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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