ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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シリア革命・自コメントまとめ②(2011年4月分)

4月1日
「ラタキアで暴れまくり、デモ隊を銃撃している「アル・シャビーハー」(死霊たち)について前に書きましたが、彼らの映像がありました」
「アル・シャビーハーは映像を見てもわかるように、とにかく武装した無法集団です。他の映像でも、シリア警察官と殴り合いしている映像などが出ています。幹部が銀行強盗で逮捕され、数日後になぜか簡単に脱獄したなどという未確認情報話もあります」
「要するに、シリア国内でも厄介者なわけですが、それでも官憲が取り締まれないのは、アサド一族が背後にいるからで、そうした特権はやはりアサド独裁あればこそ」
「おそらく今回のラタキアでの狼藉については、表立って国民弾圧に動きたくないアサド政権の公安警察から、アル・シャビーハーに、水面下で相応の報酬が渡っていると思います」

4日
「アサド政権が前農相を首相とする新内閣を発足させました。非常事態宣言撤回を検討するようなそぶりも見せています。こうした動きに、主要メディアでは「政権が民主派に譲歩を示し、事態収拾を図っているが、先行きはまだ不透明だ」というような解説が多いですが、シリア国民はおそらくほとんどの人が「政権が譲歩を示している」とは考えていないと思います」
「状況を左右するのは、まずは独裁政権の秘密警察の「恐怖」の強さです。中東アラブ諸国といっても、国によってその恐怖には大小の違いがありますが、シリアは最恐怖国のひとつといえます。かの国では、現在のように街頭に人々が出て「反政府」を叫ぶ光景が出現したというだけで、革命的な大事件です」
「シリアでは国民が武装していないので、反政府デモといってもみんな丸腰ですから、治安部隊もまだ本物の無差別銃撃にまでは乗り出していません。そのため死者の数は比較的低めに抑えられているのですが、公安警察「アムン」がデモ参加者を片っ端から逮捕していて、それなりにコワモテぶりを見せつけています」
「そんななか、人々は多くの町で今日も街頭行動を続けています。流れは完全に民主派勢力にあり、もうアサド政権は長くもたないと思います。ただ、軍が比較的独立色の強かったチュニジアやエジプトなどと違い、シリアの軍や治安部隊はアサド政権の私兵のような性格のものなので「反乱」があまり期待できません。その部分で、今後の見通しが不透明であることは確かです」

6日
「シリアでは首都近郊のドゥーマ、ダラア、ラタキア、ハマなどを中心に、民主化デモが続けられていて、その規模は日増しに大きくなってきています。支配層が密かに資産を海外に持ち出そうという動きも報じられています」
「民主化運動は確実に広がっているのですが、決定的に足りないのは指導者です。民主派あるいは反体制派に、まだこれといったキーマンが現れていません。アサド政権はデモ参加者を次々と逮捕する一方で、政治的譲歩の演出として比較的穏健派の釈放も進めています。こうして釈放された活動家たちのなかから、今後、活動の中心を担う人材が出てくるかもしれません」

23日
「シリアでは、金曜日の礼拝後の全国規模の反政府デモで、多数の死傷者が出たようです。これだけ反政府街頭活動が高まった勢いで、少しは軍の中から反政府派支持が出るかなと期待したのですが、アサド政権がそこはがっちりと押さえています」
「政権は弾圧姿勢を堅持していますので、今後、かなり大規模な流血の事態になっていく可能性があります。軍が完全に弾圧側に立っている状況では、エジプトやリビアのようにはいかないものと思われます。ユーチューブに流れている映像を見ると、シリア国民は本当に丸腰で反乱の声を上げ、治安部隊に一方的に「虐殺」されています。それでも人々は前進を続けます」
「そうしたシリア国内の緊迫した状況と、それを伝える国際メディアの温度差が気になります。一昨日だか、アサド大統領が非常事態令解除の大統領令を出したことで、「懐柔を図っている」などとノー天気な報道が流れていますが、おそらくシリア国内では、体制側の人でさえ「懐柔を図っている」などということを信じている人はいないと思います。反政府側にも偽情報は少なくないですが、シリア政権側がオフィシャルに流す情報はすべて嘘といって過言ではありません。なので、そういうのを報道材料にしてもしょうがないですね」
「シリアで進行していることは、独裁政権と、体制打倒を叫ぶ国民との死闘になっています。革命か、流血の大弾圧かのどちらか以外、もはや妥協の道はないように思います」

25日
「前エントリーで、シリアでのデモ弾圧を地元の人々が撮影した様々な映像を紹介しましたが、その後も非情な「虐殺」は継続していて、そうした現場からの凄まじい映像が続々と配信されています。いずれも非常に残虐で激しい映像ですが、凄まじいリアリティの映像です。これを命がけで撮影し、命がけでネットにアップした方に敬意を表したいと思います」
「3月にデモが始まったばかりの頃は、恐々と撮影している映像には、何のことだかよくわからないものも多かったのですが、最近は現地の人も上手くなって、しっかり撮影できるようになってきました。SNS内でも撮影方法の指導があって、場所や時間、状況などのナレーションを同録で録音している人も増えてきました」
「デモ弾圧に、本格的に軍が出動しているようです。首都郊外での治安部隊の弾圧は、アサド大統領の母方の従兄弟で、以前に当エントリーでも紹介した政商ラミ・マフルーフの兄のハフェズ・マフルーフ将軍が指揮しているとのことです。ハフェズ・マフルーフは治安部隊の首都エリアのトップです」

26日
「SNSによると、軍の一部に反政府側に寝返ったグループも出てきたとの情報が盛んに流れていますが、流出映像からはまだそこまでは確認されていません」
「それにしても、シリアの反政府側は、一切武装せずに非暴力デモに徹しています。じつはSNS内ではデモ当初から、過激な武装蜂起を扇動する声がありましたが、それは政権の思う壺だとして自制を求める声が多くありました」
「陰鬱な映像が多いなか、こんなシーンを発見しました。バニアスという町で、勇気ある人々が軍の装甲車の前に立ちはだかっている映像です。女性もたくさんいますね」
「他方、こんな映像も入ってきました。一連のデモが大衆レベルに広がった局面として、第3の町ホムスの中心部の広場で、2万人規模の座り込みがあったのですが、それを治安部隊と体制派民兵が襲撃したときの映像です」

29日
1週間くらい前から、南部ダラアでデモ鎮圧に動員されている軍のなかで、弾圧参加を拒否する動きが出てきたとの噂がSNS内で流れていましたが、ここ数日、アルジャジーラなどの海外メディアも採り上げるようになってきました。どうやらもともと南部担当の第5師団の将兵に反乱の兆しがあるようです」
「第5師団の主力が、マーヘル・アサド指揮下の第4師団と戦闘状態になったとの噂も流れていますが、現時点では未確認。未確認情報といえば、マーヘルが負傷したとの噂もかなり盛んに流れていますが、これは現時点では信憑性が薄いようです」
「その他にも、第1師団にも反乱の動きがあるとの噂も出ていますが、こちらも未確認情報です。いずれにせよ、反政府派SNS内では「期待」もあって、そんな噂がものすごい勢いで飛び交っています」
「希望が見えるのは、ダラアで約200人、バニアスで約30人のバース党員の集団離党があったことです。ダラアではこれまで地元出身議員の辞職もありましたが、こうした動きは萌芽だけでも独裁国家では画期的なことです」
「ただ、現時点では客観的にはまだまだ軍の大勢も政府側に留まっています。リビアのような内戦状態になる気配は今のところはありません」
「他方、これまでデモ鎮圧の先頭に立ってきた治安警察「アムン」は、あまりにフル回転しすぎたために、メンバーが疲弊し(多くのアムン要員はバスや車両でずっと寝ているとのこと)、勢力も分散したため、組織だったデモ弾圧活動がかなり鈍化してきているとの情報があります。独裁政権とすれば、忠誠度の高いアムンを前面で使うほうが安心なのですが、そういうこともあって軍を動かさざるを得ないようです。独裁政権側も確実に追い詰められつつあるわけです」
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  1. 2013/03/31(日) 15:21:13|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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