ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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シリア革命・自コメントまとめ①(2011年3月分)

 南部からの弾薬補給が強化された影響で、ヨルダンとの国境エリアおよび要衝都市ダラアを革命軍がほぼ制圧しました。ダマスカス中心部でも攻勢をかけていて、ここに来て潮目は大きく変わってきたようです。
 革命開始から2年。当ブログではその経緯を、主に反体制派からの視点でフォローしてきましたが、自分が何を書いてきたか、順にまとめておきたいと思います。

2011年3月6日
「ちょっとまだ第一報なので、正確なところはわかりませんが、シリア南部のヨルダン国境に近いダラアという町で反政府抗議行動があり、多数の若者(そのほとんどは15歳以下の子供だそうですが)が逮捕されたとの未確認情報が入りました」

18日
「これまでほとんどデモがなかったシリアで、14日から小規模なデモが発生していることです。今のところデモ参加者も数十人~150人程度で、警官隊に簡単に排除されているくらいですが、今後の展開が注目されます」

19日
「シリアではここ数日、小規模なデモが続いていて、アラビア語ネット上では18日の金曜日の礼拝後のデモ参加を呼びかける書き込みが多く見られました。それでどうなるかなと思っていたのですが、いよいよ始まりました。ヨルダン国境に近い南部のダラアで、少なくとも3000人が民主化デモに参加し、治安部隊の発砲で4人が死亡、多数が負傷したことが国際メディアで確認されました(ネットでは6人死亡と流れています)」
「ある中東筋の情報源から、ちょうど30分ほど前に、デモ隊のひとりが射殺されたときの映像と称する映像がユーチューブにアップされたことを教えていただきました」
「追記⇒つい今しがた現地から某ネット・コミュニティ経由で入った情報によると、ダラアでは犠牲者の追悼集会で住民と治安部隊が全面衝突し、治安部隊が町の外に引き揚げた模様。注目される情報は、その際に治安部隊は催涙弾は使用したもののの、実弾射撃で住民を殺戮することはしなかったらしいです。これはひょっとしたら、ひょっとするかも、です」

22日
「ダラアで反乱勢力が町の中心部を奪取し、アサド大統領の肖像画を燃やしたりしているとの情報があります。また、他の町にも反政府デモの動きがどんどん飛び火しています。こちらはまだまだ反乱の動きは小さいですが、確実に裾野が拡大しつつあります」
「民主派は現在、首都郊外エリアで散発的な集会を組織するところまで来ましたが、なかなか首都中心部での大規模街頭行動までこぎつけられません。それをいかに仕掛けていくかというところで試行錯誤しているのですが、その様子が逐一伝わってきます。また、アサド体制を支えてきたといわれるアラウィー派(イスラムの少数派で、アサドら体制幹部の主流派)の中にも、民主化運動が生まれてきています」

23日
「シリア南部の反政府デモはさらに混乱を深めています。ネット・コミュニティの未確認情報によれば、ダラアには最精鋭部隊の共和国防衛隊が投入されたとのこと。これはバシャール・アサド大統領の実弟のマヘル・アサドが指揮する部隊ですが、デモ鎮圧と同時に、現地のシリア軍内の寝返りを牽制するためという意味もあるのでしょう」
「現在のシリアのアサド体制というのは、アサド大統領自身はその地味な性格もあって、それほどイニシアチブをとっているわけではありません。秘密警察を牛耳るアシフ・シャウカト(アサド大統領の姉の夫)が政界を掌握し、ラミ・マフルーフやフィラス・トラスら2世「太子党」たちが、国家を私物化する勢いで経済界を牛耳るという構図になっています」

25日
「シリアの民主化運動のSNSに参加してみると、どこよりも早い速報(信憑性は担保されませんが)がどんどん入ってくることは前述しましたが、昨日あたりからまたいっきに増えてきました。ネット上ではもう革命前夜の勢いです」
「ダマスカスの中心部で、ついに反政府デモが開始されました。ダマスカス旧市街の有名なアル・アマウィ・モスク内部で、礼拝者たちの集団が「シリアに自由を!」と叫んでいます」
「アレッポからも、つい先ほどの新しい映像が出ました。こちらも有名な大モスク内部ですが、隠し撮りで、しかも短い映像なので、何が起きているのかはっきりとはわかりません。男たちが殴り合いしていますが、説明文によると、反政府デモを秘密警察が襲撃した模様です」

26日
「本日、シリアの反政府デモは全土に広がりましたが、治安機関アムンが強引に抑えこんでいます。各地でそれぞれ数名の死者が出たとの声がSNSに集まっていますが、確認がとれません。なかには、アラウィ派の本拠地である西部地中海沿岸地方のラタキアでもデモがあり、死者が出たとの未確認情報があります」
「また、先ほどSNSで、今回のシリア騒乱の発火点となった南部ダラアで、治安部隊が本格的にデモ鎮圧に乗り出したとの報告が書き込まれました。すでに前日までに推定100人超が殺害されていますが、書き込みではそれをはるかに超える大虐殺が進行中と記されています。SNSの匿名書き込みなので、信憑性が担保できませんが、今回、SNSに参加した印象では、偽情報は意外と少ないと思います」
「シリアの反政府運動はいまだ萌芽の状態ですが、流血が各地に広がっていて、状況はきわめて流動的になってきました。今後、いっきに政権転覆へということになるかもしれません」
「シリアでは反独裁運動のリーダーがまったくいません。他の中東各地での民主化運動の高まりを受けて、▽SNSでデモ呼びかけるも不発⇒南部ダラアで少年たちが反政府運動のイタズラ⇒治安機関が弾圧⇒住民怒る⇒さらに弾圧⇒大規模デモ⇒弾圧で死者多数⇒SNSで情報伝わる⇒他の町でも抗議運動⇒弾圧、という流れでここまで来ました。あまりにも長いあいだ独裁が続いていたので、反乱側も弾圧側もどうしたらいいのかよくわからず、当初は手探り状態でしたが、いったん流れが出来れば、あとはいっきに動くことになったわけです」
「現在のアサド大統領やアシフ・シャウカト陸軍副参謀長ら政権中枢は、父ハフェズ時代の古参幹部をほぼ一掃しており、流血で権力を築いてきた父親世代とは違いますから、カダフィのように徹底抗戦するかどうかはわかりません。性格的にもっとも強硬派なのは、大統領の弟のマヘル・アサド共和国防衛隊司令官です。さらなる流血騒動へエスカレートするかどうかは、この人物がカギを握っています」
「いずれにせよ問題は、この国では権力がアサド家とその取り巻きに集中していたので、政治家にも軍部にも有力な〝次期指導者〟がまったくいないことです。反政府陣営でもっとも実力があるのは、先代のハフェズ・アサド大統領の弟で、最大のライバルでもあったリファアト・アサド元副大統領ですが、シリア国内ではものすごく評判が悪く、民主派とは相容れません。
 その他には、海外亡命中の有力政治家にアブドルハリム・ハッダム元副大統領がいますが、この人物も国民人気はさっぱりです。シリアの反体制派としては、伝統的にモスレム同砲団とクルド人組織がありますが、これも両者ともマイノリティで、国内の影響力は非情に限定的なものです。イランと関係が深いシーア派のグループもありますが、やはり同国では特異なマイノリティにすぎません」
「つい今しがた、シリアの駐インド大使が抗議辞職という未確認情報がSNSで流れました。政権内部から今後、どういった人物が離脱するかというのも注目されます」
「若者がハフェズ・アサド前大統領の肖像画にしがみつき、破きながら足で蹴ってます。シリア人にとっては、衝撃的な映像のはずです。私も同国は何度か行ったことがありますが、あちらの感覚ではとてつもなく恐ろしい行為になります。北朝鮮で金日成の肖像画を蹴っ飛ばすのと同じようなものです」

27日
「ラタキアで大規模な反政府活動が続いていて、アサド政権側の治安部隊の銃撃で多数の死傷者が出ているという情報が複数届いています。ラタキアはアサド政権を支えるアラウィーンのエリアですが、じつは特権を享受しているアサド派だけでなく、そこから弾き出された人々も結構いるようです」
「南部のダラアから未確認情報。軍の部隊が街から公安警察(アムン)を排除したとの情報があります」
「シリア民主化運動のSNSでは、このところひとつの動きがあります。スンニー派イスラム過激派による好戦的な書き込みが増えて、それに対する反発も集中するようになってきました。とくに、「アラウィ派がスンニー派を殺害している」などという書き込みがときおり出てきますが、そういう場合はすかさず「そういうデマを流すな」との反発が殺到します」

30日
「中東諸国では、目の前の「金儲け」が何よりも優先します。多くの国で、豊富な海外経験でITに馴染んでいる独裁者2世たちが、インターネットや携帯電話の利権でボロ儲けするようになります。産油国以外はたいした産業基盤のないこれらの国々で、国内のIT企業は瞬く間に国内有数のビッグビジネスとなり、「情報統制国家なのにネットも携帯もフリーダム!」という状況になっていきました。
 今回の民主化運動は、そうした状況で必然的に生まれてきたのだと思います。誰だって「独裁者にビビりながら生活し、特権階級のやつらがボロ儲けしているのを指をくわえてみている」のは不本意なわけです。よく言われる「格差が広がったから」とか「低所得者が増えたから」などというのは、後付けの理由なのではないかなと思います。
 おそらく、民主化要求を受けている独裁者の側は、なぜ今、自分たちが反乱に直面することになったのか、よくわからないのではないかなと思います。これといって、急に酷いことをしたわけでもないからです。たとえばシリアのアサド大統領などは、父親世代のガチガチの恐怖体制をだいぶ是正したのだから、自分は改革者だとたぶん本気で考えています。独裁と情報化社会は両立しない⇒情報化は止められない⇒独裁はもうもたない・・・という歴史の必然が、多少は紆余曲折はあるでしょうが、中東で進行しているのではないかなという気がします。これはかつて「情報統制社会」だった国々が通ってきた道と本質的に同じではないかなと思います」

31日
「アサド大統領が久々にテレビ演説し、事実上なーんにも身のある内容を話さなかったことで、民主化運動系のSNSでは、明確に「アサド体制打倒」への呼びかけが噴出しています。
 ただし、秘密警察・公安警察が怖いシリア国内、とくに首都ダマスカスで人々が勇気を持って街頭行動に出るかどうか・・・。ネット内での威勢のいいコメントと、リアル世界での「行動」はまた別物ですから、これはどうなるかまだわかりません。
 いちおう明日の金曜日、礼拝の後に大規模街頭行動が呼びかけられているので、それが成功するかどうかが運命に分かれ道になるでしょう。当局側も当然、それはわかっているので、かなり強権的な締め付けが予想されます」
(以下続く)
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  1. 2013/03/30(土) 16:37:18|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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