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ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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限定的局地戦に米軍も参戦へ

▽北朝鮮が挑発すれば米軍も北指揮部報復打撃(中央日報)
 米韓連合軍が、韓国軍主導の対北朝鮮局地戦(北朝鮮の挑発に対する報復)計画「共同局地挑発対応計画」を合意しました。
 これまで朝鮮有事に対しては、有事となれば米韓相互防衛条約に基づき、米軍が米韓連合軍の作戦統制権をもって主体的に参戦しますが、平時の局地的な衝突に対しては、グレーになっていました。94年に平時作戦統制権が韓国軍に移譲されてからは、基本的には「韓国軍が自衛権レベルで対応する」のが原則です。
 今後はこれに米軍が参加できることになります。これにいくつかのメディアが「米軍が自動介入」と報じていますが、必ずしもそういうことではないです。
 大雑把に言えば、米軍は以前も今も今後も、米韓が「米軍参加」で合意すれば、参戦は可能です。以前の概念でいう「平時」も、戦闘が始まってしまえば「平時」と「有事」の区別は状況解釈でどうとでもなります。アメリカとしては、韓国軍で対処充分な局地限定戦で、自分たちの参戦を義務づけたくない(参戦するかどうかは米側の自由裁量にしたい)というのが本音ですが、センサー・システムや長距離打撃力などで米軍の戦力が有効なことも多いですし、なにより抑止力として有効ですから、今後は自動ではないですが、そこそこ初期の段階から「支援」のかたちでコミットしていくことになるでしょう。
(今回の対応計画も、米軍は支援が中心で、戦闘の正面に立つ主力は韓国軍です。在韓米軍がいきなり全面的に投入されるわけではありません)
 上記記事によれば、「2010年11月23日に発生した延坪島砲撃戦の場合、韓国軍は探知装備が旧型対砲兵レーダーのAN/TPQ-36しかなく、挑発の原点を把握できなかった。また、北朝鮮地域に届く武器はK-9自走砲4門で、十分に報復できなかったという評価だった。このため双方合同参謀本部議長は同年12月8日、共同対応計画の必要性に合意し、2年余り検討した末、計画を完成した」
「まず、韓国軍に不足した探知能力が大きく向上する見込みだ。軍関係者は『延坪島砲撃戦後にグリーンパインレーダーなど対砲兵探知レーダーや無人偵察機を追加配備したが、十分なレベルではない』とし『米軍の装備を活用する場合、より円滑な作戦が可能』と述べた。K-9自走砲など延坪島・ペクリョン島、前方地域に報復のために配備した装備のほか、米側のM109A6自走砲とミサイルを有事の際に動員できるようになったのは、北朝鮮挑発の抑止という面で大きな力となる」
だそうです。
 また、注目されるのは、今回の対応計画では、報復の範囲を「指揮勢力」まで含めたことです。北朝鮮軍の地域管轄の軍団・師団の司令部まで攻撃するということです。

 ちなみに、米太平洋軍(ハワイ)がすでに半ば公開(メディアにリーク)している対北朝鮮戦の作戦計画は以下のとおり。
▽作戦計画5026
 核施設への限定的爆撃
▽作戦計画5027
 全面戦争
▽作戦計画5028
 不明。限定的局地戦?(他に5027の別バージョン説、すでに放棄された欠番説もある)
▽作戦計画5029
 北朝鮮動乱時の軍事介入
▽作戦計画5030
 北朝鮮内部崩壊誘発

 それが今回、新たに「北朝鮮による挑発に対する報復」作戦が加わったわけですが、韓国軍主導なので(つまり、平時扱いで作戦統制を韓国軍が行う)、50連番にはなってません。もっとも、いずれ戦時作戦統制権も韓国軍に引き渡されるので(15年12月に移行予定ですが、延期論が出てきています)、上記の作戦計画も組み直しとなるかと思います。
 ですが、作戦計画と明文化されなくても、さまざまな局面を想定したシミュレーションはすでに行っているはずです。今回、対北朝鮮抑止力も勘案されて明文化されたわけですが、ある程度の局地戦対応の作戦は以前からあったと思います。メディアにリークされているのは、おそらく全体ではありません。
 いずれにせよ、平時扱いの小競り合いでも、今後は米軍のハイテク武装が北朝鮮への報復に使われることになるでしょう。ただし、尖閣問題と同じように、米軍が必ず自動参戦ということにはなりません。結局、米軍は自己裁量で軍事政策を決定します(どこの国でも同じですが)。ただし、それが韓国や日本の国益に反するわけではありません。
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  1. 2013/03/25(月) 16:06:21|
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  2. 2013/03/26(火) 16:17:58 |
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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