ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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シリア内戦解決に必要なアメリカの武器供与

 一切の武器、一切の戦争は悪である・・・という考え方の人もいらっしゃるかと思いますが、ある武装勢力に人々が殺害され続けている状況を止めるためには必要な戦争があり、必要な武器があるという考えもあります。私は後者で、たとえば一昨年のリビアの反カダフィ戦、あるいは現在のシリアの反アサド戦などはそれに相当すると考えています。A勢力対B勢力という構図の場合は背景が複雑で、なかなか判断が難しいことがありますが、独裁VS抵抗という構図は比較的単純なものです。

 シリア情勢に関し、こんなニュースがありました。
▽シリア内戦解決へ対話、米露外相会談で一致(読売 2月27日)
 アサド政権と反体制派の対話実現を目指すということですが、現状では難しいでしょう。
 先日、シリア国民連合議長が「アサドを外すなら、副大統領と対話してもいい」と言い出し、それに対してアサド側も最近、初めて「(実質的な)反体制派と対話してもいい」と言い出していますが、アサド存続が前提であれば、反体制側が合意することはないでしょう。
 平和的解決のために対話すべきでは?と平和な国に暮らす外国人は考えるかもしれませんが、シリアでは多くの人がそうは思っていません。なぜならアサド政権が言う「対話」は、アサド独裁を前提とし、自分に歯向かう者を徹底的に抹殺するための一時の方便にすぎないことを皆、知っているからです。
 反体制派の主流派も、アサドと側近さえ排除できれば、アサド体制の残りの人々と新たな国作りをするのに吝かではありません。それは各勢力間の綱引きで相当な混乱が予想されますが、新たな国作りにはしかたないことであって、独裁と弾圧よりはマシだと考えられています。
 いずれにせよ、反体制派は、独裁者の君臨が残る形式での決着は容認しないでしょう。独裁者が残れば、独裁体制は必ず専制政治を復活させるからです。独裁政権はそうしなければ存続できないのです。
 シリアの人々がこれだけの犠牲を払いながらもアサド拒否を貫いているのは、単なるアサド個人への憎悪だけでも(これだけ身内を殺害されて、たしかに憎悪も広がっていますが)、あるいは自分たちの将来の利益のためでもなく、基本的には自分たちの「生存」のためなのです。
 上記の米露の合意が機能しないのは、ロシアはあくまで「アサドと反体制派の対話(=アサド独裁の存続)」を目指すのに対し、アメリカはいずれ「アサドなきアサド体制残党と反体制派の対話」(=実質的なレジーム・チェンジ)を目指すことになるからです。 

 ところで、本日の読売朝刊が、エコノミストの下記記事の一部抜粋を掲載していました。
▽シリア:国家の死(英『エコノミスト』誌 2月23日号掲載記事の全文翻訳版をJBPRESSが2月25日に掲載)
 私はこのエコノミスト誌の分析と意見に、全面的に同意します。
 アメリカはオバマ政権内部でもシリア反体制派への軍事支援を容認する方向に傾いてきていますが、どうやら肝心のオバマ本人がブレーキ役になっているようです。
 シリア内戦は戦局的にはほぼ膠着状態に陥っていますが、反体制派はべつに米軍のアサド軍攻撃を望んでいるわけではなく、武器・弾薬の供与を切望しています。勢力に勝る反体制派は、武器・弾薬さえ充分に入手できれば、容易に革命を成し遂げられると考えていますし、実際そうなるでしょう。 
 カギを握るのは、アメリカの武器供与です。アメリカ国民はもはや自国兵士の海外での戦死は容認しないでしょうが、軍事介入といっても米軍派兵といった話ではないので、あとはオバマの決断だけですね。
 英誌の主張が少しでも米国民の世論に作用し、オバマ政権への作用となればいいのですが。
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  1. 2013/02/28(木) 10:50:43|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<実際には難しい生物兵器テロ | ホーム | 北朝鮮・昨年4月の「特別行動宣言」はやはりサイバー攻撃だった>>

コメント

 ご無沙汰しております.

 先のリビア内戦におきましても,NATO軍が介入を始めた途端に,それまでの反政府側支持の姿勢を一変させた御仁も少なからずおりましたから,残念ながら人間の考え方というものは,そう簡単には改まらないようです.
  1. URL |
  2. 2013/03/01(金) 23:02:18 |
  3. 消印所沢 #-
  4. [ 編集]

 そういう人はどうも出来ませんが、新たに「知りたい」と先入観なく目を留めてくれる方もいるかもと期待してはいるのですが
  1. URL |
  2. 2013/03/03(日) 03:28:32 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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