ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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日本人はイスラム過激派の標的ではない

 数日前、アルジェリア人質事件に関連して、メディアに流布している言説に対する異論を3点ほど指摘しましたが、追加でもう1点。
「日本はアメリカ陣営と見なされていて、イスラム過激派の標的になっている」との見解は、間違いだと思います。中東社会に通じている方は皆さんご存知だと思いますが、政治的な対立軸に関する中東の一般の人々の意識に、日本とか日本人とかはまず入っていません。
 過去、イラク戦争後などで日本人が拉致され、自衛隊の撤退を要求された事件などもありましたが、あれも自衛隊撤退を要求するために日本人を拉致したのではなく、誰でもいいから外国人を拉致したら、たまたま日本人だったので、後から要求を思いついたという順番です。犯人だって、できればアメリカ人やイギリス人を拉致したかったはずです。
 日本国内でアラブ人の存在感がとてつもなく小さいように、中東での日本人の存在感はもの凄く小さいものです。中東で外国人といえば欧米人。それもアメリカ、イギリス、フランスあたりがメインのイメージになります。
 中東全域で、これまで日本の対中東政策に対する批判が話題になったなどという話は聞いたことがありません。イスラム過激派の中には、もしかしたらたいへんなインテリがいて、日本政府のアメリカ支持をきちんと把握し、「敵だ」と認識している人もいるかもしれませんが、非常にレアなケースといっていいでしょう。
 今回、アルジェリア人質事件で日本人の拉致が計画されていたというのが事実ならば、まず標的をイナメナスのBPのプラントに決定した後、情報を探っていて、日本人が多数いることを知り、異教徒だから危害を加えても構わないと判断するととともに、これは推測ですが、多額の身代金が期待できると考えた可能性が高いように思います。
 日本人は政治的対立の対象外ですが、日本国および日本人に対する一般的なイメージは「金持ち」であり「おとなしい」(=御しやすい)です。営利目的誘拐の人質としては理想的であり、そこに目をつけたのではないかなという気がします。
(ただし、それでも日本人がメインターゲットではなく、BP幹部などのついでに、といった位置付けと思います)
「アメリカに追随する日本はイスラムから敵視されている」といった言説は、反米言説の副産物として語られることが多いように感じますが、事実ではないと思います。

(追記)
 今、NHKの昼ニュースでやっていたのですが、アルジェリア人従業員の証言から、日本人の少なくとも4人の方が最初の侵入時に殺害された可能性があるようです。
 もう少し状況の詳細がわからないと判断できませんが、テロリストが「外国人」「異教徒」を殺害しようと計画していた場合、とっさの混乱時に、日本人の風貌が「外国人の異教徒」であることが一目瞭然なことから、不利な面があったのかもしれません。
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  1. 2013/01/29(火) 11:34:47|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

これから海外に行くとき、護身用にコーランを一冊もってくというのはどうでしょう。
イスラム原理主義のテロにあったとき、日系イスラム教徒だと嘘つけば助けてもらえないでしょうか?
  1. URL |
  2. 2013/01/30(水) 03:20:18 |
  3. ナーナ・シィ #-
  4. [ 編集]

まあ、そんな事言っても彼ら(イスラム教徒)は彼ら同士殺し合いやっている訳ですしね。イラン・イラク戦争しかり、シリア内戦しかり。トルコ・イラク・イラン・シリア各国のクルド人に対する弾圧しかり。
  1. URL |
  2. 2013/01/30(水) 04:49:02 |
  3. 道楽(どら)Q #-
  4. [ 編集]

>道楽(どら)Qさん

日本はそれらの紛争とは直接の関係はないですから、日系イスラム教徒を装えば許してくれるかも、と思いました。
  1. URL |
  2. 2013/01/30(水) 09:43:29 |
  3. ナーナ・シィ #-
  4. [ 編集]

「ナーナ・シィ」さんはイスラム圏へ長期間行かれるのでしょうか?

まあ、アラビア語でコーランの最初のフレーズでも唱えれば、二~三割とかの確立で「許して貰える」かもね。

でも、これは本質的にテロの問題であってイスラム教の問題では無いと思います。

最終的には積み上げた情報と経験の蓄積に裏付けられた咄嗟の状況判断が大事なのでは。

でも、日揮とかBPとかそういう方面ではプロ中のプロの集団の筈で彼らが狙われ被害を受けるという事はどうしようも無い気もしますね。

黒井先生の御意見は?


  1. URL |
  2. 2013/01/31(木) 04:04:40 |
  3. 道楽(どら)Q #-
  4. [ 編集]

相手によると思います。つまりは運次第ということかと。
長期の拉致ということになれば、ムスリムであったり、あるいはイスラムに関する知識があったほうが有利ということもあるかもしれません。あるいは顎鬚を生やすとか、体毛を剃るとかも。これも相手次第ですが。
  1. URL |
  2. 2013/02/03(日) 07:54:09 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

 今更ではございますが,このたび,イナメナス人質事件について,纏め記事を作成させていただきました.
http://2ch-military.digi2.jp/faq10i02.html#In_Amenas_Hostage_Crisis

 もし宜しければ,訂正その他のご指摘などございましたら,ご遠慮なくお申し出いただければ幸いです.
 速やかに訂正・加筆などさせていただきます.

 では.
  1. URL |
  2. 2013/09/19(木) 00:56:32 |
  3. 消印所沢 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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