ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

アレッポ混沌化の弊害

 シリアでは凄まじい殺し合いのなか、2012年も最終日になりました。
 当ブログではシリア情勢の情報についてお伝えしてきましたが、なんとか来年は政変が成就してほしいと切に願います。「政変後もどうせ大変だろう」と言う人が多いですが、それはそのときの話であって、今はとにかく1日も早くアサド政権を打倒するのが最優先です。

 さて、シリア情勢について、当ブログでは各地域調整委員会SNSを中心に現地の声をお伝えしてきているのですが、どうもアレッポの混沌が顕著になってきている形跡があります。
 シリア全土はまだまだ政府軍vs自由軍という構図で動いていて、地元の世論も自由軍支持でほぼ揺るぎないのですが、アレッポだけは分断が長期化したことと、すでに地歩を築いた反政府派内部で、ヌスラ戦線や各サラフィスト系グループ、クルド民兵、自由軍に入り込んだ一部軍閥グループなどが乱立し、反体制派内部の内ゲバが始まったことで、地元世論も分裂状態になってきている徴候があります。
 アレッポはもともとシリア国内でも最もアサド政権秘密警察の締め付けが厳しかった都市で、昨年の民衆蜂起後もいちばん最後まで反体制デモの広がりが少なかったことから、「外部から来た連中が騒ぎを起こした」というような、アサド政権が最も力を入れてプロパンガンダしている言説が徐々に住民の一部に浸透しつつある傾向が感じられます。
 こうした反体制派内部の軋轢に連動した地元世論の分裂というのは、今のところアレッポ周辺特有の現象ですが、事態が長期化すれば、他の地域でも似たようなことが起きてくる可能性があります。アサド政権は当然、それを仕掛けてくると思われますが、そこをなんとか踏み止まり、結束を保ってほしいと切に願います。

(追記)
 昨日のエントリーに、いつもお世話になっている消印所沢様と道楽Q様にコメントをいただいたのですが、道楽Q様への返信の後、消印所沢様への返信が、FC2のコメント連投禁止則に引っかかったようで出来なくなってしまいました。
 なので、こちらに貼ります。

(消印所沢様・記)
 今年一年たいへんお世話になりました.
 来年も宜しくお願い申し上げます.
 さて,逆に言いますと,現状,シリア内戦の仲介役として望ましい条件とは,どんなものなのでしょうか?


(黒井・記)
消印所沢様 こちらこそお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
 さて、私見では、理想形は、国連安保理で停戦を強制し、数万規模の平和維持軍進駐と、国連主導の選挙実施と思います。ただ、アサドがそれを呑む徴候はなく、ロシアも反対するでしょうから、最初の入り口から実現はかぎりなくゼロに近いと思います。
 民族紛争や国家間戦争とは違い、国民の大量殺戮をすでに行った独裁政権と抵抗軍では、文字通り「殺すか殺されるか」の関係ですから、停戦はまず現実的に無理だと思います。
 現実的には、停戦仲介よりも、自由軍への軍事支援と、政府軍幹部離反工作支援のほうが有効だと思います。自由軍現地指揮官の多くが最近言っているのは、「人は足りている。武器が足りない」ということです。とくにダマスを含む南部がそんな状況です。
 結局、「内戦激化による犠牲者数」と「無駄に終わるのが明白な停戦仲介工作で時間を浪費して生じる犠牲者数」の見積比較というような話になりますが、「アサドは絶対諦めない」「反政府派も絶対諦めない」の2点を鑑みれば、現状では前者がトータルではまだまし、というのが私の分析です。

(追記)
 上記の私の返信の最後の部分は、部外者の立ち位置の核心だと思います。
 私もシリア人の身内ですから、シリア国民に犠牲者が出ないことを心より望む者ですが、双方が諦めないこの現状のなかで、政治解決できる方法が存在するというのならば、逆にどなたかにご教示いただきたいというのが正直なところです。
スポンサーサイト
  1. 2012/12/31(月) 12:23:32|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<読売元日一面は農水省サイバー攻撃 | ホーム | 相手にされないブラヒミ調停>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://wldintel.blog60.fc2.com/tb.php/1097-583dd090
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

月別アーカイブ

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。