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ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

PFLP-GC(&日本赤軍)はアサド軍の隷下組織

 下は、反政府軍に制圧された東グータのリハン地区にあったパレスチナ解放人民戦線総司令部派(PFLP-GC)の本部建物。近隣の政府軍基地の制圧とほぼ同時に、こちらも制圧されました。
 ここはPFLP-GCの軍事キャンプで、30年にわたり、シリア政府軍・工作機関の指導の下、パレスチナ人の若者たちを訓練してきた場所です。アサド政権とのこの緊密な関係ぶりからも、PFLP-GCが完全にアサド軍・工作機関の一部だったということがわかります。
 PFLP-GCは長年、かの日本赤軍を庇護していたパレスチナ組織ですが、それはつまり日本赤軍自体もシリアのテロ支援ネットワークの末端組織に過ぎなかったということを表しています。
「アラブの大義」などと言っても、ウラ側はそんなものです。
▽陥落したPFLP-GC本部
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  1. 2012/11/26(月) 18:07:30|
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コメント

 すこし私の思うところを書かせていただきます。シリアはほんとうに大変なことになっています。
 社会変動は、原始共産制→奴隷制→封建制→資本主義というように一般的先進国と言われるところは推移しこの順番で民主化も進んでいることは歴史が実証しています。
 以前アサド大統領を学校の校長に例えましたが、話をわかりやすくするために学校に例えますと、例えば日本の四五十年前の小中学校は学校の先生に威信がありました。この源泉はよくわかりませんが、その先生の持つ威厳とか学歴(当時は親の学歴も低く師範学校を出ていれば親たちの尊敬も集められたかも知れません)とか伝統的に先生を尊敬する風土もあったのでしょう。だから生徒たちは自発的に服従し、親たちも生徒が殴られても、自分の子に対して「お前が悪いからだ。おとなしく先生の言うことを聞いて反省しろ。」という具合だったのでしょう。すなわち学校の先生の威信は大統領で言えば権力と権威ということになります。
 しかし民主教育が普及し先生の威厳が失墜すると、そんな授業一年前に塾でやっている「できる」子や数学も英語もチンプンカンなヤンキーたちにそんなくだらない授業をなぜ先生の言うとおりおとなしく授業きいていなければならないのか、先生たちは合理的に説明しなければならず、そんな説明は当然頭の悪い先生には無理だから、かと言ってかつてのように暴力にによって生徒に手を出すと教育委員会もうるさいし、結局「お前ら先生の言うことが聞けないんだったら内申点に響くぞ。高校いけないぞ」と脅すことくらいしかできなかったでしょう。
 「できる」子は「先生大学どこ?地元の国立大学教育学部?だっせー、うちのオヤジは東大医学部出て大病院の院長だぜ」と言って授業中は塾の宿題をするか寝る。一方ヤンキーは「るせーな先公」と言って教師を殴る。迷惑を被るのは普通に勉強していた一般生徒。そして学校は警察を呼び事態の収拾をはかろうとするが困難な状況が続く。またヤンキーの中でも番長グループ同士の対立もあり事態は複雑化し、その後は「できる」子は最初から私立中学(他国)に進学し、ヤンキーは学校に来たり、こなかったり、学校から味噌っかす扱いで放任される。時々警察に補導されるというような感じ。
 ここでシリアの現状はさらに深刻で、先生の中から生徒に見方になって学校に反乱している教師も多く、警察(米欧ロ中)が何もできないこと、先生がまだ若く体育教師たちが「なんだこのクソガキ、なめんなよ」と言って生徒を殴って回っていること(例えば旧ソ連や東欧は学校に予算もなく教師が老いていたため、生徒の反撃に、「もっと学校を自由にします。カリキュラムも変えます。制服も自由にします」と白旗をあげたので被害は少なかった)で、先生も生徒も傷だらけの大怪我をしても殴り合いの喧嘩が終わらないことです。
 しかし時計の針はもどらないので、いつかは学校は負けます。ただその時まで学校の校舎、窓や備品は壊され、今までお金もなかった親たちも無理して子供たちを私立(他国亡命)に通わせることになると思います。1970年代ころからの都立高校崩壊に似ています。
 今は強力な体育教師に立ち向かうため大同小異の団結をしている番長グループ達が、共通の目標である敵をやっつけたあとは今度は誰がどのように学校をしきるのか対立も相当あると思われます。新任の教師もビクビクでしょう。
 日本も同じで、民主化は学校の権力が一貫して弱体化していく過程でした。アメリカの底辺も公立校もひどいようです。これもアサド大統領には権力はまだあるが、権威がなくなった証拠で、最後に手にしている権力もなくなるまで、シリアの国としての体力がどれほど残っているのか危惧されます。既に起きてしまったことは運命ですので、しかたがないですが、もしパシャルアサドがもう少し老いていたり、亡くなった後に革命を起こしていたら犠牲者は格段に少なかかったろうと思います。
 今はネットで世界の情報がめまぐるしく飛び回り、それがシリアの革命を早めたばかりに大惨事になったと思います。もっとゆっくり社会変動が起きていたら状況はかなり違っていたと思います。
 いずれにせよ、暴力の支配は意外と脆いもので、日本にもいたかつても暴力教師も絶滅したように、アサドの暴力支配もじきに終焉を迎えます。では最も強い支配はというと、これは、自発的服従です。部活でパシリの生徒は強い生徒にいつもパンを買いに行かされていると、最後には「今俺パン屋に行くけどついでだから何かあれば言ってくれ」と自分のプライドを傷つけないように相手のことを慮って自発的にパシリをやるようになります。この強い生徒の権力の基盤も「強いこと」すなわち暴力です。日本の官僚は国民でなく「強い」国ばかり見てるような気がしますがどうでしょうか。
 いずれにせよシリアに早く平和が戻ることを願っています。

 

 
  1. URL |
  2. 2012/11/26(月) 21:49:14 |
  3. A山 #-
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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