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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

在リビア韓国大使館はなぜ狙われたか?

▽リビアで韓国大使館銃撃2人死亡 「イスラム国」犯行声明(日経)
 韓国大使館はなぜ狙われたのでしょうか?
 韓国をことさら狙う理由はないので、韓国だから狙われたということではないでしょう。
 可能性としては
▽他の国の大使館と間違えた
▽外国大使館ならどこでもよかった
▽異教徒の国の大使館ならどこでもよかった
 のどれかということではないかと思われます。
 いずれにせよ、テロの標的設定としては非常にアバウトなものです。イスラム過激派などその程度のノリで動くことがしばしばあります。要するに、田舎モノなわけですね。
 ではなぜ大使館を攻撃したのか?
 外国と戦争だ!とのノリではないかなと思いますね。とても緻密な計算に基づくものではないのではないかなと思うのですが、そのあたりはまた犯行声明の続報などを待ちたいと思います。
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  1. 2015/04/12(日) 22:23:09|
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マレーシア・テロ未遂とこれから危ない場所

▽マレーシアでテロ計画容疑、17人逮捕 一部はIS参加
 予想どおりの展開です。
 現在発売中の『SAPIO』でも「これから危険な場所」という記事でコメントを採用していただきましたが、「イスラム圏」と「イスラム移民の多い欧米の主要都市」はどこでもテロの流行に晒されることになります。
 とくに可能性が高いのは、イスラム圏でも外国人(白人旅行者やビジネスマン)の多いところです。すなわち、各国の首都、商業都市、空港、観光地などです。エジプトのカイロ、ルクソール、紅海のリゾート、あるいはモロッコのタンジェールやマラケシュ、トルコのイスタンブール、さらにはインド・インドネシア・マレーシアの大都市・観光地などですね。フィリピン南部のリゾートも可能性はありますが、あちらのイスラム武装勢力はテロというより営利目的誘拐ということでしょう。

 ただ、世界各地でテロが頻発はしますが、それぞれの場所自体では集中するわけではないので、渡航自粛などは過剰反応です。テロのあたる可能性は、現地で交通事故に遭う可能性よりずっと低いものです。
 警戒は各国の治安当局がするべきもので、一般の旅行者やビジネスマンは「通常の犯罪に対する警戒」と同レベルで構いません。過度の警戒は長続きせず、逆にゆり戻しの油断を引き起こしやすいものです。

 日本は、とりあえずはテロの標的ではありません。
 イスラム国が日本にテロ宣告しましたが、あれは偶然に日本人人質を手に入れた流れで出てきた話で、イスラム過激派にとって日本人は標的のずっとずっと下位の存在にすぎません。イスラム過激派はイスラム社会、なかでも同じイスラム過激派の世界で評価されるようなジハード価値の高い標的を狙います。自ら死を覚悟して行なうテロに、わざわざ日本を狙ったりしません。彼らの世界で評価される標的は「アメリカ人」です。次いでイギリス人やフランス人などですね。そのあたりの区別がなかなかつかないので、ざっくりと「白人」を狙うという流れです。
 かつて自衛隊がイラクに派遣されていた頃、アルカイダが日本を標的リストに宣言したことがあるので、「日本もテロの標的に!」などと騒がれたことがありますが、自意識過剰な反応です。自衛隊が有志国の一員として参加していたので、リストの下位に加えられただけのことです。実際、日本は一度も「標的」とされていません。というより、日本はこれまで一度たりとも、イスラム過激派に狙われたことはありません。
 一度の例外は、「悪魔の詩」翻訳者殺害ですが、あれも「日本人だから狙った」ものではありません。
 ただし、先月のチュニジア事件のように、巻き込まれたことはあります。標的である「外国人」の中にいたからです。アルジェリアのプラント襲撃では、日本人は真っ先に殺害されていますが、それは「異教徒であること」が一目瞭然だったからです。
 つまり、日本人は日本人ということでテロの標的から除外はされないということです。しかし、わざわざ日本人を彼らは狙いません。善し悪しは別にして、日本の存在感はそんなものです。過剰反応は不要でしょう。
 まあ、どこにも変人はいますから、可能性は皆無とは断言しませんが、よほどの例外ということです。

 イスラム・テロは今後、世界中で頻発します。しかし、むやみに怖がるのではなく、脅威を正しく認識し、正しく警戒することが必要です。
  1. 2015/04/06(月) 22:22:40|
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ティクリート制圧「イスラム国」討伐の最大障壁はシーア派の無法行為

▽奪還後のティクリートで略奪横行、民兵や治安部隊員が関与か(CNNJ)
 ツイッターでかねて懸念を指摘してきたのですが、残念ながら現実になってしまったようです。
 イスラム国を放逐した後、ほっとけばシーア派の無法行為が必ず発生します。問題はまったく解決されません。
 いちばんの元凶はシーア派民兵で、彼らのバックにはイランがいますが、イランに彼らを抑えることは期待できません。
 残るはやはりアメリカしかありません。シーア派政権の正規軍にアメリカは協力しているわけですから、強く圧力をかける必要があります。
 おそらく同様の事態は今後も次々と発生します。「イスラム国」放逐後、どれだけ国際的な圧力がイラク政府にかけられるかが重要です。
  1. 2015/04/05(日) 14:12:09|
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アル・シャバブさらなる暴走へ

▽「ムスリムか」尋ね選別 ケニア・大学襲撃
 ソマリアのイスラム過激派「アル・シャバブ」が暴走しています。彼らもイスラム国のムーブメントに刺激を受けており、とくに隣国ケニアに侵入して今後も非道なテロを繰り返していくことが予想されます。
 ソマリアは私が取材した90年代から、山賊集団がケニアに侵入して犯罪を犯すことが頻発していました。山賊集団ですが、彼らはいずれかの部族民兵の末端でした。当時、ケニア東海岸にも行ったことがありますが、とにかくソマリア国境方面は危険だから気をつけろと言われました
 2000年代に入り、ケニアとの国境方面はアル・シャバブが勢力を確保します。彼らもしばしばケニアに侵入し、営利目的誘拐や商店襲撃などを繰り返していました。
 業を煮やしたケニアは2011年に国境エリアに侵攻して占領し、傀儡自治政権「アザニア」を作ります。また、同年、アフリカ連合の部隊が首都モガデシュに派遣され、アル・シャバブを放逐します。ケニア軍はさらにソマリア南部に入り、アル・シャバブを追い詰めます。
 その頃、アル・シャバブはアルカイダへの参加を表明しています。もともとアル・シャバブには紅海を挟んだイエメンなどからアルカイダ系のアラブ人義勇兵も参加していたと思われますが、要は9・11でいちやく名を轟かせたアルカイダに便乗しようとしたのでしょう。
 いずれにせよ、ソマリア南部を拠点つするアル・シャバブは、その後もケニアへの侵入を繰り返しますが、2012年、アフリカ連合の部隊はソマリア南部のアル・シャバブの本拠地キスマヨを攻撃し、アル・シャバブを放逐します。その後、アル・シャバブはしばらく劣勢となりますが、ソマリア南部にはまだ大きな勢力を持っています。
 そんなアル・シャバブが驚く事件を起こしたのは、2013年9月のこと。ケニアの首都ナイロビで商業モールを襲撃し、数十人を殺害したのです。ケニアに対する報復テロですね。
 今回のガリッサ大学襲撃は、明らかにイスラム国に影響されたテロでしょう。イスラム国に便乗したテロは今後も世界中で頻発するでしょうが、アル・シャバブの越境テロリストが侵入しているケニアもさらに警戒が必要です。
  1. 2015/04/05(日) 13:54:34|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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