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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

北の対話作戦の先に来るもの

 本日発売の『週刊朝日』に「軍事パレードの陰で火の車の台所事情」という記事を寄稿しました。
 また、北朝鮮軍事パレードに関して、7月27日のTBS「ニュースキャスター」、28日のテレビ朝日「報道ステーションSUNDAY」にVTRコメント、29日のTBS「ひるおび」スタジオ出演させていただきました。

 北朝鮮は今後、「核ミサイル実戦配備国」という前提で対話作戦を仕掛けてきます。
 対話・交渉での狙いは2つ。
「核ミサイル実戦配備国という地位を確立すること」と「時間稼ぎ」ですね。
 もちろん核を放棄することはありません。アメリカと交渉するのが目的でもないです。アメリカに対する決定的な戦略兵器の開発と運用。それが再優先事項です。
 時間稼ぎというのは、これまでの核問題の経緯を振り返ると、もう疑う余地はありません。
 彼らにとって、核ミサイル戦略はいまだ途上のものです。いま現在も、彼らは①アメリカ主要部を射程に収める自走式弾道ミサイルの開発、②起爆装置の性能向上(ブースト型、水爆などの新規開発も含む)、③核物質の増産、を必死に進めようとしているはずです。
 北朝鮮が対話路線に転じたとしても、油断は禁物です。必ず近い将来、なにかの理由をつけて、ミサイル発射や核実験をやります。
 金正恩政権が合理的な判断をするのならば、彼らのサバイバルにとっては、それしか道がありません。
 よく北朝鮮の核ミサイル開発を愚挙だと指弾する論調があり、それはまさにそのとおりなのですが(われわれから見れば、ですが)、金正恩政権からみれば、彼らが超独裁政権であるという前提を、まず考える必要があると思います。
 核を放棄し、国際社会と協調する路線をとるならば、当面の緊張は緩和されますが、いずれ内外の民主化圧力に独裁政権は晒されます。独裁制はソフトな路線に転じれば存続できない、政治体制としては安定していない体制なのです。したがって、国内に対しては、これまでどおりの「徹底した強権統制」、国外に対しては、とにかく「決定的な戦力・戦略兵器の保有」・・・この2点は、独裁政権存続のための2大条件です。
 6カ国協議の再開に期待・・・・うーん、甘いと思います。
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  1. 2013/07/30(火) 17:25:18|
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北朝鮮注目は軍事パレードより核戦力増強

 土曜日に平壌で行われる朝鮮戦争「戦勝」60周年祝賀に、中国から李源潮・国家副主席が参列することになりました。全面的同盟関係を示す李克強・首相の訪朝は見送られましたが、「それなりに中国が支えてるよ」ということを内外に示すかたちにはなります。
 今度の軍事パレードは過去最大規模になるようですが、問題はそこではなく、そのウラで核戦力増強がいつ、どのようなかたちで再び表面化するかということですね。

 22日、テレビ東京「実録 世界のミステリー」にてVTRコメントを採用していただきました。話は変わって、潜水艇事故の話でした。
  1. 2013/07/25(木) 10:52:58|
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シリア内戦に参戦している日本人義勇兵

 壮絶な体験をされてます。アレッポの戦闘で重傷を負い、現在リハビリ中とのこと。SNSに発表された手記ですが、ご本人の承諾を得てご紹介させていただきます。
▽負傷時の戦闘状況と負傷状況(フェイスブックの鵜澤佳史さんのノート)

(追記・近況報告)
 一昨日、TBS「Nスタ」「ニュース23」でVTRコメント、本日「ひるおび」で音声コメントを採用していただきました。北朝鮮武器密輸送船ネタです。
 あと、当ブログでこれまで何度か書いた韓国映画『ベルリンファイル』の監督来日記念トークイベントの様子が、ニコニコ動画Qにアップされていました。もちろんメインは監督なので、発言機会はあまりありませんでしたが、それなりに作品の見所は言えたかなと。
▽世界情勢を踏まえた『ベルリンファイル』解析トークイベント【1/3】
▽世界情勢を踏まえた『ベルリンファイル』解析トークイベント【2/3】
世界情勢を踏まえた『ベルリンファイル』解析トークイベント【3/3】
『ベルリンファイル』は現在、絶賛上映中です。

(追記:7/30)
上記でご紹介させていただいた鵜澤さんのFB手記ですが、諸般のご事情により非公開とされたとのことです。
  1. 2013/07/19(金) 20:17:30|
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映画評論家への野望その2(嘘です2)

 先週土曜日、日経新聞朝刊の第2部「NIKKEIプラス1」で、WOWOWのスパイ映画特集の1面広告が掲載されたのですが、そこで僭越ながら私めのインタビューを採り上げていただきました。
 題して「スパイとは何か?」。現実のスパイの世界の簡単な説明と、スパイ映画の魅力について語っちゃっています。
 スパイ映画評論家(?)としてのお仕事、ぜひぜひお請けしますので、配給会社・宣伝会社の皆様、今後ともよろしくお願いします! (本当はハートウォーミングなラブコメが好きなのですが・・・)
  1. 2013/07/16(火) 19:25:57|
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「一方的な見方はまずい」

▽再び脱北、中国で拘束 平壌で会見の夫婦ら(産経 7.15)
 いったい何があったのでしょうか。そもそも韓国からのまさかの帰国ですが、何か裏がありそうですね。
 ただ、いずれにせよあのような国からは、誰もが逃げたがっているのではないでしょうか。自分があの国の住民だったら・・・と想像するとちょっと耐えられませんね。
 
と、それはともかく、今のシリア内戦で、独裁政権の恐怖が理解できていない政権寄りの論調に接すると、かつて北朝鮮を擁護し、拉致を「捏造だ」と頑なに言い張っていた人々のデジャブをみている気になります。
今から思うと嘘みたいですが、90年代初めくらいまで、大手メディアでも北寄りの見方をする人がいました。私自身、帰国事業の暗部に関するドキュメンタリー企画を提出してボツった経験があります。総連の抗議が怖くて、北ネタはアンタッチャブルだったということもありましたが、そういうとき必ず言われたのが「一方的な見方はまずい」ということ。一方的も何もないですね。事実なのですから。
 シリア内戦に関して、大手メディアの方と話す機会があるたび、あのときと同じ脱力感をときどき感じます。
  1. 2013/07/15(月) 22:15:18|
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アサド退陣を求める人々の叫び

 シリア内戦に関して、とくに北部の一部地域に、たとえば反政府軍系の不届きなマフィアまがいのグループが出てきたり、アルカイダばりのイスラム過激派が出てきたことをもって、「反体制派は国民から乖離した」と誤解している論調をたまに見かけるのですが、いわゆる「木を見て森を見ず」の典型例で、そういうことではありません。
 反体制派の一部にやり方に問題があるのは事実ですが、これだけの内戦規模から考えれば、奇跡的に抑制されたものといっていいでしょう。通常なら、大規模な略奪行為とか、報復殺戮があってもおかしくない局面ですが、シリアではそういう無秩序状態に陥っていません。反体制派の統一のなさを批判する論調もありますが、全体的にいえば、これだけ長期の過酷な状況で、反体制派や一般住民がモラル崩壊、秩序崩壊に陥らないのは、多くの途上国の内戦を取材してきた経験上、レアなケースと断言できます。
 反体制派に加わる勇気ある人々は、いまだ増え続けています。忘れてならないのは、反体制派もまた住民であるという事実です。イスラム過激派系の外国人が増えているのは事実ですが、反政府軍の大勢はもちろんシリア国民です。シリアの男たちは、家族を守るために反政府軍に加わるか、家族を守るために銃をとらないかを選択するだけです。
 シリアにもさまざまな勢力があり、家族を守るためにアサド派にならなければならない人々もいます。けれども、シリア国民の大勢はそれはもうたいへんな怒りをアサドに対して持っています。こうした事実は、現地からの声を拾えば簡単にわかることです。
▽7月10日 ラッカでの反政府デモ
 そういえば、「デモが減ったから住民は反体制じゃなくなった」ような誤解もときどき見かけますが、これだけ内戦化した今、危険なデモを住民総出で日常的にやるわけはありません。戦いの局面が代わり、手法が変わっただけです。

(追記)
 それと、「外国の介入がなければ勝利できない反体制派は、正統性がない」との論調もみかけますが、戦局は純粋に双方の戦力レベルの問題ですから、正統性(多数派が主導権を握る原則)とは関係ありません。
 人道的観点からは、もっと関係ない話です。仮に国際社会が「どんな外国の介入もダメ」とのタテマエに固執していれば、悲劇的状況にある人々を見殺すことになります(まさに今、シリアで起きてることですが)。
 カンボジアにベトナム軍が入らなかったら? ルワンダ紛争でツチ族をウガンダが支援しなかったら? リビアにNATOが介入しなかったら? マリにフランス軍が介入しなかったら? さらに酷い悲劇が生じていたことでしょう。
  1. 2013/07/11(木) 15:33:49|
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プーチンが色丹か国後へ来る??

▽露大統領が色丹か国後へ来る…現地村長が情報(読売)
 まだ未確認情報ですが、まったく驚きません。プーチンは2島返還したがっている・・・という定説は虚報だと思っています。

 他方、尖閣は、中国側が「棚上げ」を望んでいるとされていますが、実際には領海侵入を着々と重ねています。
 対ロシアにせよ、対中国にせよ、こういう問題は甘く考えないほうがいいと思います。
  1. 2013/07/08(月) 21:48:06|
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映画評論家への野望(嘘です)

 7月5日、読売新聞夕刊に小さく載りました。といっても記事ではなく、韓国映画『ベルリン・ファイル』の広告企画の中で、先日のリュ・スンワン監督らとの座談会の模様が紹介されたのでした。
 映画ファンとしてはたいへん名誉なことで、非常に嬉しく思っています。今週末からいよいよ劇場公開ですが、劇場に置いてあるチラシにも、ひとことコメントを寄せさせていただいています(もちろんたくさんあるコメントの中の1つですが)。
 スパイ映画評論家としてのお仕事、大歓迎です。よろしくお願いします(営業です)。

 あと、7月4日の東京新聞の「こちら特報部~国際情報戦の裏側 盗聴は『公然の秘密』」にコメントを採用していただきました。
 また、同じ頃に毎日新聞でも同じNSA問題でコメントを提供したのですが、その後、音沙汰がないので採用されたかたどうかは未確認。ネットでも引っかからないのでボツかも。残念。
 あとは、明日発売の『週刊朝日』で「日本の技術が北朝鮮経由で『シリアの虐殺』に悪用されていた」という記事を寄稿しました。
 現在も反体制派攻撃にサリンを使用しているアサド政権軍ですが、その製造に利用できる真空凍結乾燥機の技術は、そもそも日本から北朝鮮の軍研究機関に密輸され、それがシリアに転売されたものらしいという情報について論じました。
 また、同じく明日発売の『サンデー毎日』にもコメント(NSA問題について)を提供しました。採用していただけるかどうかはまだわかりませんが。
  1. 2013/07/08(月) 15:55:59|
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ロシアが欲しいNSA暗号・技術情報

 NSA機密暴露の件で、6月27日のTBS「ひるおび」と今朝のTBS「朝ズバ」でスタジオ出演。今朝のフジテレビ「とくダネ」でVTRコメントを採用していただきました。
 また、辛坊治郎氏ヨット遭難の件で、6月30日のフジテレビ「新報道2001」でVTRコメントを採用していただきました。
 また、タイミングよく、本日発売の『週刊朝日』に「逃亡・元CIA局員握る米諜報機関の対日傍受工作情報」という記事を寄稿しました。週朝今週号では他にも辛坊氏ヨット関連の短い記事も寄稿しています。

 ところで、スノーデンのロシア亡命という情報が流れています。エクアドルへの亡命がなかなかうまくいかないなかで、ロシアが盛んに誘っているのでしょう。
 スノーデン事件では、上記したようにいくつかメディアで発言させてただきましたが、指摘しておきたいことはをいくつか。
 まず、スノーデンの持つ「情報」について、とくにロシアなどの外国が知りたいのは、すでに既知の情報収集・ネット&通信監視の話や、NSAが集めた情報の中身というよりは、システム管理者だった彼が熟知しているであろうNSAの技術に関する情報、あるいは米軍や米政府が使用している暗号システムでしょう。
 ロシア亡命となれば、ロシア側は当然、保護を与える代償として、そうした情報を要求するはずです。
 スノーデンは当初「米諜報機関が米国民を監視しているのは許せない」と、少なくとも自分は米国民サイドだと強調していましたが、米国民だけのプライバシー保護ではなく、米諜報機関の他国への監視活動そのものも暴露するようになっています。おそらくウィキリークスと合流し、海外メディアと接触しているうちにそうなったのでしょうが、彼自身にもともとウィキリークスやアノニマスのような「情報は公開すべし」というハッカー感覚があった可能性もありそうです。推測ですが。
 とはいえ、技術情報をロシアに渡すというのは、明確な反米行為ですから、いくらなんでもスノーデンの本意ではないでしょう。で、スノーデンとロシア側との駆け引きが現在、行なわれているのではないかなと推測します。
 また、これに関連して、「スノーデンをアメリカが拉致あるいは殺害する可能性は?」と見解を聞かれることが何度かあったのですが、これだけ注目の的ですから、それは考えにくいですね。
 スノーデンをこっそり拉致したかったのは、むしろロシアや中国でしょう。上記したように、NSA技術システム関連情報を知りたいからです。こっそり拉致してしまえば、後は情報を吐かせるだけ。なので、彼はメディアを巻き込んだことで身の安全を確保したということになるかと思います。
 なお、アメリカ側は安全保障上、スノーデンが知るシステムの秘密は漏洩してしまったとの前提で、暗号変更などかなり大掛かりなダメージ管理が必要になります。こちらはかなり大きなダメージといっていいでしょう。
  1. 2013/07/02(火) 10:19:02|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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