▽政府 海外緊急事態の対処方針(NHK)
外務省 アフリカテロ対策に16億円(NHK)
だそうです。
まあ、初めはおカネを使うところから、というのは、日本の現状を考えると妥当なところでしょう。
そこで、こんな話も。
▽「スパイ」育成を政権検討 NSC創設に関連(朝日)
朝日は「スパイ」とか煽っていますが、いきなりそこまではまず難しいでしょう。とりあえず対外情報機関を作って、ホワイト要員を現地に派遣することを目指すといったことかと思います。
CIAやMI6のように公募するなら是非とも応募してみたいですが、そうなっても年齢制限は35歳くらいでしょうから・・・アウトですね。
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- 2013/05/31(金) 14:26:35|
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▽猛毒リシン入りの封書相次ぎ発見、米当局が事情聴取(cnn)
だそうです。
過去、リシンを使ったテロ計画事例はそれほど多くはないのですが、拙編著『生物兵器テロ』(ジャーナリスト・村上和巳氏と私の共著)から、過去事例を紹介します。
▽ミネソタ愛国者評議会
95年5月18日、アメリカ・ミネソタ州セントポールの合衆国連邦地裁は、同州スウィフト郡セダンに住むダグラス・アレン・ベーカーに対し、有毒物質リシンを所持し、テロ活動を準備したとして、懲役2年9月の実刑判決を言い渡した。これにより、ベーカーは89年に成立した「生物兵器テロ防止法」の適用第1号となった。
ベーカーは92年に、レロイ・チャールズ・ホイーラー、デニス・ヘンダーソン、リチャード・オールリッチらとともに逮捕されていた。ベーカーも他の面々も、納税に強く反対しているミネソタ州アレキサンドリアの極右組織「ミネソタ愛国者評議会」の同志だった。
同組織は極めて小規模の組織だったが、メンバーの一部には、74年にリチャード・バトラーを中心にアイダホ州で結成された白人至上主義過激極右組織「アーリア人国家」との関係が指摘されていた。「アーリア人国家」は、対有色人種、対ユダヤ人を前面に出す一方、反妊娠中絶なども掲げて病院や人権団体へのテロを行なっている組織として知られている。「クー・クラックス・クラン」(KKK)や、いわゆるミリシアとも近い。
ベーカーらは、所持していたリシンで国税庁職員、連邦裁判所の執行官、法定執行官などの暗殺を企てていたとされる。発覚のきっかけは、ベーカーの妻による密告だった。
連邦捜査局(FBI)に検挙されたとき、ベーカーが所持していたリシンはわずか0・7グラムだったが、理論上は皮下注射で体重50kgの人間を200人殺すことが可能な量である。
ベーカーらはとくに微生物学の教育を受けた経験はなかったが、前述のようにメイナード・キャンベルの著書『Silent Tools of Justice』を教本として、リシン抽出に成功した。次に狙ったのは、ボツリヌス毒素の入手だったが、これは失敗している。
▽ブルガリア秘密警察
78年9月8日、ロンドンで亡命ブルガリア人作家ゲオルギー・マルコフが原因不明の症状で病院に運び込まれた。医師による懸命の治療にもかかわらず、9月11日に息を引き取った。
マルコフの妻によると、彼は死亡する4日前にテムズ川にかかるワーテルロー橋の南側でバスを待っていたとき、見知らぬ男に背後から右大腿部に傘の先端を突き刺されたという。傘を刺した男はマルコフに詫びながら、慌ててその場でタクシーを止めて立ち去ったが、マルコフは「タクシー運転手は男との会話に苦労している様子だった。彼はたぶん外国人だろう」と妻に語っていた。その夜、マルコフは高熱を発し、翌日、妻が病院に連れて行なったのだった。
マルコフの友人たちは、彼が暗殺されたのではないかと疑いはじめた。というのも、当時マルコブは、CIAが設立した共産圏に向けた反共ラジオ放送「自由ヨーロッパ」のアナウンサーとして働いており、ブルガリア政府を痛烈に批判していたからだ。
また、そのわずか1ヵ月前、やはりフランス在住の亡命ブルガリア人で西ドイツのラジオ放送局やBBCブルガリア語放送を担当していたウラジミール・コストフも、地下鉄駅で同じように傘で背中を刺されていた。コストフの場合は、高熱と意識混濁の症状を示したが、病院で背中に刺さっていた金属片を摘出し、かろうじて一命を取りとめていた。
ロンドン警視庁法医学研究所による検死の結果、マルコフの大腿部の傷跡から極小の金属球が発見された。金属球の中心部はさらに微小な穴が貫通しており、空洞内の面積はわずか0・028平方ミリメートルという精巧な構造になっていた。
パリでの事件を聞きつけ、ロンドン警視庁がコストフの事件で使われた金属球と併せて鑑定した結果、2つは同じ物であり、しかもコストフに使用された金属球に残留していた粉末を分析したところ、この物質がヒマ(トウゴマ)の種子から抽出される猛毒蛋白質リシンであることが判明した。
つまり、傘の先端にこの金属球を詰め、銃のように対象に撃ち込むと、相手の体内でリシンが溶け出して死亡するという仕組みだったのだ。
真相が明らかになるのは、94年に元KGB幹部だったオレグ・カルーギンが出版した『The First Directorate』(St Martin,s Press:New York)によってである。このなかでカルーギンは、ブルガリア秘密警察がリシンによるマルコフ、コストフの暗殺計画を実行した可能性が高いことを指摘したのだ。
その根拠とされたのが、まさに2人を襲った同じ暗殺兵器が、KBGの協力のもとで、ブルガリア秘密警察によって完成されていたということだった。犯行の直接の証拠とはいえないが、このような暗殺方法は他にみられないため、かねて囁かれていたブルガリア秘密警察犯人説に、この暴露本は裏付けを与えたといえる。
▽KGBによるソルジェニーツィン暗殺未遂
92年、ロシア情報紙『Sovershenno Sekretno』(トップ・シークレット)は、KGBがノーベル文学賞作家アレクサンドル・ソルジェニーツィンを生物毒素のリシンで暗殺しようとして失敗していたと報じた。
ソルジェニーツィンは、スターリン時代に流刑も経験している反体制派の大作家であり、74年には反ソ連活動の罪で国外追放となったが、暗殺計画が実行されたのは、その前の71年8月のことだったという。
暗殺チームの責任者はKGBのボリス・イワノフ中佐。チームは、ノボチェルカスクのデパートに立ち寄ったソルジェニーツィンに対して毒素を吹きかけた。その後、ソルジェニーツィンは原因不明の症状で長期間にわたり療養生活を強いられた。ソルジェニーツィン本人によると、事件があった当日、左半身の皮膚全体に激しい痛みを感じたが、翌日以降その左半身全体に水泡が生じ、大きいものでは15cmほどの大きさになったという。
また、当時のソルジェニーツィンの主治医も「原因はわからず、なにかの激しいアレルギー反応のようにみえた」と語っている。
(※ただし、『Sovershenno Sekretno』情報の信憑性については不明である)
- 2013/05/31(金) 13:10:06|
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現在、wowowで放送中のオリジナル連続ドラマ「配達されたい私たち」最終回〈6/9(日)22:00、再放送は6/13(木)22:00、6/16(日)正午)の劇中、私の戦場写真3点を使っていただきました。
このドラマは、鬱病で自殺志願者の青年が、あるとき偶然、廃棄されていた古い手紙7通を拾い、それを代わりに配達していくなかでさまざまな人と出会い、自らも救われていくという物語なのですが、主人公が元戦場ジャーナリスト志望という設定で、最終話のとある回想シーンに「戦場シーン」がカットインされています。その戦場シーンの中に私の3点(ボスニア☓2点、ニカラグア☓1点)を採用していただいたわけです。
こういうの、ドラマ・ファンの自分としては、かなり嬉しいです。しかも制作者の方は、洋泉社ムック『戦場カメラマンという仕事』を見て、私の写真を選んでくださったとのこと。それもたいへん嬉しいことです。
ところで、そんなわけで同ドラマをひと足お先に拝見させていただいたのですが、感動的なお話でうるっと来ました。
原作・脚本は脚本家・一色伸幸さんですが、一色作品は先日NHKで放送された震災ドラマ『ラジオ』もそうでしたが、人間の喪失と再生を深く描く手腕が素晴らしいですね。もう放送が始まっていますが、本日22:00に第3話(全5話)の再放送があるそうなので、皆様もぜひどうぞ。
主役は塚本高史さん。共演は栗山千明さん、長谷川京子さん他。主題歌の佐野元春『虹をつかむ人』もグッと来ます(ちなみに上述『ラジオ』でもイナズマ戦隊やソウルフラワーユニオンなどの楽曲が効果的に使われてましたね)。
以下、公式サイトから解説を引用します。
32歳、ウツ。心を失くした男が配り始めた7年前の7通の手紙が、小さな町に奇跡と感動を巻き起こしていく。涙とユーモアにあふれる異色のヒューマンストーリー。
大ヒット映画『私をスキーに連れてって』(’87)、『僕らはみんな生きている』(’93)の脚本家・一色伸幸氏が、自身のウツ病克服経験をもとに描いた、出会いと別れ、再生をテーマにした素敵な涙とユーモアにあふれる異色のヒューマンストーリーが連続ドラマWに登場。
ウツ病の男が配り始めた7年前に捨てられた7通の手紙。開封されるたびにさまざまな思いが解き放たれ、やがてひとつの奇跡の渦となって町を駆け抜けていく…
塚本高史、栗山千明、長谷川京子ほか、個性豊かな豪華俳優陣が出演。そして、古厩智之、小林聖太郎という2人の気鋭の映画監督が演出。さらに、佐野元春が、「二十歳の約束」(CX)以来、21年ぶりに連続ドラマに主題歌を提供することが決定。すばらしいクリエイターたちの力を結集し、多くの人々に「心の処方箋」をお届けします。
<ストーリー>
澤野始(塚本高史)、32歳。ウツ病。仕事も失くし、妻・正美(長谷川京子)との関係もきしみ始め、6歳の息子・輝ともうまく関係を築けない。ある日、自殺しようとして訪れた元映画館の廃墟で、7年前に捨てられた7通の手紙を拾う。澤野は人生のカウントダウンとしてその手紙を配達することにした。そして最初に、理容店を営む有(栗山千明)に手紙を渡す。それは、幼い頃に有と父親を捨てた母からのもので・・澤野が向かう先々で、悲喜こもごもさまざまな人間ドラマが巻き起こる。果たして澤野は生きる意味を見つけていけるのか。小さな町の小さな冒険譚の始まりだ。
(追記)
同作品についてネットでいろいろ見ていたところ、とあるブログが第2話のこんなセリフを採り上げていました。
「戦争を伝えたかったんだ。俺のカメラの前で子供が殺されれば、夢は叶った。女や子供、弱い奴が殺られれば、俺の夢は開いた。欲望を美化するための言い換えが『夢』だ」
なるほど。身も蓋もないですが、一面の真理ですね。
私も現役の頃、しばしば同じようなことを考えていました。上記『戦場カメラマンという仕事』では、私の同世代の最強戦場カメラマンだった村田信一さんが、戦場の人々を撮影することの傲慢さについて正面から論じています。
戦場カメラマンに限らず、他人様の人生について勝手に撮ったり書いたりする仕事というのは全部そういうところあると思いますね。なので自分的にはどうも「報道の使命は~」とかいう話は苦手な感じで・・・(以下自粛)
あと、こんなセリフもナルホドですね。
「死ぬのが怖いって以外の生きる理由は、全部、嘘だ」
(追記その2)
上記のNHKドラマ『ラジオ』が総合テレビで、6月2日(日)16:15より再放送されるそうです。お薦めです。
公式サイトの解説は以下。
「東日本大震災の被災地・宮城県女川町。ここに今も放送を続ける臨時災害放送局がある。震災の一か月後に地元の人たちの手で作られた「女川さいがいFM」である。このドラマは、地域に必要な情報を届けようと集まった、高校生など若いスタッフと地元の皆さんをモデルにしている。
原作となったのは、「女川さいがいFM」にアナウンサーとして参加している女子高生のブログである。そこには、震災からの二年間、被災の現実と向き合いながら、前を向いて歩んでいこうとする若者の胸の内がつづられていた。 被災地で生きる女子高生と彼女を見守る大人たちが織りなす青春群像」
- 2013/05/30(木) 09:29:25|
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シリア内戦に関して、大手マスコミ関係者と話す機会がときどきあるのですが、なるほど日本の人にはなかなかわかりづらいのだなと思うことがあります。
たとえばそのひとつが、対話・交渉での和解がなぜできないのか?ということです。
これまで国際社会による対話斡旋は何度もありました。ですが結局、「アサド存続か否か」の前提の部分で政府側・反政府側がどちらも譲らず、交渉はスタートすらできずにいます。
そこで部外者からすると、こういう疑問が湧くようです。
「このままでは政府軍の無差別攻撃によって一般市民の犠牲者がどんどん増えるのだから、それを防ぐために、反体制派も妥協し、アサド存続でも和解の道を探るべきではないのか」
これは理論上は成立する話ですが、反体制派の現状をご存知ない空論といえます。
シリアでは、アラウィ派の多く、キリスト教徒の一部、シーア派の一部、バース党員の多く、職業軍人の多く、徴募兵の一部、秘密警察のほぼ全員、政府職員の多く、犯罪者グループの一部・・・などにアサド支持の勢力がいます。保身のためです。
が、それ以外の大多数の国民は「アサド軍に攻撃される側」に属しています。この「アサド軍に攻撃される側」の中に、政治的に活動的な人とそうでない人がいて、活動的な人がいわゆる「反体制派」になり、その中で武器をとって戦う道を選んだ人が、反政府軍兵士ということになります。この反政府軍兵士のほとんどは、血縁・地縁のコネに基いて、自由シリア軍、サラフィスト系、独立系などと分かれています(この部分も外国人に誤解が多いところですね)。
という中で、反体制派にアサド存続を容認する意見はほとんどありません。都市部の一部のインテリ層にそうした意見もあるようですが、泡沫といっていい規模です。
そこで外国のマスコミ関係者にわかりづらいのは、「政治的に活動的でない人」がどのように考えているか?です。
というのも、私自身も多くの経験がありますが、海外の紛争地において、一部の強硬派がサイレント・マジョリティを強引に引っ張ってしまっている例が非常に多く見られるからです。シリアでも同様ではないか?と想像するのは、むしろ健全な問題意識といっていいでしょう。
ですが、そうした他の紛争地と比べ、シリアの事情は大きく違っています。
もちろんシリアでも様々な考えの人がいるとは思うのですが、少なくとも私の過去の紛争地取材の場合とシリアのケースがかなり違っているのは、「政治的に活動的な人の割合が非常に高いこと」「政治的に活動的でない人の大多数が心情的に反アサドであること」です。シリアにおいて政治的に活動的であるということは、生命の危険に直結するきわめて危険な選択なのですが、それでもこれだけ多くの人が勇気をもって立ち上がっているということは、それだけ大衆運動レベルで強い反アサド感情が浸透していることを裏付けています。
もうひとつ誤解が多いことに、「海外組中心の反体制派組織がアサド存続拒否なのは、国民の意識と無関係ではないか」という話があります。こうした考えに基づけば、たとえば「国民から乖離した海外組が強硬路線を叫ぶことで、国民を不幸に陥れているのではないか」との疑念も考えられるわけですが、これも少し違います。
シリア反体制派の海外組というのは、国内で反体制運動が危険だった初期に反アサド政治活動の対外活動を担った人々ですが、実際のところ、これだけ国内の反体制派が成長した今、国内でそれほど影響力を持っていません。しかし、アサド存続拒否というのは、国外組だけが言っていることではなく、国内のほとんどの反体制派の総意でもあります。国外組が国内組とそれほどリンクしていないのは事実ですが、現在のシリアは国内外での情報のやりとりがかなり可能なので、国外組も自らのネットワークで国内にいる国民の事情や考えを充分に知ることができます。
したがって、国外組は国内の事情を無視して、自らの政治的発言力確保のために強硬意見を主導している・・・というような構図とは違っています。とくにアサド存続拒否では、海外組も国内組も意見に相違はみられません。要するに、アサド存続容認で事態が収まるなどと考えているシリア人はほとんどいないということです。
実際、対話などというプロセスが仮に始まるとしたら、アサド軍による国民弾圧作戦に利用されるだけと、政治的に活動的でない人ですら多くがそうわかっています。独裁者のやり方を、かの国の人々はよく知っています。
- 2013/05/24(金) 04:29:17|
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昨日、TBS「ひるおび」スタジオ呼んでいただきました。
結局、北朝鮮の「争点ずらし」がうまくいっている印象です。
日本では拉致問題と短距離ミサイル発射、韓国では開城工業団地の話に注目がシフトしています。北朝鮮としては核問題で責められるのがいちばん嫌なわけですが、もう誰も核のことを言ってないですね。
アメリカに対しては韓国系アメリカ人の強化収容所送りを仕掛けています。こうした核以外のテーマに耳目を集め、対話・交渉に持っていくという作戦なのですね。
もちろん核問題が不問にふされるということはなく、今後、制裁の話はさらに進んでいくことにはなりますが、他のテーマで対話・交渉が進んでいけば、なんとなく国際社会から完全孤立という空気にはならないでしょう。
したたかだなあ・・・と感じるのは私だけでしょうか。
- 2013/05/22(水) 09:59:34|
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明らかに核問題から争点をずらす工作である飯島訪朝の仕掛けですが(同じように、対韓では開城工業団地に争点をずらしてきていますね)、どうも安倍政権が安易に引きこまれてしまっている印象が、報道をみるかぎり感じられます。
前々エントリーで書いたように、核問題優先の北朝鮮は、場合によっては拉致問題をカードとして切ってくる可能性があるので、乗ってみる意味は充分あると思うのですが(ただし、前も書きましたが、安易な期待はできません。秘密接触をいきなり宣伝しまくるところなど、どうも北の真意は計りかねるところがあります)、そこは誘拐犯とのネゴシエートと同様に、少しでも相手の譲歩を引き出す駆け引きが不可欠です。
まだ実質的な譲歩を引き出せていないうちにこちらが前のめりになると、相手が準備していた譲歩をすべて引き出せないで終わるでしょう。
16日、テレビ朝日「モーニングバード」で米露スパイ戦ネタ、昨日のテレビ朝日「報道ステーションSUNDAY」と本日のTBS「朝ズバ」は北朝鮮ネタで、それぞれVTRコメントを採用していただきました。
また、本日発売の『週刊現代』では、中国ネタでコメント採用していただきました。
また、『アサヒ芸能』先週号のモノクロ・グラビアで「米軍・厚木基地祭り探訪~ニッポンの中のアメリカを覗きに行った!」を寄稿しました。久々のカメラマン仕事でなかなか楽しかったです。
また、現在発売中の『サイゾー』で、「世界と日本の最新スパイ事件レポート」と題した私のインタビュー記事(コメントで構成)を掲載していただきました。
- 2013/05/20(月) 16:02:06|
- 著作・メディア活動など
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SNSで知ったのですが、日本外務省中東第一課シリア担当のツイッターだそうです。
▽MofaJapan_syria desk 日本政府として少しでも同問題に関わっていただければ嬉しいですね。
さて、日本ではもともとシリア問題がまったく関心を持たれていませんが、それはしかたないとして、ごく一部の「関心のもたれ方」について、半分関係者としての個人的感想。
日本では主に以下の2つの論点に集約されているようですが、
①難民支援
⇒これはわかりやすいですね。もちろん大賛成です。
②平和的解決への期待
⇒甘いですね。日本らしいといえばそうですが。
本日読売朝刊に、ヨルダン北部ジャーベル国境での取材(貞広貴志記者)に基づく「シリア反体制派 支援効果薄く」という記事が掲載されていました。欧米や湾岸からの支援物資ですが、「燃費が悪くて使えない車」「旧ユーゴ製の当たらない旧式対戦車砲」などなど。こうした声は実際、シリアからのSNSコメントにも多くあります。
上記記事で、叛乱軍の兵士はこう語っています。
「我々に必要なのは高性能の対空砲と対戦車砲。これさえあれば戦況は変わるのに」
反米イスラム勢力に渡る恐れがあるため、反体制派には高性能兵器が引き渡されていません。他方、ロシアは政府軍に高性能兵器をいまだ供給し続けています。
解決への最短の方法は、反体制派に高性能兵器を供給することなのですが、それが実現しないと今後も市街地への砲爆撃が継続され、多くの国民が殺害されるでしょう。
- 2013/05/18(土) 17:43:33|
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北朝鮮は2月の核実験でおそらく核ミサイル武装を実現し、3~4月の米韓合同軍事演習を口実に「おれはもう昔のおれじゃない」アピールを全力で行なって、実質的な核ミサイル武装宣言を行いました。
その手順がおそらく予定通りに滞り無く行なわれ、次は対話・交渉のフリで時間を稼ぎつつ、国際社会による制裁を乗り切り、さらなる核ミサイル戦力の増強を目指していくことになります。
今回の飯島勲・内閣官房参与の訪朝は、当然ながらその流れからの心理戦・外交戦の一環でしょう。北朝鮮としては、核ミサイル武装のなし崩し的確保が優先事項なので、それ以外のことに周辺国の目を向け、国際社会の圧力を和らげることは彼らの国益に合致します(まあ日本からすぐカネが入るとまでは期待してないでしょうが)。
逆に言えば、日本にとっては拉致問題を少しでも前進させるチャンスではあります。北朝鮮にとっては、日本との拉致問題は、国家安全保障上の死活的問題である「核ミサイル武装国として認識されること」の重要性に比べたら微々たる問題にすぎません。自分たちからこうした対日工作を仕掛けているということは、何らかのタマを隠し持っている可能性があります(現時点で、楽観するのは時期尚早です。単に日本の関心をずらしたいだけのトリックの可能性もあります)。
日本に対するある種の懐柔工作でしょうが、拉致問題は誘拐犯との人質解放交渉のようなものですので、安全保障とは切り離し、人命優先で対応すべきと個人的には考えます。
いずれにせよ日本側としては、現実をしっかり見極め、適確な原則を確立して対応することが肝要かと思います。
▽拉致問題は重犯罪対処であり、安全保障とは切り離して人命優先で対応
▽北朝鮮とは「日本を射程に収める核ミサイル戦力のある国」として対応。つまり、政権の暴発やアナーキー状態の現出を回避することを優先
▽いざというときのための防衛戦力を整備
▽核ミサイル戦力強化を米中と協力して全力で妨害する
こんなところでしょうか。
- 2013/05/16(木) 16:52:05|
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一昨日、「ミヤネ屋」に呼んでいただき、デイリーNKの高英起さんとともに北朝鮮のスパイ機関についてお話させていただきました。
ところで、前にも告知しましたが、いよいよ明後日の金曜日、私のミニ講演会を行います。
どなたでも大歓迎ですので、ぜひよろしくお願いいたします(事前申し込み制ではありません)。
18:30〜20:30予定(その後、同所で懇親呑み) 港区の飯倉交差点近くです。最寄り駅は神谷町です。
下に主催者のご案内文を引用します。
▽ 軍事アナリストの黒井文太郎氏をお招きします。北朝鮮による挑発的な言動が各国の緊張を高めています。我々はこの状況をどのように判断すればよいのでしょうか?情報分析が専門の黒井氏に、北朝鮮情報の見方を解説していただきます。
講師:黒井文太郎(くろい・ぶんたろう)氏
1963年、福島県生まれ。週刊誌編集者、月刊『軍事研究』解説記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経てジャーナリストに。軍事インテリジェンスを専門とする。主に軍事専門誌や月刊誌・週刊誌で旧陸軍特務機関、CIAやKGBの機密資料分析、中国や北朝鮮の対日工作、自衛隊非公然部隊などに関する調査記事を発表している。著書に『北朝鮮に備える軍事学』、『日本の情報機関』(講談社)、『ビンラディン抹殺指令』(洋泉社)、編著書に『戦後秘史インテリジェンス』(大和書房)、コミック原作に『大日本帝国 満州特務機関』『大日本帝国 実録 陸軍中野学校』(扶桑社)などがある。
ブログ「ワールド&インテリジェンス」→http://wldintel.blog60.fc2.com/
演題:「北朝鮮情報をどう読むか」
日時:5月17日(金)午後6時半~
会費:3000円(軽食つき)
場所:「ル・パン」 港区麻布台1-11-2星野ビル2階 (東京メトロ神谷町駅下車1番出口、東京タワー方面徒歩5分、飯倉交差点角 螺旋階段昇る)
- 2013/05/15(水) 12:01:44|
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中東問題に関しては、私は現地体験から入ったということもあると思うのですが、自分なりの肌感覚では、報道・中東研究方面の一部にあった「アラブの大義」神話のようなものに以前から違和感があったのですが、シリア内戦の経過をみるに、つまりは「ホンネ」が露呈されてきたなという印象を強く持っています。
ほぼ下記のようなことですね。
▽アサド政権はパレスチナの支援者ではなく、単に利用していただけ
▽ヒズボラはパレスチナの支援者というより、単にイランとアサドの子分
▽イランはパレスチナの支援者というより、単にシリアとヒズボラを利用したいだけ
下記はむしろ再確認といったところですね。
▽カタール&サウジアラビアはイラン=アサド=ヒズボラ枢軸が大嫌い
▽むしろ中東のほとんどの国はイラン=アサド=ヒズボラ枢軸が大嫌い
▽ロシアはとにかくアメリカに反対
▽アメリカは単に世界警察でいる気はない
- 2013/05/14(火) 10:23:51|
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ラフサンジャニ元大統領が次期イラン大統領選挙に出馬の意向。
新聞報道では「穏健保守派で、改革派に支持される」的なよくわからない解説になっています。
ラフサンジャニ元大統領は、もともとホメイニ時代にバリバリの保守本流だった人物で、穏健派というより武闘派なイメージだと思うのですが、要するに、ホメイニの跡を継いだハメネイと微妙なライバル関係にあるということですね。
4年前、こんなエントリーを書いていました。
▽ラフサンジャニはハト派?(2009/06/24)
ちなみに、ラフサンジャニの娘は改革派の政治活動家として逮捕歴もある闘士。他にもラフサンジャニ一族では、親族が何人も逮捕されたことがあり、ラフサンジャニの息子にも逮捕状が出ているという、今や反体制派ファミリーのような一族になっています。
もっとも、故モンタゼリ、ムサビ元首相、キャラビ元国会議長など、イランではかつての保守本流派が軒並み改革派になっています。新世代では、ホメイニの孫なども改革派の闘士だったりします。
- 2013/05/13(月) 21:21:20|
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以前、当ブログのエントリーで、シリア人の義母がダマスカスを脱出してロシアの義兄のもとに身を寄せたということを書いたことがありますが、その後、彼女が再びダマスカスに戻ったとの話は聞いていました。やはり故国のことが気になってしかたなく、いてもたってもいられなかったようです。
昨日、その義母が亡くなったらしいとの報を受けました。詳細はわかりません。
なぜよくわからないかというと、実は数ヶ月前、事情があって妻が元妻となり、単身シリアの某隣国にわたって反体制派の活動に加わったからです。なので、正確に言うと、元義母が亡くなったということになります。
元義母は高齢ながら、非常にエネルギッシュな人でした。前にも書いたことがありますが、もともとはシリア共産党政治指導部派の活動家で、若い頃には東欧某国に派遣されて活動していたこともあると聞いたことがあります。
元義母は非常に優しい人で、私もシリアに行くと、たいへんお世話になってきました。元妻とは今も連絡はとっているのですが、ちょっと取り乱していて、事情がよくわかりません。
ですが、こんなことはすべてのシリア人にとって、ごく普通のことになっています。
シリアの人々が最初から反体制運動など起こさず、独裁政権の恐怖政治の下で我慢していれば、元義母も、昨年亡くなった元義父や元伯父も、死ぬことはなかったでしょう。ですが、そういうことは、今となっては言っても詮無きことですね。
すでに独裁者による虐殺は始まり、引き返せないところまで来てしまっています。ここまで国民を殺害し、国民の憎悪の対象となった政権が将来存続できる可能性はなく、いずれ打倒されるのは明らかですが、そこに至るまでは残念ながら、これからもさらに多くの人々が殺害されるでしょう。私は遠い極東の国で、一刻も早く独裁政権が打倒されることを願うばかりです。
(追記)
諸般の事情で長く消息がわからなかったのですが、元義母の健在が確認されました。よかったです。
- 2013/05/11(土) 22:47:03|
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本日発売の『軍事研究』に、「アメリカも核武装を黙認 北朝鮮・寸止め挑発の成功」という記事を寄稿しました。
ちょっと前にも書きましたが、北朝鮮の核ミサイル武装・・・とりあえずは黙認の方向ですね。時系列で経過を振り返ると、そのあたりの流れが見えてくる気がします。
- 2013/05/10(金) 15:40:28|
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何度も書いていますが、アサド政権はすでに国民を殺しすぎているので、途中で半端な妥協はしません。ここまで来たら、反体制派をどこまでも弾圧し続けなければ、自身のサバイバルが不可能だからです。
シリアが内戦状態に陥ったのは、アラウィ派とスンニ派が衝突したというような旧来型の内戦の構図ではなく、武装した一派が非武装の一般人を一方的に殺しまくったというジェノサイド犯罪の結果です。
旧来型であれば交渉、和解の道もあるかもしれませんが、シリアの場合は難しいでしょう。アサド政権と反体制派の交渉の場を設定することで米露が合意したことについて、国際報道は概ね好意的に受け取っているようですが、私はとても楽観できません。
シリア内戦の現状は、もともと国内に圧倒的支持基盤をもつ反政府軍側が兵力ではすでに勝っているものの、武装レベルでいまだ政府軍が圧倒的に優位という状況です。
反政府側が兵力で優位ということは、勝利のために米軍やNATO軍の介入を必要としません。自由シリア軍の幹部がかねてから主張していますが、必要なのは単に武器・弾薬です。
政府軍は現在も、戦闘機や戦車、ロケット砲、短距離弾道ミサイルなどを豊富に保有しています。対する反政府軍は一部に海外から持ち込まれたものもありますが、大半の兵士は政府軍から鹵獲した小火器に頼っています。
化学兵器使用疑惑を受けて、ようやくオバマ政権も反政府軍への武器供与の方向に進みだしました。オバマ政権ではどこまでやってくれるのかそれほど期待はできませんが、他方では英仏なども武器供与に踏み出すことを公言しています。
アサド政権としては、もっとも怖いのが、英米仏から反政府軍への武器弾薬供与です。今もなんとか権力を保っていられるのはひとえに武装レベルの優位のおかげですが、その優位性が崩れれば政権はもちません。
なので、アサド政権としては、英米仏から反政府軍への武器供与をいかに遅らせるかが死活問題になってきます。米露がお膳立てしようとしている「和解交渉」なるものが動き出した場合、せっかくここまでこぎつけた武器供与の話が一時停滞する可能性があります。
つまり、これまでのアナン調停、ブラヒミ調停のように、単にアサド側の時間稼ぎに利用されるだけに終わる懸念があるわけです。
- 2013/05/10(金) 10:20:25|
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日本語でシリア問題をフォローしているサイトは非常に少ないので、シリア問題に興味があって当ブログに目を留めていただいている方もいらっしゃるかと思います。
私自身はそれなりに情報収集・分析の蓄積があって自信を持ってエントリーを書いていますが、真逆の見方をする情報もネットなどには流れていますので、シリア情勢の実態を知りたいという方の中には、勉強しようにも何が何だかよくわからないという方もいらっしゃるかと推察します。
そこで、とりあえずシリア内戦の基本的な事情を知りたいという方には、以下をぜひお薦めします。NHK「時事公論」の5月7日付のテキスト起こしです。解説は出川展恒・解説委員で、現状と問題点をバランスよく的確にまとめられています。
▽時論公論 「悪化するシリア内戦と人道危機」 シリア問題理解の国際的なスタンダードはこのテキストのとおりです。違う見方もあっていいとは思いますが、それはシリア国内でも国外でもきわめて少数派であることに留意してください。
- 2013/05/09(木) 09:05:08|
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アルジェリアのプラント襲撃事件やボストンマラソン爆弾テロなどに際し、テレビや新聞・雑誌などのメディアで発言させていただく機会が何度かありました。
私はあくまで「情報および、その自己流解釈の紹介」が業務なので、あまりオピニオンめいたことを発信させていただく機会はないのですが、アルジェリア事件に関して、今年3月発売の右派系論壇誌『撃論』第10号に寄稿させていただいた際、論壇誌ということで拙文の末尾に、「日本にいて、国際テロ問題をウォッチしていて、日頃から思っていたこと」を書かせて頂きました。今回、その一部を抜粋引用してみます。
なお、言うまでもありませんが、下記は単なる私個人の意見であり、単なる私個人の「願い」です。皆様はそれぞれご意見をお持ちでしょうし、それは当然のことですから、他の考えを否定するつもりのものではありません。ただ、私個人はたまたま個人的事情でこうした分野に関して当事者になってしまっていて、イスラムの問題も中東の問題も他人事ではないので、なんとなく歯がゆく感じてしまうだけのことです。
(以下、引用)
今回の事件では、日本ではテロリストを批判するよりもむしろ、強行突入を実施したアルジェリア当局を非難する論調が目立った。これは前述した他の犠牲者の出身国も含め、諸外国ではほとんど見られなかった傾向で、まさに日本だけが突出していた。なぜか?
今回、犠牲になった方々を悼む気持ちは筆者ももちろん強くもっているが、それはそれとして、日本の国民の多くには、対テロという戦争のシビアさに対する意識が著しく欠如しているのではないかという気がしてならない。今回の事件で日本の世論を貫いていたのは、単に「巻き込まれる」という他人事の意識だけだったと思う。
しかし、実際には、世界の多くの国が、それこそ血の滲むような思いで、テロとの戦争を戦っている。アルジェリア軍の現場での判断がすべて正しかったどうかは筆者にもわからないが、まったく人質の安全を考慮しなかったわけではない。彼らは彼らで、テロリストとの凄まじい戦いを日々送ってきた経験があり、その中で彼らなりの行動をとったのだ。
世界中の多くの国の人々が、多大な犠牲のもとに対テロ戦を戦っているなかで、日本だけが対テロ戦を諸外国に任せきりにし、他人事として「巻き込まれない」ことだけをひたすら考えているだけで、はたしていいのだろうか?
今回の事件で、いくら日本がイスラム過激派を敵視しなくても、彼らの標的から除外されないことが証明された。他国とともにテロと戦わなければ、テロ対策で協力している主要国のサークルには加われず、テロからの防衛でも後回しにされることになる。
それでも確かに、現在、世界の対テロ戦に参戦していない日本は、イスラム・テロの主標的になる危険は少ない。対テロ戦に参加すれば、おそらく日本人も主標的に加えられることになるだろう。だが、それでも世界に堂々と生きる国家として、必要なリスクなのではないかと思う。
今回の事件ではまた、企業戦士としての日揮を褒め称える論調が目立った。筆者も彼らを尊敬するが、それは彼らが世界に出ていき、堂々たる仕事を成し遂げているからだ。日本がテロとの戦いに乗り出すことを、テロの標的になる企業戦士はおそらく望まないだろうが、筆者はそれでも日本が、自国民の安全だけに汲々とする国家でいて欲しくないという思いを持っている。
もちろん日本がその道に踏み込むなら、それなりの策を講じるのは当然だ。その場合、日本は自衛隊の海外派遣部隊の拡充とともに、専門の情報機関の設置が必要となるだろう。これらは何も特殊なことではない。世界の主要国の中では、「普通の国」になることにすぎない。(引用了)
- 2013/05/08(水) 11:48:37|
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米韓首脳会談では、北朝鮮の核ミサイル武装に関してどこまで踏み込んだ表現をするか注目していましたが、下記のようになりました(要旨)。
▽北朝鮮の挑発と威嚇を決して容認しない
▽北朝鮮の威嚇に対抗する抑止力を持続的に強化する
▽北朝鮮が核を放棄し、国際社会の責任ある一員に変化するのなら、支援する用意がある
▽韓米両国は北朝鮮の平和な非核化達成に向けた確固たる意志を持つ
核を放棄するように働きかけるということですが、今さら北朝鮮は核を放棄しませんから、今後の北の核ミサイル武装維持にどの程度対処するかということが重要なのですが、そこが今ひとつ曖昧になっています。
たとえば「北朝鮮の核保有を決して容認しない」との表現があれば明確なのですが、そうすると朝鮮半島の緊張激化が避けられません。今の表現では、「北朝鮮の核放棄に向けて働きかけるとともに、さらなる挑発には対処するけれども、現状ままならまあしかたないかな」というようなところでしょうか。
また、今後、北朝鮮はさらに核とミサイルの戦力を上げてくることが予想されますが、それにどういった対処をするかも曖昧です。たとえば、米韓は、北朝鮮の挑発・威嚇に断固として対処する(当然、軍事力で対応ということですね)ということですが、この挑発・威嚇に核ミサイル武装強化がどの程度まで含まれているかが明確ではありません。
具体的には、4度目の核実験、長距離ミサイルの発射実験、核施設稼働ということですが、これを北朝鮮が3~4月のような挑発・威嚇言動丸出しでやってきたら当然「断固として対処」でしょうが、あくまで自衛措置名目あるいは(今さらですが)平和利用タテマエで粛々と進めてきた場合、「とんでもない挑発だ!」として軍事報復するかというと、そこはなかなか難しいのではないかなと思います。
韓国側報道官によれば、「核実験やミサイル発射に対価を与えない」とのことですが、この表現もなんだか腰砕けな感じですね。
要するに、このの首脳会談では、今回の3~4月危機のような「北朝鮮による甚だしい挑発的言動」に対しては強い拒否メッセージとなりましたが、核保有そのものに対する明確な不容認メッセージは盛り込まれず、今後の核ミサイル武装強化に対しても曖昧さが残っています。
結局のところ、北朝鮮は挑発的言動を控えれば、なんとなく核武装国として存続していくことになります。今後かならず核ミサイル戦力強化を進めてきますが、それに対してはどこまで強い姿勢で臨むかはまだわかりません。
金正恩政権としては、とりあえずほっとしていることでしょう。彼らにとっては、計算通りかもしれませんが。
ただし、前エントリーでも書きましたが、アメリカは近々、韓国沖で空母ニミッツを投入する訓練を実施します。恒例の訓練ではありますが、北朝鮮に対する軍事的圧力としては、最大級のものといえますので、北朝鮮がそれにどう対応するかが注目です。
- 2013/05/08(水) 10:56:23|
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▽北朝鮮が航空機訓練中断 韓米軍事演習終了後(5日、聯合ニュース)
このあたりは予想どおり。北朝鮮はもともと4月末の米韓合同軍事演習終了まで、ファイティングポーズをとる必要がありましたが、とりあえずそのスケジュールはこなしたということでしょう。
そこで本日は下記のニュース。
▽北朝鮮 「戦闘態勢」解除か=「ムスダン」も撤去(7日、聯合ニュース)
どうやら野戦砲兵軍に発令していた「1号戦闘勤務態勢」が解除された模様。これも予想どおり。
しかし、よくわからないのは、東海岸で発射準備を整えていたムスダンが撤去されたらしいということです。今回の流れのなかで発射するだろうと私は見立てていましたので、外したことになりそうです。
まだムスダン発射が中止されたのかどうか断定はできませんが、仮に中止ということなら、なぜ中止したのかが理解できません。まだ発射実験を一度もしていないミサイルですから、兵器として実戦配備するなら、まず実験するのが基本です。
しかも、米韓軍事演習中は、相手も敵対行為の真っ最中ですから、タイミングとしては対抗措置として発射実験を強行しやすい環境だったといえます。弾道ミサイルの技術を使った発射は国連安保理決議違反ですが、すでに違反を繰り返しているので、そこに比較的軽微な罪が1つ加わるだけです。
すでに核抑止力アピールの目的は達したから、もう充分だと判断したとの見方もあるようですが、それよりも北朝鮮としては、核ミサイルによる抑止力を少しでもリアルに見せつけておくほうが重要ですから、ムスダンを飛ばしておいたほうが確実に得点が加算されることになります。ムスダンを発射することでアメリカが軍事報復に出るというのならば躊躇もするでしょうが、現実にはそういうことにはならないので、北朝鮮が取りやめたとすれば、その理由は不明だとしか言いようがありません。
もっとも、米韓側もそれほど甘くはありません。
▽韓米 黄海で対潜水艦訓練開始=米原子力潜水艦参加 (6日、聯合ニュース)
演習期間は6~10日。黄海にて。
米軍からはロサンゼルス級原子力潜水艦「ブレマートン」、イージス駆逐艦2隻、P3C哨戒機などが投入されています。
それだけではありません。
▽米原子力空母「ニミッツ」 11日に釜山港入港(7日、聯合ニュース)
ニミッツは11日に釜山港へ入港。13日まで同港に停泊し、来週実施される合同海上訓練で、とくに日本海一帯で空母打撃訓練を実施するとのこと。
これは北朝鮮にとってはたいへんな軍事的脅威になります。どのくらい脅威かというと、戦略爆撃機訓練やフォールイーグル全体の訓練よりももっと恐怖を感じるほどでしょう。
北朝鮮はおそらく4月末をもって寸止め挑発作戦を終了する予定だったと思われますが、まだまだ米韓側の圧力は続いており、何かしら対抗措置をやらねばならない状況に追い込まれてきています。
▽北朝鮮軍西南前線司令部が威嚇 韓米合同訓練に (7日、聯合ニュース)
「敵の挑発的な砲射撃によりわれわれの領海に一発でも砲弾が落ちる場合、直ちに反撃戦に入る」
「反撃戦に敵が無謀に対応する場合、西南前線地区に展開されたロケット軍部隊の行動開始を契機に、すべての打撃集団は朝鮮西海5島から火の海にする」
「西南前線司令部隷下の全部隊と軍部隊は朝鮮人民軍最高司令部が最終承認した作戦計画に基づく軍事行動に一斉突入する」
だそうです。
どうやら、まだまだ目が離せない状態が続きそうです。
- 2013/05/07(火) 19:12:17|
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▽「プーチンは2島返還で決着したがっている・・・」~根拠なき定説はなぜ生まれたのか(JBPRESS)
もう何度も当ブログでは指摘していることですが、北方領土交渉におけるロシア側の視点について書いてみました。
領土を取り戻すというのは、たいへんなことで、それはかなり長期・緻密・断固たるハードな交渉が必要となります。甘い希望的観測に縋っても何ら進展しないというのが、この20年間の現実でした。
今日でも、根拠のない甘い観測がメディア紙上にあふれているのはおかしいなと。他に誰も言わないので、書いてみた次第です。
- 2013/05/07(火) 00:25:28|
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▽シリア反体制派がサリン使用か、国連調査官(AFP)
反体制派がサリン使用という疑惑が濃厚、との情報です。
さて、その真相は如何に?ですが、私はその可能性は非常に低いと思っています。
シリア軍はサリンを大量に保有していますが、反体制派がサリンを入手できたとは考えにくいのが、その理由です。国外からの調達などほぼ不可能ですし(露呈した場合、提供者がたいへんな不利益を被ることになります。また、闇市場でも出まわっていません)、政府軍からの離反兵が持ち出す可能性はゼロではないですが、仮にそんな事例が発生すれば、アサド政権は宣伝しまくっていたはずです。
可能性としてもっとも高いと考えられるのは、政府軍が「反体制派=テロリスト」のイメージを作るため、反体制派のしわざに見せかけて使用したということでしょう。アサド政権は事件直後から「反体制派の犯行だ」と断定し、外部の検証を遮断したまま、その対外アピールを迅速に行なっています。
となれば当然、それなりの偽装工作を準備していたわけなので、その調査はきわめて困難な作業になります。上記記事の国連調査官ですが、大丈夫かなと、ちょっと心配です。
- 2013/05/06(月) 23:04:25|
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アフガニスタンやイラク、リビアなどで取材経験のある某社のカメラマンと話していて、「あれだけシリア国内から凄い写真が大量に発信されているとき、外国人がシリアに潜入して写真を撮っても敵わない」という話になりました。
まったくその通りですね。ピューリッツァー賞はじめ、今年の主な国際的報道写真の賞はシリア関連が独占状態ですが、個々の写真は実際のところ、シリアの無名の素人が撮影した写真に、「写真のちから」において完全に劣っています。受賞者は、そこそこ名のあるメディア契約あるいは、外国人だから受賞できているわけです。
それでも私は、写真に限らず、外国人によるシリア・レポートは目に入るかぎり読んでいます。
私はもともと個人的にシリアと長く深く関わってきているので、あの国の真の姿をそこそこ知っているつもりではありますし、革命が始まった後も、シリア国内の知人たち、あるいは関与しているいくつかの地域調整委員会からの情報によって、だいたいの実情を把握しているつもりではあるのですが、革命初期に日本のメディア各社にシリア情報をプレゼンした際、しばしば「シリア情報はどこまで真実かわからない」と言われたので、あえて意識的に証拠力の高い外国人レポートを重視してきました。
ですが、考えてみれば、シリア人の情報は信用ができず、外国人のレポートだから信用できる・・・というのも変な話です。シリア人であろうと外国人であろうと、ひとりひとりの情報発信は100%の信憑性を担保できませんが、そうした情報も膨大な量を分析すれば、「ほぼ事実と考えられる」線は自ずとわかってきます。情報分析というのは形式ではなく、「実」が重要なのですね。
凶悪な独裁政権に立ち向かうシリアの人々の勇気と努力は称賛に値します。彼らの努力はもちろん自分たちの国を自由な国にしたいとの考えに基づくものですが、独裁者側は偽情報工作に勤しんでいますし、外国のメディアも情報の信憑性は最重視します。外国人記者の存在は、シリア情報をある程度入手できる者にはあまり必要ではないですが、メディアが客観報道という形式を担保するためには必要なものです。
だからこそ、情報を隠蔽したい政権側は外国人記者の活動を懸命に妨害しているわけですが。
- 2013/05/06(月) 10:33:29|
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シリア西部で、アサド政権軍と親政府派のアラウィ派民兵によるスンニ派一般住民虐殺の民族浄化が開始されまた模様です。反政府軍との戦闘の後、町に侵入した民兵によってスンニ派住民多数が虐殺され、スンニ派住民の多くが着の身着のままで脱出しています。
▽女性・子供の虐殺遺体 この手の虐殺はこれまでも多数発生していますが、今回は規模としてもこれまで以上にかなり大掛かり、かつ組織的なもののようです。
アサド政権は以前より、自らの母体であるアラウィ派を炊きつけて、スンニ派へのヘイトを煽る工作を盛んに行なってきましたが、いよいよ首都ダマスカスが陥落したときに備えて、西部一帯をいわばアラウィーン・ランドにしておこうとしているフシがあります。同地域での民族浄化は今後も続き、見境のない組織的大虐殺が多発する可能性が高くなってきました。
- 2013/05/05(日) 21:39:18|
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シリアでは追い詰められたアサド政権軍がさらに無差別な住民殺戮を続けていて、日々多くの犠牲者が出ています。
その象徴的なものが化学兵器使用ですが、その影響でほんの少し米政府が動きつつあります。
▽反体制派支援強化へ 対シリアで米政権(産経)
▽米、シリア反体制派へ武器供与を準備…米紙報道(読売)
シリアの事態はもはや、話し合いで平和的に収拾できるレベルを完全に超えています。結局、政権打倒しか解決策はありませんが、今の状況では、それが成立するまでにさらに何万人もが殺害されることになります。
この犠牲者を少しでも少なくする唯一の方法は、反政府軍に武器・弾薬を充分に補給し、軍事力で政府軍を圧倒することしかありません。人道的な観点からも、早急な武器支援が必要なわけです。
人の命を助けるために、武器を送る・・・こうした矛盾は、平和な国に暮らす人々にはなかなか実感できないことだと思いますが、現実です。
シリア潜入取材を何度かされているジャーナリスト・桜木武史さんがシリア情勢に関するブログを始められました。
▽TAKESHI SAKURAGI NEWS BLOG やはり現場を知る人の視点はたいへん参考になります。シリア情勢に興味のある方は必読です。
また、下記はシリアの最前線で「戦場観光旅行者」として外国プレスにも登場したことのあるトラック運転手・藤本敏文氏のFBページ。
▽藤本敏文氏FB 一般的な目線がいいですし、観光旅行者と自称していますが、写真も映像も興味深いものがあります。
どちらの方にも言えますが、情報というより現実の感覚を知るには、現場報告者の見聞はたいへん参考になります。
他にも、欧米のジャーナリストによる取材報告や、SNSで国内から発信される情報も、いまや山のようにあります。シリア情勢に興味のある方には、そうした見聞情報を丹念にフォローすることをお薦めします。いまだに国営通信社発表を真に受けて「反体制派こそテロリスト」と盲信している方を散見しますが、どうにも・・・
- 2013/05/01(水) 20:16:02|
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