4月1日
「ラタキアで暴れまくり、デモ隊を銃撃している「アル・シャビーハー」(死霊たち)について前に書きましたが、彼らの映像がありました」
「アル・シャビーハーは映像を見てもわかるように、とにかく武装した無法集団です。他の映像でも、シリア警察官と殴り合いしている映像などが出ています。幹部が銀行強盗で逮捕され、数日後になぜか簡単に脱獄したなどという未確認情報話もあります」
「要するに、シリア国内でも厄介者なわけですが、それでも官憲が取り締まれないのは、アサド一族が背後にいるからで、そうした特権はやはりアサド独裁あればこそ」
「おそらく今回のラタキアでの狼藉については、表立って国民弾圧に動きたくないアサド政権の公安警察から、アル・シャビーハーに、水面下で相応の報酬が渡っていると思います」
4日
「アサド政権が前農相を首相とする新内閣を発足させました。非常事態宣言撤回を検討するようなそぶりも見せています。こうした動きに、主要メディアでは「政権が民主派に譲歩を示し、事態収拾を図っているが、先行きはまだ不透明だ」というような解説が多いですが、シリア国民はおそらくほとんどの人が「政権が譲歩を示している」とは考えていないと思います」
「状況を左右するのは、まずは独裁政権の秘密警察の「恐怖」の強さです。中東アラブ諸国といっても、国によってその恐怖には大小の違いがありますが、シリアは最恐怖国のひとつといえます。かの国では、現在のように街頭に人々が出て「反政府」を叫ぶ光景が出現したというだけで、革命的な大事件です」
「シリアでは国民が武装していないので、反政府デモといってもみんな丸腰ですから、治安部隊もまだ本物の無差別銃撃にまでは乗り出していません。そのため死者の数は比較的低めに抑えられているのですが、公安警察「アムン」がデモ参加者を片っ端から逮捕していて、それなりにコワモテぶりを見せつけています」
「そんななか、人々は多くの町で今日も街頭行動を続けています。流れは完全に民主派勢力にあり、もうアサド政権は長くもたないと思います。ただ、軍が比較的独立色の強かったチュニジアやエジプトなどと違い、シリアの軍や治安部隊はアサド政権の私兵のような性格のものなので「反乱」があまり期待できません。その部分で、今後の見通しが不透明であることは確かです」
6日
「シリアでは首都近郊のドゥーマ、ダラア、ラタキア、ハマなどを中心に、民主化デモが続けられていて、その規模は日増しに大きくなってきています。支配層が密かに資産を海外に持ち出そうという動きも報じられています」
「民主化運動は確実に広がっているのですが、決定的に足りないのは指導者です。民主派あるいは反体制派に、まだこれといったキーマンが現れていません。アサド政権はデモ参加者を次々と逮捕する一方で、政治的譲歩の演出として比較的穏健派の釈放も進めています。こうして釈放された活動家たちのなかから、今後、活動の中心を担う人材が出てくるかもしれません」
23日
「シリアでは、金曜日の礼拝後の全国規模の反政府デモで、多数の死傷者が出たようです。これだけ反政府街頭活動が高まった勢いで、少しは軍の中から反政府派支持が出るかなと期待したのですが、アサド政権がそこはがっちりと押さえています」
「政権は弾圧姿勢を堅持していますので、今後、かなり大規模な流血の事態になっていく可能性があります。軍が完全に弾圧側に立っている状況では、エジプトやリビアのようにはいかないものと思われます。ユーチューブに流れている映像を見ると、シリア国民は本当に丸腰で反乱の声を上げ、治安部隊に一方的に「虐殺」されています。それでも人々は前進を続けます」
「そうしたシリア国内の緊迫した状況と、それを伝える国際メディアの温度差が気になります。一昨日だか、アサド大統領が非常事態令解除の大統領令を出したことで、「懐柔を図っている」などとノー天気な報道が流れていますが、おそらくシリア国内では、体制側の人でさえ「懐柔を図っている」などということを信じている人はいないと思います。反政府側にも偽情報は少なくないですが、シリア政権側がオフィシャルに流す情報はすべて嘘といって過言ではありません。なので、そういうのを報道材料にしてもしょうがないですね」
「シリアで進行していることは、独裁政権と、体制打倒を叫ぶ国民との死闘になっています。革命か、流血の大弾圧かのどちらか以外、もはや妥協の道はないように思います」
25日
「前エントリーで、シリアでのデモ弾圧を地元の人々が撮影した様々な映像を紹介しましたが、その後も非情な「虐殺」は継続していて、そうした現場からの凄まじい映像が続々と配信されています。いずれも非常に残虐で激しい映像ですが、凄まじいリアリティの映像です。これを命がけで撮影し、命がけでネットにアップした方に敬意を表したいと思います」
「3月にデモが始まったばかりの頃は、恐々と撮影している映像には、何のことだかよくわからないものも多かったのですが、最近は現地の人も上手くなって、しっかり撮影できるようになってきました。SNS内でも撮影方法の指導があって、場所や時間、状況などのナレーションを同録で録音している人も増えてきました」
「デモ弾圧に、本格的に軍が出動しているようです。首都郊外での治安部隊の弾圧は、アサド大統領の母方の従兄弟で、以前に当エントリーでも紹介した政商ラミ・マフルーフの兄のハフェズ・マフルーフ将軍が指揮しているとのことです。ハフェズ・マフルーフは治安部隊の首都エリアのトップです」
26日
「SNSによると、軍の一部に反政府側に寝返ったグループも出てきたとの情報が盛んに流れていますが、流出映像からはまだそこまでは確認されていません」
「それにしても、シリアの反政府側は、一切武装せずに非暴力デモに徹しています。じつはSNS内ではデモ当初から、過激な武装蜂起を扇動する声がありましたが、それは政権の思う壺だとして自制を求める声が多くありました」
「陰鬱な映像が多いなか、こんなシーンを発見しました。バニアスという町で、勇気ある人々が軍の装甲車の前に立ちはだかっている映像です。女性もたくさんいますね」
「他方、こんな映像も入ってきました。一連のデモが大衆レベルに広がった局面として、第3の町ホムスの中心部の広場で、2万人規模の座り込みがあったのですが、それを治安部隊と体制派民兵が襲撃したときの映像です」
29日
1週間くらい前から、南部ダラアでデモ鎮圧に動員されている軍のなかで、弾圧参加を拒否する動きが出てきたとの噂がSNS内で流れていましたが、ここ数日、アルジャジーラなどの海外メディアも採り上げるようになってきました。どうやらもともと南部担当の第5師団の将兵に反乱の兆しがあるようです」
「第5師団の主力が、マーヘル・アサド指揮下の第4師団と戦闘状態になったとの噂も流れていますが、現時点では未確認。未確認情報といえば、マーヘルが負傷したとの噂もかなり盛んに流れていますが、これは現時点では信憑性が薄いようです」
「その他にも、第1師団にも反乱の動きがあるとの噂も出ていますが、こちらも未確認情報です。いずれにせよ、反政府派SNS内では「期待」もあって、そんな噂がものすごい勢いで飛び交っています」
「希望が見えるのは、ダラアで約200人、バニアスで約30人のバース党員の集団離党があったことです。ダラアではこれまで地元出身議員の辞職もありましたが、こうした動きは萌芽だけでも独裁国家では画期的なことです」
「ただ、現時点では客観的にはまだまだ軍の大勢も政府側に留まっています。リビアのような内戦状態になる気配は今のところはありません」
「他方、これまでデモ鎮圧の先頭に立ってきた治安警察「アムン」は、あまりにフル回転しすぎたために、メンバーが疲弊し(多くのアムン要員はバスや車両でずっと寝ているとのこと)、勢力も分散したため、組織だったデモ弾圧活動がかなり鈍化してきているとの情報があります。独裁政権とすれば、忠誠度の高いアムンを前面で使うほうが安心なのですが、そういうこともあって軍を動かさざるを得ないようです。独裁政権側も確実に追い詰められつつあるわけです」
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2013/03/31(日) 15:21:13 |
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本日、テレビ朝日「報道ステーションSUNDAY」にてVTRコメントを使っていただきました。
北朝鮮の挑発ですが、アメリカが折れて“手打ち”に向かうまで、まだまだネタは準備されていると思います。
ちょっと思いつくことだと、以下。
▽全軍に1号戦闘勤務態勢を命令
▽西海で長距離砲の威嚇射撃&海上艦艇南下侵入
▽西海で軽微な対地砲撃
▽ムスダン、KN-08発射実験
▽テポドン2改の発射準備
▽4回目の核実験
▽地上部隊の移動・集結
▽金正恩が平壌を離れ、戦時指揮所に退避
対するアメリカの対応ですが、ちょっと危険なのは、北朝鮮がこのタイミングで「テポドン2改」の発射準備に入ることでしょう。米軍は座視しないと思いますね。電撃空爆もあり得るのではないでしょうか。
また、米側の圧力ですが、空母を日本海に入れるという手がまだ残っています。現在、横須賀母港のジョージ・ワシントンはたまたまメンテ中で動けませんが、アラビア海に展開していたジョン・C・ステニスが3月26日にインド洋の第7艦隊エリアに入りました。また、ちょうどメンテを終えて昨日、ワシントン州を出港したニミッツが、これからサンディエゴで最終訓練をしてからステニスの代わりにペルシャ湾に向かいますが、それを途中でまわしてくる可能性もあります。
そうなると、北朝鮮はかなりレベルの高い挑発で応える可能性があります。金正恩にまともな判断力があるなら(あると思いますが)、全面戦争は必ず回避されると思いますが、米軍が空母を動かすかどうかが、今回の駆け引き戦の山場といえそうです。
2013/03/31(日) 12:55:13 |
著作・メディア活動など
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南部からの弾薬補給が強化された影響で、ヨルダンとの国境エリアおよび要衝都市ダラアを革命軍がほぼ制圧しました。ダマスカス中心部でも攻勢をかけていて、ここに来て潮目は大きく変わってきたようです。
革命開始から2年。当ブログではその経緯を、主に反体制派からの視点でフォローしてきましたが、自分が何を書いてきたか、順にまとめておきたいと思います。
2011年3月6日
「ちょっとまだ第一報なので、正確なところはわかりませんが、シリア南部のヨルダン国境に近いダラアという町で反政府抗議行動があり、多数の若者(そのほとんどは15歳以下の子供だそうですが)が逮捕されたとの未確認情報が入りました」
18日
「これまでほとんどデモがなかったシリアで、14日から小規模なデモが発生していることです。今のところデモ参加者も数十人~150人程度で、警官隊に簡単に排除されているくらいですが、今後の展開が注目されます」
19日
「シリアではここ数日、小規模なデモが続いていて、アラビア語ネット上では18日の金曜日の礼拝後のデモ参加を呼びかける書き込みが多く見られました。それでどうなるかなと思っていたのですが、いよいよ始まりました。ヨルダン国境に近い南部のダラアで、少なくとも3000人が民主化デモに参加し、治安部隊の発砲で4人が死亡、多数が負傷したことが国際メディアで確認されました(ネットでは6人死亡と流れています)」
「ある中東筋の情報源から、ちょうど30分ほど前に、デモ隊のひとりが射殺されたときの映像と称する映像がユーチューブにアップされたことを教えていただきました」
「追記⇒つい今しがた現地から某ネット・コミュニティ経由で入った情報によると、ダラアでは犠牲者の追悼集会で住民と治安部隊が全面衝突し、治安部隊が町の外に引き揚げた模様。注目される情報は、その際に治安部隊は催涙弾は使用したもののの、実弾射撃で住民を殺戮することはしなかったらしいです。これはひょっとしたら、ひょっとするかも、です」
22日
「ダラアで反乱勢力が町の中心部を奪取し、アサド大統領の肖像画を燃やしたりしているとの情報があります。また、他の町にも反政府デモの動きがどんどん飛び火しています。こちらはまだまだ反乱の動きは小さいですが、確実に裾野が拡大しつつあります」
「民主派は現在、首都郊外エリアで散発的な集会を組織するところまで来ましたが、なかなか首都中心部での大規模街頭行動までこぎつけられません。それをいかに仕掛けていくかというところで試行錯誤しているのですが、その様子が逐一伝わってきます。また、アサド体制を支えてきたといわれるアラウィー派(イスラムの少数派で、アサドら体制幹部の主流派)の中にも、民主化運動が生まれてきています」
23日
「シリア南部の反政府デモはさらに混乱を深めています。ネット・コミュニティの未確認情報によれば、ダラアには最精鋭部隊の共和国防衛隊が投入されたとのこと。これはバシャール・アサド大統領の実弟のマヘル・アサドが指揮する部隊ですが、デモ鎮圧と同時に、現地のシリア軍内の寝返りを牽制するためという意味もあるのでしょう」
「現在のシリアのアサド体制というのは、アサド大統領自身はその地味な性格もあって、それほどイニシアチブをとっているわけではありません。秘密警察を牛耳るアシフ・シャウカト(アサド大統領の姉の夫)が政界を掌握し、ラミ・マフルーフやフィラス・トラスら2世「太子党」たちが、国家を私物化する勢いで経済界を牛耳るという構図になっています」
25日
「シリアの民主化運動のSNSに参加してみると、どこよりも早い速報(信憑性は担保されませんが)がどんどん入ってくることは前述しましたが、昨日あたりからまたいっきに増えてきました。ネット上ではもう革命前夜の勢いです」
「ダマスカスの中心部で、ついに反政府デモが開始されました。ダマスカス旧市街の有名なアル・アマウィ・モスク内部で、礼拝者たちの集団が「シリアに自由を!」と叫んでいます」
「アレッポからも、つい先ほどの新しい映像が出ました。こちらも有名な大モスク内部ですが、隠し撮りで、しかも短い映像なので、何が起きているのかはっきりとはわかりません。男たちが殴り合いしていますが、説明文によると、反政府デモを秘密警察が襲撃した模様です」
26日
「本日、シリアの反政府デモは全土に広がりましたが、治安機関アムンが強引に抑えこんでいます。各地でそれぞれ数名の死者が出たとの声がSNSに集まっていますが、確認がとれません。なかには、アラウィ派の本拠地である西部地中海沿岸地方のラタキアでもデモがあり、死者が出たとの未確認情報があります」
「また、先ほどSNSで、今回のシリア騒乱の発火点となった南部ダラアで、治安部隊が本格的にデモ鎮圧に乗り出したとの報告が書き込まれました。すでに前日までに推定100人超が殺害されていますが、書き込みではそれをはるかに超える大虐殺が進行中と記されています。SNSの匿名書き込みなので、信憑性が担保できませんが、今回、SNSに参加した印象では、偽情報は意外と少ないと思います」
「シリアの反政府運動はいまだ萌芽の状態ですが、流血が各地に広がっていて、状況はきわめて流動的になってきました。今後、いっきに政権転覆へということになるかもしれません」
「シリアでは反独裁運動のリーダーがまったくいません。他の中東各地での民主化運動の高まりを受けて、▽SNSでデモ呼びかけるも不発⇒南部ダラアで少年たちが反政府運動のイタズラ⇒治安機関が弾圧⇒住民怒る⇒さらに弾圧⇒大規模デモ⇒弾圧で死者多数⇒SNSで情報伝わる⇒他の町でも抗議運動⇒弾圧、という流れでここまで来ました。あまりにも長いあいだ独裁が続いていたので、反乱側も弾圧側もどうしたらいいのかよくわからず、当初は手探り状態でしたが、いったん流れが出来れば、あとはいっきに動くことになったわけです」
「現在のアサド大統領やアシフ・シャウカト陸軍副参謀長ら政権中枢は、父ハフェズ時代の古参幹部をほぼ一掃しており、流血で権力を築いてきた父親世代とは違いますから、カダフィのように徹底抗戦するかどうかはわかりません。性格的にもっとも強硬派なのは、大統領の弟のマヘル・アサド共和国防衛隊司令官です。さらなる流血騒動へエスカレートするかどうかは、この人物がカギを握っています」
「いずれにせよ問題は、この国では権力がアサド家とその取り巻きに集中していたので、政治家にも軍部にも有力な〝次期指導者〟がまったくいないことです。反政府陣営でもっとも実力があるのは、先代のハフェズ・アサド大統領の弟で、最大のライバルでもあったリファアト・アサド元副大統領ですが、シリア国内ではものすごく評判が悪く、民主派とは相容れません。
その他には、海外亡命中の有力政治家にアブドルハリム・ハッダム元副大統領がいますが、この人物も国民人気はさっぱりです。シリアの反体制派としては、伝統的にモスレム同砲団とクルド人組織がありますが、これも両者ともマイノリティで、国内の影響力は非情に限定的なものです。イランと関係が深いシーア派のグループもありますが、やはり同国では特異なマイノリティにすぎません」
「つい今しがた、シリアの駐インド大使が抗議辞職という未確認情報がSNSで流れました。政権内部から今後、どういった人物が離脱するかというのも注目されます」
「若者がハフェズ・アサド前大統領の肖像画にしがみつき、破きながら足で蹴ってます。シリア人にとっては、衝撃的な映像のはずです。私も同国は何度か行ったことがありますが、あちらの感覚ではとてつもなく恐ろしい行為になります。北朝鮮で金日成の肖像画を蹴っ飛ばすのと同じようなものです」
27日
「ラタキアで大規模な反政府活動が続いていて、アサド政権側の治安部隊の銃撃で多数の死傷者が出ているという情報が複数届いています。ラタキアはアサド政権を支えるアラウィーンのエリアですが、じつは特権を享受しているアサド派だけでなく、そこから弾き出された人々も結構いるようです」
「南部のダラアから未確認情報。軍の部隊が街から公安警察(アムン)を排除したとの情報があります」
「シリア民主化運動のSNSでは、このところひとつの動きがあります。スンニー派イスラム過激派による好戦的な書き込みが増えて、それに対する反発も集中するようになってきました。とくに、「アラウィ派がスンニー派を殺害している」などという書き込みがときおり出てきますが、そういう場合はすかさず「そういうデマを流すな」との反発が殺到します」
30日
「中東諸国では、目の前の「金儲け」が何よりも優先します。多くの国で、豊富な海外経験でITに馴染んでいる独裁者2世たちが、インターネットや携帯電話の利権でボロ儲けするようになります。産油国以外はたいした産業基盤のないこれらの国々で、国内のIT企業は瞬く間に国内有数のビッグビジネスとなり、「情報統制国家なのにネットも携帯もフリーダム!」という状況になっていきました。
今回の民主化運動は、そうした状況で必然的に生まれてきたのだと思います。誰だって「独裁者にビビりながら生活し、特権階級のやつらがボロ儲けしているのを指をくわえてみている」のは不本意なわけです。よく言われる「格差が広がったから」とか「低所得者が増えたから」などというのは、後付けの理由なのではないかなと思います。
おそらく、民主化要求を受けている独裁者の側は、なぜ今、自分たちが反乱に直面することになったのか、よくわからないのではないかなと思います。これといって、急に酷いことをしたわけでもないからです。たとえばシリアのアサド大統領などは、父親世代のガチガチの恐怖体制をだいぶ是正したのだから、自分は改革者だとたぶん本気で考えています。独裁と情報化社会は両立しない⇒情報化は止められない⇒独裁はもうもたない・・・という歴史の必然が、多少は紆余曲折はあるでしょうが、中東で進行しているのではないかなという気がします。これはかつて「情報統制社会」だった国々が通ってきた道と本質的に同じではないかなと思います」
31日
「アサド大統領が久々にテレビ演説し、事実上なーんにも身のある内容を話さなかったことで、民主化運動系のSNSでは、明確に「アサド体制打倒」への呼びかけが噴出しています。
ただし、秘密警察・公安警察が怖いシリア国内、とくに首都ダマスカスで人々が勇気を持って街頭行動に出るかどうか・・・。ネット内での威勢のいいコメントと、リアル世界での「行動」はまた別物ですから、これはどうなるかまだわかりません。
いちおう明日の金曜日、礼拝の後に大規模街頭行動が呼びかけられているので、それが成功するかどうかが運命に分かれ道になるでしょう。当局側も当然、それはわかっているので、かなり強権的な締め付けが予想されます」
(以下続く)
2013/03/30(土) 16:37:18 |
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▽南北関係は戦時状況に突入=北朝鮮が声明発表 (聯合ニュース)
いろいろな言葉を出してきますね。今度は「戦時状況」だそうです。
声明ではこれまでと同じような勇ましい文言が並んでいますが、要するに、自分たちは核抑止力を得たのだから、なめるなよとのアピールですね。とにかく金正恩は、自分たちが「核ミサイルを手にした」ことを対外政策の出発点にしていきたいということでしょう。
こうした声明は今後も日々発信されるでしょうが、言葉上のものであるかぎり、さほど気にすることもありません。
問題は、昨日も書きましたが、金正恩が全軍に号令をかけ、実際に部隊の移動・集結などが本格的に始まるようなときです。そうなると米軍も傍観はしませんから、本格的な軍事的圧力に入らざるを得なくなります。となると、金正恩も振り上げた拳を下すわけにもいかなくなり・・・といった事態が最悪の場合、考えられます。
金正恩は、核抑止力を得た北朝鮮に対し、アメリカが軟化してくるとの読みだと思うのですが、アメリカも力の信奉者ですから、逆効果な気がします。
2013/03/30(土) 12:12:25 |
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米軍のB2に恐れおののいて、北朝鮮がまた“口撃”に出ました。
戦略ロケット部隊に「射撃待機状態」命令を出したそうです。これは字句どおりに解釈すると「核ミサイルを即時発射できるように準備」になります。北朝鮮は最近、戦略ロケット軍という中国軍の第二砲兵のような組織を立ち上げたようなので(詳細は不明ですが、スカッドやノドンなどを運用するのでしょう)、そこに指示を出したということでしょう。
標的は「米本土とハワイ、グアムをはじめとする太平洋作戦戦区内の米戦略軍基地、南朝鮮(韓国)駐留米軍基地」だそうです。また在日米軍を言い忘れています。北朝鮮からみれば、脅威度がそれだけ低く、眼中にないということですね。
すでに「一号戦闘勤務態勢」を出していますが、それにこれを加えたということは、「位置について!」⇒「ヨーイ!」まで来たということです。
しかし「ドン!」は、やりません。まあ対米向けの口撃です。
アメリカも北朝鮮締め上げ政策を継続しますが、いっきに圧力をかけて追い詰めるまでやるかどうかといえば、現時点ではそこまでは考えていないと思います。
今回の騒動は、北朝鮮の核・ミサイル実験が発端です。それに国連安保理で制裁決議が採択され、北朝鮮包囲網が敷かれたのに対し、その打開を図るためにさまざまな口撃を繰り返して今日に至っています。
特徴的なのは2点。
▽言葉ばかりで、具体的な本格的軍事行動には動いていない⇒米韓軍の戦闘態勢を誘引したくない
▽毎年恒例の米韓軍事演習に今年だけ執拗に噛み付いている⇒核武装を「自衛」ということにしたい
ということかと思います。
今後、仮に全軍に戦闘準備が命令され、予備役が召集され、戦闘部隊が前線に移動・集結し、補給の準備も始まり、金正恩が地下に潜ったりしたら要警戒です。米軍も空母をはじめ戦力の大幅増員をかけるでしょうし、そうなると非常に危険な状況になります。
現時点では北朝鮮もアメリカもそこまでは考えていないでしょう・・・というのは具体的な両サイドの軍の動きからの推測です。
(追記)
▽北朝鮮のミサイル部隊で活発な動き=韓国軍消息筋 (聯合ニュース)
いきなり米韓を攻撃するということはないですが、それよりも、いよいよムスダンかKN-08の発射実験が行われる可能性はあります。おそらく日本の上空を通過することになるので、また大騒ぎになるかも。
2013/03/29(金) 12:04:56 |
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「なし崩しの核武装既成事実化とさらなる核・ミサイル実験を続けたい北朝鮮」と、前エントリを投稿した直後、こんなニュースが・・。
▽Two B-2 bombers flew over South Korea today, demonstrating the US’s ability to conduct precision strikes at will
(https://twitter.com/usembassyseoul/status/317148090576543744/photo/1)在韓米国大使館ツイッター
▽U.S. B-2 bombers conduct extended deterrence mission to the Republic of Korea
(http://www.usfk.mil/usfk/Article.aspx?ID=1041)同プレスリリース
「北朝鮮の挑発にアメリカが乗ってこない」というような分析記事も散見しますが、先般のB52の出動といい、局地戦参加計画の合意といい、北朝鮮側の「口だけ」に比べて、アメリカのほうが行動をともなうずっと重量級の脅しに出ていますね。
圧倒的な軍事力をチラ見させる(大規模戦闘準備はやらない)。でも、手は出さない・・・もっとも効果的な対処といえます。
2013/03/28(木) 15:21:54 |
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本日、TBS「朝ズバ」にてスタジオ出演させていただきました。時間がなくて言えなかったことを補足。
金正恩政権の身になって考えてみますと、彼らが今いちばん狙いたいことは、「核武装のなし崩しの既成事実化と、今後の核・ミサイル実験継続へのフリーハンド」ですが、そのために今のような口喧嘩を過熱させてどうしたいのか?と考えてみます。
アメリカの出方次第ですが、仮にアメリカが「北朝鮮もどうやら中距離核ミサイルを持った」と考えてくれた場合、実際に戦争になっては米韓側も困るだろうから「国際社会での非難がフェードアウトし、核ミサイル武装がなし崩しに既成事実化する」ことが期待できます。パキスタンのような立場になって、このままずるずると核ミサイル武装強化(要するに対米本土核戦力を持つこと)を追及できる環境が出来るかもしれないとの期待です。
逆に、アメリカ側がさらに軍事圧力を強める・・・たとえば先に局地限定で手を出した(出してくれた)場合、北朝鮮は「アメリカに侵略された」と声高に主張し、自衛手段との名目で、さらなる核・ミサイル実験に結びつける口実になると期待できます。
となると、北朝鮮は、自分から実弾を発射しないかぎりにおいて、どちらに転んでも現在の四面楚歌状態を脱する突破口となると考える・・・・そんな理屈が国際社会で通るとも思えませんが、北朝鮮がそう期待している可能性はあると思います。
2013/03/28(木) 13:59:14 |
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一時膠着状態が続いていたシリア情勢ですが、また若干動きつつあります。
もともと革命軍が優勢だった北部と東部に加え、南部でも攻勢をかけています。大雑把にいえば、周辺部で革命軍が勢力を固め、アサド軍優勢の中心部を包囲するかたちになりつつあります。
また、ダマスカスでもアサド政府中枢部まで攻撃の手が伸びてきました。これはアサド側に与える心理的効果が大きいですから、さらなる離反が期待できそうです。
数日前のニューヨーク・タイムズが、CIAの革命軍秘密支援の記事を掲載していましたが、おそらくカタールとサウジが進める武器支援と、CIAなどの西側インテリジェンスによる戦術レベルでの訓練および情報面での支援が大きな役割を果たしているのではないかなと思います。
反体制派の暫定政権をめぐる内紛が勃発していますが、以前も書いたように、シリア情勢は国際報道で注目される政治的な動向はほとんど関係なく、現実には革命軍の武装レベルで事態が決まっています。まさに「事件は会議室で起こっているんじゃない! 現場で起きているんだ!」ということですね。
オバマ政権は英仏などと違い、自身による直接の武器供与は否定していますが、CIAのさらなる働きに期待します。
2013/03/27(水) 10:10:24 |
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北朝鮮がまた“口撃”に出ました。
「戦略ロケット軍部隊を含む全ての野戦砲兵軍団が『一号戦闘勤務態勢』に入った」そうです。
韓国、在韓米軍に加え、ハワイ、グアム、米本土の米軍も攻撃目標だそうです。在日米軍は言い忘れたのでしょうか。
今のところ、北朝鮮軍に特異動向はないので、“口撃”の段階です。これで北朝鮮軍がホントに動き出せば、米韓軍も対応態勢に入るので(空母の移動、空軍増派、陸軍増派など)、いっきに緊張が高まることになるでしょう。現時点では北側にそういう具体的動きはないので、今のところは単なる心理戦の段階です。
なお、「一号戦闘勤務態勢」というのは初出の用語で、その意味するところが不明です。以前は党・勤労団体組織が「戦闘動員態勢に入った」とも発表していますが、それも実態はまだまだ戦争準備という規模ではないので、その意味するところは不明です。次は「祖国防衛戦闘態勢」「最高敵殲滅態勢」とか出すのでしょうか。
ところで、昨日、TBS「ひるおび」VTRコメントを採用していただきました。北朝鮮軍の宣伝映像の解説でした。あれも心理戦の一環ですね。
また、一昨日発売の『週刊現代』の記事「中国と日本 宿命の対決」と、昨日発売の『フラッシュ』の記事「森本敏前防衛相『日本は今こそ巡航ミサイル配備を』」にコメントを採用していただきました。
ところで、日本の巡航ミサイル武装についてちょっと考えてみたのですが、実際に戦争になったとして、核ノドンを事前に発見して巡航ミサイルで破壊することは、よほど北朝鮮軍がマヌケでもない限り不可能です。核施設や各軍事施設を攻撃することはできますが、平時に日本が撃つことはないですし、有事となれば主なところは米韓軍が先にさっさと片付けています。有効な使い方がちょっと思い浮かびません。
ただ、日本が攻撃を受けた場合に、反撃の意思を示すということでは、戦闘機部隊の長距離渡航爆撃作戦よりはずっと容易ですし、即応性もあります。
北朝鮮側が統制不能にでもならない限り、北朝鮮が米軍の抑止力を無視して日本に核ノドンを撃ってくることはまず考えにくいですが、朝鮮有事の中途段階で、在日米軍基地を狙って通常弾頭のノドンを撃ってくる可能性は大いにあります。
その場合、日本が攻撃されたことになりますから、日本も参戦の意思表示をしなければなりません。少なくとも等価レベルの報復をする必要がありますので、そういうとき、トマホークがあれば便利かなとは思います。
F-2などでの爆撃もある程度は可能ですが、米韓軍との調整が面倒ですし、いくぶんは自衛隊側の被害の可能性もあります。通常弾頭ノドンでの日本側の被害状況にもよりますが、仮に人的被害が軽微だった場合、世論動向にもよりますが、やはり日本人は日本人被害に敏感ですから、トマホークのほうが使いやすいとは言えるでしょう。
2013/03/27(水) 08:57:41 |
著作・メディア活動など
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▽北朝鮮が挑発すれば米軍も北指揮部報復打撃 (中央日報)
米韓連合軍が、韓国軍主導の対北朝鮮局地戦(北朝鮮の挑発に対する報復)計画「共同局地挑発対応計画」を合意しました。
これまで朝鮮有事に対しては、有事となれば米韓相互防衛条約に基づき、米軍が米韓連合軍の作戦統制権をもって主体的に参戦しますが、平時の局地的な衝突に対しては、グレーになっていました。94年に平時作戦統制権が韓国軍に移譲されてからは、基本的には「韓国軍が自衛権レベルで対応する」のが原則です。
今後はこれに米軍が参加できることになります。これにいくつかのメディアが「米軍が自動介入」と報じていますが、必ずしもそういうことではないです。
大雑把に言えば、米軍は以前も今も今後も、米韓が「米軍参加」で合意すれば、参戦は可能です。以前の概念でいう「平時」も、戦闘が始まってしまえば「平時」と「有事」の区別は状況解釈でどうとでもなります。アメリカとしては、韓国軍で対処充分な局地限定戦で、自分たちの参戦を義務づけたくない(参戦するかどうかは米側の自由裁量にしたい)というのが本音ですが、センサー・システムや長距離打撃力などで米軍の戦力が有効なことも多いですし、なにより抑止力として有効ですから、今後は自動ではないですが、そこそこ初期の段階から「支援」のかたちでコミットしていくことになるでしょう。
(今回の対応計画も、米軍は支援が中心で、戦闘の正面に立つ主力は韓国軍です。在韓米軍がいきなり全面的に投入されるわけではありません)
上記記事によれば、「2010年11月23日に発生した延坪島砲撃戦の場合、韓国軍は探知装備が旧型対砲兵レーダーのAN/TPQ-36しかなく、挑発の原点を把握できなかった。また、北朝鮮地域に届く武器はK-9自走砲4門で、十分に報復できなかったという評価だった。このため双方合同参謀本部議長は同年12月8日、共同対応計画の必要性に合意し、2年余り検討した末、計画を完成した」
「まず、韓国軍に不足した探知能力が大きく向上する見込みだ。軍関係者は『延坪島砲撃戦後にグリーンパインレーダーなど対砲兵探知レーダーや無人偵察機を追加配備したが、十分なレベルではない』とし『米軍の装備を活用する場合、より円滑な作戦が可能』と述べた。K-9自走砲など延坪島・ペクリョン島、前方地域に報復のために配備した装備のほか、米側のM109A6自走砲とミサイルを有事の際に動員できるようになったのは、北朝鮮挑発の抑止という面で大きな力となる」
だそうです。
また、注目されるのは、今回の対応計画では、報復の範囲を「指揮勢力」まで含めたことです。北朝鮮軍の地域管轄の軍団・師団の司令部まで攻撃するということです。
ちなみに、米太平洋軍(ハワイ)がすでに半ば公開(メディアにリーク)している対北朝鮮戦の作戦計画は以下のとおり。
▽作戦計画5026
核施設への限定的爆撃
▽作戦計画5027
全面戦争
▽作戦計画5028
不明。限定的局地戦?(他に5027の別バージョン説、すでに放棄された欠番説もある)
▽作戦計画5029
北朝鮮動乱時の軍事介入
▽作戦計画5030
北朝鮮内部崩壊誘発
それが今回、新たに「北朝鮮による挑発に対する報復」作戦が加わったわけですが、韓国軍主導なので(つまり、平時扱いで作戦統制を韓国軍が行う)、50連番にはなってません。もっとも、いずれ戦時作戦統制権も韓国軍に引き渡されるので(15年12月に移行予定ですが、延期論が出てきています)、上記の作戦計画も組み直しとなるかと思います。
ですが、作戦計画と明文化されなくても、さまざまな局面を想定したシミュレーションはすでに行っているはずです。今回、対北朝鮮抑止力も勘案されて明文化されたわけですが、ある程度の局地戦対応の作戦は以前からあったと思います。メディアにリークされているのは、おそらく全体ではありません。
いずれにせよ、平時扱いの小競り合いでも、今後は米軍のハイテク武装が北朝鮮への報復に使われることになるでしょう。ただし、尖閣問題と同じように、米軍が必ず自動参戦ということにはなりません。結局、米軍は自己裁量で軍事政策を決定します(どこの国でも同じですが)。ただし、それが韓国や日本の国益に反するわけではありません。
2013/03/25(月) 16:06:21 |
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日本の出版業界の慣行で、雑誌記事のタイトルは編集部とくに編集長が決定します。なので、執筆者の意図と乖離することは、実は日常茶飯で起きています。
たいていの場合は、編集サイドが「もっとキャッチーに!」と、内容を超えて派手派手にすることから生じるのですが、今回はそういうのとは少々違う話・・・。
私は自分の記事をそのまま掲載していただける媒体なら、右でも左でも構わないとの考えですが、今回、明日発売の右派系論壇誌「撃論」に寄稿させていただきました。
テーマはアルジェリア人質事件で、危機管理について解説したのに加え、論壇誌ということで同事件を受けて自論を加えました。それは、今回の事件に対して、日本の世論はテロとの戦いを他人事として捉え、「巻き込まれ」ないようにはどうするかという内向きの議論ばかりが多かったことに異論を提起したものです。
編集部の方にも興味を持っていただき、それで編集部からいただいたゲラでは、記事タイトルがこうありました。
「国際テロとの血の滲む戦いを日本は傍観するなかれ」
まさに私が言いたいことを的確に汲んでいただいているタイトルでした。
ですが、おそらくそれではタイトルとしてちょっと「弱い」と感じられたのだと思いますが、本日送っていただいた現物では、タイトルがこう変更されていました。
「国際テロとの戦いで、血を流す覚悟のない日本は国家か」
・・・うーん、私はそこまで「国家」に強い思い入れはないです。どちらかというと拙稿は国民の皆様に向けて問題提起したかっただけです。
もっとも、そこまではまあいいです。ちょっと困ったのは、また別のタイトルが表紙に掲載してあることでした。
「国際テロと戦う体制づくりこそ、アルジェリア人質犠牲者への真の鎮魂だ」
おそらく編集部の方は拙稿の主張をそう解釈されたのでしょう。私の書き方が曖昧だったのかもしれませんが、そういうことは書いていません。
私は戦争やテロという人の生死に関する取材や執筆を多くやってきていますので、人の生死についてはそれなりに厳粛に受け止めています。今回の事件でテレビで呼んでいただいたときなども、かなり発言には気をつけていました。
今回犠牲になった方ひとりひとりのご事情やお考え、ご遺族のご事情やお考えを私は一切知りませんから、自論を主張するために「鎮魂」という言葉を使う考えは一切ありません。
他人様からみればつまらないこだわりかもしれませんが、表紙ということで書店などで多くの方の目に留まる機会があるかと思い、そこだけは誤解なきようここに書いておきます。
(※これは編集部の誤解によるものなので、べつに当方が不快に思うものではありません。執筆のお誘いをいただいたときから編集作業まで、『撃論』様にはきわめて正当かつ真摯にご対応いただいております)
それと、これも明日発売の別冊宝島『金正恩の北朝鮮』(高英起+李策 編著)に「核実験とミサイル発射で崩壊した日本の安全保障」「金正恩体制が強行する核&ミサイル開発の真の狙い」「恐るべき北朝鮮ハッカー部隊の実力」を寄稿しました。
▽金正恩の北朝鮮(アマゾン) 私自身もまだパラ読み段階ですが、他にも高英起さんと李策さんによる北朝鮮事情の最新情報がテンコ盛り(他に藤吉雅春さんも寄稿されています)で、お薦めの一冊です。
2013/03/24(日) 14:40:34 |
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▽「普天間」申請 移設実現へ最大の努力尽くせ(3月23日付・読売社説) 普天間の危険性を除去する確かに現実的な主張ではありますが・・・。
もう米側がどう反応するかわかりませんが、一時期アメリカ議会でも話の出ていた「嘉手納統合案」が、すっかり消えてしまいましたね。
上記社説では、こんなふうに書かれています。
「辺野古移設が、沖縄全体の基地負担の軽減と米軍の抑止力の維持を両立させるための最善策であるのは間違いない」
本当に「間違いない」のでしょうか? 嘉手納統合が実現すれば、そのほうが辺野古埋立てより良くないですか? 沖縄の方々が決めることですが。
2013/03/23(土) 02:27:16 |
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シリア国民連合がガッサン・ヒトを暫定首相に選出したことに抗議し、スへイル・アターシ副議長など幹部12人が連合からの脱退を表明しました。
この内紛劇に対する反体制派SNSの反応ですが、私の知るかぎりでは、ほぼ以下のような動向です。
▽「ヒトって誰?」
反体制派内でも、ヒトはほとんど知られていない人物です。半分アメリカ人のように受け取られているのは事実で、ヒト選出の背後にアメリカ(とカタール&サウジ)の意思を感じている人はたしかに多いです。
▽「誰でもいい」
しかし、その他の幹部も似たり寄ったりな感じで、それほど支持者が多いわけではありません。要は何でもいいから名目的な暫定政権が出来て、外国から武器が入ってくることが重要。なので、現時点ではトップは誰でもいいという意見が非常に多く見られます。
▽「辞めた連中なんかほっとけ」
辞めた副議長らも、事実上、まったく影響力はありません。なので、大勢は「そんな奴らほっとけ」という空気です。
という動向から考えると、反体制派はとりあえず現在のシリア国民連合を中心に、とりあえず既定方針どおり、ヒト暫定政権を看板に英仏&カタール+サウジからの支援受け入れとなるでしょう。
いずれこうした内紛が問題となる時期がくるかもしれませんが、アサド軍との死闘状態の現時点では、小さな問題にすぎません。
私の知人関係ではブルハン・ガリユン前国民評議会議長の人気が高いですが、SNS世論では、とにかくアサド放逐後はそうした国外活動家はオモテから退き、国内で戦ってきた革命軍や地域調整委員会の指導者、各自治組織の指導者などが新政権を形成するのが当然と考えられています。まあ、それも先の話ですが。
2013/03/22(金) 06:02:53 |
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シリア革命軍がゴラン高原方面で多くの拠点を攻略したり、ダラア県ナシリアの政府軍大隊司令部を攻略するなど、南部戦線での攻勢が続いています。ちょっと前に、ヨルダンでアメリカが自由軍を訓練しているという未確認情報が報道されたことがありますが、それと関係があるのでしょうか。
他方、注目された化学兵器使用ですが、なぜかその事実もまだ確認されていません。
米英仏は国連による現地調査を要求していますが、例によってロシアが「シリア政府の調査要求だけで充分」と反対しています。シリア政府は「独立調査団」のみの限定的調査を要請していますが、それはつまり、アサド側が調査団をアテンドする、つまり、またまたゴマかそうということですね。まあ、すべて自由に見られたら困るということですが。
現時点では、具体的な情報は御用メディアのSANAくらいで、しかも映像などの説得力のある情報がなぜか伝わってこないという不思議な現象が起きています。
2013/03/21(木) 22:38:59 |
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▽「日本も殲滅打撃圏内」 北朝鮮が米に警告 (TBS)
「アメリカは、戦略爆撃機B-52が離陸するグアム島も核搭載潜水艦が発進する日本本土と沖縄の海軍基地も殲滅打撃圏内にあることを忘れてはいけない」(朝鮮中央テレビ)だそうです。
核搭載潜水艦が発進する??? ・・・・攻撃型原潜ではなくて???
と、そんな揚げ足取りはさておき、頃合としてはそろそろ対日威嚇してもおかしくないタイミングになってきています。
では、仮に対日威嚇をやろうとするなら、どんな挑発行為が考えられるでしょうか?
まずは「サイバー攻撃」ですね。対韓国でやれるなら、日本にもやれると思います。DDoSならすぐでも出来ます。標的型でもすでにどこかに侵入している可能性もあります。
あるいは、もしかしたら弾道ミサイル発射実験をやるかもしれません。ムスダンかKN-08を、南西諸島上空を通過して沖縄よりはるか遠方の太平洋上に落とすとか。
これは挑発度がかなり高いですが、その気になればやれるのではないかなと思います。北朝鮮にすれば、対韓国では次に挑発行為をするとなると、かなりハードルの高い限定的軍事挑発にならざるを得ませんが、その点、対日だと戦争にエスカレートする危険がないだけ、ハードルは低いように思います。
2013/03/21(木) 21:41:02 |
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北朝鮮のサイバー部隊は、諜報工作機関である軍偵察総局の「第121局」が中心で、推定で3000人程度の陣容であることは、過去エントリーで紹介しました。
それに加えて、軍総参謀部の隷下でも電子戦部門がサイバー工作に携わっているとみられていましたが、本日の『朝鮮日報』が脱北者インタビューのかたちで報じたところによると、総参謀部隷下の「電子戦部隊」と部内で呼ばれている部隊があって、1万2000人がいるとのこと。これは情報としては初出です。
1万2000人というとかなりの大人数ですが、おそらく電子戦・情報戦全体を担当する部隊で、サイバー作戦に携わっている人数はその一部ということでしょう。こちらでは、サイバー戦の指揮を総参謀部情報統制センターが担当しているとのことです。
(追記)
この件に関し、本日、TBS「Nスタ」にてVTRコメントを採用していただきました。
2013/03/21(木) 14:17:10 |
著作・メディア活動など
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▽偽装脱北の女スパイ「北朝鮮当局が家族人質に強要」 (朝鮮日報)
注目すべきは、この工作機関が「軍保衛司令部」だということ。これまで対南潜入工作は軍偵察総局と国家安全保衛部がメインでしたが、軍内憲兵のような保衛司令部もやっていたのですね。
ちなみに、この女ズパイが指令を受けたのは2010年10月とのこと。保衛司令部は、晩年の金正日に取り立てられていた金元弘が司令官時代に強大な憲兵部隊として動かしてきた部隊。金元弘が2009年に軍総政治局組織担当副局長に転出してからは、軍内監視機関としては総政治局が突出し、保衛司令部の勢力は格段に落ちています。
2013/03/20(水) 16:47:30 |
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▽韓国の主要放送社と銀行にシステム障害“大混乱”…サイバーテロの可能性も (中央日報)
まだ第一報で公式な調査結果はまだですが、タイミング的には北朝鮮によるサイバー攻撃の可能性が高い気がします。
米軍が合同演習にB52を参加させたことに対し、北朝鮮側は強く反発していましたから、このまま何もやらないという選択肢はないでしょう。何かしら反撃の挑発行為をするのが北側のセオリーですが、実害を与えて米韓軍がエスカレートすることを防止しつつ、それなりにアピール度の高い“寸止め”行為として、サイバー攻撃はちょうどよかったのかもしれません。
もちろん前々から準備を進めてきたのでしょう。もちろん有事でもないのにすべての手の内を晒すことはありませんから、韓国インフラのシステムをいざとなればもっと大々的にクラッシュさせることができるのではないかなと思います。
サイバー攻撃の準備は「その力があれば、やり放題」ですから、日本のインフラも侵入されている可能性があります。
2013/03/20(水) 16:15:34 |
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▽元将校、中国女性に核情報漏らす 米当局が逮捕 (共同)
捕まった人は、59歳の元陸軍将校で、02~12年に軍の最高機密情報にアクセスできる立場にあったそうです。
この元将校は「国際会議で出会った女性(現在27歳)」と11年6月から恋愛関係になり、「戦略核の配備計画」「弾道ミサイルの探知能力」「環太平洋地域の早期警戒レーダーの配備計画」などの機密情報を伝えていたとのことです。
出会ったのが2年前ということは、当時、男性57歳で女性25歳。偏見ですが、やはりハニートラップの可能性大な気がします。カトリーナ・リョン事件のように、中国はときどきハニートラップやります。
国際会議での出会いということなので、ありがちな「プロ女性を媒介してのスパイ工作」ではなくて、最初から女工作員が身体を張ったということでしょうか。軍事情報なので、総参謀部第2部が怪しいですが。
他方、ちょうどこんなニュースも。
▽NASAの中国人研究者にスパイ容疑=帰国直前に空港で逮捕―米国 (レコードチャイナ)
中国スパイ機関のもっとも得意とする手口ですね。
そういえば、1年前にはこんな報道もありました。
▽中国からNASAにハッキング、国際宇宙ステーションの重要情報も流出の可能性―米国 (レコードチャイナ/2012年3月3日)
スパイ工作も現代では、機密資料を直接持ち出すより、サイバー・スパイのためのバックドア設置工作のほうがリスクも少なく、効率的な手法といえます。
2013/03/20(水) 16:02:19 |
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昨日お伝えしたようにアルジャジーラの女性キャスターも入っていますが、もはやシリア北部は広範囲に反政府側が押さえていて、ほぼフリーに外国人記者が出入りできるようです。
で、最近、どうもシリア北部で取材したらしい日本のメディア各社の記事を散見します。
が、クレジットはいずれもトルコ南部発。国際報道の常識では、特派員は事件の現場に迫るほど価値があるとされていますが、まさか「危険地帯に入った」という批判を恐れてのアリバイ工作なんてことはあるのでしょうか? まあ、ありそうではありますが。
そういえば、かつて戦場取材をしていた頃、契約した雑誌の名前で記者証などはとっていたのですが、取材現場ではなるべく雑誌名を名乗らず、フリーランスで通すのが暗黙事項でした。
たとえば、週刊現代のアサイメントでボスニアに入ったときも、プレスカードは週刊現代特派員として取ったのですが、隣国で会った日本の記者には「フリーですよー」と言い通したことがあります。
その取材で私は砲撃で負傷して現地の病院に担ぎ込まれたのですが、その際も話がややこしくならないように「フリーランス」で通しました。ロイターあたりに書かれると、日本で面倒な騒ぎになる可能性があったからです。こちらは九死に一生を得たギリギリの状況でしたが、そんなつまらないことを気にしている自分がおかしかったのを覚えています。
ですが結局、記事では「本誌特派員 血まみれの帰還!」とかデカデカとありました。事後だからいいじゃんというアバウトな話だったような・・・。なにか変ですが。
気になる情報。
▽シリア:「反体制派が化学兵器使用」情報相が話す (毎日)
反体制派は当然、政府軍がやったと主張しています。
どちらにせよ政治的に大変なマイナスにしかならないことなので、よくわかりませんが、今後の情報に注目です。
2013/03/19(火) 23:26:07 |
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シリア反体制派がガッサン・ヒトを暫定首相に選出しました。ヒト首相はこれから速やかに暫定政権の組閣に入ります。
ヒトは1963年ダマス生まれの技術系ビジネスマンで、数十年をアメリカで生活し、アメリカ市民権を持つ人物とのこと。イスラム関係の活動もしていたようですが、これまで知名度はなく、どんな人物か詳細はまだわかりません。イラクのアハマド・チャラビみたいな人物でなければいいのですが・・・。
ところで、「自由シリア軍」に関して興味深い記事がありました。
自由シリア軍はもともとはアスアド大佐の一派が名乗っていた反政府軍の名称ですが、その後、自警団的に誕生した反乱軍の多くが自称したため、シリア国内では反乱軍の総称的に使われてきました。
その後、ヌスラ戦線などのジハード系組織の台頭に伴い、国際メディアではイスラム系と世俗系を分けて考えるようになり、世俗系をなんとなく自由軍と呼ぶ雰囲気になっていますが、反乱軍の膨張とともに世俗派の中にもアスアド系とは一線を画してあえてそう自称しないグループも多く現れ、組織乱立に拍車がかかって、「自由軍」の範囲がなんだかよくわからない状況になっています(私も最近は反乱軍を「革命軍」と書くことが増えています)。
ということで、そのあたりの混乱を整理し、自由軍の現状について詳細に分類したのが下記記事。
▽The Free Syrian Army doesn’t exist (SYRIA COMMENT)
「自由シリア軍は存在しない」とのタイトルですが、これはなにも「反政府軍などほとんどいないのだ!」という妄想記事ではなくて、きちんと反体制派を分類しようという試みです。
抜粋翻訳したいところですが、ちょっと今は北朝鮮関連で手一杯なので、英文元記事のリンクでご容赦ください。
一方、下記はイギリスの世界最高峰の軍事情報研究機関「国際戦略研究所」(IISS)が先日発表した『ミリタリー・バランス2013年版』情報に基づく記事。
▽Syrian Deserters Cut Loyalist Troops to 50,000, IISS Says (BLOOMBERD)
IISSの調査・分析によれば、もともと22万だったアサド軍が、今では半減。アサドが信頼できるのは各特殊部隊、共和国防衛隊、第3師団、第4師団の主力だけで、実質的に5万人だとのことです。
他方、反乱軍は人数だけならもう10万人規模になっていますので(昨年12月に自由軍参謀長のサリム・イドリス准将は「反乱軍は12万人」と発言しています。誇張を差し引き、その後の3か月分を加算すると、まあ10万人弱くらいというのが妥当な数字と思います)、完全に逆転したといっていいでしょう。ただし、兵器レベルと組織的な統制はアサド軍がはるかに上手ですが。
ちなみに、今年1月の下記エントリーで、私なりのアサド軍の兵力見積を書いていました。
▽引き篭もって情報機関の報告だけ聞いているアサド 政府軍の兵力は十数万人といったところと思いますが、離反予備軍も多いので、実際に自由軍の脅威になるのはせいぜい6~8万人くらいではないかなと推測します。兵力だけなら、もう反乱軍側が優位に立っているとみていいでしょう。 それから2カ月で、IISSはさらにアサド軍に厳しい評価ということですが、妥当な分析と思います。
2013/03/19(火) 14:34:28 |
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アルジャジーラの女性キャスター、ガーダ・アウェイスさんがアレッポに入ってレポートしている件で、反体制派のSNSがけっこう盛り上がっています。
▽ダイジェスト映像 ▽アレッポ市内レポート
2013/03/19(火) 10:24:17 |
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JBPRESSに下記拙稿を寄稿。
独裁者本人か、ごく近しい側近にしかわからないことですが、金正恩政権の「思惑」なるものをあれこれ考察してみました。
▽金正恩政権が核ミサイルを開発する本当の理由~「北朝鮮の思惑」のリアリズム的分析(前篇) (追記)
フジテレビ「とくダネ」で音声コメントを採用していただきました。
2013/03/19(火) 00:58:33 |
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▽北朝鮮が威嚇 核攻撃「日本も決して例外ではない」 (産経/共同)
だそうです。
まあ、そう言うでしょう。本格的戦争を回避しつつ挑発しようとするなら、やり返して来ない日本は北にとって最適の相手です。
アメリカは防衛予算削減のなか、GBIの追加配備に素早く動いていますから、それなりに準備に入っています。米側の発言では、潜在的脅威ということで、まだ差し迫った脅威とは捉えられていませんが、脅威の可能性が存在するなら何をおいても対処する、という安全保障の基本を踏まえた対応といえます。
ところで、アメリカのメディア論壇では、「米国の核戦力強化」を主張するものがチラホラ出てきています。たとえば以下。
▽With North Korea threat looming, US nuclear disarmament has others deciding to 'arm up' (FOX/OPINION)
ここにも若干触れられていますが、「日韓の核武装の可能性」というのは、米メディアでは普通に言われる話です。ということは、以下の2点が推測されます。
①アメリカ人は日本に対する米軍の核の傘をあまり意識していない。
②アメリカ人は、日本対北朝鮮を、たとえばインドVSパキスタンのようなローカル紛争と見なしている。
日本人は北朝鮮問題は日米韓チームの問題と考えていますが、アメリカの一般国民の多くはおそらく、そんな意識はないのではないかなという気がします。むろん米政府と米国民は別ですが、米政府は米世論を最大の政策決定要素にしますから、日米同盟などといっても本当に日本人が思うほどアテになるものかどうかはわかりません。
ところで、昨日の韓国メディア記事で興味深かったのは以下。
▽北朝鮮の党幹部「張成沢が金正恩を殴りつけるだろうという話も…」 信憑性は不明ですが、注目情報としては以下。
▽強硬路線は金正恩の判断らしい。
▽朝鮮労働党の一部では金正恩に対する批判が水面下で語られている。
▽朝鮮労働党の一部では張成沢に対する期待が高まっている。
▽粛清で取り締まっていて、怖いのでオモテでは誰も言わない。
▽金正恩政権が韓国を威嚇するのは、韓国から援助を得るためだと北の国内では広く思われている。
▽穏健派と強硬派の争いということはなさそう。
▽金敬姫は病気らしい。
▽北の住民や兵士の中には、戦争になって負けたほうがいいと思っている人も少ないないようだ。
さて、上記について。
金正恩は張成沢の助言で政策を決定していると思っていたのですが、少なくとも党内にそう見てはいない人がいるということ。最上層部のことなので、真相はわかりませんが。
粛清すなわち恐怖支配の徹底は従来どおり。
私が疑問に思っている「瀬戸際外交」の「外交カード」論が、北の国民には結構信じられているようです。論理的にはおかしいと思うのですが。いずれにせよこうしたところからも外交カード論が根強く語られているようです。
穏健派VS強硬派とかの話はよくわかりません。今回インタビューしている党幹部(といってもそんなに上層部ではないと思いますが)のレベルでは、そういうふうには見ていないようです。
2013/03/18(月) 12:13:04 |
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▽英仏、武器供与で一致 シリア反体制派独自支援も (産経/共同)
シリア革命の始まりの日とされているダマスカスで最初の反体制デモが行われてから、今日で2年となりました。シリア人権監視団の集計では、犠牲者は8万人に達したようです。
この間、世界はまったく手を差し伸べてきませんでした。最大の要因は、国民を弾圧しているアサド政権を擁護するロシア政府が、国連安保理で拒否権を乱発し、独裁排除に繋がる動きをことごとく封じ込めてきたからです。シリア国民8万人(政府側犠牲者も含む)の死と、これからさらに増えるだろう死に対し、アサド大統領に次いでプーチン大統領にも「人道に対する罪」を適用すべきと思います。
独裁者の強大な権力とその暴力に対して抵抗を続けている人々の勇気と忍耐は賞賛に値しますが、とにかくそんな彼らを何とか早急に助けることが今、世界に求められています。「助け」というのは、できもしない“仲直りの仲介”などというメルヘン思考の戯言ではなく、私がかねて主張している「革命軍への武器供与」です。
普段ならこういうときに真っ先に動くのがアメリカですが、閣僚や有力議員の何人もがそう主張するなか、肝心のオバマ大統領がブレーキをかけています。
それで痺れを切らしたイギリスとフランスが動こうとしています。EUに対シリア武器禁輸解除を要求し、それが通らなければ独自に反体制派へ武器供与を行うということです。対空ミサイルなど、住宅地を無差別爆撃する政府軍機を撃墜するための兵器も含まれるそうです。
さすが英仏ですが、それも速やかに実行していただきたいものです。タテマエはもう充分ですので、とにかく現在進行中の“虐殺”を止めなければなりません。
▽ダマスカス中心部 政治保安局付近での反政府デモ (14日)
全体の人数は多くないですが、なんといってもダマス中心部の政府側支配エリアで、秘密警察がうよいよしている場所です。女性も多いですが、その勇気は感動的です。
▽戦車に撃たれる映像 (14日公開)
ザマルカです。砲塔がこちらを向いて被弾しています。
2013/03/15(金) 16:34:54 |
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▽北朝鮮軍、延坪・白リョン島を狙った砲射撃訓練 (中央日報)
労働新聞の発表です。金正恩が延坪島と白リョン島を狙った砲射撃訓練を指導したのこと。同行者は崔竜海・軍総政治局長、玄永哲・軍総参謀長、金格植・人民武力部長、金英徹・偵察総局長だそうです。この面々に、軍人だけれども秘密警察統括者になっている金元弘・国家安全保衛部長を加えたあたりが、現在の軍部実力者ですね。
とりあえず対外アピールとしては今ひとつ地味が感じですね。米韓および安保理などの今後の流れによっては、西海での対艦ミサイル発射とか、水上艦艇を南下させての小競り合い程度は仕掛けてくる可能性が充分にあるでしょう。もちろん本当の戦争にはならない程度の”寸止め”ですが。
2013/03/15(金) 15:47:05 |
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数日前に発売になった『軍事研究』4月号で、
「国策『核武装』にすべてを賭ける北朝鮮/バカにできない『核爆弾の小型化・強力化』~金王朝三代目がもてあそぶ実用核爆弾」
という記事を寄稿しました。
北朝鮮の核開発の狙いについて、とくにソウル発の報道に根拠希薄な推測分析が多いように感じるので、今回はあえてリアリズム的な視点から考察してみました。
また、挑発言動を続ける北朝鮮に関して、昨日の『朝ズバ』でVTRコメント、今朝の『朝ズバ』で文字コメントを採用していただきました。
北朝鮮の一連の挑発はおそらく、核武装をなし崩しに定着させ、今後もその戦力向上努力へのフリーハンドを得るという目的のもので、その強気の背景には、核ミサイル武装を手にして大きな対米抑止力を得たという自信があるのではないかと思います。
ところで、本日のニュース
▽移動式ICBM配備に着手 北朝鮮、米長官が証言 (共同)
上記記事の注目ポイントは2点。「アメリカが北朝鮮に対する警戒を上げてきている」ことと、「アメリカも北朝鮮のミサイル性能をよくわかっていない」ことです。
前者では、これまでアメリカの関心はイランやアフガニタンなどに集中していて、実際のところ北朝鮮問題は後回しだったのですが、北が核の小型化⇒核ミサイル武装を実現させたと推定できる状況が出現したことで、少しは本気になりつつあるということかもしれません。
そのアメリカの関心ですが、やはり屋外組み立て式のテポドンではなく、移動式発射機に載せられるKN-08です(上記記事のICBMというのも、テポドンではなくてKNー08のこと)。ですが、米上院情報特別委員会でクラッパー国家情報長官は、KN-08を「外見ではICBMだ」と証言しています。推測の元情報が「外見」だけなのですね。
現在、KN-08に関しては、「射程は推定6000km以上」と評価されています。北朝鮮から発射すると、グアム、アラスカは射程内で、ハワイが微妙なところです。「以上」ですから、もしかすれば1万キロメートル級で、米本土に届くかもしれませんが、要するにそのあたりはよくわかっていないということです。
わかっていない最大の要因は、まだ一度も発射実験を行っていないからです。なぜ発射実験をしていないのか?はよくわかりません。
もっとも可能性が高いのは、「外見上はICBM級でも、中身の実際の性能はそこまでのものではない」からというもの。もしそうであれば、まださほど警戒する必要はないですが、それも本当のところはわからないので、なんとも言えません。
あるいは、「宇宙開発という平和利用」のタテマエで銀河3号(テポドン2改)の発射を優先させているだけ、との可能性もあります。が、KN-O8がICBM級の推力であれば、宇宙ロケットにアレンジして衛星を飛ばすこともできるので、よくわかりません。
しかも、すでに北朝鮮は平和利用というタテマエをかなぐり捨て、「アメリカを狙う」と公言しています。ならば当然、実戦配備に向けて発射実験を行うと思うのですが、そこもよくわかりません。発射実験もしていないミサイルを実戦配備というのは、通常であれば考えづらい話ですが、北朝鮮は「通常」どおりの国ではないので、そこもよくわかりません。
北朝鮮は常に、アメリカに対する抑止力強化を優先させていますので、仮にICBM級の能力があれば、発射実験で実績を上げ、抑止力強化に繋げると思うのですが・・・(なので、仮に充分に性能が高いなら、近いうちに発射実験を行う可能性が非常に高いと推測されます。普通であれば、ですが)。
ところで、先月の核実験当日夜に参加させていただいたニコニコ生放送の特番が、ユーチューブにアップされていました。
▽【核実験強行】どうなる北朝鮮?どうする日本? (ニコニコ生放送)(1時間強あります)
また、ついでと言ってはナンですけど、話題はがらりと変わりますが、同じ頃にやはりニコニコ生放送で放送した映画「ゼロ・ダーク・サーティ」公開に合わせた座談会の模様も、ニコ動で見られるようになっていました。
▽『ゼロ・ダーク・サーティ』公開記念「ビンラディン殺害の真実について語ろうぜ」【PART1】 (ニコニコ生放送)
▽ 同 【PART2】 ▽ 同 【PART3】 ▽ 同 【PART4】 (以上、全部で2時間あります)
2013/03/13(水) 13:20:09 |
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▽アラブ連盟:シリア反体制派へ武器供与容認 (毎日)
アメリカが直接的な武器供与を渋っていることについて、過激派への流出を懸念していることはその通りですが、それに加えて、アメリカが前面に出て介入することで、後々批判の矢面に立つ⇒テロ標的の口実にされる、ことを警戒しているということもあると思います。
そこでまずは国連がオモテに出るべきですが、ロシアのせいで機能停止しているので、次にタテマエとして適当なのは、アラブ連盟です。なので、アラブ連盟が「シリア国民連合」を正式なシリア国民代表と認定したことと、武器供与を容認した意味は大きいです。
「権力は銃口から生まれる」とは毛沢東の有名な言葉ですが、シリア内戦の経緯をずっとフォローしてきてはっきり言えることは、状況を変えるのは「革命軍の武装レベル」以外にないということです。当初は丸腰で戦車に立ち向かった革命勢力が、やがて支配地を確保し、互角の戦いまで勢力を強めてきた経緯はすべて、革命軍にどの程度の武器が手に入ったかということと完全にシンクロしています。
とりあえずこれでまずサウジやカタールからの武器供与が拡大し、それを背後で欧米&トルコ&ヨルダンが支援するという大きな流れができるといいのですが。
2013/03/07(木) 23:11:02 |
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北朝鮮が休戦協定白紙化に続いて、「侵略者たちの本拠地に対し核の先制攻撃の権利を行使する」との声明を発表しました。
そこでいくつかQ&Aを。
Q 北朝鮮はなぜ今、こんなことを言ったのか?
A 直接的には安保理の制裁決議へのカウンターです。
Q 北朝鮮はアメリカを核先制攻撃するつもりなのか?
A 違います。アメリカ軍に対する抑止力のアピールです。
Q 北朝鮮はなぜ軍事的緊張を高める挑発をするのか?
A 本気で軍事的緊張を高めるつもりはありません。北朝鮮自身がいちばん戦争を恐れています。国際社会を牽制し、アメリカの軍事攻撃に対する抑止力をアピールしているだけです。北朝鮮にとっていちばん得なのは、自分たちの立場と要求を高めておき、将来の妥協点で少しでも有利に前進することです。
Q 好戦的な言動は国内向けではないのか?
A あまり関係ありません。国内の権力基盤確立の方策はなんといっても恐怖支配の徹底化で、現時点で金正恩政権の権力はそれなりに強固なので、基本的にはアメリカに対する抑止力のアピールです。
Q 北朝鮮はアメリカを核攻撃できるのか?
A 現時点ではできません。今回の核実験で核弾頭が完成した可能性が極めて高いので、直接狙えるのは韓国、日本、在韓米軍、在日米軍です。ムスダンが実用可能ならグアムが微妙。KN08が実用可能ならグアムとアラスカが射程内で、ハワイは微妙です。テポドン2改は屋外組み立て式なので実戦向きではないうえ、超高速飛翔用のICBM級再突入体が未完成と思われるので、実際には使えません。
Q 核ミサイルを開発する北朝鮮の狙いは、米朝協議で制裁解除を得ることと、米朝平和条約で金正恩体制保証を得ることか?
A 違います。アメリカに対する抑止力を確保することです。これは北朝鮮の国家安全保障にとって、きわめて合理的な戦略です。平和条約はその先の話で、その先には金正恩政権による半島統一があります。
Q アメリカを狙えない核ミサイルなら意味がないのでは?
A 韓国、日本、在韓米軍、在日米軍が射程内なら、抑止力は飛躍的に強化されます。
Q アメリカと北朝鮮は戦争になるのか?
A どちらも戦争は望んでいません。が、朝鮮半島のゴタゴタに北朝鮮内部の不安定化が重なれば、朝鮮半島有事の可能性が皆無ではありません。また、北朝鮮が自走式核ICBMを実用化しそうになった場合に、アメリカは軍事的圧力を格段に強化するので、そのときはまた状況が激変します。
現時点では、ざっとこんなところでしょうか。
2013/03/07(木) 22:37:11 |
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