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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

シリア大統領府への攻撃

 先ほどの前エントリーで、映像の第一報を紹介しましたが、アサド政権の中枢であるダマスカスのマッぜ地区に対する攻撃について、詳細がわかってきました。現時点ではまだクロスチェックしていない未確認情報ですが、とりあえず速報します。
 攻撃した部隊は、ダラアを地盤とする自由シリア軍南部師団隷下のウス-デル・アル・イスラム(イスラムの獅子たち)旅団。迫撃砲を使ってマッゼ地区の3ヵ所を同時攻撃したとのこと。その3ヵ所とは、大統領宮殿、マッぜ軍事飛行場、ムハバラート(秘密警察)本部だそうです。
 他方、政府軍と治安部隊がマッぜ地区で大々的な家宅捜索と逮捕に乗り出したとの情報があります。自由軍はとっくに逃げていると思われますが、協力者がいるのかもしれません。
 あるいは、携帯で撮影してネットにアップしただけの人々が拘束されている可能性もあります。住民の動揺を抑えるための示威活動という面もありそうです。

 ところで、「自由シャーム・マッゼ」というフェイスブックのページに、くだらないコラージュ写真がアップされていて、思わず笑ってしまいました。大統領宮殿を攻撃されたアサド大統領が、現場からアルジャジーラでレポート!(もちろん嘘です)
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(追記 23:06)
 攻撃場面の映像がさっそく公開されました。
▽自由シリア軍のマッゼ地区攻撃シーン
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  1. 2012/11/07(水) 19:23:49|
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「情報戦」陰謀論の罠

 昨日のエントリーで紹介した某番組ですが、ゲストのジャーナリストの方が、シリア現地取材に基づいて「中産階級は安定を望むので、アサド支持だ」と報告されていました。正確には「秘密警察の監視下にあるエリアで、日本のテレビ局ということで住民に話を聞いたら、アサド支持コメントばかりだった」ですね。
 ロシアとイランの政府系メディアのレポートも同様ですし、英『インデペンデント』のロバート・フィスク記者が政府軍同行で取材した際の「住民虐殺は反体制派によるもの」コメントも同様です。要するに、典型的なバイアス情報ということです。
 他方、反体制派エリアを取材された世界中のジャーナリストたちのレポートでは「反体制派支持ばかり」です。これも反政府軍の支配下での取材ですから、バイアス情報といえます。
(ただし、秘密警察ががっちりマークする政府側エリアと違い、諸派入り乱れて厳格な統制が確立されていない反体制派側エリアで、記者たちが住民たちの本音を見抜けないとも思えませんが)

 では、シリア全国から発信されている地元発の映像はどうでしょうか?
 私は日常的にシリアから発信される映像をウォッチしていますが、現地の群衆の生映像は、以前も書きましたが、ほとんど反政府側です。かつては政権側が動員したアサド支持デモの映像もありましたが、もうそんな余裕がないのか、まったくなくなってきています。
 住民を動員するということは、それほど容易なことではありません。逆に言えば、反体制側もデモ強制などできないということで、全土で続く反政府デモは強制されたものではないことになります。
 現在、生死の狭間で暮らす人々が叫ぶ言葉は、すべてアサド政権に対する怒りといって過言ではありません。下は、昨日のダマスカスでの反政府デモです。今の状況で反政府デモに参加するのは、どれだけ危険なことかを考えれば、参加者たちの叫びを疑う余地はありません。
▽ダマスカス市内の夜間デモ
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 11月6日。ダマスカス市内のルクネディン地区。

 上記番組ではさらに「ソ-シャル・メディアはアメリカの情報戦に使われていて、シリア政権側の情報はどんどん削除される」と解説していました。ネットが情報戦に使われているのは事実です。が、シリア政権側も情報発信の手段などいくらでもあります。実際、シリアやロシアのテレビ局レポートのコピーなどはいくらもユーチューブで見ることができますし、アサド支持サイトもいくつも存在します。「情報戦の存在」までは正しいですが、「政権側情報が発信できない」は間違いです。
 したがって、シリア国内からアサド支持の群衆の姿が発信されていないということは、そうした声が存在しないことを証明しています。
 これらの事実から、シリアの国民の大多数は反アサドであることがわかります。アルカイダばりの過激派グループであるヌスラ戦線のような存在もありますから、「必ずしも反政府軍がすべての住民の支持を得ているとはかぎらない」くらいまでは、まあ許容範囲ですが、「住民はアサド支持」などというのは情報分析として落第です。

 誰にも間違いはありますから、誤分析が報道されることも、ある程度はしかたないことですが、シリアの現実は下リンクの通りです。
▽砲撃の直後(※残虐シーン注意)
1107sr2.jpg
 11月6日。カフルバトナ

 この状況で大量殺人の首謀者であるアサド大統領を支持する立場に立つということは、「人道に対する犯罪」に加担することになることを自覚していただきたいものです。

 その他、新たな注目映像を紹介します。
▽撤退する政府軍戦車と撃たれた兵士
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 11月5日。アレッポ。自由シリア軍の攻撃で撤退する政府軍の戦車たち。並走する歩兵が撃たれています。

▽反政府軍に制圧された空軍基地
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 11月5日。アル・ゴータ・アッシャルキーエ。自由シリア軍に制圧された空軍基地の映像です。

 と、ここまで書いて、新たな映像が入りました。
▽攻撃を受ける大統領宮殿エリア
1107sr5.jpg
 他にも写真多数がネットに続々とアップされてきています。
 大統領宮殿と政府庁舎が攻撃を受けています。ウス-デル・アル・イスラム(イスラムの獅子たち)旅団の作戦とのことです。
 いよいよ本丸に迫ってきました。
  1. 2012/11/07(水) 15:20:23|
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空爆の瞬間&逃げ惑う住民

 こちらは戦闘機による空爆の瞬間
▽空爆シーン
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 11月6日。アルビン。

 他方、下は別の町ですが、政府軍の攻撃が迫り、逃げ惑う人々の姿です。国家によるとんでもない暴力のなかで生きる暮らしとはどういうものか……こちらはとくに残虐なシーンはありませんので、ぜひ多くの方に見ていただきたい映像です。
▽政府軍の攻撃を受ける町の住人たち
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 11月6日、ホウラ(ホムス)。
 こうしたシーンに対し、反米陰謀論陣営では「反政府軍のテロリストが悪い」とのトンデモ論法を持ち出しますが(本日も、とあるCSの番組で陰謀論が堂々と力説されていて、思わず脱力してしまいました)、映像を見れば明らかですが、普通のおばさんや少女たちは誰もそんなこと言ってません。大量殺人犯であるバシャールに対する憎悪の声しか聞こえませんね。
 こうした現地の人々の言葉こそ、もっとも事実を伝えるものでしょう。言葉がわからない方でも、その怒りと戸惑いは充分に伝わると思います。心の耳で、彼らの叫びを感じていただきたいと切に思います。

(追記)
 先週土曜日のエントリー「内戦か虐殺か・その2」でカフランベルのデモの写真を紹介しましたが、この町のデモを仕切っているおばあさんの紹介映像。
▽カフランベルの70代女性活動家(アルジャジーラ)
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 家族は政府軍に殺害されるか、国外に逃げるかして、たったひとり残っているそうです。こんな年齢でも、バシャール打倒の立派な闘士として頑張っています。
  1. 2012/11/06(火) 20:08:39|
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戦車が戦車を砲撃

▽戦車が戦車を破壊
(※上リンクがエラーになっていましたので、修正しました。失礼いたしました)
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 11月5日。アレッポ戦線。自由シリア軍が奪取した戦車が、別の戦車を至近距離で砲撃して破壊しました。一方的な砲撃なので、ちょっとこれだけでは事情がよくわかりませんが、いずれにせよ自由軍が戦車を使いこなしていることはたしかですね。
 前エントリーでも自由シリア軍側の戦車の映像を紹介しましたが、もう複数の町で自由軍が戦車を確保したものと思われます。
 他にも、新たにまたヘリを撃墜したとの情報もあります(まだ映像が入ってませんが)。
 自由シリア軍が各地で政府軍の基地を襲撃してどんどん武器を奪取し、軍事力が大幅に増強されてきています。航空戦力以外では、もうかなり自由軍優勢に動きつつあるようです。
 まったくのゼロから、よくぞ自力でここまで来たものです。
  1. 2012/11/06(火) 18:24:11|
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車爆弾

 筆者のシリア人の知人はすべて反政府(積極的ではない人もいますが)ですが、中には政治的な話をあまりしたがらない人もいました。秘密警察の「耳」を恐れているのですが、その人は某市の比較的政府側の強い地域の住人で、ずっと政権に対する恐怖心を強く持っていました。
 そんな人物が最近、堰を切ったように政府批判を口にするようになりました。そろそろ、これまで恐怖心からアサド擁護発言をしていた人々や、政治的発言を避けてきた人々の多くが、本音で話すようになってくる頃かと思われます。
 ところで、その人物の住居は、シャビーハ屯所から150メートル程度しか離れていません。それで空爆の心配はないと言うので、「自動車爆弾に狙われる可能性がある。その距離なら建物内ならおそらく大丈夫だが、路上にはなるべく出ないほうがいい」と伝えました。
 今後、とくにヌスラ戦線による自動車爆弾テロが頻発することが予想されます。
 こちらはハマでの攻撃です。
▽シリア:政府軍側兵士50人死亡 自爆攻撃受け(毎日新聞 2012年11月06日)
 ヌスラ戦線の場合は自爆ですが、一昨日にCNNが伝えていたところによると、自由シリア軍も無人リモコン遠隔操縦車を自動車爆弾用に開発したそうです。

以下、本日の発信映像
▽反政府軍
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 11月5日。ドゥーマもしくはデルゾール(なぜか両地名が書いてある)ですが、風景からするとおそらくデルゾール。

▽反政府軍が戦車奪取
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11月5日。反政府部隊「アル・カーカー旅団」がアル・マヤディンの政府軍戦車部隊を襲撃し、戦車をゲット

▽殺害された少女
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 11月4日。ドゥーマ。戦闘機による爆撃で死亡。

 下は写真のみ。11月5日、ホムスにて死亡。左が元気だった頃。
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  1. 2012/11/06(火) 10:03:22|
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爆撃直後の惨状

▽戦闘機による爆撃の直後(※流血のシーンがあります)
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 11月5日。イドリブ県カファナブル。戦闘機による爆撃の直後の映像。かなり大規模な爆発で、凄まじいとしか言いようがありません。
「戦闘機2機による爆撃」か「戦闘機による2発の爆弾」かがよくわかりませんでしたが、あまり市街地上空で2機編隊で飛行することはないので、後者ではないかなと思います。
  1. 2012/11/05(月) 21:33:24|
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パレスチナ・ゲリラ組織の一断面

 数日前、PFLP-GCについて言及したので、パレスチナ・ゲリラについて個人的な見聞を補足します。
 28年前のダマスカスでの初難民キャンプ訪問時、アル・ヤルムークで話を聞いたのは、「ファタハ」の反主流派の人々でした。パレスチナやレバノンでは、似たような紛らわしい組織名が林立していることもあり、しばしば正式な組織名がよりも「親分の名前」で呼ばれています。
 それで、アル・ヤルムークを当時仕切っていたのが、アブ・ムーサ派。ファタハから主流派のアラファト派をシリア政府と一緒になって追い出したグループです。後に「ファタハ・インティファーダ(蜂起派)」と名乗りますが、あまりその呼称は浸透しませんでした。
 アブ・ムーサ派の人々はそのとき、もっぱらアラファト批判をずっと話してくれました。当時、漠然と「アラファトはパレスチナ人の英雄なのだろう」と想像していたので、ちょっと新鮮な驚きでした。
 もっとも、今考えれば、彼らはシリア工作機関の配下だったので、彼らはシリア工作機関の代弁しかできないポジションにいました。シリア工作機関は彼らにとっては何よりも恐ろしいものですから、それはしかたないのことです。ですが、当時の私はそんな事情はまったく理解できず、「そうかー、アラファトってそんな悪い奴なのかー」などと漠然と感じていた記憶があります。
 その後、何度かパレスチナでガザや西岸地区を訪れましたが、90年代以降でいえば、やはりガザではハマス、西岸ではファタハに会うことが多かったですね。といいますか、私はその2大組織の取材ばかりしていたので、自然にそうなってしまったということですが。
 他の諸派の存在は、それよりもレバノンでよく見聞しました。
 たとえば、20年来の旧友が住んでいたシャティーラ難民キャンプを訪問した際、旧友の家族・ご近所さんや友人たちが大勢集まって、珍しい東洋人の珍客を歓待してくれたのですが、そこで会った男たちが普通にこんなことを言うのです。
「俺はファタハ」
「あ、俺はPFLP」
「えーと、俺は今、何だったかな? あ、たしかDFLPだ」
「俺は昔はアラファトのとこにいたんだけど、その後、アブ・ムーサ派に行って、今はハマス」
「そうなの? 俺はPFLPからアブ・ニダル派に行って、その後、ジブリル派(PFLP-GC)にいるよ」

 彼らは普段は軍事訓練はおろか、組織活動はほとんどやっていないので、本人たちにもあまり自覚がないのですが、多くの男たちがどこかの組織に籍を置いていて、しかも結構気まぐれにあちこち転籍していました。
 しかも、たまたま遊びに来た外国人に、世間話のようにあけすけに語ります。私は、こうした組織は鉄の掟があって、しかも互いに激しく対立しているものとの先入観があったのですが、末端はもっとずっといい加減なもの(悪い意味ではなくて)なのだと知りました。もちろんそれがすべてではないでしょうが、パレスチナ・ゲリラ組織の一断面には違いありません。
 もっとも、中には何人か、「なんで外国人ジャーナリストがいるんだよ? スパイじゃねえのか?」といった猜疑心をあらわにしている人もいました。過去に何かやらかしたのかもしれませんが、もちろんそんなことは話してはくれませんでした。
 その後の取材で、レバノンでも難民居住地によって各組織の勢力関係が違うことも知りましたが、シャティーラほど大きな難民キャンプになると、要するにほぼすべての組織が入り込んでいたということです。

 余談ですが、シャティーラ難民キャンプでは、外国人の住人にも何人も会いました。ロシア人女性です。キャンプの若者たちがロシア留学した際に知りあって結婚した嫁さんたちです。
 パレスチナ難民には、海外経験者が非常にたくさんいます。出稼ぎ経験者も多いですし、留学経験者もそこそこいます。親族の誰かが、湾岸産油国、ヨーロッパ、ロシア、アメリカに住んでいるという例はたくさんあります。べつに組織のルートで渡航するのではなく、基本的には親族・友人のコネです。
  1. 2012/11/05(月) 10:42:41|
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今日も殺され続ける子供たち

 いつもと同じように、昨日もまた子供たちが殺されました。
▽政府軍の無差別攻撃で殺害された子供たち
 11月3日 ザマルカ。
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  1. 2012/11/04(日) 11:51:44|
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ヘリから爆弾投下&ロケット弾ポッド再利用

▽アサド軍のヘリから爆弾投下シーン
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 アルジャジーラがアサド政権側の著名な政治評論家シャリーフ・シャハーデに電話インタビュー。「爆撃は正しくテロリスト限定標的で、一般国民は殺害していない」と強弁。まあそう言うのが役目なので、しょうがないですが。
 背景に、政府軍がヘリから爆弾を人力で投下するシーン。シャハーデ氏はこれにも「シリアの映像かどうかわからない」と言ってますね。
 ちなみに、このユーチューブ動画は反体制派がシャハ-デ氏をおちょくるためにアップしたもの。シャハーデという名前をシャハータ(サンダル)に引っ掛けて、顔面をサンダルマンにイタズラ加工してます。まあ、そんなに面白いとも思えないのですが・・・。

▽反政府軍のロケット弾ポッド再利用カー
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 航空機用のロケット弾ポッドと思うのですが、ピックアップトラックの荷台に固定して自走ロケット弾発射カーにしていますね。ちょっと撃つとき危ないですが。
▽別カットその1
 今度は安全。
▽別カットその2
 ほぼ真後ろから撮影してます。
  1. 2012/11/04(日) 10:57:26|
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内戦か虐殺か・その2

 一昨日のエントリーで、シリア国民の間で「これは内戦ではなく、アサド政権による虐殺だ!」との声が高まっていることを紹介しましたが、そんな写真。
1103SR1
 日付間違ってますけど、言いたいことは伝わりますね。

 ところで、政府軍による無差別砲爆撃で毎日「虐殺」が続けられているなか、まだ人々は街頭に出て、声を上げ続けています。この声が世界中に届き、彼らを救う道が開かれますように。
▽街頭デモ(11月2日 カファルジータ)
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  1. 2012/11/03(土) 13:02:17|
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尖閣&オスプレイ

▽中国、共同管理へ定期協議要求 尖閣で方針固める(共同通信)
 ロシアとの北方領土問題もそうなのですが、日本のメディアは「外交筋」を鵜呑みにしすぎな気がします。それも公式発表でない「見通し」「心証」みたいな話に。
 外交交渉が進んでいるかのような報道は今後も続くでしょうが、その間に「尖閣海域は中国公船の活動エリア」が普通のことになっていくでしょう。

▽在日米軍:オスプレイ本土訓練通知 「怖い」市民ら不安 知事「いきなりとは何事だ」 /静岡 毎日新聞 2012年11月03日
 すっかり「オスプレイは他の航空機より格段に危険」という虚構が前提の記事になってしまっていますね。そんなこんなで多数の国民が「危険な米軍機が自分たちの頭上を我が物顔に飛び交っている」と信じ込んでしまっているなら、もうずっとこんな感じで進んでいくのでしょう。
  1. 2012/11/03(土) 12:59:10|
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アメリカがシリア反体制派強化へ

 アメリカが本格的にシリア反体制派のテコ入れに動くようです。
▽シリア国民評議会は「明らかなリーダーではない」 米国務長官(11.01 CNN日本版)
 アメリカは国民評議会を見限り、国内で活動する反体制派を中心として、新たな反体制組織を創設し、そこを直接、強力に支援していこうということです。
 これには2つ理由があって、ひとつは、海外亡命者メインだった国民評議会の役割がすでに終わったということでしょう。
 かつては国内の活動はすべて地下活動だったため、どうしても表立った政治活動は海外を拠点にせざるを得ませんでしたが、いまや国内に広く反体制派が勢力を拡大していますから、実質的な活動能力のある勢力に主導権をバトンタッチできるようになってきたということがあります。
 それはもちろんそちらのほうが効果的ですから、当然の措置といえます。それにシリア反体制派は諸派が林立し、海外亡命者中心の国民評議会ではまとめきれませんから、その点でももう国民評議会は活動の中心から一歩下がることが求められます。
 もともと国内で熾烈な戦いを日々繰り広げている自由シリア軍の現地部隊では、国民評議会などほとんど歯牙にもかけられていませんでしたから、その点でも国内勢力の結集とその統合・調整はベターな措置といえます。
 自由シリア軍も、現在は創始者のアスアド大佐が主導権を握っていますが、実際にはアスアド司令官の影響力はたいしてありません。アスアド派以外の諸部隊も含めて、国内部隊の再編成が望まれます。

 もう1つの理由は、イスラム過激派外しです。国民評議会はモスレム同胞団の影響力が強かったので、それを排除したいということもありますが、アメリカとしてはそれよりとくにアルカイダばりのサラフィスト勢力を外し、民主的世俗派を中心とした統一反政府運動を形成することで、将来のアサド後の混乱を避ける目的があります。

 私は、アサド政権を一日でも早く打倒するには、アメリカの支援を得ることが断然有利だと考えているので、このプランはアリだと考えています。
 実質的な活動能力のある各地域の(デモ)調整委員会と各反政府軍勢力を中心に、イスラム過激派を排除するかたちで反体制派組織が統一され、欧米からの軍事支援が大々的に入るようになれば、アサド打倒の近道になると思います。

 この件に関し、シリアの知人を話してみましたが、概ね私と同じ考えでした。ただし、どうも聞いてみると、必ずしもそうした考えの人ばかりではないようです。
 アメリカが取り仕切る今度の反体制派組織の主導権は、アメリカが指名した反体制派リーダーたちが握ることになりますが、シリア国民の間では、どうもアメリカ主導の動きすべてに反対する意見が少なくないとのこと。というのも、昨年の蜂起以来、彼らの中には「アメリカは自分たちを助けてくれなかった」という被害者意識が非常に強くあって、「アメリカはどうせ自分の利益しか頭にないのだろう」との不信感が根強くあるらしいのです。
 冷静に考えれば、たとえアメリカに不信感を持っていたとしても、アメリカの支援を得るほうが断然有利なのは明白ですし、それをわかっている人もいるようなのですが、まるで悪夢の中にいるような感覚になっている一般市民には、かなりシニカルな考え方になっている人が多いことも事実なようです。
 なかなか難しい局面ですが、ここは非常に重要なところなので、速やかな反体制派の再編とアメリカの本格介入を私は期待しています。

 ところで、下はウガリット・ニュースのサイトで配信されたアラウィ派の離脱将校マゼン・ファウワズ少佐の戦死を伝える写真です。こうした勇気ある人は、シリアにはたくさんいます。
 いまだに「シリア反体制派は外国人のテロリスト」とのシリア政府のプロパガンダに誘導された誤った論調を散見しますが、こうした方々の死に対し、著しく礼を失することだと気づかないのが不思議です。
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  1. 2012/11/02(金) 12:13:00|
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シリアとパレスチナ

 ダマスカスのアル・ヤルムーク(パレスチナ難民居住区)で、「アサド政府軍&PFLP-GC」連合軍と、「自由シリア軍&地元パレスチナ人自警団」連合軍の戦闘が発生しています。
 アサド政権は先代からパレスチナ・ゲリラの一部を支援していましたが、今回、こうして極悪政権ぶりが露呈したことで、パレスチナ人社会にも影響を及ぼしています。
 とはいえ、シリアの実情をよく知っているパレスチナ人の世界では、ほぼすべてが反アサドに転じています。ハマスの指導部もすでにダマスカスを去り、カタールなどに移っています。
 アル・ヤルムークでも昨年の早い段階から、難民たちは反政府側に転じていて、アサド政権軍の攻撃をたびたび受けてきました。しかし、アル・ヤルムークでそれなりに幅を利かせているPFLP-GCが、アサド政権の傭兵として動いています。
 もっとも、PFLP-GC(パレスチナ人民解放戦線総司令部派)は、もともとシリア秘密工作機関の下部組織でした(だからアル・ヤルムークでも勢力があるわけです)。司令官のアハマド・ジブリルも元はシリア軍将校です。なので、PFLP-GCをパレスチナ・ゲリラと定義するのは正しい認識ではありません。
 こうした例は他にもあって、たとえばファタハのアブ・ムーサ派もシリア工作機関の下部組織でしたし、かのアブ・ニダル派も一時はサダム・フセインの傭兵のような存在でした。
 かようにパレスチナ・ゲリラなどというものには、外国勢力がウラで糸を引いている怪しげなものが少なくなかったのですが、興味深いのは、そんな傀儡傭兵パレスチナ・ゲリラを素直に「パレスチナの大義」とか信じてきた層(いわゆる反米派に多い)のなかに、シリア問題ではアサド政権擁護に拘泥しているケースがまま見られることです。
「パレスチナ解放闘争を支持」する人が「国民弾圧するアサド政権を擁護」するという、なにやらブラック・ジョークみたいな状況になっています。反米=反イスラエル陣営のスターとして著名な英『インデペンデント』の大物記者ロバート・フィスク氏なども、なにかそんな印象です。

 ちなみに、PFLP-GCは、かの日本赤軍の庇護者でした。日本赤軍はもともとは左翼ゲリラ「PFLP」(パレスチナ人民解放戦線)のKGB系列テロ細胞「ワディ・ハダド派」の庇護を受けていましたが、ハダド死亡後はPFLPに捨てられ、PFLP-GCに拾われたという経緯です。
 もっとも、PFLP-GCはシリア工作機関の下部組織ですから、日本赤軍は結局はアサド政権に庇護されたということになります。日本赤軍はすでに“終了”していますからよかったですが、もしも細胞が現地に残っていたら、間違いなくアサド政権の手駒として、シリア国民に対するテロ工作に従事させられていたはずです。仮にそんなことになっていたら、日本人のイメージはアラブ社会で地に堕ちていたことでしょう。

 ところで、個人的な話ですが、私は1984年、大学3年のときに、長いバックパッカー旅行の際に偶然、このダマスカスのアル・ヤルムーク・キャンプほか数ヵ所の難民キャンプを訪れる機会があり、それがこんな分野に足を踏み入れるきっかけになりました。
ira4.gif
(1984年 筆者撮影)
 この子たちも、もう30代になってるはず。みんな無事でいてくれればいいのですが。

(追記)
 そういえば、ベイルートでPFLP-GCの世話になっている岡本公三を、つい先日亡くなった若松孝二監督が訪ねるという深夜のTVドキュメンタリーをいつだったか偶然視た記憶があったので、ググってみたら、下記の番組でした。
▽テレメンタリー2011 決着~岡本公三と若松孝二の40年(テレビ朝日)
 で、個人的にちょっと驚いたのは、その制作陣が、私がかつてテレビ業界にいた頃の同僚たちだったこと。みんな頑張っているのだなあ、とたいへん励みになりました。
  1. 2012/11/01(木) 12:36:02|
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内戦か虐殺か

 これまで私もしばしば「シリア内戦」という表現をしてきましたが、ブラヒミ特使が「シリアは内戦だ」と語ったことに、シリア国民からたいへんな批判が巻き起こっています。
 これは、ブラヒミが「なんとか一時停戦できれば少しでも人々が助かるのではないか」との無知の善意で、無駄な苦しみの時間をシリア国民にもたらしたことに対する反発の流れではあるのですが、たしかに、無差別砲爆撃で家族を殺されて続けている人々にとっては、自分たちは内戦ではなく、政府軍による「虐殺」の中にいると考えるのは当然のことです。
 こうした人々にとって、アサド大統領は内戦の一方の指揮官ではなく、単なる大量殺人犯です。この感覚が、国外の「国際社会」にはなかなか共有してもらえない苛立ちが、現地の人々の声に滲み出ています。
 下は、上記したようなシリア国民の怒りを代弁したコメントとともに、シリア革命2011のFBページに掲載されていた子供たちの遺体の写真です。なんというか、ただ「悔しい」としか言えません。
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 すでに当ブログでは、こうした悲劇を伝える動画をご紹介してきましたが、「SYRIA TRANSLATORS&REPORTERS」という英訳字幕を付けているグループがありました。非常に衝撃的な動画ですが、ひとりでも多くの人にぜひ見ていただきたいと思っています。
▽殺害された子供たちと嘆く母親
 10月29日 ダラア
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▽殺害された子供
 10月23日 ドゥーマ
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▽殺害された子供
 10月16日 イドリブ(フランス語)
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▽殺害された子供
 10月28日 ホムス
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▽政府軍に狙撃される女性
 10月26日 デルゾール
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 他にもたくさんあります。あまりに多いので、以下、ユーチューブのアドレスと短い解説文を貼ります。

http://www.youtube.com/watch?v=1wGjtMuVsR0
Syria, Mayadeen +18 Injured civilians, including children as a result of Assad's MIG shelling 16-10

http://www.youtube.com/watch?v=JvZJJOsnkPw
+18,Syria,Aleppo | Heinous massacre carried out by Assad's.

https://www.youtube.com/watch?v=2fW_9eeKoxE
+18,Syria,Damascus Suburbs | Four victims were murdered by Assad's MIG shells on Doma. 25/10/2012.

http://www.youtube.com/watch?v=1R2jDYb-tLg&feature=youtu.be
+18,Syria,Damascus Suburbs | Heinous massacre carried out by Assad's MIG shelling. 27/10/2012.

http://www.youtube.com/watch?v=UFRL1Q71nhI&feature=youtu.be
+18 Syria, Homs A child is burned by Assad's TNT explosives. 16-10-2012

http://youtu.be/ZiK9FbqSnzw
+18,Syria,Damascus Suburbs | Heinous massacre carried out by Assad's. 28/10/2012.

http://youtu.be/sz_69cySTRg
Syria, Deir Ezzor A pregnant woman was fatally shot by Assad's sniper. 28-10-2012.

http://youtu.be/La659lu1r5g
Syria,Homs |Little girl Rama Tlass murdered due to Assad's shelling. 25/10/2012.

http://youtu.be/NemH7EgiHi4
Syria, All victims of Doma's massacre which committed by Assad's gangs. 24/10/201

https://www.youtube.com/watch?v=KjBD-7OcVfE
+18,Syria,Damascus Suburbs | Victim was executed with a cleaver by Assad's gangs.24/10/2012
  1. 2012/11/01(木) 03:41:58|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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