ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

CSニュースバードでシリア情勢

 告知です。
 9月1日(木)にTBSのCSチャンネル「ニュースバード」にお招きいただき、シリア情勢について、お話させていただくことになりました。「ニュースの視点」という番組で、生放送が午後3時頃、再放送が同日の午後9時頃になるとのことです。ご興味のある方は、よろしくお願いいたします。
スポンサーサイト
  1. 2011/08/29(月) 00:45:44|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

ダマスカスでモスク攻撃

 シリアの反体制運動では、いよいよ首都ダマスカスで火がつきました。
 本日、アムン(公安警察)とシャビーハー(体制派暴力団)がダマスカスのモスクを攻撃し、死者を出したことで、ダマスカス中心部でもデモが始まりました。もうこの流れは止まらないでしょう。デモ隊は「バシャール(アサド大統領)を殺せ!」と叫んでいます。アサドはもう自分の生命の心配をしなければなりません。自業自得ですが。
 ただし、軍がまだまだ機能しているので、さらなる大量虐殺の懸念が高まってきました。
  1. 2011/08/28(日) 04:34:34|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

尖閣に建造物を

領海警備強化のため法改正も~海保 日テレNEWS24

中国監視船、日本領海に侵入=2隻が初めて、尖閣周辺 時事通信(youtube)

松本外相、尖閣問題で駐日中国大使に抗議 朝日新聞

領海警備を強化するのはいいのですが、相手も自国の国内法で「自国領」と宣言し、「自国領だから当然」との理屈を掲げていますから、漁船はともかく、政府の船舶が来た場合、どちらも引けない状況になります。日本側はホントにドンパチ覚悟で中国船を排除できるのでしょうか???もろもろ海保だけに押し付けるようなことだけは避けていただきたいものです。
 それより、なぜ日本政府は「実効支配」を、より既成化する策をとらないのか不思議でなりません。小さい無人島なので、陸自の常駐などということは現実的に不可ですが、とにかく日本側の建造物をどんどん作ってしまえば、そういうのが既成事実になります。
 たとえば「携帯電話の基地局を作れ」という意見もありますが、そういうことが大事なのですね。無人の避難施設でもいいです。何かのモニュメントでもいいです。何だっていいのですね。国会議員もどんどん行ってほしいと思います。というか、総理大臣がさっさと上陸すべきでしょう。安上がりだし、簡単なことです。
 それは中国は猛抗議するでしょうが、一過性のことでしょう。そういう山を何度も繰り返すことが「既成事実」となっていきます。
 現実問題として、領土問題は理屈より実績です。ロシアも韓国もどんどんやっているのに、なぜ日本は無策??? むしろ中国のほうが不思議に思っているかも・・・。
  1. 2011/08/27(土) 10:59:23|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

前原誠司氏の国防戦略(後編)

 繰り返し書きますが、以下は6年も前のインタビューです。技術面の話などは前提が変わっていることもあります。また、当然ながら内外の政治状況は大きく変動しています。
 けれども、前原氏の国防戦略思想については、まとまった文章になっているものがあまり見当たらないので、ここに再録しておこうというわけです。

(タイトル)
統合情報委員会、国家安全保障会議、危機管理庁
「3本柱」で日本を守れ!

安全保障体制の改革を
前原誠司・民主党「次の内閣」防衛庁長官インタビュー②

穴だらけの今の国家安全保障体制では日本を守れない! 切り札は「日本版JIC」「日本版NSC」「日本版FEMA」を政府内に創設することだ。

(リード)
 憲法9条や集団的自衛権の問題から、自衛隊の武器使用基準、さらには専守防衛や非核三原則といった国是の問題まで、日本の防衛政策の“そもそもの基盤”の部分に問題山積の現実を、どう克服していくべきか?
 さらには、まったく穴だらけといわれる日本政府の国家安全保障体制をどう改革していくかということも、永田町の国会議員たちに突きつけられた大きな課題となっている。
 では、具体的にどこが問題で、どこをどう変えていけばいいのか?
 民主党で安全保障政策をリードする前原誠司議員が「秘策」を語った。

(本文)
王道は憲法改正

――防衛に関する法律をテーマに伺います。まずは基本的なところで、憲法9条と集団的自衛権行使からですが、このあたりは早急に変えていきたいということですね?
「そうですね。まあ、何かがあったときにはもう憲法改正しかないと思っています。国民にとってわかりやすいのは、9条変更ですよね。1項は残してもいいと思うんですね。で、2項はなくすと」
――2項というのは、戦力を保持しないという項目ですね。
「そう。1項はいいと思うんですよ。専守防衛の考え方が書いてあるんですね。でも、2項はどう読んだってこれは自衛隊は憲法違反ですよ。これは排除しないといけないでしょうね。
 それに、憲法には国民の権利と義務は書いてあるんですけれど、国家の義務と権利はひとつも書いてないんですね。そこで私は、国家の権利である自衛権はしっかりと憲法に明文化させることが必要だと考えてます」
――そこで2点お聞きします。ひとつは、本当は憲法改正がしたいのだけれども、憲法改正は結構面倒なので、とりあえずは解釈変更で集団的自衛権行使を認めるという道を目指すのか、いきなり本丸の改憲に持ち込もうというのか、そこはどう考えていますか?
「安全保障の問題というのは、いかに国民に理解してもらえるかということですから、『あるとき気がついたら、なぜか憲法解釈が変更されていて、やれることが拡大されていた』というのは、私は健全ではないと思ってます。もし解釈変更をやるのであれば、徹底的に国民的議論を重ねたうえでなければならない。そんなことも考えると、はやり憲法改正が望ましいと思うんですね。
 ただ、私には、9・11テロの後に政府は憲法解釈変更の絶好のチャンスを逃してしまったなという思いもあるんですね。というのも、日本はそのとき米軍のアフガニスタン戦争に参加することになったわけですが、あれは誰がどう考えたって集団的自衛権の行使なんですよ。つまりアメリカは自衛権行使ということでアフガニスタンを攻撃した。それに日本が軍事協力したわけですから。だからあのときに憲法解釈の変更がなされなかったというのは、ひとつのチャンスを逸したのではないかと思うのですね」
――米軍に給油するということは、軍事作戦の兵站に参加したということですから、あのときをもって事実上、日本は集団的自衛権行使に踏み切ったということになりますね。
「それでもとにかく、内閣法制局は武力行使の一体化はしていないと逃げているのですね。しかしですね、給油なんてことだけではなくてですね、そもそも基地を提供することも広い意味での集団的自衛権行使なんです。ですから、武力行使の一体化はしないという一点で集団的自衛権は行使してませんよというのは、私からみるとまったくのナンセンス。逃げ口上であって、屁理屈でしかありません」
――もう1点お聞きしたかったのは、小沢一郎さんらが主張していることのひとつに、小沢さんの場合は国連重視なんですけれども、いわゆる国際的な集団安全保障活動に参加することは、集団的自衛権の概念とは別の概念で考えられるのではないかということがありますね。それはいかがですか?
「私も、いわゆる集団安全保障活動と自衛権というものは別のものだと思います。集団安全保障というのは、みんなで互いに協力し合って、警察的な部隊を出しましょうということですよね。自衛権というのはまさに、自らの国を守るという権利ですよね。それが同盟関係を結んでいたら、集団的自衛権というものが発生するわけです。私はそこは考え方が違うんだろうと思うんですね」
――アメリカの対テロ戦の場合、自分たちが攻撃されたから、自衛のためにアフガンを攻撃したわけです。イラク戦争の場合は表向きの理論は国連決議違反ということでしたが、アメリカとしてはやはり大量破壊兵器がイスラム・テロリストの手に渡ったらたいへんだということで、自衛権でもってイラクを攻撃した。それがホンネですね。
 実際そうなんですが、ちょっと見方を変えると、『世界のならず者がいたので、世界の警察官たるアメリカが排除したんだ』と考えられなくもない。仮にそういう理屈になれば、それに参加することは集団的自衛権とは関係なく、集団安全保障活動への参加ということになりませんか? 同盟国アメリカの私戦に協力したという理屈ではなくて、世界の平和維持のために参加したんだから、憲法の問題とはまったく別の話なんだということにはなりませんか?
「アメリカが自衛権の行使だと言っている以上は、それは通りませんね。仮にアメリカが国連に付託をし、国連が武力行使を認める決議をして、多国籍軍編成がなされて、というプロセスを踏んでいたならば、おっしゃるように集団安全保障という概念のなかでも参加できたかもしれませんが」

武器使用基準をクリアにする「マイナー自衛権」

――有事法制についてですが、これを実際に機能するものに整備していくにはどうすればいいと考えますか?
「有事法制はやはり、憲法改正を経なければ魂の入ったものにはならないですね。たとえば、有事法制策定でいちばん苦労したのは、国民の主権制限をどのように求めていくかということだったのですね。そこで、公共の福祉という有事にはあまり関係のないような概念を引っ張り出してきて、それを膨らましてようやく主権制限にもっていくという非常にまだるっこしいことをやったんです。それはなぜかというと、憲法に有事とか非常事態だとかに対する緊急の概念がまったくないからなんです。
 ですから、私は憲法を改正し、平時と有事の規定を設けて、そのスイッチによって国家と個人の権利・義務関係が変わる制度をしっかり作らなければならないと考えています。そのことが憲法になければ、どんな有事法制でも有事に対応できないと思っています」
――その他の法整備についてはどうですか?
「やっぱりおかしいのは武器使用基準ですよね。これは見直していかなければならない。
 緊急避難、正当防衛あるいは自衛隊法95条の武器等防護、これがベースではやはり国際貢献活動はできないですよ。われわれが自衛隊のイラク派遣に反対した大きな理由のひとつも、危険地域に武器使用の制限を自衛隊員に強いて行かせるというのはいかがなものかということだったんですね。国際標準での武器使用基準というものを、日本にもあてはめることが不可欠です。それにはマイナー自衛権という概念を導入するのがいいと私は思っています」
――マイナー自衛権とは何ですか?
「自衛権というと、日本ではすぐに国家の自衛権の話にワープしちゃうんですよ。これは内閣法制局の悪い習慣だと思うんですが。つまりは部隊が任務を遂行するうえでの自衛権というものを認めていないわけですね。
 国家の自衛権は認めている。個人の自衛権も正当防衛とか緊急避難とかで認めている。でも、部隊が任務を遂行するうえでの自衛権というものを認めていないために、世界標準というか、国際慣習に基いた武器使用ができないというおかしな仕組みになっちゃっているわけです。
 同じようなことが、自衛隊法84条の対領空侵犯措置にもあります。法的に、領空外では自衛隊機は相手に一切手出しができないように規定されているんですね。だから領空外で仮に自衛隊機が相手を撃ち落としたら、その操縦士はおそらく刑事責任を問われることになるわけです。つまりそれは、任務遂行のための武器使用を認めてないからなんです」
――ロックオンされても逃げるしかないですものね。
「普通の国の空軍なら、ロックオンされたら反撃していいというのが常識ですが、空自の場合はロックオンされても撃ってはいけないというのが内規です。だから、他の国の戦闘機はよく自衛隊機にロックオンして遊んでいるようですよ」
――武器使用基準を新たな任務追加ごとに細かく設定していくものだから、今ではあまりにも複雑すぎてワケわかんなくなっちゃってますよね。防衛白書の資料編には武器使用基準の一覧表があるんですけれども、もうあまりにも細かすぎて読んでて頭痛がするほどです。どうして政治がこれをすっきりさせることができないのでしょう?
「内閣法制局段階で突き当たるからです。ですから自衛権の解釈を変えなければならないわけです」
――それを変えないと、結局はどこまでも細かな規定を重ねていくことになるわけですね。
「はい。ですから、集団的自衛権行使と同じなんです。最後は内閣法制局の憲法解釈あるいは自衛権解釈という壁にぶち当たっているわけです」
――法制局が自ら解釈を変えるわけもないですから、それを変えようと思えば、実際には国会で政治家がコンセンサスを作って政府に迫るなり法律を作るなりしてやらなければなりませんね。
「そういうことです。さらにそれに付随して、軍事裁判所のようなものも造らないといけないですね。おそらく一般の裁判所では対応しきれない。ある事例について、任務遂行のための武器使用であったかどうかというところで見解が分かれてくるような場合には、専門的な裁判施設でそういった判断を行なう必要性があると思うんですね。だからそういったことも整備をしていかなければならないですね」
――そういった話をすると、戦争準備だなどと言い出す人もまだいますね。
「海上警備行動や対領空侵犯措置など、日本の警戒監視にあたっていて、それで危害射撃を行なって、相手が死んじゃう可能性もあるわけですね。
 たとえば海上保安庁が奄美大島沖で北朝鮮の工作船と撃ち合いになって、最後は向こうが自沈しましたけれども、仮に海保の弾が当たって沈んだとなった場合には、あの場合は正当防衛で処理されるんだろうけれども、私はちゃんとその行為が法的に妥当であったかどうかを検証するものをむしろ設けることのほうが、実力組織にしっかりとしたコントロールを常にかけておくということで必要なことだと思います」

本来の意味の国是に立ち返れ

――専守防衛、あるいは非核3原則、武器輸出3原則といった、いわゆる国是と言われているものについてはどう考えていますか?
「専守防衛と非核3原則はこれからも堅持すべきだとは私は思っているんです。しかし、専守防衛というのは、時代とともに中身が変わるんですね」
――そこがわかりづらいところなんです。前原さんはもちろん御自身の考えに基く専守防衛の考えがあるわけです。でも、専守防衛という言葉をもっと硬直的に、どんなことがあっても一切他国に手は出さないことだと考えている人もいる。政府は過去の国会答弁で専守防衛の定義をしたことはありますが、それでもそれが法的に明確になってるわけではないと思うんですね。結局、それぞれ主張の違う人たちが、それぞれ自分に都合のいいように解釈して使ってるのですね。
「私は、憲法9条の1項の考え方が専守防衛だと思っています。つまり、国権の発動たる武力の威嚇または行使は行なわないと。でもやられたらやり返すんだということは専守防衛の範囲内です」
――でもそうすると、世界の国はみんな専守防衛だということになりますよね。
「それはそうです。国連憲章にも同じようなことが書いてあります」
――どこの国でも軍隊は国防軍だと。自衛のためにやってるんだということですよね。そうすると、専守防衛という言葉にいったいいかほどの意味があるのかなと思うんです。逆に専守防衛を盾にして、いくらこちらに多大な犠牲が見込まれても、向こうから攻撃されるまでは絶対に手を出さないという閉じこもり戦術の根拠に利用されるとすれば、こんな曖昧な言葉やめちゃったほうがすっきりしませんか?
「専守防衛の考えそのものはいいんだと思いますよ。ただ、先ほど言ったように、時代の変化とともにその中身が変わってくる。軍事技術の革新によって、戦い方も変わっているわけですから。
 以前は海を渡って押し寄せる侵略軍を想定していたから、こちらはそれを迎え撃っていればよかった。でも今は、瞬時に飛来するミサイルがあるわけですからね。専守防衛の戦術的な内容が変わるのは当たり前のことだと思います。われわれの側から戦争を仕掛けるということはしないということに捉えればいいのではないでしょうか」
――では、非核3原則はどうですか? というか、まあ、すでに『持ち込ませず』については事実上反故になってるので、非核2原則はどうですか?ということなんですが。
「私は逆に、非核3原則の堅持を目指すべきと考えています。つまり、『持ち込ませず』の部分で、アメリカに事前協議制を厳格に求めるべきだということなんですが」
――アメリカは認めないんじゃないでしょうか?
「日本はそれは強く求めていくべきでしょう」
――武器輸出3原則はいかがですか?
「そもそも武器輸出3原則を言葉通り読めばですね、対共産圏、国連の制裁下にある国、それと実際に戦争している国に輸出しないということですから、その原則に戻せばいいんですよ。これは三木内閣のときに、なぜかすべての武器輸出がダメということに飛躍してしまった話ですからね」
――今のミサイル防衛の以前までは事実上、研究・開発への参加すら認めないことになってしまってましたし。
「ですから、本来の3原則に戻せということですよ」
――なるほど。そうすると専守防衛、非核3原則、武器輸出3原則ともに、廃棄するということではなくて、むしろ本来のものに戻せというのが前原さんの考えというわけですね。
「その通りです」

国会議員に守秘義務を!

――政府の防衛政策立案・決定の仕組み・制度について、改善すべき点はありますか? たとえば、アメリカを例に挙げると、ホワイトハウスに非常に大きな権限を持った国家安全保障会議(NSC)というものが設置されていて、発言力の大きな国家安全保障担当大統領補佐官がいます。インテリジェンスに関しても、つい最近ですが、国家情報長官という閣僚級の統括ポジションが創設されています。日本でも同じように、内閣にこうした機関を設置せよというアイデアがあります。
 また、一方では、これもアメリカの例でいえば、上下両院に軍事委員会、外交委員会、あるいは情報特別委員会というものがあって、それが非常に大きな力を持っているわけですね。日本の国会の中にも委員会もありますが、実際のところそれほど大きな力を持っているわけではありません。現実にはむしろ与党・自民党の部会のほうがカギを握っているのが実情ですね。
 しかし、与党の部会などというのはいわば私的な機関ですから、それが実権を持っているなどというのは本来おかしいわけです。やはり議会制民主主義ならば、国会の委員会が、アメリカのケースのように、政府に対する監視機関・重しの役割を果たすのがスジというものです。
 ということで、内閣の制度の改善点、国会の制度の改善点と2つあると思うのですが、それはどのように考えますか?
「これから日本政府で必ず作らなければならいのは、まず先ほど話した統合情報委員会、それと日本版NSC、すなわち国家安全保障会議ですね。これらをまず作って、ここでやはり長期的な防衛戦略、安全保障政策というものを立案すべきだと考えています。
 今度の防衛大綱のタタキ台になった荒木ペ-パー(小泉総理の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会<座長:荒木浩・東京電力顧問>」の報告書)にもそういうことが書いてありますが、これは絶対やっていかなければならないことです。今の安保会議というのは、有事法制が出来ていくつかの下部組織ができましたけれども、まだまだダメですね」
――問題は、それらをどう実現化していくかですが。
「いや、それはもう政治のリーダーシップの問題だけです。それだけです」
――仮に今、小泉総理がハラを括って『やるぞ』と決めればできちゃう話ですね。
「その通りです。一言でできます」
――なぜできないんでしょうか?
「そういう発想がないからですよ。小泉さんに」
――民主党政権になればホントにできますか?
「それは必ずやります」

――国会の中の委員会改革はどうですか?
「それもわれわれ提言しているんです。それを安保委員会にするか外務委員会にするか、あるいは情報委員会というものを作るかということは思案していますがね」
――しかし、国会議員がメンバーになるとすると、情報漏れが懸念されますね。
「そうなんですよ、いちばんの問題は。実際にそうした委員会が創設されれば、それはかなりの機密情報をベースに国家戦略を討議するということになるわけです。そこでいちばん危惧されることが情報漏れですよね。国会議員はしゃべるんですよ、機密情報をペラペラね。
 現に今までも国会議員の秘密会議は情報漏れが多かったんです。たとえば議院運営委員会秘密会というのがあって、山崎拓さんの泉井問題だとか、あるは自殺されました新井将敬さんの株の問題だとかがありましたよね。あれらは秘密会だったんですが、その内容もあっという間に漏れてましたね。
 なぜそんなことなるのかというと、実は国会議員に守秘義務違反のペナルティがないからなんですね。なんと憲法51条で守られちゃっているんですよ。国会議員は守秘義務違反を問われない、とですね」
――公務員は守秘義務がありますよね。
「公務員はあります。けれども罰則が弱すぎるんです。たとえばですよ、1億円ぐらいの価値のある情報を売ったとしても、おそらく罰金が数十万円ですよ」
――じゃあ、やり得ですね。
「そうです。だからもっと厳しくしなければいけないと思いますね」
――アメリカのケースですと、議会に強力な権限があるんで、政府が説明しなければならないということももちろんあるんですが、ホントの秘密事項に関しては、大統領は上下両院の2大政党の院内総務とか軍事委員長、情報特別委員長だけを呼んで、そのごく限られた議会リーダーだけに話を通しておくということをやってますね。
「日本でもそういうことはあるんですよ。けれども、日本の場合は役職に関係なく、政治家によっては絶対漏れるということで、政府も役所も絶対にしゃべらないということがあるわけですね。名前は伏せますが、今でも与党の大物議員に、『あの人に話すと絶対に漏れるぞ』というので有名な方とかいますものね。つまりは政治家の資質の問題なんですけれども。
 ですから、この国会議員を守っている憲法の部分も改正し、少なくとも国会の秘密会で討議されたことを外部に漏らした場合には厳しい罰則を盛り込むべきでしょうね」
――おっしゃることはよくわかるんですが、これは民主党の中だけでもかなり抵抗ありそうですね。
「あるかも知れません。でも、インテリジェンスに接してですね、秘密を守るなんてあたりまえのことだと思いますよ」
――制度の話に戻りますが、国会の委員会よりも自民党の部会のほうが決定権を持っているなどというイビツな状況を変えるいい方法はありますか?
「国家安全保障会議ですよ。それを作り、政府主導のもとで戦略分析・政策立案を行なうということですね。それと、先ほども言った統合情報委員会。そのセットで、まったく政策決定過程は変わります」
――日本版の国家安全保障会議というと、メンバーはどうなるのですか? 今の安保会議と変わらないわけですか?
「基本はそれでいいんですが、もう少し絞ったほうがいいですね。ただ、それより決定的に重要なのは、現在の安保会議のような形式上の有名無実のものではなくて、実際にスタッフ機能を格段に充実させることです。もちろん政治任用ですよ」
――今の内閣官房のスタッフでは足らないということですね?
「まったく不十分です」

安全保障を確立するための「3本柱」

――これからの日本の危機について、どのような事態を想定しているのかお聞かせください。
「まあ、正直な話、これからの戦争は従来型の戦争とまったく違う状況だと思うんですよね。圧倒的な火力で短期で敵を殲滅する。都市機能というのは瞬時に壊滅的状況に陥るということですね。
 ですから私は、これからの戦争で徹底交戦なんていうのはちょっとあり得ないと思っているんですね。軍備というのは、もちろんイザというときには使えるようにしておかなければいけないんですけれども、もっと大事なことは、いかに戦争を起こさないような仕組みをトータルとして作っておくかということなんですね」
――となれば、核を持っちゃえというのがいちばん早いのではないですか?
「いや、そうではないですよ。それは抑止力としては過剰すぎるのですよ。過剰な抑止力は相手の過剰な軍拡を呼びます。日本がこれから力を入れるべきは、まずテロに強い体制作り、情報ネットワーク整備、それと海上保安庁も含めて警察機能をいかに高めていくかということだと思っています。
 とくに私が言いたいのは、テロ対策というものが、今日お話させていただいたような国家防衛の話に劣らずにですね、改革していかなければならないことが広範にあるテーマなんですね。実は今、それをちょうど議論しはじめているんですけれども、そのポイントは何かというと、省庁縦割りの弊害をなくすことなんですね」
――警察庁、防衛庁、海上保安庁はそれぞれ仲悪いですからね。
「厚生労働省、公安調査庁なんかもありますし、それと民間もありますよ。でもとにかく縦割りの弊害が大きいんですね。で、私が提案してるのは、3本柱と言ってるんですけれども、すでにお話した日本版NSC(国家安全保障会議)、日本版JIC(統合情報委員会)に加え、日本版FEMA(危機管理庁)を立ち上げるということなんですね。
 危機管理庁の何がいいかというと、たとえば大災害が発生したとしますね。そうすると政府は対策本部を立ち上げますが、たいていは総理が本部長ということです。対策本部の効用は何かというと、省庁間の相互調整がそこからスタートすることです。逆にいえば、対策本部が立ち上がるまでは、平時は省庁間の相互調整はできないということになるわけですね。
 で、危機管理庁の役割は何かというと、平時のときから危機管理のために省庁間の調整を行なうことにあるわけです。こういうものを作って初めて、日本の安全保障のレベルがぐっと上がると私は考えているんですね」
――日本版FEMAには、内閣危機管理監のスタッフを拡充して充てるということになりますか?
「スタッフの拡充ももちろん必要でしょうけど、それより重要なのは、地方の拠点を作るということなんだと思いますね」
――今、内閣危機管理監というものがちょっと中途半端なポジションになっていますね。常設のスタッフが脆弱で、いざというときに何ができるわけでもない。対策本部長は総理か官房長官だから、意思決定が任されているわけでもない。各省庁を束ねる役目も、従来通り事務方の内閣官房副長官あたりが仕切ってやっている。で、官邸の危機管理センターというハコの管理人みたいになっちゃっているわけですね。
「それはある程度、実働部隊というのは必要だと思いますよ。今の役所の中で、たとえば内閣官房と内閣府、それと総務省入れて危機管理部門のスタッフを数えると、数百人単位になるんですね。これらはまとめたほうがいいと思いますね。これが統合できたら、べつに人員を増やさないでも、それなりに強力な危機管理の機能が可能になると思うんですが」
――今おっしゃったような改革の案というのは、それこそ政治の決断ですね。
「危機緊急事態基本法というものを作ろうということはすでに3党で合意していましてね、日本版NSC、日本版JIC、日本版FEMAの3本柱構想というのは、民主党案として今、与党に投げているわけです。けど、自民党はダメですよ」
――なぜダメなんですか?
「役所をいじるのは自民党は絶対ダメなんですね。官僚の抵抗がありますから。たとえば、総務省の危機管理部門はどこかというと消防庁なんですが、彼らは独自性を保ちたいということでたいへんな抵抗を示してます。だいいち消防という言葉がなくなることにものすごい危機感を持っているらしいのですね。こういう抵抗を自民党がどうにかするなんて不可能です。
 ただ、自民党が不可能だということでこちらも引き下がるというわけにはいきません。いずれにせよ、この部分は非常に大事なことなので、これからわれわれも本気になって取り組んでいかなければならないと考えています」
(了)
  1. 2011/08/26(金) 11:27:42|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

前原誠司氏の国防戦略(前編)

 前エントリーで紹介した拙編著『日本の防衛 7つの論点』で前原誠司氏が語っていたことを引用します。拙ブログでは以前、「状況に応じて柔軟に考えを変えるほうがインテリジェンス度が高い」というようなことを書きましたが、以下は6年前、氏がまだ民主党「ネクスト防衛長官」だった頃のインタビューですから、考えが変わっているかもしれません。
※以下は入稿用原稿(前原氏原稿チェック済)なので、編集部の字数微調整後に誌面になったものとは違います。


第2章 前原誠司/民主党「次の内閣」防衛庁長官の「新戦略」

論点②日本を守るための新戦略とは?
前原誠司・民主党「次の内閣」防衛庁長官の提言

▽人員を減らさずに「若返り」で人件費を押さえろ!

 防衛予算は減らしても、自衛隊のマンパワーを減らしてはいけない。隊員の年齢構成を変えていけば、人件費を抑制することが可能だ。

▽陸上配備型弾道弾迎撃システム「PAC-3」をやめ、エアボーン・レーザーを導入せよ!

 効果に疑問のある新型パトリオットの導入よりも、ミサイル防衛には航空機からレーザーを発射するエアボーン・レーザーが有効だ。

▽水際迎撃構想から敵ミサイル基地攻撃構想へ転換せよ!

 侵略軍を迎え撃つ発想はもう古い。弾道ミサイルの脅威には、長距離渡航爆撃やトマホーク巡航ミサイルのような敵基地攻撃能力こそが必要だ。

▽シナリオ・ベースで自衛隊統合運用を検討すべし!

 3自衛隊統合運用は具体的な想定をもとに検討すべきだ。西方の島嶼防衛はその恰好の題材である。

▽ライセンス生産より「完成品購入+合弁企業でメンテナンス」方式を!

 アメリカから装備をトータルで安く入手するには、中途半端なライセンス生産などより、完成品を一括購入し、その後のメンテナンスを日米合弁企業で行なうなどの新方式を導入すべきだ。

▽防衛産業技術でアメリカに勝る一分野を育成せよ!

 アメリカも必要とするような日本独自の進んだ防衛産業技術の分野がひとつでも育成できれば、日米同盟をより対等なものにすることができる。

▽憲法に有事規定を作れ!

 有事規定のない現憲法のままでは、いかなる有事法も機能しない。

▽自衛隊に自衛権を認めろ!

 個人の自衛権、国家の自衛権に続く第三の自衛権として、海外に派遣された部隊の自衛権を認めることが、不条理な自衛隊の武器使用基準を正常化する王道だ。

▽本来の「専守防衛」「非核3原則」「武器輸出3原則」に戻れ!

 おかしな解釈がまかり通っている「国是」は、もともとの字句通りの意味に戻すべきだ。

▽統合情報委員会、国家安全保障会議、危機管理庁を作れ!

 日本政府の安全保障政策セクションをより機能するものにするため、アメリカにならって、日本版JIC(統合情報委員会)、日本版NSC(国家安全保障会議)、日本版FEMA(危機管理庁)を作るべきだ。

▽国会議員に厳格な守秘義務を科せ!

 国会に国家の情報活動を監視する委員会を設置し、そのメンバーたる政治家には厳格な守秘義務を科して情報漏れを防止しなければならない。

(タイトル)
アメリカと対等に渡り合う日本となるために!

軍事と日米関係の国家戦略
前原誠司・民主党「次の内閣」防衛庁長官インタビュー①

日米同盟の将来を楽観してはいけない! 日本がこれから生きる道は、アメリカも唸らせる防衛技術分野を育成することだ。

(リード)
 民主党が政権をとったら、自衛隊の編成や戦術、そして日本政府の防衛戦略はどう変わるのか?
 自民党政権でできなかった何をどう変えていくつもりなのか?
 また、不透明な時代のなかで、日米同盟はどうなっていくのだろうか?
 軍事から外交、さらには防衛産業の問題まで、民主党きっての“国防問題の論客”として知られ、同党「次の内閣」の防衛庁長官(=つまり民主党政権発足時には防衛庁長官となる予定)でもある前原誠司・衆議院議員に、その全戦略を聞いた。

(本文)
自衛隊の基本は国土防衛

――民主党政権になった場合、防衛政策は今の自公政権とどう変わるのかというところをお聞きしていきたいんですが、政策面の話に入る前に、まず自衛隊をどう変えていくかという軍事面の話から入りたいと思います。前原さんが防衛庁長官になったら、自衛隊の編成や装備はどう変えていきたいと考えていますか?
「ひとことで言えば、自衛隊の主たる任務である国土防衛をもう一度、しっかりと検討し直し、それを最重要視した布陣に整備していくべきと考えています」
――すでにさまざまな任務を念頭においた再編成が着手されていますが、昔の姿に戻せということですか?
「そうではありませんよ。ただ、ちょっと今は国際貢献に重きが置かれすぎてるなという印象はあります。もちろんそれも外交ツールとしては重要ではあるんですけど、国防の基本はあくまで国土防衛というのが私の考えです」
――24万体制というのはキープすべきですか? 現在、自衛隊は陸自を中心にリストラ圧力にさらされていますが。
「陸自の人員を減らすということを考える前に、隊員の年齢層のアンバランスさを是正していくほうが先だと思いますね。自衛隊は実際、中高年の隊員の割合がすごく多くなっていますからね」
――隊長ばかりで兵隊が少ない軍隊と揶揄されていますね。
「中高年よりも若年層の比率を上げるようにしていけば、それは若者のほうが給与が低いですから、それだけでかなり人件費が削減できるのではないかと思います」
――マンパワーの数自体は現状維持を目指すということですね?
「なるべく人数を減らしたくはないです。先ほど言ったように、自衛隊の本来の役目は国土防衛だと私は考えているんですね。国土防衛のためにはやはり精強さは失ってはいけない。兵力というのは一度落とすと急には強化できませんし、そこはやはりなるべくキープしたいと思っています。ただ、陸海空の予算配分シェアが硬直的だというのはまったく意味がないですから、基本的には陸自から海空に予算をシフトするということは検討すべきでしょう」
――その他に、防衛予算で見直したいところはありますか?
「ミサイル防衛に1兆円ものお金を、今の政府の計画のようなかたちで出すというのどうかと思いますね。とくに地上配備型のPAC-3は、これは有効射程距離の短さなどからあまりいい選択とは思えません。
 私はミサイル防衛に反対ではないんですが、このようなPAC-3はやめて、イージス艦配備のものに加えて、たとえばすでにかなり開発が進んでいるエアボーン・レーザーを導入するほうがいいのではないかと思っています。航空機発射のレーザー・ビームで弾道ミサイルを発射直後のブースト段階で撃ち落とすのがエアボーン・レーザーですが、これにイージス艦配備のSM-3で高速飛翔中のいわゆるミッドコースでの迎撃を加える。そのセット運用がいちばん有効だと思うんですね。
 ともかく、そういったいろいろなところで合理化を図っていくなかで、ムダな予算をどう削っていけるかということなんだと思いますね」

敵基地攻撃力を!

――自衛隊の防衛システムで変えていくべきことはどんなことでしょう?
「もっと前に出ていくべきだということでしょうね」
――どういうことですか?
「本土の水際で敵侵略軍を食い止めるという発想が、冷戦時代にソ連軍の侵攻を想定した戦略でしたけれど、今では弾道ミサイルとか長射程の巡航ミサイルとかがメインの脅威になってますね。そうした状況では、水際で国土を守るということではなく、もっと国土から外に出たところに防衛ラインを張るという仕組みに変えていかないといけないのではないかと思うのです。
 そうすると、これからは遠くの敵をいち早く探知するセンサー能力が必要になってくる。偵察衛星はすぐには増やせませんから、そこは同盟関係にあるアメリカに頼るということはしかたないけれども、たとえば無人偵察機であるグローバルホークを買うとかいうことも検討すべきだと思うんですね。
 また、戦闘機にしても、将来にはあるいは長距離を航行し、敵基地を叩くということも考えなければならなくなるかもしれない。とすれば、次期戦闘機にはそういったことを見込んだものを買っていくという発想の転換が必要だと思うんですよね」
――いちばん手っ取り早いのは、巡航ミサイルのトマホークを買っちゃうことではないですか?
「当然、検討すべきですね。敵のミサイルが日本の国土を直撃するのならば、敵がミサイルを日本国土に向けて発射しようとしたときには、その発射基地を叩くのは専守防衛の範囲内です。水際で迎撃することのみが専守防衛ということにはならないと私は思います。だから当然、トマホークは買ってもいい。実際問題、イージス艦や他の護衛艦でも改修すれば簡単にトマホークを積むことができますし。そういった議論というのはちゃんとやっていくべきだと私は思いますね。
 ともかく、どういう思想でこの国を守ろうとするのかということが固まらなければ、単なる兵器の能力だけで議論していても意味がないんですよ。さっき言いましたように、水際で止めるのか、それとも戦い方をもっと幅広く考えていくのか、私はもう当然ながら後者と思ってますがね」

インテリジェンスを強化せよ

――これからの日本の安全保障をどうしていくかということを考えたとき、これまで通りの日米同盟重視でいくのか、あるいは逆に自主防衛を目指すべきなのか。それとも集団安全保障ということで、たとえば東アジア安保協定のようなものを目指すべきなのか、あるいは国連中心路線でいくべきなのかといったさまざまな選択肢が考えられます。前原さんはどういう立場ですか?
「全部です。日米同盟関係は必要。国連の機能を高めるというのも必要。自分の国はある程度は自分で守るという自主防衛の感覚も必要。マラッカ海峡のような、資源安保のようなところでは共同で安定化を目指す地域安保の考え方も必要、ということです」
――従来は日米同盟オンリーの道で来たわけですが、もっと多角的にやるべしということですか?
「先ほど話が出たトマホークやグローバルホーク、あるいはもっと前に出て運用するような次期主力戦闘機を買うというような話は、結局のところ攻撃能力を持つということですよね。これがこれまではアメリカ任せになっていた。これを日本もやりますよということは、まさに自主防衛の考えに近づくことです。
 攻撃力、それと情報力ですね、このあたりが決定的にアメリカに頼りすぎていたといえます」
――日本独自の情報網=インテリジェンスというものを作っていくことは可能でしょうか?
「独自の情報ソースを広げていくことは絶対に必要だと思います。不審船にしても、中国原潜の領海侵犯にしても、すべて情報はアメリカですから、ここはなかなか越えられない壁があるわけです。まあ、だからこそ私は同盟関係が必要だと思っているんですけれども。
 ペンタゴンだけでおそらく200基以上の軍事衛星を持っていると思われます。で、日本は2基ですね。それはもう圧倒的な差があるわけです。それに加えて、アメリカは巨大なヒューミント(人的情報収集・分析)の組織を持っていますが、日本はまったく持っていません。そこはもう現段階においてはしかたのないことではあるんですが、そこを日本がどうこれから高めていくかということは、当然ながら考えていかなくてはならない。
 もちろん、いきなり日本版CIAのようなものを作れといっても無理ですね。でも、今の日本の情報機関制度にしても改善すべき点はあると思うのです。たとえば、日本にはいくつかの組織が情報収集活動をやっていますが、警察、入管、外務省、防衛庁といった組織の情報が統合されていないんですね。これをいかに情報統合し、分析していくかということを考えていかなければいけない」
――どういう方法が考えられますか?
「今、われわれが法案を出そうとしているのが、統合情報委員会を内閣官房に設置するということです。法律で、たとえば内閣統合情報委員会が『この情報は必ず上げなさい』と指示したものに対しては、各情報機関は必ず上げなければならない仕組みにする。そして、そこで各機関の情報を統合的に分析を加えて、政策決定に生かせるような仕組みにしていきたいと考えています」
――内閣統合情報委員会の実務は、今の内閣情報調査室が担当することを想定しているのですか?
「そうですね。そのためには人員を増やして組織を大きくし、大幅なバージョン・アップをしないといけないでしょうけれども」
――内閣の情報集約機能を向上させ、分析官もそこに集中配置するということですね?
「そうすることによって、今度は各情報機関に、次はどういう情報を集めて来いと指示が出せるようになるわけですね。それが実現すると、各情報機関のネットワークもまた全然変わってくると思うんですね。要は活性化です」

シナリオ・ベースで考える

――アメリカでは今、情報機関制度の大幅な改革をやってますけれども、どこの国でも情報機関同士は仲が悪いというのが定番ですから、なかなか道険しという気がしますが。
「いや、でもそれは仕組みとして作ってやれば、そこそこ機能すると思いますよ。それはまさに政治の仕事だと思うんですね」
――戦術的な情報についてはどうですか?
「海自と米海軍はそこそこデータリンクやってますけれども、陸自と空自と海自は共通言語では話してないんですよね。そう意味での3自衛隊の情報の統合はやっていかなければならない。
 だけど難しいのは、今のままで3自衛隊の情報統合をやると、海自と米海軍のデータリンクを通じて、リアルタイムで自衛隊全体の情報がすべて米軍に流れかねないということなんですね。そこは流していいものといけないものの選別をどうしていくかという問題があります。自衛隊と米軍はやはりギブ&テイクの関係を作っていくことを目指すべきで、一方的に情報が流出するという関係は絶対にマズいわけですね」
――複数のネットワーク回線を作り、1つは米軍にもリンク、もう1つは自衛隊だけでクローズドにするということが必要ですね。
「そうですね」
――でも、それもまた現在の3自衛隊の現状をみると、道険しですね。
「統合というのは、現実問題でやっていかないと。机上の作業で統合を議論してもダメですよ。私がよく言うのは、いわゆるシナリオ・ベースで考えろということです。先日も防衛研究所の幹部の前で話をしたんですけれども、『たとえば島嶼侵攻とかミサイル防衛とか、そういう具体的なテーマに沿って統合をどう考えるかということをやっていかないと、統合というものの真価は得られないだろう』ということを話したんですね。
 とくに島嶼侵攻というものをどう防衛していくかということは、陸海空すべてが持てる能力を投射していかなければならないわけですね。だから非常にいいシミュレーションじゃないかと思うんです」
――たしかに防衛庁関係者でも軍事専門家でも、統合運用の必要性を語る人は多いんですけれども、実際はなかなか難しいようですね。
「そこはまさに政治がリーダーシップを発揮して進めていくべきことなんでしょうね。
 先日、アメリカ・ヴァージニア州のノーフォーク基地というところに行ってきましてね。ここは米統合部隊軍司令部があって、まさに米軍の統合を進めているヘッドクォーターなわけですけれども、彼らの歴史を聞いても、統合というのはそれは大変なことなんです。どこの国でも同じですね。まあ、各軍に独自性を持たせるということもたいせつなことですし、兵士の自負心も必要ですしね。それらをうまく調整し、運用としては統合にもっていくというのが、これがたしかになかなか難しいことなんですけど、米軍はもうかなり進めてます」

アメリカとの交渉術

――防衛予算を考えた場合、やっぱりアメリカから買う兵器の値段がちょっと高すぎるのではないでしょうか。よく国産兵器は高い高いと言われていて、それも問題ではあるんですけど、アメリカ製もけっこう高い。それは購入代金でいえば国産よりずっと安いですけど、たとえば最新装備のもっとも重要なソフトなどは全部ブラックボックスで来るわけですね。それでメンテナンスも全部メーカーにやってもらわなければならない。これでは購入ではなくて、レンタルですよね。レンタル代だと思えば、ずいぶん高いレンタル代ですよね。
「そうですね」
――バーゲニング交渉はできないものなんでしょうか?
「それは政治家がやらなければいけないことですね。
 日本は武器輸出3原則があるので、なかなか自前で兵器を開発していくというのは難しいんですね。私が非常に残念なのは、米欧共同開発の統合攻撃戦闘機『ジョイント・ストライク・ファイター』の共同開発に日本が関与できなかった。そんな武器輸出3原則は私はおかしいと思っているわけです。でも、自ら使うものしか作れないとなると、当然コストは高くなるわけですね。
 共同開発は今、日本は米国とのミサイル防衛開発だけに参画していますが、これからの世界の兵器開発のトレンドは完全に各国の共同開発が主流になっていく。共同開発と共同生産、それによるコスト削減になっていくとみています。
 ですから、日本の今のようなやり方はおかしい。ただ、実際問題として現在の日本は共同開発や共同生産ができないことになってます。それで同盟国であるアメリカから大量の兵器を購入してます。でも、そこでももう少し賢くやれるところはいろいろあると思うのです」
――具体的にはどんな手がありますか?
「たとえば、防衛庁が調達する米国製装備からブラックボックスを無くしていこうということがあります。高額の対価を支払っているのに、肝心なところはいっさい渡さないというのはおかしいですよね。それに、ブラックボックスで来るということは、修理もメンテナンスもすべてアメリカ側に任せるしかないということで、結局、調達後も継続して多額の維持経費を日本側は支払い続けなければならないわけです。
 ですから、このブラックボックスをできるかぎり少なくしていく交渉が必要なんです。が、ただアメリカ側にそれを言ってもダメですから、こちらでもそれなりのことをしなければならない。ひとつは技術の機密漏洩防止の仕組みをしっかり作らなければならないということがありますね。それともうひとつは、こちらの技術もある程度は高めて、相手に転用できるようなものをしっかり作っていかなければならないということなんです。ギブ&テイクの関係ですね。
 また、日本ではライセンス生産が良いイメージで捉えられていますけれど、私ははたしてそうかなと思っているわけです。たとえば、次期主力戦闘機の有力候補であるF-22のような高価なものは、いちばんいいのはそのまま完成品を一括購入してしまうことですよ。その代わり、修理やメンテナンスを日米の合弁企業を作ってそこがしっかりやる。おそらく米軍嘉手納基地のF-15の後継機もF-22になると思いますが、その米軍F-22もそこで修理する。ということになれば、トータルの費用はライセンス生産の場合の半分くらいになってくるんじゃないでしょうかね」
――それでもアメリカ側にも損じゃない話であれば、商談は進んでいくということですね。
「そう思いますね。私は、日本の防衛予算はとにかくこれから基本的には減っていくと思うのですよ。そうなると、いかにコストを下げるかということを真剣に考えていかないといけない。しかし、自衛隊の能力はむしろ上げていきたい。ですから、良いものは買いたいという思いはあるわけです。
 そうするとなおさら、どう良いものを安く手に入れられるかという、交渉術がもっと必要になってくると思いますね」

日本独自の防衛技術を目指すべし

――日本側の技術スキルを上げていって、ある程度の交渉ができるぐらいの地力をつけなければということですが、要するに、初期投資をもっとして、それによってトータルで低コストになるような道を目指すべきだということですね。
「この技術という問題ですが、これは私は日本のこれからの防衛戦略において非常に重要な意味を持ってくると思っています。
 少し大きな話になりますが、これからの戦略環境をみた場合の中国の台頭とグローバリゼーションの不確実性を考えると、あと半世紀ぐらいは日米同盟が日本の生命線であり続ける公算が大きいと私は思っているわけですね。ところが、この日米同盟関係のマネージメントについては、日本はこれからかなりうまくやらないといけないと思うんです。というのも、これから東アジアでのアメリカのカウンターパートとなっていくのは、良きにつけ悪しきにつけ、私は中国だと思うのですね。
 そうした状況では、日本もそうとう努力しないと、日米同盟というのはうまく機能していかない。そこで、もちろん外交もありますけれど、もうひとつ見落とされがちなのが防衛産業の技術力なんですね。この分野の技術に関しては、アメリカもやはり日本の協力なしにはやっていけないなというものを、日本はどれだけ作れるか――それが私は同盟の価値を高めるひとつの大きなポイントになると思うんですね」
――基地を貸しているだけではダメですか?
「不十分です。基地だけでもダメ。ホスト国としての支援だけでもダメ。集団的自衛権行使を認めるだけでもダメ。そんなときにいちばんの武器になるのは、独自の軍事技術なんです」
――ただ軍事関係の技術というのは、アメリカと日本ではそのレベルにもはや雲泥の差がついてしまってると思うんですが。
「トータルでみれば、おっしゃるように大きな差がついてしまってますけれども、ミサイル防衛のノーズコーン開発の技術など、日本が主導しているものもないわけじゃないですね。とにかくひとつでも日本が優勢な軍事技術分野を作るのと作らないのとでは同盟の関係性がかなり違ってくるわけです。
 ただし、こうしたものは防衛庁技術本部だけでも、個別の企業だけでも不可能です。役所と企業と政治が一体となったオールジャパンとして、国家戦略として、まさに国策としてあたらなければならないことです」
――アメリカはそれを座視しないんじゃないですか? 冷戦時代に日本の航空産業を力づくで押さえてきた前科もありますし。
「それは押さえようとするでしょうね。でも、なにも航空産業のような核心の産業でなくてもいいんです。一点豪華主義でいいんですよ。一点の何かがあれば、あとはギブ&テイクでより対等に近い交渉が可能になるんです」
  1. 2011/08/26(金) 11:06:14|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

BSフジでシリア情勢

 本日夜20時から、BSフジ「PLIME NEWS」にお招きいただき、中東情勢、とくにシリア情勢についてお話させていただくことになりました。興味のある方はぜひどうぞ。
 放送数時間後には、番組サイトでもアップされるそうです。ちなみに、他のゲストの方は、放送大学の高橋和夫先生、慶応大学のジョン・キム先生です。
  1. 2011/08/24(水) 12:36:08|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

前原誠司氏関連本

 私はとくに右だの左だのの高らかな思想などは持ち合わせておりませんが、強権体制が打倒されたことは、素直に喜びたいと思います。リビアの方々、おめでとうございます。さあて次はシリア、できればイランあたりも期待したいですね。

 さて、民主党代表選に前原誠司氏が出馬するとのことで、いっきに大本命だそうです。ということは、順当なら次期総理ということになりそうです。
 で、前原氏の考えはどんなものか?とアマゾンで著書を検索してみたところ、たった3冊しかヒットしませんでした。で、そのうちひとつが、氏の著書ではありませんが、私が6年前に企画構成&取材編集した別冊宝島『石破茂・前原誠司ほかが集中講義! 日本の防衛 7つの論点』でした。古い本ですが、前原次期首相?の国防の考え方がわかります。もう絶版ですが、興味のある方は図書館・古書などで是非どうぞ。⇒アマゾン 
 ちなみに、当時取材した前原さんは、私と年齢がそんなに変わらないのに「なんてソツがないんだ!」ということが強く印象に残っています。話は理路整然としてますし、やっぱり頭がいいんだなあ・・と。なので、その後の野党・民主党の代表時代の偽メールでの大チョンボが「なんで?」という感じです。
  1. 2011/08/23(火) 01:58:48|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

リビア情勢急展開の裏側

リビア情勢が急展開を見せたのは、明らかに両サイドの軍事力の均衡が崩れたからです。そこで興味深いのは、それは何故?ということですね。
 大きな構図で言えば、これまでカダフィ派vs反体制派は、「腐っても軍隊」vs「烏合の衆」的なところがありました。武装の差もありますが、なにより軍隊という組織になっているかいないかという違いがあったといっていいでしょう。
 で、この半年の戦闘で、反体制軍も組織的な戦闘の技術を徐々に高めてきたということはあろうかと思います。で、他方のカダフィ側は消耗・疲労・厭戦が蓄積されてきたと流れですね。しかし、それだけか?というと疑問もあります。軍隊は適切な指揮がなければ、急に強くなったりはしないものです。
 反体制側は、7月28日にアブドル・ファタハ・ユネス参謀総長の暗殺という大事件があり、それで8月8日、政治指導部である「国民評議会」が総辞職しました。明らかに内紛があったとみられます。
 それで本来なら指揮系統の混乱があるはずですが、それが逆に強化され、トリポリ包囲作戦が順調に実行されました。反政府軍の統制が、明らかに進化したものと考えられます。
 まず、トリポリの西50キロのザウィヤを制圧してカダフィ側の補給路を断ち、続いて密かに運び込んでいた武器を使ってトリポリ郊外で武装蜂起が行われたとみられています。こうした作戦は、指揮官不在ではちょっと考えられません。
 他方、カダフィ側は政権中枢からの寝返りが急増しました。15日にはアブドラ副内相、20日にはジャルド元首相が出国しています。カダフィはいよいよファミリーだけとなりつつあったわけです。
 これらの亡命には、おそらくインテリジェンスによる手引きがあったものと考えていいのではないかと思います。米英仏伊あたりのインテリジェンスが、この数週間、水面下で動いた可能性がありますが、現時点では確かな情報はありません。
 
  1. 2011/08/22(月) 14:17:06|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

カダフィ政権ついに崩壊へ

 リビア反政府軍がいよいよ首都トリポリに入り、つい今しがたですが、長男ムハマド・カダフィが投降、次男セイフ・イスラムが拘束されたとの報道が流れました。長男のほうは北朝鮮でいえば金正男みたいな異母兄ポジションで、ビジネス活動中心のどちらかというと傍流ですが、次男はカダフィの事実上の跡取りだったので、これでもう勝負は決したとみていいでしょう。
 カダフィ自身は最後まで悪あがきするでしょうが、あとは時間の問題です。
 問題はカダフィ後ですね。リビアの場合、もともとカダフィ政権側だった人間がこの半年間でかなり寝返っていて、とくに軍幹部の寝返り組が内戦勝利に貢献大だったわけですが、彼らの間でまず主導権争いが発生しそうです。部族というか地域閥の抗争もありそうですが、それよりもまずは旧政権幹部でしょうね。
 ただ、内戦後期に駆け込みで寝返った人は立場が弱いです。こうした内戦系の革命の場合、どうしても早期に立ち上がった人々の発言力が突出しますから、いずれにせよもうひと波乱ありそうです。
 カダフィは最後は自殺というパターンでしょうか。息子たちもおそらく死刑は免れないでしょう。カダフィ一族が悲惨な末路を辿れば、シリアの独裁者一族にも影響を与えるかもしれません。
(※追記⇒ちょっと情報が錯綜していますが、CNNが今しがた伝えたところによると、「次男セイフ・イスラムと三男サアディを拘束」とのこと。サアディは元2流のプロサッカー選手で、今はカダフィ軍の一部隊を指揮していた人物です)
  1. 2011/08/22(月) 08:10:22|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

シリア弾圧続く

 シリア情勢が大きく動き始めました。
 17日、国連事務総長と電話協議したアサド大統領は「軍や警察の作戦を停止した」と約束しました。
 18日、米英仏独加+EUが、「アサド退陣要求」を表明。さらに米英(※訂正⇒英仏独葡)は国連安保理で制裁決議案を提出する考えを表明しました。
 で、本日未明の拙ブログ前エントリーで、「日本政府も同調を!」と書いたところ、19日中に、さっそく松本外相がアサド退陣要求を表明しました。素早い動きで、たいへん良かったと思います。
 一方、国連人権高等弁務官事務所がシリアでの人権侵害を認定。「『人道に対する罪』にあたる可能性がある」として、国際刑事裁判所に調査・捜査を促すとともに、国連調査団を今週末にシリアに派遣することを決めました。
 こうした動きに、シリアのジャファリ国連大使は「軍・警察の作戦が停止されているのに、おかしい」と反発しましたが、実際には18日も19日もシリア各地でデモ弾圧は続いています。とくに同国南部のホラン地区で軍事作戦が続いているほか、首都ダマスカスでもアムン(公安警察)が大々的にデモ隊を排除しています。他にもホムスなど各地で弾圧の事実が報告されています。

 国連安保理では、おそらくこれまでと同様に、ロシアと中国がシリア制裁に反対するでしょう。しかし、「弾圧停止を約束したのに、約束を守っていない」となれば、ロシアや中国としても、いつまでも庇い切れるものではないでしょう。
 デモ隊側は、抗議行動を緩める気は毛頭なく、大掛かりな街頭行動を今後も続ける計画です。独裁政権はそれを放置できませんから、必ず弾圧を強化するでしょう。流血は続きますが、アサド政権は確実に追い詰められていきます。

(そもそもアサド政権が「改革」とか口先で言っていることに、まともに期待するほうがおかしいと私は当初から考えてきました。国中にアサド親子の肖像画飾って「大統領万歳!」としか言えないような国ですからね。国外向けの口約束なんて初めから守る気ないです。北朝鮮と同じです。
 メディアの人と話すと、だいたい皆さんそのことはわかっていても、情報鎖国国家の場合、証明する材料が不足しているので、報道機関としての建前上、独裁政権の言い分も併記しないといけないということです。90年代くらいまでの北朝鮮報道と似たようなジレンマですね。当時、私も何度か北朝鮮を糾弾する記事や番組の企画を提案したことがあるのですが「一方的な内容だ」と却下された経験があります。まあ、そこを説得する材料を準備するのが本来のプロの仕事なのでしょうが)

 本日、反政府運動を担ってきた本当の主役である44のグループが結集して「シリア革命総合委員会」(SRGC)という組織が結成されました。各地でのデモの組織化、あるいは映像ネット配信などを命がけで行ってきた匿名の若者たちが中心です。シリアの反政府運動は核となる統一組織の欠如が弱点でしたが、今後、このSRGCが中心になります。今はまだ国内の活動家が実名を出して活動できる状況ではないですが、いずれこの中から指導者が出て来るでしょう。国際社会は彼らを支援すべきではないでしょうか。
  1. 2011/08/19(金) 21:26:08|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3

シリア革命へ一歩前進

 米英仏独&EUが、シリアのアサド政権に対して退陣要求を発表しました。日本政府も是非同調してほしいと思います。米英がやっているのだから、なんら問題ないはずですね。日本とは関係ない話と感じる方も多いと思いますが、国益の観点からしても、アサド政権を追い込むことは、同じようなネット民主化圧力に晒されている中国、あるいは徹底的な警察国家・北朝鮮に対する強力なプレッシャーになります。
 この国はもはやアサド温存での改革などではおさまりません。アサドは2000人の国民を殺害していますから、もはや免責されません。知らなかったでは絶対に収まりません。あとは政権を打倒するまでに何人の国民が死ななければならいかという数字の問題になってきます。
 反体制派の主流派はこれまで、非暴力闘争を訴えてきましたが、もはや機は熟したものと思われす。
  1. 2011/08/19(金) 02:16:19|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

シリアの惨状をレポートしました

 3月以降、震災・原発・政局と国内の重大ニュースが目白押しだったので、シリアの惨状についてはメディアに書く機会がなかなか得られなかったのですが、やっと本日発売の『フライデー』に「シリア 地獄から届いた大量虐殺現場写真」という寄稿記事を採用していただきました。
 かなりショッキングな写真も掲載しましたが、それが、いま現在も携帯電話カメラだけを武器に独裁者への抵抗を続けている「殺される側の人々」が命がけで世界に伝えようとしている現実であるわけで、できれば日本の読者の方々にも見ていただきたいと強く願っています。

 ところで、先月レバノンに行ってきたことは拙ブログでも書きましたが、その主目的はシリアの反政府活動家らと会うためでした。
 じつはシリアについてはもう何ヶ月も前からマスコミ各社にアプローチしていたのですが、なかなかうまくいかなったという経緯がありした。ネタが日本ではマイナーだということもありますが、それ以外にも、画像の出所がユーチューブやフェイスブックだったこともネックでした。海外のマスコミはわりかし平気で使用するのですが、日本のメディア各社は、信憑性と著作権の問題により、ネット画像の使用に対して非常に厳しい基準があるのです。
 で、私は以前からレバノンを拠点に活動する「シリア地域調整委員会(LCCS)」(シリア国内各地でデモを組織している各地域委員会の横断組織。ネット活動もしている)の公式スポークスマンとコンタクトがあったのですが、それで直接現地で彼らを取材し、さらにそれを足場に他のネット活動グループともコンタクトし、公式に画像の提供を受けたわけです。いずれもネットで見られるものと同じものですが、メディアに乗せるには、そういうオフィシャルな手続きが必要なのですね。
 ともあれ、そういうことで、シリアのネット活動グループの大手どころのほとんどから、今後の画像についても、個人として無制限の使用許可を得ました。他のメディアの方で、これらの画像(主に動画ですが)の使用を希望される方がいらっしゃいましたら、是非ご連絡ください。当ブログの右下のほうに私へのメールフォームがあります。
  1. 2011/08/18(木) 09:23:40|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

朝日社説でシリア問題

 震災の影響もあって、日本ではほとんど報道されていないシリア情勢ですが、シリア軍が国民の虐殺をエスカレートさせているなか、朝日新聞が本日の社説でようやく言及しました。
シリア危機―国際的な民主化圧力を
 まったく同意。アサド政権は国際社会の出方を非常に気にしていますので、微力とはいえ日本政府もアクションを是非とって欲しいと思います。
 上記社説とは別の話ですが、あるメディアの記事を読んでいたら、「シリア軍・治安部隊側の死者も多い」ということに言及されていたので、解説します。
 シリア国内から流出している映像には、しばしば兵隊が任務を放棄してデモ隊側に加わる場面が映されていますが、かといってこうした離脱兵士が国民側に立って反政府軍が誕生したという確認情報はありません(噂はたくさんありますが)。兵士たちは「無法暴力集団が暴れているので、撃ち殺せ!」と命令されて現場に送られるのですが、そこで一般市民の群衆を目の当たりにします。当然、いくら命令とはいえ、そんな同胞たちを撃ち殺したくはありません。それで、発砲を躊躇したり、任務を放棄する兵隊も出てくるわけです。
 シリア軍では、そうした離脱兵士の増加をもっとも警戒していて、前線での軍内の粛清が日常的に発生しています。兵士の死者のほとんどはそういうパターンです。
 治安部隊(アムン)はもともと国民弾圧の組織なので、軍に比べるとそういうことはほとんどないようです。
 反政府側にも血気にはやる若者はいますので、政権側を襲うことが皆無ではないようですが、軍や治安部隊を攻撃した例は、少なくとも私は知りません。住民側が狙うのは、主にシャビーハ(民兵)メンバーが多いと聞いています。ただ、それもたいした数ではないです。
 それにしても、どうしても報道では政権側の発表も併記しなければならないので、概してトーンが低いのが残念です。あの国は北朝鮮みたいな国なので、国営SANA通信の情報(つまりシリア政府の公式発表)などまったく意味がないのですが。
  1. 2011/08/16(火) 12:30:46|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

中国空母「ワリャーグ」

 TBS報道局様より中国空母「ワリャーグ」試験航海に関して取材していただいた拙コメントが、昨日の「Nスタ」「NEWS23」および今朝の「みのもんたの朝ズバ」様に採用していただきました。私見では、先週の『週刊朝日』に書いたように、中国版ワリャーグなど全然どうってことのないものだと思っているのですが、やはり世間では関心が高いようです。
 所用にて放送は結局どれも自分では見られなかったのですが、拙ブログへのコメントで、道楽Q様がユーチューブへのリンクを貼ってください、拝見することができました。道楽Q様、ありがとうございました。

 また、先週のことですが、拙著『ビンラディン抹殺指令』が「朝日新聞」書評欄にて紹介されました。ビンラディンは早くも“過去の人”という雰囲気ですが、拙著はどちらかというと“CIAの実態”に力点を置いていますので、少なくとも「CIAの活動に興味のある方」には興味を持っていただけると思います。こちらもよろしくお願いいたします。
  1. 2011/08/11(木) 23:10:22|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3

北朝鮮は核で妥協はしない!

ウラン濃縮は平和的活動~北朝鮮・金次官 (8月2日 日テレ・ニュース24)

過去の拙ブログでも指摘してきましたが、予想通りの展開です。北朝鮮がわざわざウラン濃縮施設の近所に軽水炉の建設をはじめ、せーので公開したのは、このためです。北朝鮮は最初から「原発のため」と言い逃れることを前提に、ウラン濃縮計画を進めています。
「軽水炉用の燃料づくりだ」と言われてしまえば、それを否定する証拠はありません。国際ルールでもそれを止めることはできません。どうしても止めるなら、クリントンのときのように、アメリカ政府がなりふり構わず「軍事オプション」をチラつかせるしか道はありません。軍事的な脅しのない交渉の席で、北が妥協するはずはありません。
 今後も、対米交渉の過程で加速度の緩急は仕掛けてくるかと思いますが、北朝鮮はいかなることがあっても長距離核ミサイル完成まで開発をやめることはないでしょう。ウラン濃縮は核爆弾量産と、なにより核爆弾小型化の切り札です。よく言われる「交渉カード」などというものではないです。甘く見ないほうがいいと思います。

 ところで、竹島。
韓国、自民3議員の入国拒否 竹島問題、強い警戒感(日経)
 実効支配というのは2国間関係においては決定的です。それをどうにかしようとするなら、戦争の覚悟が要ります。北方領土も同様です。政治家といっても個人の行動は自由だと思うので、べつに文句は言いませんが。
 それよりも、実効支配中の尖閣。それをしっかり保持していくことが肝要です。
 ということで
人民解放軍副総参謀長「日本は危険な方向に」‎(読売)
 南西諸島への陸上自衛隊配備計画や、海上自衛隊による東シナ海での警戒・監視活動の強化方針に対して、中国軍がさっそく文句を言ってきましたが、そういうのは無視しましょう。向こうも「いちおう言ってみた」だけです。

 中国といえば、本日発売の『週刊朝日』に、短い記事ですが「中国空母を恐れることはない」という記事を寄稿しました。「空母」なんていうといかにも恐ろしげですが、ま、そんなたいした代物じゃないと思います。
  1. 2011/08/02(火) 05:21:26|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1

シリア軍は割れるか?

 機甲部隊による流血の弾圧が続いているシリアのハマから、新しい映像が出ました。複数の装甲車とその兵士たちが、デモ隊を襲うのをやめています。
▽ハマで弾圧離脱の装甲車と兵士
 軍の一部が反乱したということでしょうか?
 ただ、この映像を見ると、兵士たちは積極的にデモ隊に合流したという感じではなく、なんだか所在なげに途方に暮れているふうに見えます。ちょっとまだわかりません。
  1. 2011/08/01(月) 01:51:13|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

月別アーカイブ

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。