ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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原発の「情報」と「戦略」

 現在発売中の『FRIDAY』の「アイマン・ザワヒリがアルカイダ司令官に就任」の記事にコメントを採用していただきました。まあ、ザワヒリのことはそこそこ詳しいほうだと自負してます。拙著『世界のテロと組織犯罪』がたぶんザワヒリを紹介した最初の日本語文献だと思うのですが。ビンラディンよりタチが悪い人物ですが、いずれにせよもうあまり力はないのではないかというのが私の見方です。
 また、明日発売の『SAPIO』に「世界中のコンピュータに埋め込まれた中国製『破壊ウイルス(ロジック・ボム)』が突如動き出す」という記事を寄稿しました。「世界サイバー戦争&テロに備えよ」という特集の中の1本です。中国だけではないですが、サイバー戦の具体的な攻撃の種類などについて解説しました。

 ところで、7月7日発売の拙著『新装・改訂版 謀略の昭和裏面史』 (宝島SUGOI文庫)の表紙が出来たようなので、いちおうアップしておきます(⇒アマゾン)。まだ現物が手元にないのですが、届きましたら後ほど目次をご紹介します。
謀略の昭和裏面史表紙
 なかなかおどろおどろしくてナイスですね。軍事ジャーナリストを自称する者が何故このような分野を?というと、私はもともと旧軍特務機関マニアで、その人脈の戦後の動向にも興味があり、それに戦後のキャノン機関、CIA、自衛隊情報部門、公安警察などのインテリジェンス系の分野がシンクロしたという経緯です。また、もともと週刊誌編集者出身なので、いわゆる「事件」系もわりと好みだったりもします。

 ところで、以前のエントリーでも書いたように、今回、いくつか新規項目を書いたのですが、版元様からの要望で「原発を作った正力松太郎」という項目も加えました。原発推進に尽力した中曽根康弘氏についても少し触れましたが、私は正力氏も中曽根氏も悪とは見ていませんので、左翼チックな文章にはなっていません(べつに賛美もしていませんが)。
 で、その原稿中、以下のような意味のことを書きました。
「原発をめぐる賛否の議論が、不幸なことに最初から、保守陣営と左翼陣営の政治的対立の構図に陥ってしまった」
「左翼の反政府政治運動と結びついた反原発運動から一般国民は離れていき、原発推進側は組織防衛のために原発安全神話を繰り返すようになった」
「もともとはどちらの側も、それなりに真剣に日本の未来を考えての行動だったのかもしれないが、こうした政治闘争の構図になったことで、肝心の安全性についての議論が封印されてしまったことは、日本の原子力行政にとって、また日本国民全体の利益にとって、大いに問題だったといわざるをえない」
 原発問題が主旨の原稿ではなかったので、軽くしか触れませんでしたが、似たような主張をされる方がいました。
 前エントリーでご紹介させていただいた「誠ブログ」の「原子力論考」(開米瑞浩氏執筆)の最新記事が、そのあたりのことを私なんぞよりもずっと明快に解説されています。(⇒「安全神話」と言われるものの実情について
 たいへん興味深い論考だと思います。原発問題の感情的な議論はなんとなくもうお腹イッパイな感じですが、こちらは非常に論理的ですし、勇気もご立派だと思います(このご時世で、この種の発言は危険行為になっています。私は正論だと思うのですが)。

 で、私もその勇気を見習って、たぶんあまり賛同者はいないでしょうが、原発問題について1点ここで私見を述べてみます。現在、原発問題で関係者の責任追及が凄まじい状況になっていますが、今回はその「責任」に関して、インテリジェンス的な視点から考えてみます。
 まず、震災以後の原発の惨状は明らかです。なので、こうした事態を招いた責任が誰かにあれば、それを問うのは当然であり、そこを免責せよと言う気は私にもないことをお断りしておきます。
 では、原発の現在の惨状について、東電や行政には責任があったのか? ここで、問題を2つに分けて考えてみます。
 ひとつは震災によって原発が破壊されたことに対する責任であり、もうひとつは原発被災後に適切な処置をしなかった責任です。後者については、私は正直、よくわかりません。関係者の方々はみなさんご自分なりに最善を尽くしたものと信じたいですが、いろいろ不手際があったとの報道が多いのも事実です。情報公開に不適切な点があったことはたぶん否めませんが、その他の実際の対処に関しては、報道には結果論的な後付け批判も少なからず見受けられます。なので、普通に新聞や雑誌を読んでいるだけの私には、まだ判断がつかないというのが正直なところです。
 では、ひとつめの「震災によって原発が破壊されたこと」の責任はどうでしょうか?
 原発反対派の方々は、むしろこちらをメインにこれまで電力会社や国を批判してきました。「原発は危険」「そんなの当たり前」「原発を作るなどけしからん」⇒(震災発生)⇒「それ見たことか」という流れで、その主張・批判は現実として当たっていました。なので、反原発派は正しかったことが証明されました。
 しかし、それがほんとうに必然的な正解だったのか、あるいは「想定外の規模の震災でたまたま正解になったのか」はわかりません。
 ここで問題になるのは「想定外」を考慮しなかったことを、どう評価(断罪)するかということです。
 どんなことでも「想定外」はあり得ます。なので、「想定が足らなかった」といえばそのとおりですが、現実問題として、どこまでも想定を拡大することはできません。その想定の範囲を割り出すのが、情報、つまりインテリジェンスということになります。
 インテリジェンスに関して、「正確な情報分析・評価を提示すること」と思っている方が多いですが、実際のインテリジェンスはほとんどが「蓋然性の高い情報分析・評価を提示すること」です。つまり、「これが正しい」と断定できることは稀で、「この可能性が比較的高い」ということしかわからないわけです。
 ちょっと細かい話をすると複雑になるので、ざっくりといえば、インテリジェンスは「想定する」のが役目ですが、その想定外はどんな問題でも、いつでもあり得る宿命にあります。
 原発問題でいえば、同地域でどれほどの地震・津波が起こりえるかと分析・判断し、「想定する」のがインテリジェンスです。その責任は、原発建設関係者ではなく、地震予知の関係者ということになります。
 今回、地震予知関係者は、想定を間違えました。しかし、それは責任を追及すべき過ちだったとは断定できません。私は地震予知の関連書を制作したこともあるので多少知っていますが、地震予知(予測)は一般に思われているほど進んでいるわけではありません。地震予知関係者はそれでも可能がかぎりにおいて、情報を分析し、インテリジェンスを制作します。なので、想定が結果的に誤っていたとしても、それが必ずしも責任と追及される誤謬であるとは断定できません。現に、原発でも三陸の津波被害でも、地震予知関係者の責任を追及する声はほとんど皆無です。
 他方、原発関係者は、地震予知関係者からの「情報」に基づいて、耐震・安全を確保します。これは、情報を元にした「戦略」(あるいは「政策」)ということになります。福島の場合、思ったよりも地震の時点での炉心の破壊も大きかったようですが、これだけの惨状に陥ったのは、やはり想定外の津波によるセーフティ機能の崩壊が決定的でした。なので、想定外を想定しなかったことの責任が追及できるかどうかという話になります。
 いわゆる結果責任は当然ありますが、まるで犯人のつるし上げのごとく誤謬を追及するほとの責任が存在するのかどうかは、これは一概に判断できません。運営側がもしも想定(インテリジェンス)に基づいた危機管理措置をきちんととっていたならば、どうなのでしょう?
 適切な危機管理措置とは、インテリジェンスに基づき「蓋然性の高い危機への備え」と「最悪の事態を想定した備え」を同時に進めることです。国家の安全保障と同様です。
 戦略サイドは、インテリジェンスに基づいて危機管理措置をとります。そのインテリジェンスで想定外のことは、普通は戦略サイドも度外視します。今回不幸にして起きたことは、おそらくそういうことです。
 甘かった部分はたぶんあったでしょう。インテリジェンス(情報)がそれほどアテになるものではないということまで考慮しなかったのがそれで、そこには前述したような「安全神話」への固執が作用した可能性があります。
 しかし、想定外を想定しなかったのが罪かというと、それは安易には断定できないのではないかと思います。
 なので、反対派の意見を無視して原発を作ったからいけない、という論法で感情的に断罪するのではなく、原発推進側の戦略上の判断はどうだったのか、まずはきちんと具体的に検証すべきかと考えます。
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  1. 2011/06/28(火) 10:25:05|
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国民世論は原発反対?

 じつはマスコミ業界の知人のなかに、実際に原発反対論者の人は多くいます。そういう方々はたいてい、この話題に関しては、当方も当然「反原発」であることを前提にして話してくることが多く、べつに反原発でない私はちょっと戸惑うことが多かったりします。そういう場では「反原発に与しない者は極悪人」みたいな空気になるので、なかなかカミングアウトしづらかったりもします。
 最近パラパラと拝読したいくつかの雑誌では、編集部が「国民世論は原発反対。なのに東電と政治家と御用学者は金儲けのために国民を騙している!」と断定したり、現在の危険性を低く見積もっている専門家を「子供たちを殺そうとする極悪非道人!」と罵倒したりしていて、正直ちょっと引きました。
 私なんぞは専門的知識が皆無なので、メディアで専門家の解説を読むしかないのですが、実際は原子力工学の学者や放射線医学の専門家にも、さまざまな意見の人がいます。反原発メディアは、そのうちの反原発論者の意見だけを掲載しています。紙面づくりとしては普通のやり方ですが。
 私が多少関わっているインテリジェンスや国際テロの分野では、かの9・11テロのようにトンデモ陰謀論がものすごく多く、私自身は「東電の陰謀」などという論調に反射的に拒否反応のバイアスがかかってしまうのですが、それでもさすがに「国民世論は原発反対」などという断定はどうなのかなと思います。ホントに??むろんご本人たちは良かれと思って書いているわけで、その誠意を否定する気はないですが、要はインテリジェンス分析的にどうなのかなと。
 ちなみにちょっとググッて見つけた朝日新聞の「世界の世論『原発反対』増加 9割が東日本大震災認識」(2011年4月20日)という誘導丸出しの見出しの記事によると、スイスの調査機関の世論調査で、日本では原発反対派が47%、原発賛成派は39%だったそうです。こういう調査は設問次第のところがあるのであくまで参考値ですが、47%vs39%なので、たしかに反対派勝利ですが、べつにワンサイドゲームではないですね(残りの14%についての立場がこの記事からはわかりません)。朝日新聞の4月18日の記事では、原発容認が56%、同じ頃の毎日新聞では40%とのこと。他の世論調査もまあだいたい似たようなものが多いようです(その後の反原発記事大乱発で現在までに世論が変化した可能性もありますが、よくわかりません)。
 ところで、『軍事板常見問題』さんのリンクで、「誠ブログ」というサイトに掲載されている「原子力論考」という連載を拝見しました。執筆は開米瑞浩さんという企業研修講師をされている方ですが、インテリジェンス的にこの問題を考えるうえで非常に示唆に富んだ解説をされています。ぜひ一連の連載のご一読をお薦めします。(⇒リンク
 私としては、上記サイトでの下記の記述に賛成1票を投じたいと思います。
(以下、引用)
「放射能は危険だ」という論者は大勢います。
 一方で、「世間に思われているほど危険ではない」という論者も数は少ないながらいます。
 では、どちらを信用するのか?
「私は危険な気がするから、危険だと言ってくれる人を信用します」
 ・・・というのだけはやめましょう。これを感情的な判断と言います。感情的な判断をしていると、事実に気がつくのがどうしても遅れます。
 人間はどうしても間違えるものです。「これは科学的な事実です」という科学者の発言だって数十年どころか数年でひっくり返ることはよくあります。それが科学の発展の歴史ですから。
(以上、引用)

※追記⇒ある方から指摘され、「たしかに」と思ったのでひとこと。上記引用文のなかの「論者」を「専門家」に限定した場合、「世間に思われているほど危険ではない」という立場の専門家は、報道をみるかぎり「たくさんいます」。数で言えば、むしろ「福島県からすぐ逃げるべき」などと言っている「専門家」のほうが少数派ですね。反原発メディアが積極登用するので一部で目立っているようですが。反対派の方にいわせると「新聞・TVはだからダメなんだ!」ということになるのでしょうが・・・。
  1. 2011/06/26(日) 12:26:54|
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『ビンラディン抹殺指令』発売のお知らせ

 先のエントリーでご紹介させていただいた『ビンラディン抹殺指令』がいよいよ発売になりました。(⇒アマゾン
 出版元の剛腕編集者K様より、「自分のブログで画像くらい出せよな」とお叱りをいただいたので、アップしてみます。こんな感じの本です。
ビンラディン抹殺指令表紙
 目次はこんな感じです。

第1章 ビンラディン襲撃作戦
潜伏場所は首都近郊
ビンラディンの連絡員を探せ
所在の「確証」はなかった
たったひとりだった反撃者
なぜ捕縛でなく殺害だったのか

第2章 アルカイダの誕生
若き日のビンラディン
CIAのアフガン秘密工作
アルカイダの誕生
湾岸危機で反米思想に目覚める
母国サウジアラビアからの追放

第3章 クリントンvsビンラディン
スーダンからアフガニスタンへ
ビンラディン追跡班の創設
FBIのタスクフォース
CIAのビンラディン拉致計画
情報源は専属料理人
CIA長官の宣戦布告
英雄となったビンラディン
ボスニア・コネクション
ミレニアム計画
クリントンのビンラディン暗殺作戦
元NSCテロ対策責任者の告白

第4章 9・11の真相
9・11の首謀者はビンラディンではない
米国系航空機「大爆発」計画
UBLとKSMの接近
ビンラディンが採用したテロ計画
幻のジハード演説中継作戦
捜査線上に浮かんだ大物テロリスト
9・11を決行した「ハンブルク細胞」

第5章 アメリカ情報機関の失策
大統領に届けられていた「警告」
CIA内で滞っていたテロ関連情報
人材不足だったテロ対策センター
事なかれ主義がはびこっていたFBI
“アラビア語の壁〟
国防情報局はタリバン内部に情報源を確保していた
ひとりの分析官しかいなかった国務省の情報機関
テロ対策予算はじつは倍増されていた

第6章 CIA特命チームの追跡
暗号名「ジョーブレーカー」
7人の精鋭たち
陸軍工作チームが合流
ビンラディン追跡班「ジュリエット・チーム」
パキスタンに逃走したビンラディン
大規模掃討作戦「アナコンダ作戦」

第7章 アルカイダの逆襲
2500万ドルの懸賞首
バリ島ディスコ自爆テロ
サウジアラビア高級住宅街襲撃
ロンドン地下鉄同時爆破テロ
ロンドン航空機連続テロ未遂
ブット暗殺
聖域を失ったアルカイダ

第8章 テロリスト・ハンターの見えざる戦い
テロリストを追うFBI
世界最強の情報機関の復活
CIAのスパイ工作
「NSA」の通信傍受
パキスタンで活動できなかった米軍
特殊部隊のタスクフォース
CIAの秘密収容所と「ブラックサイト」
偽装航空機による「特殊移送」
CIA特殊活動部の無人機攻撃

終章 イスラム・テロVSアメリカの今後
アルカイダの後継者
報復テロに蠢く親アルカイダ系組織
次代のカリスマはメフスード司令官
低迷期に入ったイスラム・テロ
CIAの課題はISI対策


出版元の内容説明  
⇒2011年5月、イスラム過激派アルカイダの指導者ビンラディン殺害のニュースが世界を駆け巡った。9.11テロから10年、ビンラディンが反米テロに本格的に乗り出してから15年――。その間アメリカは、CIAの特命チームの投入、対テロ特殊部隊による隠密作戦、無人機攻撃など総力を挙げて、“世界一危険なテロリスト”を捜索した。9・11以前からビンラディンを追いかけてきた軍事ジャーナリストが、知られざるCIAのビンラディン追跡極秘オペレーションの内幕を描く。
  1. 2011/06/22(水) 04:30:59|
  2. 著作・メディア活動など
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『新装・改訂版 謀略の昭和裏面史』

 まだちょっと先ですが、7月7日に拙著『新装・改訂版 謀略の昭和裏面史』が発売になります(⇒アマゾン)。
 本書は宝島社の文庫版で、オリジナルは2007年の発売でしたが、それ自体が2006年発売の別冊宝島の改訂版になります。つまり、もとは2006年の『ワールド・インテリジェンス』創刊の直前頃の仕事でした。
 今回はそれに、『ワールド・インテリジェンス』創刊後に調べたCIA機密解除文書情報だとか、ミトロヒン文書情報だとか、陸幕2部別班情報だとかと多少加味しました。また、岸信介や瀬島龍三の項、さらに版元様のリクエストにより、いま話題の原発ネタということで、「日本に原発を作った正力松太郎」という項を新たに追加しました。
 で、字数が多くなりすぎたので、オリジナルにあった巻頭のインタビュー2本と他数本の記事が割愛され、代わりに「昭和史を知るキーワード」という項を序章として書き加えた次第です。
 今回の改訂版制作にあたって、自分でも久々に読み返しましたが、やっぱり大戦中の陸軍特務機関と戦後のG-2や旧軍人脈などの水面下の活動は興味深いですね。
 私がこれまで手がけてきた本のなかでは、『自衛隊の実力』という本がセールス的には圧倒的に好成績だったのですが、この本はたぶんその次くらいに、お蔭様で御好評いただいたものです。他はほとんどマニアックな本ばかりなのですが、この本は日本の現代史に興味がある方ならどなたにも楽しんでいただけると思いますので、よろしくお願いします。
 いや、それにしてもこの数ヶ月は、ウィキリークス、中国ネット検閲、自衛隊、アルカイダ、CIA、中東情勢、原発、児玉誉士夫なんかを同時進行で追いかけて、なんだかどっと疲労しました。出版不況のなか、たいへんありがたいことですが。
  1. 2011/06/18(土) 21:12:14|
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新刊『ビンラディン抹殺指令』

 来週の話ですが、拙著『ビンラディン抹殺指令』(洋泉社新書y)が発売になります。(⇒アマゾン
 主に15年にわたるアメリカ情報機関のビンラディン追跡のドキュメントです。
 インテリジェンスの世界にもいろいろな話がありますが、私の場合はもともとアルカイダとCIAの水面下の攻防をテーマに取り組んできたので、今回はいわば原点回帰の仕事になりました。
 それにしても、あらためて振り返っても、やっぱりこの世界は興味深いです。みんな命がけですから、本気度が違うのですね。私も単著書としては久々の新刊ですが、ライフワークのひとつですし、自分ではいちばんの得意分野のつもりなので、かなり力が入りました。みなさま是非ともよろしくお願いいたします。
  1. 2011/06/13(月) 04:41:06|
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スパイに向いている人

 以前のエントリーで、戦場カメラマンのなり方とか、インテリジェンスの学び方とか、日本のインテリジェンス機関に就職するには、とかいったことを少し書いたことがありますが、このところ「スパイになるには」「スパイのなり方」といった検索で拙ブログを覗いていただく方がときおりおられるので、本日はそんなことを少々考えてみました。
 スパイになるといっても「ケースオフィサー」なのか「エージェント」なのかで、人生はだいぶ違ってきます。ケースオフィサーというのはCIA用語ですが、スパイ組織の正職員で、調査対象の国や人脈の情報を探るのが職務になります。007のジェームズ・ボンドなんかがそうですね。
 他方、エージェントというのは、もともとスパイ組織が調査対象とする組織や人脈の「中の人」で、ケースオフィサーによってリクルートされる、要は「裏切者」です。現実のスパイ組織では、ケースオフィサー自らが身分を偽って調査対象組織に潜入するなどという危険を冒すことはほとんどなく、危険を冒すのはもっぱらエージェントということになります。
(ちなみに、CIAでは現地派遣要員を「フィールド・オフィサー」と呼ぶこともあります。また、ケースオフィサー以外に、報告書を書くのが専門の「リポート・オフィサー」という職種もあります。そのリポートを受けて分析する分析官は「アナリスト」ですね。リポート・オフィサーはケースオフィサーになる前の新人がやるみたいですが、詳細はよくわかりません)
(ちなみに、混同しやすいのですが、FBIでいうエージェントは、FBI正規職員である捜査官を指します。FBIでは日本の検事のように、捜査官それぞれが独立した司法権限を与えられているからです)

 で、最初から、そんな「裏切者」であるエージェントになりたいという人が本当にいるとは思えませんので、ケースオフィサーについて考えてみます。
 ケースオフィサーのなり方は、要は、インテリジェンス機関に就職し、組織内人事でそういった部署に配属されるしかありません。インテリジェンス機関への就職に関しては、以前のエントリーで少し触れたので、割愛します。
 なので今回は、どういう人がケースオフィサー(スパイ)に向いているか?を考えてみました。
 以下、スパイに向いている人-ー。
①平気でウソがつける人
 スパイはウソをついて他人を騙すのが仕事です。なので、正直な人は向いていません。ただし、上級なスパイは、騙していたことが相手に露呈しても、その相手が騙されたことを恨んだりせず、それでも信頼するぐらい徹底的に対象を洗脳します。まあ、結婚詐欺師みたいなものです。一見、いかにも誠実そうに見えなければなりません。いかにも胡散臭い人ではダメです。
②存在感のない地味な人
 スパイは目立ってはいけません。同窓会でも「あんなヤツいたっけ?」と言われるくらいカゲが薄い人が向いています。とにかくオーラのある人は、すぐに敵に気づかれるので、向いていません。映画のスパイみたいに、イケメンや美女なんてもってのほかです。ドロボウあるいはスリなんかも同じですね。
③積極性に欠ける人
 仕事をするうえでは、やる気のない人では難しい仕事ですが、やる気満々の人はまず就職の段階で弾かれます。というのも、スパイ組織がいちばん困るのは、「辞めた人が暴露本を書くこと」だからです。やる気満々の人は、チャレンジ精神が旺盛ということですが、ウラを返せば自己顕示欲が強いということになります。そういう人は自意識が強く、プライドが高く、自己評価が高いわけで、組織に合わずに退職なんてことになりやすいわけです。ひと昔まえは、そういう人がえてして敵のスパイ組織に狙い撃ちされましたが、今はそれよりも「暴露本を書く」ケースが増えています。
(とくにCIAでは、解雇されたロバート・ベアの『シー・ノー・イーブル』がベストセラーになって以来、暴露本執筆がトレンドになってしまい、ほとんど新人なのに暴露本を出そうとして問題になった人さえ出てきています。イギリスでも『6』と『5』にそれぞれ一人ずつ、そういう人がいます。『6』のリチャード・トムリンソンは、海外の工作員を全部バラしてしまい、組織に大打撃を与えました。GCHQにもちょっと問題を起こした女性職員がいて、『5』のデイビッド・シェイラーが接触しようとしていましたが、彼女は相手にしなかったようです。ちなみに、KGB元幹部でペレストロイカでいち早く暴露本を出したオレグ・カルーギンは、実際には肝心なことは暴露せず、元KGB幹部という肩書きをフルに利用して金儲けに勤しんでいます)
 スパイ組織はそう人がいちばん困るので、あまりに「やる気満々」の人は敬遠されます。自己主張しない人のほうが好まれるので、ネットでもブログやツイッターをやる人は向いていません。
④優柔不断な人
 現在のスパイ組織が職員教育でもっとも力を入れているのは、情報分析から先入観を排除するということです。つまり、常にまっさらな目で状況を判断できることが求められるわけです。
 なので、信念を曲げない人がもっとも向いていません。すぐに意見の変わる人のほうがいいわけです。

 ということで、結論としては、スパイに向いている人は「平気でウソをつき、優柔不断で、やる気がなく、カゲが薄い人」ということになります。うーん、なんかダメ人間じゃないですか。
  1. 2011/06/13(月) 03:22:07|
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意外な人物の被災地支援

 ちょっと驚いたことがひとつ。
 先日、お付き合いのある某雑誌をパラパラを流し読みしていたところ、ビックリ記事発見。かつてオウム村井を刺殺した「あの人物」が刑期を終えて出所していたことは知っていたのですが、その人がなんと被災者支援グループの副団長になっていて、某町長さんと握手している写真が掲載されていたのです。
 しかも、その支援グループはかのベストセラー『憚りながら』の著者である元後藤組長が支援したもの。団長は昨年、元組長の企画で制作された映画『BOX~袴田事件・命とは』の脚本を書かれた方です。私はそちらの方面とは残念ながらお付き合いはないのですが、元組長の上記の本の出版元の方の紹介で、この脚本家の方とはお会いしたことがあります。南方の遺骨収集などにも精力的に取り組んでおられる方でした。
 それにしても、「あの人物」が何故に元後藤組長系の支援団に??? いや、もちろんすでに罪を償っておられますし、やっていることはたいへんすばらしいことですから、それをどうこう言う気は毛頭ありませんが、あの事件についてはまだすべてが明らかになってはいませんよね。もしかして当時の「あの噂」(わかる人はわかりますね)はマジ??? うーん、いろいろ疑問は浮かんできますが・・・。
  1. 2011/06/12(日) 14:04:51|
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シリア情勢の情報源

 シリア情勢を把握するのに、やはり最大の障壁は、情報が統制されているということです。海外メディアの取材を認めていませんし、政府系メディアはまったく参考になりません。なので、反政府派系のサイトやSNSがいちばんの情報源になるわけですが、虚実ないまぜで情報が飛びかうので、それなりに勘所をつかむのに時間がかかります。
 携帯電話で撮影した映像は、前にも紹介したことがありますが、以下のようなユーチューブのチャンネルで入手できます。実際にはSNSでの拡散のほうが早いですが。
SHAMSNN 反体制派動画配信の最大手のひとつ。他のサイトに載ったものも、たいていはアップされます。
Ugarit News 動画のタイトルに日付・場所が英文で表示されます。
Syrian Free Press
Syria Future
adinidal
(いずれもユーチューブのチャンネルなので、たぶんウイルスは大丈夫だと思います。実際、SNSに突っ込んでくる正体不明の映像ファイルにはウイルス多いです)

 悲惨な映像ばかりですが、なかには面白映像も(面白がっていてはダメですけど)。
▽煙突バズーカ
 デモ隊の若者が、煙突のパイプで張りぼてのロケット・ランチャーを作り、花火の音でそれっぽく演出しています。治安部隊をビビらせるためのようですが、周囲に笑い声も漏れてますね。
 自動車のパンク修理で使うジャッキを、機関銃に見立てて構えている映像も先週見た記憶があるのですが、ちょっと見つかりません。

 他方、国際メディアではBBCとアルジャジーラがかなり詳しいです。明確に反体制派サイドですが、経営陣やスタッフにシリア人社会のコネがあるオリエンタルTVも情報が早いです。
 日本語のサイトでは、これも以前にご紹介したことがありますが、シリアだけでなく中東全体の情勢に関して、元外交官の野口雅昭氏の「中東の窓」が、非常に精力的に中東メディアのニュースをフォローされています。「軍事板常見問題」さんのリンクで知りましたが、あの野口健氏の父君だそうです。
 あと、知人のジャーナリストから、シリアの流出映像を非常に丹念に集めている日本語サイトを教えてもらいました。タイトルからはわかりづらいですが、「日々の感想」というサイトです。匿名の方のサイトで、この方は私とは真逆の「親アサド政権派」の立場のようですが、映像はかなり手間をかけて丁寧にフォローされています。「アサドがんばれ! デモ隊なんかやっつけろ!」という立場の日本人の方がおられることにちょっと驚きましたが、まあいろいろ見方があるものだと。拙ブログは一見しておわかりいただけるように、3ヶ月前から明確に「デモ隊がんばれ! アサドなんかやっつけろ!」との立場ですが、ご判断はそれぞれでお願いします。
  1. 2011/06/12(日) 12:43:40|
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シリア騒乱3ヵ月のまとめ

 ここ数日、トルコにだいたい2500人くらいの避難者が出てきています。また、外交の分野では、国連安保理のシリア非難決議を英仏などが根回ししていますが、ロシアが頑なに反対しています。ロシアはとにかく中東が英米の仕切りで動いていくことにすべて反対です。あの国の人々は、かつて20年前にあの恐ろしい独裁体制を打ち破った経験があるのに、非常に残念なことです。
 ということで、ここ数日、シリア人と結婚してシリアに住んでいるロシア人女性が「子供が殺された」と訴える映像をアップし、ロシア語サイトにも拡散されています。民主化活動家たちは現在、ロシア世論へ訴える作戦のようですが、それもなかなか難しいようです。
 シリアの民主化要求デモも、もう3ヵ月続いています。その経緯を簡単にまとめてみます。
 まず、エジプトの政変を受けて、1月下旬頃より反体制派のサイトが活発化します。秘密警察の監視のきつい状況だったので、書き込んでいる人のほとんどは国外在住者だといわれています。おそらくそうだと思いますが、それは確認されていないので、よくわかりません。
 ただ、全部が国外在住者かというと、そうではなくて、この時期にも数人のブロガーがシリア国内で逮捕されたりもしています。2月に何度かデモの呼びかけがネット上で行われましたが、シリア秘密警察はものすごく恐ろしいので、すべて不発でした。そうした現実を前に、ネット上の反体制呼びかけは2月から3月上旬にかけ、いったん盛り下がりつつありました。
 初めての「反政府活動」は、3月5日頃です。反政府活動といっても、きちんとしたものではなく、エジプトなどのニュースをみた南部ダラアの少年たちが、イタズラで反政府スローガンの落書きをし、秘密警察に逮捕されます。この情報は3月6日に反体制派サイト「フリー・シリア」に掲載され、私も当ブログで紹介しましたが、反体制派サイトの主張だけで確たる証拠はなく、国際メディアでは黙殺されます。その後、ダラアでは逮捕された少年たちの所属する部族から、少年たちの解放を求める活動が始まり、日ごとに高まっていきます。SNSではその動きを半ば誇張気味に伝えられていましたが、それも実態がよくわからず、国際メディアでは黙殺されます。
 国際メディアがシリアのデモについてようやく伝え始めるのは、3月15日に首都ダマスカスで政治犯の釈放を求める小規模の集会が行われ、出席者らが当局に逮捕されたときです。このとき、集会出席者らがダラアの少年の話も持ち出していて、それでこの話も報道されるようになります。折りしも、ダラアでの抗議行動は前日の14日頃より警察国家シリアでは前代未聞といえる街頭デモのようになっていて、国際メディアもそれを報じるようになります。
 この頃、まだ内部からの映像がほとんど出ていないので、ネット上では「いよいよシリアでもデモ発生だ!」とする反体制側と、「シリアではデモなど起きていない」「ネットの情報はすべてインチキだ」とする体制側が情報戦を繰り広げます。この頃、国外にいる人には、どちらが正しいのか判断する材料がありませんでした。私は過去の経験則で、大雑把に言えば「政府側の主張はまったく信用できない」「反体制側も半分は信用できない」というスタンスで見ていました。この頃、国際メディアではアルジャジーラ特派員がダラアに入り、「ダラア住民は体制変革ではなく、改革を求めているだけ」とのレポートを送っています。それに対し、反政府的な論調だったのが、UAEのオリエンタルTVですね。BBCは特派員の取材を制限されています。
 とにかくこの頃からネットは過熱して、両サイドのプロパガンダ戦がエスカレートします。国外の人間にはなんだかよくわからない状況でした。
 デモの映像がユーチューブにアップされるようになるのは、たしか3月17日頃だったと思います。翌18日にはもうかなり大規模なデモや、銃撃された被害者などの映像がどんどん出てくるようになります。こうした映像はちょっと衝撃的な激しいものですが、これに対し、「捏造映像だ」という体制側の必死の宣伝が始まります。実際のところはよくわかりません。わかりませんが、「チュニジアの若者たちが作ったヤラセ映像が多い」という噂はかなり広まっていて、国際メディアでも少し引いた見方をしていたところが多かったようです。その頃の『ニューズウイーク』でも、「反体制派によるニセ情報が氾濫」との記事が書かれています。私も、映像のいくつかは捏造の可能性があると思っています。
 しかし、20日頃からは、明らかにシリアの町中でデモが行われたり、私服治安警察が弾圧したりするシーンが増えてきます。「国外で撮影したヤラセ映像」ではないことが明らかで、これで私も、シリアで民主化運動に火がついたことを確信します。
 国際メディアは、国内取材・中継まで認められているアルジャジーラを中心に、「国民は体制変革でなく、改革を求めている」との論調が多く、デモ発生を認めたシリア政府も改革を約束することで沈静化を図ろうとします。しかし、この時点では私などは、街頭デモに火がつけば、群集心理で独裁国家に対する恐怖心が払拭され、必ず体制変革要求になると確信していました。政権側が自ら折れるはずもなく、チュニジアやエジプトのように軍部が離反することも考えづらいので、かなり大規模な騒乱になることを予想しました。
 それ以降、金曜日ごとにデモはシリア全土に拡大しました。3月25日には、大統領の肖像画をデモ隊が破壊するシーンがアップされ、ネット活動家らにも衝撃を与えます。シリアの独裁体制は北朝鮮みたいなもの(ま、そこまで徹底はしてないですが)なので、これは画期的な映像でした。
 この頃、私服の治安警察が人々を襲撃するシーンの隠し撮りなんかも流れています。ただ、この頃はまだ体制側もそれほど強硬でなく、放水車や催涙ガスを使った暴動鎮圧が主流でした。デモ隊の側は、体制側が実弾による問答無用の弾圧をしなかったことで、増長してデモを拡大させたことは事実だと思います。 
 それでも3月末頃には、治安警察のデモ弾圧もかなり厳しくなっています。とくに、ラタキアでのデモ弾圧に、アサド体制派のチンピラ武装集団「シャビーハー」が投入されたあたりから、デモ隊を撃ち殺すシーンが増えてきました。シリア当局は「武装犯罪集団が銃撃」ということにしたかったわけで、実際にその構図で押そうとしていますが、まあシリア国民でそんなことを信じている人は体制側を含めてゼロだと思います。
 3月末にはアサド大統領がテレビ演説し、改革推進と非常事態解除の検討を発表します。これを国際メディアは報じますが、私などはそんなものはまったく信じていませんでした。で、実際、案の定です。
 4月に入ると、南部でのデモは一層激しさを増し、治安警察による流血の弾圧がどんどんエスカレートします。また、他の地域ではもっぱら「シャビーハー」がデモ弾圧に投入され、実弾による弾圧を続けます。私は、このシャビーハーとされている武装集団のかなりの数は私服治安警察とみていますが、確たる証拠はありません。
 4月4日頃からは、もう虐殺といっていいようなデモ隊への無差別銃撃の映像がどんどんアップされます。また、携帯で撮影⇒ユーチューブにアップ⇒フェースブックやツイッターで拡散、という流れは、国外の反体制派を中心にかなり大規模に整備されています。CIAやイスラエルの情報機関が関与しているのかもしれませんが、よくわかりません。レバノンの反シリア組織やUAEあたりから資金が出ているということは、充分にあり得ると思います。
 4月に入っても、基本的には「金曜デモ」⇒「弾圧」⇒「土曜日に葬儀デモ」⇒「弾圧」というパターンでデモと弾圧が続きます。もうこの頃は、改革で収まるような話ではなく、政権打倒しか出口はない状況になっています。4月21日には、アサド大統領が非常事態宣言廃止を命令したという報道が出ますが、そのまま弾圧は強化されます。4月半ば頃からは、大統領の弟が指揮する精鋭部隊が南部のデモ鎮圧に乗り出すという情報がネットで駆け巡ります。実際の軍の出動映像は4月25日からアップされます。
 6月1日、アサド大統領は政治犯釈放を命令します。少し釈放されたみたいですが、その何倍も新たに逮捕されます。その頃より、逮捕者を拷問や虐殺しているとの情報が流れますが、映像の証拠が弱く、なんとも判断つきません。
 ところが、ダラアで治安警察に逮捕された少年が、虐殺死体となって両親に返されるという事件が発生します。これが国際メディアにかなり大きくとりあげられ、国際社会でシリア政府非難への流れが少しできます。
 6月に入ってからは、もう治安警察に加えて軍が大々的にデモ鎮圧作戦に投入されています。5月からちらほらと軍内部からの離反も起きていますが、いずれもきわめて小規模で、多くは軍の主流派に追撃されて処刑されたものと思われます。
 現在、政権側は軍の投入による徹底弾圧を続けていて、犠牲者は日ごとに増えているという状況です。もう3ヵ月になりますが、基本的に非武装デモ⇒流血の弾圧、という構図は変わらずです。軍からまとまった反乱勢力が出る徴候もなければ、外国の軍事介入の気配もありません。かといって、デモが収束する気配もなし。もう酷暑の季節に入りますが、先の見通しはまったく立ちません。
  1. 2011/06/10(金) 11:06:51|
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中東情報なら『赤旗』?

 原発関連の記事を書く機会があって、先日、図書館でここ3ヵ月の新聞各紙にざざっと目を通すことになったのですが、原発情報ならなんたって『赤旗』だろうと、同紙をまとめ読みしてみました。
 さすが共産党機関紙だけあって、もう「原子力=悪」とのイデオロギーには見事に一分もブレもありませんが、たしかに「情報」は充実していました。共産党員でない私は普段はまず読まない新聞ですが、結構役に立ちました。
 で、ついでに原発以外の記事もいろいろ目に入ったわけですが、ちょっと意外だったのが、『赤旗』は中東の民主化運動に対して全面支持のスタンスで、関連ニュースが他の全国紙などよりずっと充実していたことです。
 私は日本人としてはそこそこ中東での旅行歴・取材歴・生活歴があって、もう四半世紀来のアンチ独裁なので、日本の新聞の扱いの小ささを残念に思っていたわけですが、『赤旗』は「民主化運動=善」との揺ぎないイデオロギーで、中東各国のニュースを圧倒的に細かく報道していました。
 私は拙ブログで、あまり他の方がフォローしないシリア情報をしばらく追っていて、あまりに惨いネット映像を見すぎたせいか、冷静でなくてはならない軍事ジャーナリストとしては、あるまじき反体制派になりつつあるわけですが、『赤旗』に初めて強いシンパシーを感じました。うーん、国際面だけ購読するなんて出来ないですよね。その政治的スタンスはともかく、「情報」としても『赤旗』は質量ともに突出しているように思います。逆に言えば、他の商業紙(全国紙)は、おそらくカイロ特派員が一所懸命に送稿しても、面がとれないのでしょう。
『赤旗』のカイロ特派員の方の記事は素晴らしいです。共産党支持者の方々にしか読まれないのはもったいないですね。
  1. 2011/06/09(木) 03:12:08|
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トルコがシリア避難民受け入れ表明

 本日、トルコのエルドリアン首相が「シリアからの避難民に門戸を開放する」と表明しました。シリア北西部では流血が拡大しており、政府軍による大量虐殺の懸念が高まっていますが、なんとかトルコを巻き込んで状況打開の道を見出して欲しいものです。
 国際メディアもようやくシリア政府の本性に気づいたのか、公式発表の「武装集団によって治安部隊120人が虐殺された」などという与太話をそのまま報じたりしなくなってきました。政府系メディアの情報はほとんどすべてウソなので、ああいうのを伝えてもまったく意味がないと思うのですが、これまで「非常事態宣言を解除(⇒じつは弾圧強化)」とか「政治犯釈放(⇒じつは弾圧強化)」などというフィクションが報じられてきたため、シリアで起きている現実がきちんと世界に伝えられてきませんでした。
 中東のニュース枠でも、リビアやチュニジアのニュースが優先されてきましたが、シリアの情報もようやくここに来て少しずつ注目されてきたようです。ダラアでの最初の抗議行動から3ヵ月。これまで多くの人が殺害されました。今後も楽観はできませんが、少しでもいい方向に向かうといいのですが。
  1. 2011/06/08(水) 23:30:33|
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シリア・パレスチナ人の射殺瞬間

 以前当ブログでも書いたことがありますが、1984年、当時大学生だった私は、シリアの首都ダマスカス旅行中に、現地で出会った日本人学生(今はさいたま市長になられている方です)にくっ付いて同市内のパレスチナ人居住区を訪れ、PLOの活動家たちに会ったのですが、それがその後の海外取材の原点になりました。そのとき訪問したパレスチナ人居住区のひとつが、アル・ヤルムークという場所でした。
 今回、ゴラン高原でイスラエル軍に射殺されたパレスチナ人の多くは、そのアル・ヤルムークから、おそらくシリア政府の仕切りによって送り込まれました。
 6月6日、イスラエル軍によって射殺された犠牲者の葬儀が、アル・ヤルムークで行われたのですが、パレスチナ群衆がそこでシリア政権批判のデモに発展しました。本来は反イスラエルのはずだったのですが、どうも「シリア政府が自分たちを見殺しにした」とかいった感じで盛り上がってしまったようです。
 それで、そのパレスチナ人の群衆を、シリア治安部隊とその命令を受けたアハマド・ジブリルのPFLP-GCが弾圧にまわりました。その様子の映像が本日、ユーチューブにアップされ、SNSで拡散されました。
▽パレスチナ人をPLFP-GCが射殺する瞬間

 また、本日、BBCが「シリア政府が、シリア北部のジェスル・アル・シャウールで政府軍120人が殺害されたと発表」と報じました。シリア政府は武装集団の仕業としていますが、SNSの未確認情報では、軍の一部が反乱側に回り、内戦のような状態になりつつあるとのことです。また、SNSではたしかに軍人多数の死体の映像が出回りはじめましたが、詳細はまだ不明です。ただ、普通に考えると、まだまだ少数派の反乱軍が、政府軍に徹底的に殺戮された可能性がいちばん高いのではないかと思います。

追記⇒まだ詳細が不明ですが、アル・ヤルムークの衝突は、遺族とPFLP-GCとの間での何らかのトラブルが発端だったとの情報が流れました。
  1. 2011/06/07(火) 15:29:14|
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自衛隊シミュレーション

 先週発売になった別冊宝島『自衛隊4大国防戦! 日本侵略Xデー』に寄稿しました。恒例のシミュレーション企画ですが、私自身は久しぶりな感じです。毎度お世話になっている別冊宝島ですが、今回は企画・編集には関わらず、純粋にライターとして参加させていただきました。
 想定は4つで、「尖閣紛争編」「北方領土奪還作戦編」を加藤健二郎さんが、「ノドン迎撃編」「原発テロ編」を私が担当しました。今回、私が担当ではないですが、石破茂さんのインタビュー記事もあるそうです。あと、私自身はまだ現物が手元にないので拝見していないのですが、チャンネル桜さん提供・監修の映像DVDが付いているとのことです。⇒アマゾン
  1. 2011/06/05(日) 22:51:39|
  2. 著作・メディア活動など
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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