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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

シリア政変「決戦は金曜日」?

 アサド大統領が久々にテレビ演説し、事実上なーんにも身のある内容を話さなかったことで、民主化運動系のSNSでは、明確に「アサド体制打倒」への呼びかけが噴出しています。
 ただし、秘密警察・公安警察が怖いシリア国内、とくに首都ダマスカスで人々が勇気を持って街頭行動に出るかどうか・・・。ネット内での威勢のいいコメントと、リアル世界での「行動」はまた別物ですから、これはどうなるかまだわかりません。
 いちおう明日の金曜日、礼拝の後に大規模街頭行動が呼びかけられているので、それが成功するかどうかが運命に分かれ道になるでしょう。当局側も当然、それはわかっているので、かなり強権的な締め付けが予想されます。日本時間で明日深夜から明後日未明あたりがひとつの山場になるでしょう。気楽な部外者ではありますが、人々の勇気を期待したいと思います。

 ところで、前回のエントリーで、なんと「おっぱい」というキーワード検索で拙ブログを訪問していただいた方がいらっしゃいました。たぶんご期待に添えなくて申し訳ありませんでした。
 ちなみに「おっぱい」でグーグル検索してみたところ、4000万件がヒット! さすがメジャーワードですね。ちなみにトップは「おっぱいの楽園」というアダルトなサイトでした。
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  1. 2011/03/31(木) 19:06:32|
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中東民主化と歴史の不可逆性

 自由な言論空間は、どんな不満も媒介し、増幅させる性質を持っています。なので、インターネットが浸透すれば、いかなる独裁も民主化圧力に晒されることになります。現在、中東で起きている民主化の嵐は、要は「歴史の不可逆性」なんだと思います。
 いくつかの中東諸国では、第二次世界大戦後の混乱の後、共産主義やアラブ民族主義の流行を経て、60~80年代に独裁体制が成立しました。独裁者たちは数多のライバルを血の粛清で葬ってきましたから、独裁権力の緩みは自らの死に直結します。そのため、独裁国家は非情な秘密警察機構を作り、人々を恐怖で縛りました。人々は独裁者を恐れ、口を閉ざして何十年も経過しました。選挙はほぼ100%の投票率で、為政者はほぼ100%の得票で信任されつづけました。反対票を投じることは、死を意味したからです。
 ですが、そうした恐怖体制も、時間の経過とともに徐々に金属疲労を起こします。中東の場合、最初は衛星テレビでした。
 すべてのメディアが官製の宣伝媒体なのがあたりまえだった中東諸国に、最初に異物が乱入してきたのは、欧州の衛星テレビでした。私がエジプトに居住していた90年代半ば頃のことです。独裁体制の国では衛星受信機の設置を禁止しましたが、人々は珍しく政府の言うことを聞かずにモグリのアンテナを設置しました。
 私の見聞では、当時とにかく大人気だったのは、おっぱい丸出しのイタリアのお色気番組です。これが自宅で視られるということは、中東では歴史的な大事件でした。独裁国家の当局はアンテナ没収に励みましたが、人々はおっぱい見たさにアンテナを設置しつづけました。人々のおっぱいへの欲求に、摘発のスピードは追いつかず、なし崩しに黙認の状態になります。中東のエキゾチックな町並みの家屋の屋上が、パラボラ・アンテナで埋め尽くされるまで、そう時間はかかりませんでした。
 ところが、いったん衛星テレビが視れるようになると、ついついおっぱい以外のチャンネルも視るようになります。とくに家族団らんの真昼間には、おっぱいチャンネルを視るわけにもいかないので、BBCなんかにも視聴するようになるわけですね。それで、中東の家庭にも、官製メディアでないニュースが入り込むことになりました。96年にはカタールで早くもアルジャジーラが誕生し、そうしたメディアも急速に普及していきました。
 2000年代に入ると、さらにインターネットが入ってきました。これも当初は独裁国では厳しく制限されたのですが、若者たちは中東世界では考えられない夢のようなエロサイトの世界に狂喜し、なんとか規制をかいくぐってアクセスしようと知恵を絞ります。こうして、とくに都市部において、インターネットは瞬く間に拡大してきました。
 独裁体制をどこまでも堅持しようとするなら、本来なら衛星テレビやインターネットなどを国民に与えてはいけません。金正日はそれをよく知っているのでしょう。
 ところが、中東諸国では、目の前の「金儲け」が何よりも優先します。多くの国で、豊富な海外経験でITに馴染んでいる独裁者2世たちが、インターネットや携帯電話の利権でボロ儲けするようになります。産油国以外はたいした産業基盤のないこれらの国々で、国内のIT企業は瞬く間に国内有数のビッグビジネスとなり、「情報統制国家なのにネットも携帯もフリーダム!」という状況になっていきました。
 今回の民主化運動は、そうした状況で必然的に生まれてきたのだと思います。誰だって「独裁者にビビりながら生活し、特権階級のやつらがボロ儲けしているのを指をくわえてみている」のは不本意なわけです。よく言われる「格差が広がったから」とか「低所得者が増えたから」などというのは、後付けの理由なのではないかなと思います。
 おそらく、民主化要求を受けている独裁者の側は、なぜ今、自分たちが反乱に直面することになったのか、よくわからないのではないかなと思います。これといって、急に酷いことをしたわけでもないからです。たとえばシリアのアサド大統領などは、父親世代のガチガチの恐怖体制をだいぶ是正したのだから、自分は改革者だとたぶん本気で考えています。独裁と情報化社会は両立しない⇒情報化は止められない⇒独裁はもうもたない・・・という歴史の必然が、多少は紆余曲折はあるでしょうが、中東で進行しているのではないかなという気がします。
 これはかつて「情報統制社会」だった国々が通ってきた道と本質的に同じではないかなと思います。
  1. 2011/03/30(水) 15:04:01|
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「シリア謎の殺人部隊」続報

 昨日のエントリーで少し紹介しましたが、ラタキアでデモ隊を殺戮した謎の殺人部隊「アル・シャビーハー」(死霊たち)について、続報が入りました。アムン(公安警察)内の極秘部隊というのではなく、ラタキアやタルトゥスのアラウィ派エリアを地盤とするギャング団で、幹部はほとんどアサド一族とマフルーフ一族(アサド大統領の母方の一族)で構成されたグループとのこと。いわば太子党の武装愚連隊のようなものですね。
 そのリーダーは、ヌメイル・アサド。父親は先代のハフェズ・アサド前大統領の兄弟のジャマルなので、現大統領の従兄弟にあたります。ジャマルはもともとレバノンの地下経済に多大な利権を持っていて、息子のヌメイルもいわば大物経済ヤクザのような存在のようです。
 アル・シャビーハーについては、未確認情報ですが、レバノンのアラウィ派民兵組織「赤い騎士団」(アル・フルサン・アル・ハムール)から要員が合流しているとの情報もあります。
「赤い騎士団」は、レバノン北部トリポリ近郊のジャバル・ムフシンを本拠とするアラウィ派系政治組織「アラブ民主党」の軍事部門です。レバノン北部にはわずかですがアラウィ派が住んでいて、周囲の多数派であるスンニ派住民と内戦時代から抗争関係にありました。そんな背景で成長してきた勢力です。
 アラブ民主党はもともと、72年に創設されたアラウィ派組織「アラウィ青年運動」(AYM)を母体としています。リーダーは元化学教師のアリ・イードという人物で、内戦時代は要するにイード派民兵という存在でした。イード派は当初からシリアのリファアト・アサドの強力な支援を得ていて、レバノン内戦を通じて親シリア派として活動。民兵組織「赤い騎士団」を結成したのは81年です。当時の兵力は1000名。シリア軍の中の精鋭部隊でリファアト親衛隊だった当時の「共和国防衛隊」通称「ピンク・パンサーズ」より訓練を受けています。
 90年に内戦が終結し、「赤い騎士団」もいったんは解散しましたが、アラブ民主党は駐留シリア軍の後押しを受けてそれなりに勢力を保持しました。アリ・イードもアラウィ派初の国会議員になっています。
 しかし、2005年にシリア軍がレバノンから撤退した際、アラウィ派の防衛軍として「赤い騎士団」は復活しました。仕切ったのは、シリア政界への復帰に動いていたリファアト・アサドだといわれています。
 2007年に親アルカイダ系の民兵組織「ファタハ・イスラム」がトリポリのアラウィ派を襲撃したことをきっかけに、「赤い騎士団」は武装を強化。2008年のスンニ=シーア抗争では、親ヒズボラ系の民兵組織として活発に活動しました。現在の司令官はアリ・イードの息子のリファアト・イードで、兵力は1000~2000とみられています。
 シリア民主派のSNSでは、今回のラタキア騒動で暴れまわったアル・シャビーハーに、「赤い騎士団」のレバノン人アラウィ派民兵が参加していたとの目撃情報が寄せられています。その真偽はいまだ不明ですが。

 なお、26日のエントリーで、「マヘル・アサド共和国防衛隊司令官がファルーク・シャラ副大統領を撃ったらしい」との未確認情報を紹介しましたが、情報の出所がわかりました。レバノン紙『ベイルート・オブザーバー』のサイトに流れた情報だそうです。ただし、その後の情報をウォッチするかぎりでは、誤報の可能性が高いようです。
  1. 2011/03/29(火) 14:47:20|
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西部方面普通科連隊の写真

 震災&原発問題に日本中が苦闘しているときですが、『週刊SPA』先月号の「中国最新鋭ステルス兵器がアジアを支配する」という記事に、コメントを採用していただきました。
 また、昨日発売の下記ムックで、▽北朝鮮軍▽陸自中央情報隊▽陸自特殊作戦群▽西部方面普通科連隊、に関する解説記事と、▽コラム1本を寄稿しました。
『週刊アサヒ芸能増刊 日本を守る!自衛隊』
(アマゾンでは「強い自衛隊 世界新兵器と戦わば」と題されていますが、本の表紙には「日本を守る!自衛隊」とあります。書名が変更になったのかもしれませんが、私にはよくわかりません)
(また『アサ芸』先週号でも震災での自衛隊派遣についてコメントを採用していただきました)
 上記のうち、「西部方面普通科連隊」記事では、当初は解説記事の口絵程度に考えていた同部隊の写真(3年半前に『ワールド・インテリジェンス』で同部隊を取材した際に撮影したもの)を編集者の方に気に入っていただき、ほとんどグラビア頁みたいに大々的に再掲載していただきました。創隊以来マスコミに注目されてきた西普連は、これまで多くのカメラマンの方々が撮影されてきましたが、自分では内心「誰にも負けてないなー」と自惚れていた自信作なので(当時も写真取材は十数年ぶりだったのですが)、こうして大きく扱っていただけるのは素直に嬉しいです。
 文章ではそんなに感じないのですが、自分の写真作品が雑誌に載ると、ものすごくいとおしく感じるのは何故なのでしょう? 写真取材、また機会があればやりたいですね。写真は良し悪しが一目瞭然で、結果がわかりやすいシンプルな世界なのもいいですし、現場での、あの「アドレナリンが噴出する感覚」も好きです。
  1. 2011/03/29(火) 03:59:22|
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ほうれん草も冷凍保存でok?

 原発問題で、雑誌はあいかわらずの扇動報道を続けています。「放射能が来る!」と表紙に書いた『AERA』はさすがに陳謝したみたいですが、他にも私がお世話になってきた各誌とも、大方はやっぱり「日本は危ない!」というスタンスで臨んでいます。出版業界人として多少内情を知っていますが、じつは各誌編集部内にそういう「信者」がけっこういます。本人たちは大真面目に「良かれ」と思って記事を作っているわけです。
 そんななか、ひとり『週刊ポスト』だけが、「デマに惑わされるな!」と孤軍奮闘しています。同誌のスタンスに必ずしもすべて賛同しているわけではありませんが、「デマに惑わされるな!」という基本姿勢には共感します。
 しかし、たとえばまったく知識のない人が、たまたま『週刊ポスト』を読むか他誌を読むかで、現状認識は天と地ほど違ってきます。このように、とくに放射線被害に関してさまざまな説が飛び交っている状況ですが、では、本当はどれほど危ないのでしょうか?
 ということで、日経ビジネスオンラインの下記の記事をお薦めします。いま全国民に読んでもらいたい記事だと思います。

▽今の放射線は本当に危険レベルか、ズバリ解説しよう~「水道水、牛乳は飲んでも大丈夫か」「暫定規制値とは」「チェルノブイリと何が違うのか」第一線の専門家にインタビュー

 放射線被害の実際のところが、非常にわかりやすく解説されていて、「危ない、逃げろ!」と短絡することの愚かしさがよくわかります。農作物だって大丈夫だそうです。ほんれん草も冷凍保存して、後で食べれば問題ないとのことです。
 発癌性も、現状なら「喫煙のほうがはるかに危険性が高い」そうです。もっとも、近くに喫煙者がいるだけでパニックを起こす人もいるくらいなので(とくに米国人に多し)、そういう人には説得力のない喩えになりますが。
 ちなみに、以前にも書きましたが、私は日経ビジネスさんとはまったく無関係なので、宣伝ではありません。『週刊ポスト』さんとももう10年以上お付き合いはないので、こちらも別にヨイショしているわけではないです。

「日本は危ない!」論の〝嫌な感じ”については、『軍事研究』に寄稿もされているテクニカルライター/軍事研究家の井上孝司さんが、たいへん面白い辛口のコラムをご本人のブログに書かれています(⇒不幸な事件への便乗と流言飛語)。
 私にとっては各誌とも大事なクライアント様でありますし、反原発系論者にも親しい知人・友人がいますので、これでもだいぶ抑えて書いているのですが、ホンネを申せば、井上さんの上記ブログ記事にちょっと共感しております。
  1. 2011/03/28(月) 12:53:11|
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シリア謎の殺人部隊

 詳しくはわからないのですが、ラタキアのデモ弾圧に投入されたのは、アムン(公安警察)内の極秘部隊で、アサド一族直属の「アッシャビーハー」(死霊たち)と呼ばれる殺人グループだったとの情報が流れています。
 これまでも「死の軍団」などと名乗る政権内殺人部隊はいくつかの国でありましたが、「死霊たち」というのはまたすごいネーミングです。
  1. 2011/03/28(月) 00:14:54|
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ホムス映像の続き

▽ホムスその2
 25日のホムスです。クルマをひっくり返して火をつけました。
  1. 2011/03/27(日) 23:39:01|
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SNS参戦の経緯

 シリア民主化運動のSNSに参加し、しばらく実況中継のようなことを続けています。備忘のために、その経緯を書いておきます。
 そもそも今年1月~2月に、チュニジアとエジプトでフェイスブックやツイッターを使った政変が起きたとき、私はそうした動きをまったく知りませんでした。じつは、つい最近まで日本でもそういったものを使っていなかったので、その意味するところがじつはよくわかっていませんでした(最近、ある知人からのお誘いでフェースブックだけは登録しましたが、何を書いたらいいのかわからないので、そのまま放置してあります)。
 その後、イエメン、バーレーン、リビアと民主化運動が頻発しましたが、ちょうどウィキリークス本などに関わっていたこともあって、ちょっと参加する機会を逸しました。
 そんなとき、2月半ば以降、SNSが盛り上がってきたのが、シリアと中国でした。調べてみると、中国の場合は簡易ブログを通じて情報が拡散してましたが、ネット上でも組織だった活動はあまりないようでした。私は中国のネット警察やネット軍については以前から調べていたので記事を雑誌に発表したりしましたが、実際にSNSに関わって積極的に情報収集するというようなことは、ちょっど難しい感じでした。
 それで、シリアのネット・コミュニティに参加してみようと思い立ち、2月末に某SNSに、ある協力者を通じ、変名で参加しました。SNS名や登録名を今ここで公表しないのは、事態がまだ現在進行形であるからです。
 シリアの民主派と思しき相手を検索し、数日で約60名を登録。その後、彼らの人脈で3月5日頃までに約300名ほどに増えました。
 しかし、最初の頃は、みな秘密警察を怖がっているようで、あまり書き込む人はいませんでした。デモを呼びかける書き込みを頻繁に行う人が約5人だけいましたが、ほとんどは欧州在住のシリア人でした。シリア本国では、デモは秘密警察に完全に封じられていて、SNS上でもなんだか勢いがなくなってきました。
 事態が大きく動いてきたのは、拙ブログでも紹介しましたが、3月6日に「ダラアで少年らが反政府スローガンを書いて秘密警察に逮捕された」との情報が流れてからです。当初、私のSNSでは「15歳以下の少年多数」との情報でしたが、後に「15歳以下の少年4人とひとりの女医」が逮捕されたと聞きました。
 SNSを通じて、その情報が「フリー・シリア」というサイトを通じて流されたことを知り、そのサイトを見るようになったのですが、そのサイト自身がSNSでのネットワークを呼びかけていて、そこに参加し、私のSNS人脈がまたさらに大きくなりました。とくに民主化運動の中心的なグループとはほぼコンタクトできたと思います。ただ、私の知る限り、日本のように登録者×万人などという人はなく、多い人でも2500人くらいに留まっています。
 3月6日以降、ダラアの事件をきっかけに、SNS上でもまたデモの呼びかけが増えました。また、ちょうどその頃、リビアのカダフィ派にシリア軍パイロットが加担していたことが報じられましたが、それに対して「独裁に反対する民衆をシリア人が殺害するなんてけしからん」とする反発も、SNS内では盛り上がりました。
 そうしたネット内の動きが実際に影響したのかどうかはわかりませんが、今月14日頃からダラアで抗議行動が本格化し、それを治安部隊が弾圧したことで、SNS上の民主派コミュニティはいっきに活発化しました。少なくとも18日頃以降のシリア各地のデモには、こうしたSNSが大きな役割を果たしていたことは間違いないと思われます。
 特筆すべきは、拙ブログでも紹介したように、同19日頃から、ユーチューブに映像がどんどん流れるようになったことです。デモとその弾圧の映像がどんどんネットにアップされ、それを紹介するSNSに参加者がどんどん集まってきた印象があります。
 現在、私の相互登録者は約700人ですが、この数日は1日100人とかで増えています。
  1. 2011/03/27(日) 22:50:05|
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シリア情勢を伝える国際メディアについて

 シリア民主化運動のSNSでは、このところひとつの動きがあります。スンニー派イスラム過激派による好戦的な書き込みが増えて、それに対する反発も集中するようになってきました。とくに、「アラウィ派がスンニー派を殺害している」などという書き込みがときおり出てきますが、そういう場合はすかさず「そういうデマを流すな」との反発が殺到します。どこまで実相を反映しているのかは不明ですが、シリア国民世論の動きの一部ではあるので、非情に興味深いものがあります。
 SNSではやはり、動画情報の紹介が多くやりとりされているのですが、それこそ当事者であるので、「どうやったら効果的に動画を世界発信できるか」などというやりとりもあります。たとえば、「アルジャジーラはシリア政府寄りなので、反政府的な映像をあまり採用しない」などという批判も多くあります。実際、アルじゃジーラは特派員をダラアにも派遣し、ダマスカスから中継報告していますが、「デモ隊は改革を要求しているが、政権転覆は望んでいない」などと、シリア政府の見解どおりの内容でした。
 私の知るかぎり、ロイターがもっとも人気ありましたが、昨日、シリア政府はダマスカス特派員の取材活動を禁止しました。UAEの衛星チャンネル「オリエント・テレビ」は、反シリア報道に徹しています。シリア政府高官から脅迫を受け、シリア人職員が辞職を余儀なくされたことを公表しています。
  1. 2011/03/27(日) 13:35:52|
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本日のラタキアの映像

▽狙撃の犠牲者

▽狙撃の犠牲者その2(若い女性です)

▽発砲・犠牲者
場所や状況がちょっと確認できていないのですが、激しい映像です(注意※残虐なシーンがあります)

▽銃撃
上と同じ場所ですが、こちらは完全に狙い撃ちされています。
  1. 2011/03/27(日) 04:44:22|
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ラタキアで流血激化

 映像がまだありませんが、ラタキアで大規模な反政府活動が続いていて、アサド政権側の治安部隊の銃撃で多数の死傷者が出ているという情報が複数届いています。ラタキアはアサド政権を支えるアラウィーンのエリアですが、じつは特権を享受しているアサド派だけでなく、そこから弾き出された人々も結構いるようです。
 南部のダラアから未確認情報。軍の部隊が街から公安警察(アムン)を排除したとの情報があります。背景はまだよくわかりません。
 アサド政権側のネット締め付けが強化されたらしく、少しSNSやユーチューブでの情報発信が鈍ってきた気配があります。
  1. 2011/03/27(日) 02:52:18|
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先代アサドの肖像画を破壊

 第3の街ホムスの中心街での25日の映像です。
▽先代アサドの肖像画を破壊
 若者がハフェズ・アサド前大統領の肖像画にしがみつき、破きながら足で蹴ってます。シリア人にとっては、衝撃的な映像のはずです。私も同国は何度か行ったことがありますが、あちらの感覚ではとてつもなく恐ろしい行為になります。北朝鮮で金日成の肖像画を蹴っ飛ばすのと同じようなものです。
  1. 2011/03/26(土) 18:10:03|
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シリア指導部で大統領弟が実権?

 何度も書いていますが、SNSには誤報・偽情報も多く含まれます。国際メディアでクロスチェックできれば信憑性は担保できますが、それでは単に国際メディアだけフォローしていればいいということで、SNSの速報性がまったく無意味になります。
 じつは私も、そんなどこの誰が書いているかもわからないSNSの情報など、最初は軽視していました。が、シリア騒乱の震源地となったダラアの第一報の件で、未確認情報でも馬鹿に出来ないということを学びました。(拙ブログで速報をお伝えしたように、ネットでダラアの第一報が流れたのは今月6日。国際メディアがダラアの反政府運動を初めて報じたのは、それから1週間以上も後のことです)
 その後のSNS体験で、続々入ってくるデモ情報は、今のところはほぼ事実ばかりです。ですが、一般住民の目撃情報を元にするデモ情報と、知る人が極端に限られる権力中枢の内幕情報では事情が異なります。
 なので、以下は現時点ではまったく情報のウラのとれていない眉唾話の類だということを、まずお断りしておきます。

 SNSで流れてきた情報によると、現在、反政府デモが拡大しているシリアの権力中枢では、バシャール・アサド大統領、マヘル・アサド共和国防衛隊司令官、アシフ・シャウカト陸軍副参謀長、ファルーク・シャラ副大統領の4人組が、今後の対応をめぐって協議を重ねているようです。強硬派の急先鋒がマヘル・アサドで、穏健派のシャラと対立しているとの噂があります。
 さらに、マヘルがシャラに向かって発砲したなどという噂もありますが、それはよくわかりません。マヘルは過去にも一度、発砲事件を起こしているので、そういう噂が創作された可能性もあります。
 武力を持つマヘルは、すでに穏健派の兄バシャールから実権を奪取しているという噂すらあるようです。事実はまったくわかりませんが、少なくとも現在、反政府系SNS内では「マヘル悪玉論」が猛烈な勢いで拡散中です。
  1. 2011/03/26(土) 17:23:06|
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シリア騒乱映像の続報

 新たに出てきた映像を紹介します。
▽ダラア犠牲者たち(注意※残虐なシーンがあります)
 25日の弾圧で殺害された犠牲者たちの映像です。これでダラア住民はもう収まりませんね。

▽ダマスカス隣街の夜間デモ
 最新映像です。昨夜のデモの様子。場所はダマスカスの隣街のドゥーマ。ただし、真っ暗なので、映像的にはよくわかりません。

▽デモで車両が立ち往生
 こちらも同じドゥーマで、25日昼間の映像。救急車らしき車両がデモに囲まれて立ち往生しています。スピーカーで話しているのは、アジ演説ではなくて「クルマを通してくれよー」と言ってます。

▽治安機関「アムン」がデモを襲撃
 数日前になりますが、22日にダラアのデモ隊を武装した治安機関「アムン」の私服要員たちが急襲する場面の隠し撮りです。こういうシーンは私も初めて見ました。ちょっと凄い映像です。撮影者の勇気は素晴らしいです。世界中のテレビで放送してほしい映像だと思います。
  1. 2011/03/26(土) 11:12:49|
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シリア政変後は?

 シリアの反政府運動はいまだ萌芽の状態ですが、流血が各地に広がっていて、状況はきわめて流動的になってきました。今後、いっきに政権転覆へということになるかもしれません。
 ですが、問題はその後です。エジプトでは軍が、リビアでは寝返った高官や軍幹部がいましたが、シリアでは反独裁運動のリーダーがまったくいません。他の中東各地での民主化運動の高まりを受けて、▽SNSでデモ呼びかけるも不発⇒南部ダラアで少年たちが反政府運動のイタズラ⇒治安機関が弾圧⇒住民怒る⇒さらに弾圧⇒大規模デモ⇒弾圧で死者多数⇒SNSで情報伝わる⇒他の町でも抗議運動⇒弾圧、という流れでここまで来ました。
 あまりにも長いあいだ独裁が続いていたので、反乱側も弾圧側7もどうしたらいいのかよくわからず、当初は手探り状態でしたが、いったん流れが出来れば、あとはいっきに動くことになったわけです。
 現在のアサド大統領やアシフ・シャウカト陸軍副参謀長ら政権中枢は、父ハフェズ時代の古参幹部をほぼ一掃しており、流血で権力を築いてきた父親世代とは違いますから、カダフィのように徹底抗戦するかどうかはわかりません。性格的にもっとも強硬派なのは、大統領の弟のマヘル・アサド共和国防衛隊司令官です。さらなる流血騒動へエスカレートするかどうかは、この人物がカギを握っています。
 いずれにせよ問題は、この国では権力がアサド家とその取り巻きに集中していたので、政治家にも軍部にも有力な〝次期指導者〟がまったくいないことです。反政府陣営でもっとも実力があるのは、先代のハフェズ・アサド大統領の弟で、最大のライバルでもあったリファアト・アサド元副大統領ですが、シリア国内ではものすごく評判が悪く、民主派とは相容れません。
 その他には、海外亡命中の有力政治家にアブドルハリム・ハッダム元副大統領がいますが、この人物も国民人気はさっぱりです。シリアの反体制派としては、伝統的にモスレム同砲団とクルド人組織がありますが、これも両者ともマイノリティで、国内の影響力は非情に限定的なものです。イランと関係が深いシーア派のグループもありますが、やはり同国では特異なマイノリティにすぎません。
 つい今しがた、シリアの駐インド大使が抗議辞職という未確認情報がSNSで流れました。政権内部から今後、どういった人物が離脱するかというのも注目されます。
  1. 2011/03/26(土) 10:40:43|
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「ダマスカスのデモ映像」その2

 ダマスカスのデモ映像の続報が来ました。これを見ると、私の予想よりかなり大規模です。
ダマスカスのデモその2
ダマスカスのデモその2の、その2
 なお、上記映像をユーチューブにアップしたチャンネルは以下。そんなに更新は頻繁ではないですが、注目のサイトのひとつです。
ミスバル・シリア
  1. 2011/03/26(土) 01:52:04|
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ダラア虐殺情報

 本日、シリアの反政府デモは全土に広がりましたが、治安機関アムンが強引に抑えこんでいます。各地でそれぞれ数名の死者が出たとの声がSNSに集まっていますが、確認がとれません。なかには、アラウィ派の本拠地である西部地中海沿岸地方のラタキアでもデモがあり、死者が出たとの未確認情報があります。
 また、先ほどSNSで、今回のシリア騒乱の発火点となった南部ダラアで、治安部隊が本格的にデモ鎮圧に乗り出したとの報告が書き込まれました。すでに前日までに推定100人超が殺害されていますが、書き込みではそれをはるかに超える大虐殺が進行中と記されています。SNSの匿名書き込みなので、信憑性が担保できませんが、今回、SNSに参加した印象では、偽情報は意外と少ないと思います。
 ちなみに、代表的なSNSの「フェースブック」は、原則的に実名主義ですが、こうした政治的内容の場合、ほとんどの人は偽名・匿名で参加しています。使い勝手は、要するに参加者限定の匿名掲示板といった感じです。
  1. 2011/03/26(土) 00:54:05|
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「ダマスカスのデモ映像」来ました!

 シリアの首都ダマスカスの中心部で、ついに反政府デモが開始されました。ダマスカス旧市街の有名なアル・アマウィ・モスク内部で、礼拝者たちの集団が「シリアに自由を!」と叫んでいます。その映像がなんとすでにアップ! たぶんまだほんの1時間か2時間くらい前の映像です。ネットは本当に凄いですね。
ダマスカス反政府デモ映像 
 つい今しがたSNS上でリンクを貼ったところ、凄い勢いでレスポンスが来てます。なんだか革命に参加している気分です。
 
 シリア第2の都市アレッポからも、つい先ほどの新しい映像が出ました。こちらも有名な大モスク内部ですが、隠し撮りで、しかも短い映像なので、何が起きているのかはっきりとはわかりません。男たちが殴り合いしていますが、説明文によると、反政府デモを秘密警察が襲撃した模様です。
アレッポからの映像

  1. 2011/03/25(金) 22:07:33|
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シリア反政府運動の過程を実況する現地映像

 シリアの民主化運動のSNSに参加してみると、どこよりも早い速報(信憑性は担保されませんが)がどんどん入ってくることは前述しましたが、昨日あたりからまたいっきに増えてきました。ネット上ではもう革命前夜の勢いです。
 本日は金曜日の礼拝の日なので、礼拝後のデモが呼びかけられています。首都ダマスカスでも旧市街のハイ・アルミダンでデモが組織されているようです。デモがあるとすれば、現地時間でだいたい午後3時くらいから夜にかけてとなるので、日本時間だと今日の深夜から明日にかけて、また続々と情報が入ってくることになりそうです。
 英語で情報発信しているサイトもあります。「フリー・シリア」という反政府運動サイトで、本体はアラビア語ですが、英語訳ページもあります。→http://www.free-syria.com/en/loadarticle.php?articleid=38251
 凄いなと思うのは、現地の人が撮影した映像が、その日のうちにユーチューブにアップされ、それを紹介する書き込みがSNSでリアルタイムに入手できることです。なので、国際メディアが編集して放送するより、だいたい半日くらい先にそれらの映像を見ることができます。
 なかでも、ユーチューブの以下のサイトが早いです。
シャム・ニュース・ネットワーク
 これらの映像は、それこそ当事者たちが撮影したものなので、撮影技術はメチャクチャですが、とにかく桁違いに臨場感があります。こうした映像がネットで流通し、多くの国民が見て憤慨し、それでまた反政府運動が加速される・・・ネットは単なるデモ呼びかけのツールだけということではないのですね。
 いくつかの映像を紹介します。放送用に編集されていないので、かなり残虐なシーンがあります。
大規模なデモの映像
▽夜間の衝突
▽夜間の衝突その2
▽発砲鎮圧(注意※残虐なシーンがあります)
▽発砲鎮圧その2
▽発砲鎮圧・犠牲者(※残虐なシーンがあります)
▽犠牲者(注意※非常に残虐なシーンがあります)
▽負傷した人(注意※残虐なシーンがあります)
▽秘密警察による逮捕(デモ参加者が私服の秘密警察に逮捕されたシーン。デモといっても、こちらは小規模のもの。場所はダマスカスのようです。)
▽ダマスカス近郊でのデモ(アル・ハジャル・アル・アスワドという町での昨夜のデモ映像です。思ったより大掛かりです)

 リアルタイムの映像だけでなく、過去の映像もアップされるようになってきました。下記は2008年の爆弾テロの現場の映像のようです。非常に非常に残虐な映像です。
http://www.youtube.com/watch?v=3NgQaNVqVqA&feature=player_embedded
(追記:当映像に関して、2008年7月に発生したダマスカス近郊のセドナヤ刑務所での政治犯暴動を、治安部隊が鎮圧した際のものとの情報があります。それにしては、死体がなぜかバラバラに吹き飛んでいたりするのですが、どういうことかよくわかりません)

 繰り返し書きますが、以上はいずれも目を背けたくなるようなシーンが多いです。けれども、現実です。
  1. 2011/03/25(金) 18:40:59|
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シリアの政商ラミ・マフルーフ

 シリア南部の反政府デモはさらに混乱を深めています。ネット・コミュニティの未確認情報によれば、ダラアには最精鋭部隊の共和国防衛隊が投入されたとのこと。これはバシャール・アサド大統領の実弟のマヘル・アサドが指揮する部隊ですが、デモ鎮圧と同時に、現地のシリア軍内の寝返りを牽制するためという意味もあるのでしょう。

 ところで、ダラアの反政府デモで、アサド大統領以上に糾弾されている政権側要人がいます。携帯電話会社「シリア・テル」のオーナーのラミ・マフルーフという人物です。
 ラミ・マフルーフは1969年生まれとまだ40歳そこそこですが、シリアの通信事業のみならず、資源(シリアでは石油が少し採れます)や貿易(シリアは規制が厳しく、大規模な貿易があまり自由化されていません)の利権をがっちりと握っていて、いまやシリア最大の大富豪になっています。
 ラミ・マフルーフは、バシャール・アサド大統領の従兄弟にあたります。バシャールの母親のアニサ・マフルーフ(あちらでは結婚しても姓が変わりません)の兄弟のひとりであるムハマド・マフルーフはシリアの経済利権を握った政商として財を成しましたが、ラミはその息子です
 マフルーフ一族はアサド独裁体制の長年の基盤のひとつで、たとえばアニサの従兄弟のアドナン・マフルーフ将軍は長年にわたって共和国防衛隊の司令官を務めていました。ラミの兄弟のひとりも、秘密警察の幹部になっています。
 ラミは政商の息子として、10代の頃からレバノン利権も含むシリアのビッグ・ビジネスに携わってきましたが、先代のアサド大統領の死去後、現在のバシャール・アサド体制化でドラスティックに進められたエスタブリッシュメント層の世代交代のトップランナーとして、数々の利権を手中にして、さらに富を得てきたというわけです。(同じような新世代政商として、ムスタファ・トラス元国防相の息子のフィラス・トラスがいます)
 現在のシリアのアサド体制では、秘密警察を牛耳るアシフ・シャウカト(アサド大統領の姉の夫)が政界を掌握し、ラミ・マフルーフやフィラス・トラスら2世「太子党」たちが、国家を私物化する勢いで経済界を牛耳るという構図になっています。独裁者のファミリーとその取り巻きの2世たちが国家を私物化するというのは、アラブ独裁国の常態になっていますね。
  1. 2011/03/23(水) 15:33:25|
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ネット・インテリジェンス機関の有効性

 前エントリーの話の続きです。
 いくつかの中東のネット・コミュニティに参加してわかったのですが、この手法を使うと、現地にあっという間に情報源が構築できて、現地からのナマ情報がどんどん入手できるようになります。真偽不明の情報ばかりですが、ダラアの件のように、事実であることもあります。ということは、インテリジェンス機関はそういった手法を使えば、かなり効率よく現地情報を収集できます。
 おそらく欧米の主要インテリジェンス機関は、すでにそれを実行していると思います。「未確認情報の山」ではありますが、こうした手法によって、彼らの情報収集力は格段にアップしているものと推測できます。
 それに加えて特筆すべきは、このツールによって、単に「情報を集める」だけでなく、「情報をとりにいく」ことと「工作を仕掛ける」ことが可能です。知りたい情報を「教えて」と書き込めば、現地の情報源が教えてくれます。信頼性は担保できませんが、無数のエージェントがいるようなものです。
 また、情勢を誘導したければ、「こうしたらいいのだ」と書き込むことで、現地の反乱分子を誘導することもできます。現地にいなくても、工作が可能なわけです。
 このパワーはすごいです。もちろんすでに欧米や中東のインテリジェンス機関は、攻めるほうも守るほうも、SNSなどを舞台に、こうした情報工作戦を行っているものと考えられます。
 これは従来の諜報や工作に比べて、コストパフォーマンスが桁違いに有利です。日本のインテリジェンス機関も、こうした手法を使えば、たとえば中国の民主化運動を扇動したり、中朝国境に情報ルートを作ったり、ロシア世論に工作をかけたりといったことが出来るかもしれません。
 まあ、積極工作までやると、バレたときに問題になるかもしれませんが、情報収集くらいはこうした手法も早急に取り入れるべきでしょう。私の知る限り、日本のインテリジェンス機関は「未確認情報」を軽視する傾向があるように感じられますが、それでは時代に取り残されるのではないかなと危惧します。
  1. 2011/03/22(火) 11:40:14|
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革命をリアルタイムで体験できる時代

 リビアに英仏米が本気で軍事介入したことにより、一時危惧されたカダフィ復活の目はまずなくなったと見ていいでしょう。チュニジア、エジプトに続いて、リビアも民主化革命が見えてきました。
 他方、イエメンでも軍幹部がぞろぞろと反乱勢力に寝返っています。こちらもサーレハ退陣はぐっと近くなってきました。こちらは革命とまではいかないかもしれませんが、政変はほぼ確実の情勢です。

 シリアでは、ダラアで反乱勢力が町の中心部を奪取し、アサド大統領の肖像画を燃やしたりしているとの情報があります。また、他の町にも反政府デモの動きがどんどん飛び火しています。こちらはまだまだ反乱の動きは小さいですが、確実に裾野が拡大しつつあります。
 シリアの民主化運動は、主にフェースブックを介して広がっているのですが、じつはちょっと前から私も関連のネット・コミュニティのひとつにアクセスして、リアルタイムで情報を入手しています。以前のエントリーでダラアの反政府運動の萌芽を紹介できたのも、そのネット・コミュニティからの情報でした(結局、第一報でお伝えした少年たちの逮捕の情報は事実だったようです)。
 今後の展開はまだ読めませんが、リアルタイムで民主派陣営の動きをフォローするという体験は、なかなか興奮します。かつて89年の中国や91年のロシアなど、現地で民主化運動をナマで取材したときも興奮しましたが、今では日本にいながら革命を同時進行で体験できるわけですね(まあ、もちろん私はそこまでやりませんけれども、その気になれば無関係の個人がネットを介して革命を煽ることすら可能性ですね、これは)。
 シリアの民主派は現在、首都郊外エリアで散発的な集会を組織するところまで来ましたが、なかなか首都中心部での大規模街頭行動までこぎつけられません。それをいかに仕掛けていくかというところで試行錯誤しているのですが、その様子が逐一伝わってきます。また、アサド体制を支えてきたといわれるアラウィー派(イスラムの少数派で、アサドら体制幹部の主流派)の中にも、民主化運動が生まれてきています。
 このあたりの情報は、じつはまだ国際メディアは報じていません。前述したダラアの件もそうですが、ロイターやアルジャジーラより先に、地球の裏側に住む一個人が最新情報を得ることができる・・・すごい時代になったものです。
  1. 2011/03/22(火) 03:34:08|
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「保安院&東電」記者会見場の実態

『ワールド・インテリジェンス』でお世話になっていた国際政治アナリストの菅原出さんが、ウィキリークスに関して非常に精緻な分析記事を連載されていることから、今更ですが日経ビジネスオンラインの会員になりました。(菅原さんの近著『ウィキリークスの衝撃』はこちら⇒アマゾン ちなみに、私も執筆に参加した『機密告発サイト ウィキリークスの真実』もよろしくです⇒アマゾン 主眼の力点が違うので、両方ともお薦めです)
 そのため、同社から定期的に記事案内が配信されるようになって、ときおり拝読するようになったわけですが、そこで震災関連で非常に興味深い記事がありましたので、紹介します。私は先日のエントリーで、テレビで見る保安院や東電の記者会見でのやりとりの「嫌な感じ」について書きましたが、その裏事情を専門記者の方が書かれています。
原子力保安院密着ルポ 「伝言ゲームの参加者が多すぎる」3月18日 小瀧麻理子(日経ビジネス記者)
東電本社密着ルポ「原発危機24時」3月18日 大西孝弘(日経ビジネス記者)
 私自身は原子力行政は門外漢なので、巷に溢れる安易な「東電・保安院悪玉論」の大合唱に違和感を持っていたわけですが、上記の記事で少なくとも記者会見での「嫌な感じ」の裏事情が少しわかりました。無料で読めますので、関心のある方にはお薦めします(私は日経ビジネスさんとはまったく無関係なので、宣伝ではありません)。
 それと、ちょっと違う話ですが、同サイトのコラムニスト・小田嶋隆さんの「今こそ隣人に対して寛大になろう」もたいへん面白かったです。すべてに同感ではありませんが、傾聴に値する話だと思います。被災地から遠く離れたところにお住まいで、テレビ報道漬けの方に是非ご一読をお薦めします。
 ひとつだけツッコミ。氏は「本格的な買い占め行為など誰もしていないのではないか」とのご指摘で、その通りだと私も思うのですが、皆無ではないです。一昨日、我が家の近所のGSで、たくさんの乗用車が行列状態のなか、バカでかい専用タンクを何個も持ち込んでガソリンを買い占めているヤツを目撃しました。何か事情があったのかもしれませんが。我が家は被災地から遠く離れた神奈川県です。
  1. 2011/03/21(月) 15:53:10|
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中東が騒がしくなる季節へ

 リビア、バーレーン、イエメンと混乱があいかわらず続いています。シリアでもどうなるかわかりません。
 そんな状況で、中東の主要部では、短い春が訪れています。中東とひとくちにいってもかなり広範囲なので、いろいろな土地はありますが、灼熱のアラブといっても、やはり3月半ば頃までは結構肌寒い気候のところが多いわけです。
 ところが、時期はまさに春。人々はそれでなくとも、浮き足立って外に出かける季節です。この短い春が過ぎれば、たいてい3月下旬から4月中旬くらいのあいだに、多くの国ではものすごい砂嵐が吹き荒れ、1週間くらいで終わると、いっきに灼熱の夏に突入します。夏になれば、人々は日没あたりから外出、となります。
 なので、多くの国では、これから街頭デモに最適な季節になり、さらにあと1か月もしないうちに夜間デモになると思います。夜間デモになると、革命の気分がいっきに盛り上がるのではないかと期待しているのですが・・・。
  1. 2011/03/21(月) 00:13:38|
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非公開メールをいただく方々へ

 たいして内容のない拙ブログに目を留めていただき、ありがとうございます。今回の震災をきっかけに、昔なじみの友人・知人の何人かの方々から拙ブログ経由でご連絡をいただきました。他にも、公開コメントとは別に個人的にご意見・ご感想をお寄せいただく方も(そんなに多くはありませんが)いらっしゃいますし、お仕事の発注でご連絡いただく方もいらっしゃいます。
 そういった方々にたいへん厚かましいお願いなのですが、拙ブログ管理人への連絡は、出来ましたら拙ブログのトップページ右下のリンク欄にある「黒井へのお問い合わせ」からメールフォームでいただけるとたいへんありがたいです。そちらは自動的に私が使っているメアドに転送されますので、すぐに拝見することができます。
 拙ブログからはそれとは別に、「コメント」→「管理人のみ表示」設定、あるいは「拍手」→「管理人にメッセージ」→「非公開設定」で送るという方法でも、私に連絡が届きますが、こちらは私自身が確認作業をしないとわかりません。当然ながら拙ブログに連絡いただける方は非常に少ないこともあって、たいへん申し訳ないのですが、そちらのほうはあまりちゃんとチェックできておりません。地震の前にも、たいへん懐かしい方からメッセージをいただいておりましたが、今まで見ておりませんでした。ということで、出来ましたらメールフォーム経由でご連絡いただけるとありがたいです。
  1. 2011/03/20(日) 11:29:56|
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多国籍軍リビア空爆へ

 いよいよ始まりました。
仏、リビア対地攻撃 軍用車数台を破壊(2011/03/20共同通信)
 まずはフランス軍が先陣を切りました。アメリカ軍もすでに動き始めています。
米大統領「リビアへの軍事行動開始」(朝日新聞2011年3月20日)
 とりあえず、米英仏伊加の5カ国連合になるようです。
U.S. says five-nation coalition launching Libya strikes(Reuters Mar 19, 2011)
 以前のエントリーで紹介したように、すでに国連安保理で飛行禁止措置の軍事行動が容認されています。が、単なる飛行禁止だけでなく、有志連合はカダフィ派部隊への空爆を行い、反カダフィ派による革命を後押しすることになるでしょう。今のところ、有志連合の地上部隊派遣は各国とも否定しているようです。
  1. 2011/03/20(日) 06:01:26|
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震災と教団

 前エントリーで紹介したように、私は福島県いわき市の出身なのですが、故郷の被害状況を調べようとネットを見ていたら、国内治安インテリジェンス方面では多少注目されてきた某新興宗教教団が、市内の信者の被災者(とくに生徒)を千葉の教団施設で手厚く遇していることを知りました。本部からのお達しで、被災地の信者は関東各地の教団施設で引き受けるという決定をしたようです。
 それでは・・・と、ちょっと気になって、某巨大信仰宗教教団のHPを見てみたら、被災地近傍の教団施設を避難所に提供したり、医師団を派遣したりと、こちらも素早く動いていました。
 国際紛争に関して取材する際、私などは内部求心力の強い排他的な宗教教団を、ついマイナス要因と見てしまうのですが、こうした非常事態では、たしかに利点もあるわけですね。中東の紛争地域でも、かなり強硬派のイスラム組織が、手厚い福祉などで社会に浸透していますが、なるほどそれなりの理由があるのでしょう。
 古今東西の宗教教団、それに政治結社などもそうですけれども、そもそも当初は一種の互助会的な存在として成長してきた部分も大きいわけで、非常事態にはその役割が前面に出てくるということですね。それらの活動の原資はそもそもどこからどうやって調達されたものなのか・・・なんてツッコミたくなる気持ちもちょっとはありますけど、たしかに何も出来ない私なんぞより、ずっと役立っていることは事実です。
  1. 2011/03/20(日) 05:29:01|
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いわき市からのメール

 私の故郷である福島県いわき市で、某公務に携わっている友人から本日、メールが届きました。文章を「報告調」に変えて、以下、勝手に転載します。

 市内の地震(揺れ)による被害は意外と少なく、建物崩壊も元々古い建物やブロック塀の倒壊に伴う被害等が見受けられる程度。しかし、津波被害は甚大で、海岸地帯(久之浜~江名)は全滅状態。
 報道では、宮城や岩手の被災者数に比べ福島の数は少なくなってるが、原発事故の影響で海岸地帯の捜索が難航しているため、把握できないでいる模様。おそらく今後は、徐々に増えるのではないかと推測される。
 市内のライフラインは、電気はOKだが、平地区等の一部の市街地以外は水がNGで、復旧はまだ2割といったところ。
 昨日からヨウ素剤を市民(40才以下)に配り始め、役所では有事の際に向けた検討も行っている。市民もかなり多くがいわき脱出を図っている模様で、道路はガラガラ、夜は真っ暗な家が多い。
 今いちばん問題となっているのが、原発事故に絡んだ放射能漏れの風評により、物資が届きにくくなっていること。特にガソリンが不足していて、閉まっているにも関らずGS前は長蛇の列になっている。
 今のところ平の放射線の観測値は、福島市などよりもずっと低い状態となっている。

 以上、現地からのメールでした。
  1. 2011/03/19(土) 21:15:51|
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シリア民主化デモ弾圧の映像

 シリアではここ数日、小規模なデモが続いていて、アラビア語ネット上では18日の金曜日の礼拝後のデモ参加を呼びかける書き込みが多く見られました。それでどうなるかなと思っていたのですが、いよいよ始まりました。ヨルダン国境に近い南部のダラアで、少なくとも3000人が民主化デモに参加し、治安部隊の発砲で4人が死亡、多数が負傷したことが国際メディアで確認されました(ネットでは6人死亡と流れています)。
 ある中東筋の情報源から、ちょうど30分ほど前に、デモ隊のひとりが射殺されたときの映像と称する映像がユーチューブにアップされたことを教えていただきました。アラビア語になっていますが、タイトルは「2011年シリア/治安部隊によって1名射殺」。生々しい映像です。
http://www.youtube.com/watch?v=jjRngqFVrqE&feature=channel_video_title

 今月6日のエントリーで、ダラアでのデモ鎮圧を伝えるアラビア語サイトの情報を紹介しましたが、その後、国際メディアが一切フォローしなかったので、誤報の可能性が高いとお伝えしていました。もしかしたら、情報をシリア当局が完全に封殺したということだったのかもしれません。

(追記⇒つい今しがた現地から某ネット・コミュニティ経由で入った情報によると、ダラアでは犠牲者の追悼集会で住民と治安部隊が全面衝突し、治安部隊が町の外に引き揚げた模様。注目される情報は、その際に治安部隊は催涙弾は使用したもののの、実弾射撃で住民を殺戮することはしなかったらしいです。これはひょっとしたら、ひょっとするかも、です)
  1. 2011/03/19(土) 20:52:38|
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中東情勢緊迫化

 日本の震災、とくに原発関連が世界でも大きく注目されていますが、そちらに目を奪われている間に、中東情勢も大きく動いています。簡単に概要だけ紹介します。
 まず、リビアではカダフィ派が軍事力で巻き返していて、反体制派の牙城になっている東部の主要都市ベンガジでの攻防戦という局面にまで事態が悪化しています。国際社会が介入しなければ、反体制派は壊滅しないまでも、カダフィ派圧倒的優勢という状況で半固定化する可能性もあります。アメリカや英仏その他では、それを阻止するための飛行禁止空域設定をどうするかという話し合いが、まだ結論が出ていません。
(追記⇒と書いたばかりですが、国連安保理で飛行禁止措置が採択され、対リビア軍事行動が容認されました。さっそく英仏が軍事行動に動いています。リビア情勢は大きな転換点を迎えつつあります)
 次に注目されるのは、バーレーンの反政府デモです。サウジアラビアやUAEなどの湾岸軍が介入し、バーレーン治安部隊による武力鎮圧が激化しています。
 イエメンでもデモがさらに激化しています。
 もうひとつ注目は、これまでほとんどデモがなかったシリアで、14日から小規模なデモが発生していることです。今のところデモ参加者も数十人~150人程度で、警官隊に簡単に排除されているくらいですが、今後の展開が注目されます。
  1. 2011/03/18(金) 15:01:51|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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