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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

北朝鮮「人民保安相」解任の怪

 3月16日、北朝鮮の朝鮮中央通信が、「朱相成・人民保安相(78)が身辺関係を理由に解任された」と突然報じました。
 人民保安相は、いわゆる警察長官にあたります。もともと職業軍人で、朝鮮人民軍第4軍団司令官、総参謀部検閲官などの経験があります。階級は大将で、04年に人民保安相に就任。同職を務めながら、以後、09年に国防委員会委員(序列10位)、10年9月に党政治局委員(序列14位)に就任しています。まさに金正日体制の中枢中の中枢のひとりと言える人物です。
 これだけの高官が名指しで「解任」発表されるということは、北朝鮮ではきわめて異例のことです。間違いなく金正日の逆鱗に触れたということが言えるかと思います。
 朝鮮中央通信はさらに同18日、来る4月7日に最高人民会議第12期第4会議を開催すると発表しました。関係者の間では、金正恩が正式に国防委員会副委員長に選出されるのではないかとの観測があります。
 それにしても、人民保安相解任はなにやらタダならぬ事態です。平壌で何かが起きているのかもしれません。
  1. 2011/03/18(金) 14:21:53|
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震災報道に対する私見

 震災報道を連日見ていて、ちょっと違和感を持ったことを2点書いてみます。
 ひとつは、東電の記者会見などを見て感じたことですが、東電の社員が記者の詰問に責め立てられ、なんだか釈明会見をしているかのような雰囲気がしばしば感じられるのですが、それはおかしいのではないかと思います。記者の方々は、丁寧な話し方をしている方でも、抑揚なんかがかなりぞんざいで、それに対し、東電の人は「~なのでございまして・・・」なんて思い切りへりくだった話し方をしているから、そんなふうに感じるのでしょう。
 けれども、今の状況というのは、東電が日本国民に迷惑をかけたというような話なのでしょうか? 日本の原子力政策というのは、単に東電が金儲けのために危険性を無視して進めたというような単純な話ではきっとなく、もっと大きな政治や経済や科学技術の話の中で決められてきたものだろうと思います。
 私は原子力政策の経緯を取材した経験はないので、実際のところはわかりません。もしかしたら東電はメチャクチャな原発ビジネスをやっていたのかもしれませんが、その実際のところは、私にはわかりません。わかりませんが、おそらく日本国民の多くの方々も、私と同じくらい知らないでしょうし、おそらくメディアの方々もごく少数の専門記者以外の人は、似たようなものだと思います。責任組織の対応がまずければ指摘することは必要ですが、なんで新聞記者がこんなにエラソーなの?というのはありますよね。さまざまな事件で日々記者会見というものは行われていますが、なんだかいまどきの記者会見は、なんでもかんでも吊るし上げの場のようになっているようで、ちょっと気分が悪くなります。
 もう1点は、今週になっていろいろ出てきた雑誌報道に関してです。私ももう四半世紀近く雑誌業界で生きているので、業界の批判は自分への批判と同じなのですが、今回、震災報道がお馴染みのセンセーショナルな煽り優先になっていることには、ちょっと異議アリです。テレビや新聞で解説する専門家はどちらかというと冷静な分析が多いのですが、雑誌はいつもの「日本はこんなに危ない!」的なパターンが多いように見えます。雑誌は部数を売ってナンボの世界なので、煽りが常套手段なのはわかりますが、これだけ深刻化している状況では、もう少し冷静な報道がいいのではないかな、と個人的には感じます。実際、こうした報道に煽られて先走った行動にはしる人も出てくる可能性がありますが、そういうこともきちんと考えるべきではないかなと思いました。
  1. 2011/03/18(金) 03:42:19|
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放射性物質漏洩

 福島原発の状況が悪化し、放射性物質漏れが拡大しています。屋内退避エリアが半径30kmになりました。私の生家は約35kmなので、風向きによってはちょっと心配です。
 首都圏でも放射線の数値が上がっていますが、現状では心配するレベルではないようです。位置関係からすると、気流の関係から、いずれにせよ原発から北東方向のほうが汚染は広がるのではないでしょうか。
 放射性物質の封じ込めに失敗したことは明らかですが、今後は、どれだけその漏洩・拡散を少なく抑えるかという局面になります。危険な放射性物質が漏洩しているなか、東電の作業員の方や自衛隊の特殊武器防護隊の方々などは、被曝覚悟で懸命の作業を行っていると思います。本当に頭の下がる思いです。
 ところで、東電の記者会見などを見ていてちょっと感じたのですが、記者の方々は「最悪、どうなる可能性があるのか?」という言質を担当者から引き出そうとしていて、担当者が「現在のデータだけでは断言できない」「現状、××のようなことが考えられるが、××すべく全力であたっている」という返答で平行線・・・というシーンがよくあります。
 インテリジェンスの基本でいえば、「確かな情報と、不確かな情報を選別」「可能性の順位づけ(評価)」という作業が必要で、それをもとに「蓋然性の高い将来予測への備え」と「最悪の事態を想定しての備え」を同時進行で進めるというのがセオリーになります。
 ここで陥りやすいミスは2点あります。「希望的観測のみを判断材料とする」ことと「不確かな情報、極端な情報に捉われる」ことです。前者は「こうあったらいいという希望的観測ばかりに目がいってしまう」ことで、後者は「不確かな断片情報を都合よく貼り合わせて極端な分析を導き出す」ということです。「今のところ問題はない」と言い続けるのも、「最悪の可能性」だけをことさら叫ぶのも、どちらも正しい態度とは言えません。
 こうした事態で重要なのは、「正確なデータ」を元に、冷静な分析をし、なおかつ「最悪の事態に備える」ことです。
 現状をみると、まず正確なデータがよくわかりません。わかっている人はかなり限られていると思います。なので、現状では実際に正確なデータをもっとも持っている東電や保安院の情報に頼らざるを得ません。
 ところが、そうしたデータがよくわからないのに、「とにかく危険だ」との前提でのイメージだけで判断している例が散見されます。なかには「東電や保安院は本当のことを隠しているのではないか」との電波系陰謀論的な考えの方もいるようですが、そういう見方には、「東電や保安院が何のどういう情報を何のために隠している」という根拠がまったくありませんので、まったく論評に値しません。
 現状はむしろ、「後で責任と問われないため」に、政府も東電も、「隠す」どころか、状況見積をどちらかというと悪い方をベースにしている傾向があります。こうなると、状況が当初思い描いていたほど悪化しないまま時間が経過した場合、逆に「慢心」というミスを引き起こす原因になる危険もあります。
 また、状況は刻一刻と変化するので、将来予測も随時変化するものであるという大前提も、重要です。記者会見でも、記者の方が担当者に「以前は××と言ったのに、今度は××と言うのか!」と詰問しているケースが見られますが、状況は変化するということを理解していないように思います。政治家や官僚を追い詰めるのと同じ感覚なのでしょうか。
 いずれにせよ、テレビ各局は今、さまざまな専門家や専門家っぽい人を大量動員して報道を続けていますが、解説をよく聞くと、誰が「根拠のあるデータ」をもとに語っているかが見えてきます。根拠なく危機を煽っている人、根拠なく楽観論を振りまいている人は、ともにちょっと引いて見る必要がありそうです。
  1. 2011/03/15(火) 15:28:39|
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中国「網絡警察」&「網軍」

 地震でたいへんな方も多いと思います。今回、私の出身地である福島県いわき市も大きな被害を受けました。原発からは35キロくらいなので、直接の影響はなさそうですが、近隣の方々はたいへんですね。
 大宮の特殊武器防護隊が出動しましたが、化学兵器と違って放射線が相手では、とくに出来ることは限られるでしょう。
 95年の阪神淡路大震災で、当時フジテレビの取材班として当日に被災地に入りました。サラエボ並みの壊滅状態でした。あれほど早く再建されたのは、関係各位のそうとうの尽力があったのでしょう。今回は被災エリアが段違いに広範囲なので、あれ以上の支援を要すると思います。なんとか乗り切っていただければと思います。

 今月10日に発売された『軍事研究』に「ネット検閲とサイバー攻撃に血道をあげる中国『網絡警察』と『網軍』」という記事を寄稿しました。注目を集めるこの分野ですが、資料が少ないためか、まとまった研究報告は他ではあまり見られませんので、興味のある方はぜひどうぞ。 
  1. 2011/03/13(日) 10:35:02|
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シリアで反政府デモ?

 ちょっとまだ第一報なので、正確なところはわかりませんが、シリア南部のヨルダン国境に近いダラアという町で反政府抗議行動があり、多数の若者(そのほとんどは15歳以下の子供だそうですが)が逮捕されたとの未確認情報が入りました。アラビア語サイトに出回った情報で、今のところ英文検索ではヒットしません。アラビア語サイトは誤報も多いので現時点では判然としませんが、続報が注目されます。

(3/7:14:30追記⇒第一報から半日ほど経過しましたが、現時点まで続報がありません。誤情報だった可能性が高いようです。失礼いたしました。なお、シリアでもこれまで若いブロガーが逮捕されたりしています。後ほどまとめてお知らせしようと思います)
  1. 2011/03/06(日) 23:46:41|
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リビア軍VS英米軍?

 リビアでは、カダフィ派の軍が反体制派への反撃を開始し、本格的な内戦の様相を呈してきました。反体制派の側も組織をまとめ、軍事的にも「反体制軍」の整備に入っているようです。現在のところ、英米軍などの地上展開は要請されていませんが、とりあえず飛行禁止措置が求められる方向になっているようです。
 ということで、現在、英米軍がリビア上空の飛行禁止措置をとるかどうかということに焦点が移ってきました。

 ここで、まずはリビア軍の戦力を確認しておきます。
 政変前のリビアの兵力は、正規軍が約7万6000人。それに民兵が推定で4万数千人いたと思われます。それプラス予備役が4万5000人です。
 陸軍は職業軍人2万5000人と徴募兵2万5000人の計5万人。これらの兵力が、国境警備×11管区、地域防衛×4管区に分けられています。
 陸軍の主な部隊は、保安旅団×1個、戦車大隊×1個、機械化歩兵大隊×10個、歩兵大隊×18個、特殊部隊×6個、砲兵大隊×22個、地対地ミサイル旅団×4個、防空大隊×7個です。まあ普通な印象ですね。
 このうち、カダフィの7男であるハミス・カダフィが率いる「第32旅団」(通称「ハミス旅団」)がトリポリのカダフィ邸周辺を警備しているのですが、これが現在3個ある体制保安部隊(合わせて兵力1万名)の最強部隊で、ヘリや装甲車両を保有するほか、近代的な通信設備も配備されて、圧倒的に近代化された部隊とみられます。地方に出張って反体制派弾圧に乗り出している中核部隊もこのハミス旅団で、外国人傭兵もこのハミス旅団が仕切っていてるとの情報があります。
(追記⇒英米メディアなどの情報によると、カダフィ派の部隊はこの7男ハミスと、もともと軍・治安部隊を統率していた4男ムタシムに加え、以前のエントリーでも紹介したようにダメ息子として有名だった3男サアディと5男ハンニバルによって指揮されているようです。サアディとハンニバルはほとんどまともな軍事教育を受けていなかったはずですが、結局、独裁維持は息子頼みということになるわけですね。この息子たちの階級ですが、英米メディアではサアディが大佐、ムタシムが中佐、ハンニバルが中尉、ハミスが大尉という情報がありますが、よくわかりません)

 BBCなどイギリス各メディアの報道によると(ウィキリークスの米公電情報にもハミス旅団についての詳細な報告があります)、ここ数年、カダフィの次男のセイフ・イスラム・カダフィとハミス・カダフィの兄弟がイギリスとかなり接近していて、09年にはイギリス陸軍の特殊部隊である「陸軍特殊空挺部隊」(SAS)がリビア特殊部隊の訓練を行ったと報じられています。このリビア特殊部隊はおそらくハミス旅団内の特殊部隊と思われます ということは、現在、反体制派弾圧を主導している部隊を、これまでイギリスが半ば〝育ててきた〝ということになります。後述するように、イギリス軍はすでに水面下でいろいろ動いていますが、そういったわけである程度、人脈や土地鑑があることに加え、責任も感じているのかもしれません。

 リビア陸軍の装備は旧式ですが、北アフリカの5万人の陸軍としては装備は充実しているほうだといえます。
 陸軍の主な装備は以下です。
 戦車は2025台。T-72×200台、T-62×100台、T-55×500台、T-54×1040台。その他に、歩兵戦闘車BMP-1×1000台、装甲兵員輸送車BTR-50/60×750台、ブラジル製偵察装甲車EE-9 ×70台、旧ソ連製偵察戦闘車BRDM-2 ×50台などなど。
 このうちどれほどが反体制派に流れたかは不明ですが、それなりの陸上戦力です。
 野砲は2421基。うち自走砲は444基で、122mm砲、130mm砲、152mm砲、155mm砲などです。
 ロケット・ランチャーは830基で、うち107mm Type-63が300基あります。
 地対地ミサイルはフロッグ-7 とスカッド-Bです。

 米軍の空爆を受けた経験のあるリビアは、対空兵器を多数保有していますが、いずれも旧式のもの。対空ミサイルも多いですが、SA-2ガイドライン、SA-3ゴア、SA-5ガモン、SA-7グレイル、SA-8b ゲッコー、SA-9ガスキン、SA-13ゴファーなど、いずれも旧式の旧ソ連製です。
 対空砲も57 mm や23 mm、40mmなど多数をもっています。

 他方、リビア空軍ですが、そちらもそれなりに整備されてはいますが、やはり装備はかなり旧式のもので、米英軍などを相手にした場合には、まったく無力といっていいでしょう。
 ただし、国内反体制派への攻撃ということなら、それなりに力を発揮することになりそうです。
 空軍の兵員は1万8000名。空軍基地は13箇所。空軍は現時点では反体制派へ転じた部隊は少ないようです。
 リビア空軍の主な装備は以下のとおりです。
▽ミラージュF1 BD/ED 多目的戦闘機
 4機がありましたが、うち2機が2月21日にマルタに亡命。残り2機となりましたが、うち1機が23日に撃墜されたと報じられています。とすると、残りわずか1機ということになります。
▽MiG-23 BN/MS/ML/UB 対地攻撃機・要撃機
 全部で124機。ベンガジおよびタブルクの空軍基地にあった機は、反体制側の手中に転じたと思われます。
▽Su-24MK爆撃機
 3機。爆撃機が反体制派攻撃に使われたとの情報は、今のところありません。そうなったらもう単なる虐殺ですが。
▽Su-22M3/UM-3K対地攻撃機
 全部で39機。1機が2月23日にアイダビヤで反体制派に撃墜されています。
▽MiG-21要撃機
 全部で25機。古い機体ですね。
▽Mi-24ハインド重攻撃ヘリ
 38機。 1機が2月28日にミスラタで反体制派により撃墜されています。
▽J-21ジャストレブ軽攻撃機
 旧ユーゴスラビア製の旧式機。13機保有。
▽G-2ガリブ軽攻撃機
 旧ユーゴ製の旧式機。116機保有。
▽L-39ZOアルバトロス軽攻撃機
 チェコ製の旧式機。110機保有。
▽Il-78空中給油機
旧ソ連製。4機保有。
▽Mi-14 中型ヘリ
 旧ソ連製。12機保有。
 その他にも輸送機や輸送ヘリ、訓練機などを多数保有しています。
 また、空軍にも対空兵器は多いです。SA-2ガイドライン地対空ミサイルは88基ありますが、少なくともタブルクにあった2基は反体制派の手に落ちたと思われます。
 その他、SA-3 ゴア×10基、SA-6ゲインフル×43基などがあります。
 これらの航空戦力を、カダフィ政権側は反政府勢力への攻撃に使おうとしていまずが、そうなれば大量殺戮となる可能性もあります。そのため、飛行禁止区域の設定などという話が出てきているわけですが、仮に米英中心の多国籍軍が飛行禁止区域を設定すれば、リビア空軍の航空戦力レベル程度なら、ほぼ完璧に抑えられるでしょう。

 これらの陸軍・空軍に比べると、リビア海軍の出番はなさそうです。英米軍を相手にするには弱体すぎるし、反体制派攻撃にも使われなさそうだからです。
 いちおう紹介すると、リビア海軍の要員は8000名。艦艇は全35隻で、その主力は2隻のフリゲートと2隻の潜水艦です。
 その他の装備としては、コルベット×1隻、ミサイル艇×11隻、哨戒艇×1隻、揚陸艦×1隻、エアクッション艇×2隻、掃海艇×4隻、輸送艦×10隻など。その他に、固定翼機やヘリが若干あります。

 さて、こうしたリビア軍に対し、国際社会はどう対処するのでしょうか?
 今のところ明らかになっているのは、米中央軍が、海兵隊400名を乗せた強襲揚陸艦キアサージと、ドック型輸送揚陸艦ポンセの2隻を地中海に移動させ、リビア近海に展開したことです。
 トリポリで米国大使館あるいは同盟国の大使館、さらには何らかの外国施設、重要な石油施設などが危険に晒された場合に、強襲揚陸する可能性があります。
 キアサージは本来は、第26海兵遠征隊の水陸両用群と行動していましたが、同部隊はすでにアフガニスタンに展開しているため、今回の400名はノースカロライナ州キャンプ・レジューンの第2海兵師団第1大隊から派遣されています。
 また、イギリス軍の特殊部隊である前出のSASと海軍特殊部隊(SBS)の要員がリビアに急派され、石油施設で立ち往生していたイギリス国民ら150人の救出にあたったということです。
 また、イギリス各紙の報道によれば、SASはさらにリビア国内の化学兵器貯蔵施設を急襲する作戦を準備中との情報もあります。
 当面、軍事面で注目されるのは、飛行禁止措置が実行されるかどうかです。現在、ロシアとフランスが反対のようなので、国連安保理のお墨付きは出そうにないため、米英プラス伊という多国籍軍による作戦となる可能性が高いですが、今のところアメリカ当局者は慎重な物言いに徹しており、どちらかというとイギリスが牽引役になっています。
 仮に実施となれば、キプロスのイギリス軍基地、イタリア軍基地、トルコのインジルリク空軍基地あたりが出撃拠点になりそうです。前述したような旧式のリビア軍相手なら、軍事的にはそれほど難易度の高い作戦ではありませんが、常設の警戒態勢となれば、かなりの経費が必要となることは必至です。
 アメリカとしては、その前にさっさとカダフィが諦めてくれればという思いでしょうが、あの人はそう簡単に諦めそうもないですね。
※追記⇒その後、国連安保理が飛行禁止区域設定と民主派保護活動の容認を決議しました。ロシア・中国・ドイツは棄権。フランスは当初こそ慎重な態度でしたが、イギリスへの対抗もあってか一転して積極的な軍事活動容認に乗り出しました。アメリカも当初は消極的でしたが、賛成に転じました。というわけで、カダフィ派への空爆作戦は英仏米が主導するかたちになっています。
  1. 2011/03/03(木) 14:52:57|
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『何かのために~sengoku38の告白』

 以前、当ブログでも紹介しましたが、元海上保安官・一色正春氏の著書『何かのために~sengoku38の告白』を朝日新聞社の方にいただきました。(⇒アマゾン)
 私が紹介するまでもなく、現時点でアマゾン・ランキング55位。カスタマーレビューが35件、うち31件が星5つというベストセラー&大絶賛ぶりです。
 ご本人はいろいろ批判されるかもしれないことを覚悟しての手記出版だったと思いますし、たいへん勇気の必要なことだったろうと思います。それにしても、この反響はすごいですね。
 私自身は、誰でも自由に発言すべしと思っていますが、その一方で、治安機関内部の人間が、国家が「出さない」と決めたものを内部から流出させる行為はアウトとされるのが本来の筋だと考えています。流出させても構わないものは流出させて構わないと思いますが、その「行為」はバレた時点でアウトにされてもしかたがないということです。
 その点は、本書をみると著者がいちばんよく理解されているように思います。同書の記述は抑制された坦々としたものであり、断罪(法的なことは別として)も覚悟の流出であったことがわかります。
 ところが、ちょっと興味深いのは、そんな著者の抑制を吹き飛ばすほどの大絶賛が2つの方向から湧き上がっていることです。ひとつは、反中国・反民主党政権の愛国者系からのもので、アマゾンのレビューをぱっと見ても、そういう方向からのシンパシーが非常に強いことがわかります。著名人でいえば、石原慎太郎氏、田母神俊雄氏、櫻井よしこ氏、佐々淳行氏などが一色氏を絶賛しています。佐々氏などはもともと警備公安警察の方ですから、組織内の秩序を優先する立場の方かと思っていたのですが、今回の尖閣ビデオに関しては早い段階からsengoku38支持を打ち出していたのが興味深いです。
 ここでちょっと面白い現象だと思うのですが、こうして一色氏は愛国者系言論界の支持を集めると同時に、情報公開支持の立場から、『週刊朝日』や上杉隆氏などのようなどちらかといえばリベラル系のほうからも支持されています。本来なら反中国・反民主党であれば『週刊文春』や『週刊新潮』などの出番だと思うのですが、両誌とも以前にsengoku38バッシングをやったこともあって、一色氏支持にはまわっていません。それで、『週刊朝日』誌上で櫻井よしこ氏が一色氏と対談するなどという面白い構図になっています。
 一色氏はもともと一海上保安官であり、保守系言論人ではなかったわけですが、この勢いだと、田母神俊雄氏に匹敵するスターになるかもしれません。本書をみるかぎり、ご本人にはそんな意思は感じられないのですが。
  1. 2011/03/02(水) 15:14:49|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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