ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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瀬戸際外交という幻想

 現在発売中の『プレジデント』に、短い記事ですが、「月50ドルのフォローサイトも出たウィキリークス」という記事を寄稿しました。ウィキリークスのオリジナル・サイトへのサイバー攻撃もありましたが、その一方ではさまざまなミラーサイトやフォローサイトが出現している様を紹介しました。
 また、本日発売の『週刊SPA』の記事「Xデーは'11年4月 北朝鮮の核が東京に落ちる!?」にコメントを採用していただきました。表題の日付はともかく、ウラン濃縮で核ノドン配備が秒読みに入ったことは事実ですので、その脅威について意見を述べさせていただいています。

 北朝鮮のニュースに関しては、いまだに「アメリカを交渉に引きずり込むために挑発している」という解説が多くみられますが、その根拠がよくわかりません。
 北朝鮮の行動の真意は推測するしかないのですが、彼らの行動を振り返ると、核ミサイル開発に一貫して邁進しています。アメリカとの交渉が主目的というよりは、アメリカとの交渉で時間を稼いでいる間に、核ミサイルを開発してしまおうということが主で、その過程で経済援助を引き出せれば儲けものということでしょう。独裁体制の生き残りというのは、独裁者とその周辺にとっては、とにかく命がけの難事業なので、そんなに甘い考えでやっているのではないと思います。
(西海での砲撃事件に関しては、北朝鮮の狙いは世襲問題に関しての軍の掌握、つまりは国内事情だと思います。軍に実績をあげさせながら、むしろなるべく米軍を挑発したくないのが本音だと思います)

 北朝鮮は今後、寧辺のウラン濃縮施設にIAEAの査察を認めて、平和利用目的ということでイラン方式で押していこうとするでしょう。ですが、その陰で他の秘密施設でウラン濃縮を進め、その査察は認めません。そしてある日、何かを口実に緊張を演出し、それを名目に濃縮ウランの兵器転用を「自衛のため」と称して宣言。核ノドン&核ムスダンを実戦配備します。
 これで北朝鮮の地位はいっきに格上げされますが、それは空想ではなく、現実に王手をかけられる段階に来ていますから、北朝鮮側はそこまでいっきに突き進むものとみるべきです。
 北朝鮮はこのプロセスを、最低でも中国の離反を呼ばない程度に、それなりに外交上のルールを逸脱しないように進めていくと思われます。
 北朝鮮の核武装は現在、新たなステージに入ったとみるべきです。アメリカを交渉に引きずり込むための外交カードとかブラフだとかいう見方はおそらく間違っていると思います。
 今振り返ると、そもそも「瀬戸際外交」というのも、間違っていたのではないかと思います。金日成は米軍に対抗するために、一貫して核武装を密かに進めようとしていました。しかし、90年前後にアメリカのインテリジェンスに察知され、圧力を受けるようになります。ギリギリのチキン・ゲームで時間稼ぎをしていましたが、94年にはついにクリントン政権が軍事オプションを検討するに至ります。金日成は、カネが欲しくてカーター特使を受け入れたのではなく、米軍の軍事攻撃を避けるために受け入れたのですね。
 ただし、金父子にもメンツがありますから、ただ白旗を掲げるわけにはいきません。そこで経済支援を引き出す枠組み合意が結ばれたということです。北朝鮮はプルトニウム抽出を封印している間に、ミサイルと核爆弾起爆装置の開発に全力を投入し、そのどちらでも着々と成果をあげます。そして、次なる緊張のタイミングを待ってプルトニウム生産を再開し、核武装を実現します。その間の瀬戸際外交なるものは、すべて時間稼ぎだったわけです。
 北朝鮮はアメリカとの戦争を絶対に避けながら、自身の核ミサイル武装を実現することを、何より最優先してきたといえます。彼らのもっともしたたかな外交というのは、自分たちがさも「アメリカを交渉に引きずり込むために挑発している」と思われるように仕向けていることかもしれません。
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  1. 2010/12/28(火) 12:53:50|
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戦場野郎コメントを人気バラエティで発見

 昨日の日曜日、昼食時にふとテレビを観ていました。TBSの人気番組『アッコにおまかせ』です。
 話題は例の不倫ツイッター暴露問題。私は渦中の戦場ジャーナリストYさんは一面識もないので、まあ他人事です。
 と、アナウンサーが「なぜYさんは女性にモテるのか、戦場ジャーナリストの方にお伺いしました」と言いながらフリップをめくります。するとそこに、なんと私が尊敬する戦場野郎=加藤健二郎氏のお名前&お写真(しかも、カラシニコフを抱えてる戦場野郎写真)が!!! 加藤さん、ついに日曜お昼という善良なる老若男女の時間帯に進出ですね。おめでとうございます。
 すでに告知しましたが、そんな加藤さんも登場する下記イベントに、皆様もぜひどうぞ。 

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  1. 2010/12/27(月) 13:46:51|
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前原外相「普天間」発言とロシア大統領「領土」発言

 本日のニュースに、なんだか似たような空気を感じるものが2件ありました。

北沢防衛相、前原外相の普天間「継続」発言を批判朝日新聞12月24日
 普天間基地は、移転先が決まらなければこのまま現状維持で使用されます。現状では、誰がどう見ても移転先がすんなり決まる情勢ではないですから、前原発言の「代替地を決めるまで使用され続ける」というのは、どこも間違っていないように思えます。
 前原外相が周辺の小学校の移転などに言及したのも、責任ある政治家なら当然じゃないでしょうか。この発言を批判する人は、たとえば明日、米軍機が小学校に墜落して死傷者が出たら、どう責任とるつもりなのでしょうか。

「北方領土はロシア領」大統領発言 2島返還取り下げか朝日新聞12月24日
 こういう情報を、さもロシア側の変節のように報じるのもどうかと思います。日本でたとえば「北方領土はロシアに上げてもいいんじゃないか」などと発言したら、世論の集中砲火を浴びて政治生命を断たれるのは必至なのと同様に、ロシアでも「クリルを日本に返してもいいんじゃないか」などと発言した政治家はその瞬間に終わります。尖閣をめぐる日中両国の国内政治状況も同様ですが。
 朝日新聞記事によれば、日本外務省はこの期に及んで未だ「ロシアは1956年の日ソ共同宣言に従って2島返還は約束済み」という妄想にすがりついているようです。その善悪・正邪を別にして、ここではロシア側の論理を指摘しておきます。
①「日ソ平和条約が締結されたら小さいほうの2島だけ返してやってもいい」という日ソ共同宣言は、半世紀も前のもの。もはや現実的なものではない。
②それなのにどうして日本はいつまでも領土問題ばかりに固執しているのか理解不能。ただ、この問題が日本の歴代政権の鬼門になっていることは承知しているので、交渉継続にはかたちだけお付き合いしてあげよう。
③領土問題は棚上げし、経済面で協力すればいい。これぞ新たなアプローチ。

 言うまでもありませんが、むろん私の意見ではありません。ロシア側の論理はこういうものではないかと指摘しただけです。こういう状況下で、では日本はどう対応すべきかと検討するのが政府の責任であると思います。
 どこの国でも領土問題に関しては無条件に妥協に拒絶反応を示す層が存在するので、「そういうことを考えるだけでもイカン!」というのが、日本国内向けの安全牌ですが、それだけでは問題は永遠に解決しないですね。
 国家主権の原理原則を曲げないというメリットも当然あります。なので、国家戦略としてそういう選択もあって当然と思うのですが、かといって外交当局者が「現実を見ない」だけでいいのかというと、ちょっと違うような気がします。
 なお、ひとつ誤解があるように見えるのは、日本のメディア報道をみると、どうも「択捉、国後の主権を日本側が放棄すれば、歯舞、色丹は返還する」とでもロシア側が約束しているかのようなイメージをもたれていることです。ものすごく甘いですね。
(追記→)ロシア側が認めているのは、「平和条約締結後の2島返還」+「過去にそういう約束をしたことがあることは認める」+「これからは新たなアプローチで解決を目指す」だけです。2島先行返還論とか面積2等分割論とかいろいろ出てきましたが、ロシア政府が約束したことなどありません。日本外務省の解釈は、曖昧なやりとりを自分たちに思い切り都合よく解釈してしまった典型例に見えます。
  1. 2010/12/25(土) 19:45:05|
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駐ロシア大使更迭

菅政権、未熟な情報収集?駐露大使更迭へ(12月24日 読売新聞)

 11月1日のメドベージェフの北方領土訪問を事前につかめなかったという理由で、河野雅治・駐ロシア大使が更迭だそうです。まったくお気の毒としか言いようがないですね。
 ロシア政府中枢の内部情報を、日本の大使館が常にとれるとでも思っているのでしょうか。かつてソ連末期の保守派クーデター未遂で、ゴルバチョフ生存情報をかの佐藤優さんがつかんだことは有名ですが、あれは佐藤さんだからできたこと。日本の外務省は基本的にはロシア外務省の日本課と接触していますが、日本課なんてロシア外務省では泡沫部署なので、メドベージェフの意向まではわかっていません。オフィシャルな外交に枠を超えて情報収集・分析にあたるのがインテリジェンス機関ですが、日本にはありませんから、最初から無理な注文というものではないかと思います。
 問題は、ロシア政府が今後も北方領土実効支配を粛々と進めるだろうことを予測して、対策を考えない政府にあるのではないかと思います。尖閣も同様です。中国側はじわじわと尖閣へのアプローチを進めてきていますが、日本政府は早急に実効支配を世界にアピールするための施策を進めるべきかと思います。
  1. 2010/12/24(金) 10:29:26|
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インテリジェンス10大ニュース

 2010年のインテリジェンス関連の10大ニュースを考えてみました。失念してしまっている事件も多々あると思うのですが、こんな感じかなあというところを挙げてみましょう――。

1位 ウィキリークスで米公電暴露開始
 これまでもときどき裏ネタを掲載していたウィキリークスは、今年4月のイラク駐留米軍ヘリ攻撃ビデオ公開でいちやく名を上げました。その後、7月にアフガン機密資料、10月にイラク機密資料の大量公開で渦中の存在となり、11月29日から米外交公電の公開を始めたことで大きな話題となりました。とくに米公電はインテリジェンス的には参考情報の宝庫といえます。
 
2位 北朝鮮ウラン濃縮
 11月に訪朝した米専門家に、北朝鮮当局がウラン濃縮施設を案内しました。砲撃事件でインパクトが薄くなっていますが、インテリジェンスでいえば、こちらのウラン濃縮のほうが日本にとっては大問題です。当ブログで再三指摘していますが、核ノドンに直結するからですね。日米韓のインテリジェンス機関も全力で核開発情報を追っているはずです。

3位 モサドがハマス幹部を暗殺
 1月、ハマスの軍事部門幹部を、訪問先のドバイのホテルでモサド破壊工作チームが暗殺。その一部始終が監視カメラに収められていました。

4位 金正恩後継指名
 9月、初めて金正恩が公式に登場。金正日の体調も含め、北朝鮮権力中枢の動向は、これも日米韓のインテリジェンス機関が全力で追跡している課題ですね。

5位 韓国哨戒艦「天安」撃沈
 3月26日、黄海の北朝鮮国境付近で韓国軍の哨戒艦「天安」が魚雷攻撃を受けて撃沈されました。北朝鮮軍のニューリーダーのひとりである金英徹・偵察総局長が主導したものとみられています。

6位 中国がグーグルにサイバー攻撃
 1月、グーグルは「前年12月より中国でサイバー攻撃を受けていた」と公表。中国当局による組織的な攻撃とみられています。

7位 美人すぎるスパイ
 6月27日、アメリカ国内で活動していたロシアのスパイ団10人が逮捕され、スパイ交換で本国に送り返されました。その中のひとりであるアンナ・チャップマンが「美人すぎるスパイ」として注目されました。

8位 警視庁公安部テロ資料流出
 10月28日、ルクセンブルグのレンタル・サーバーにウィニーを使って警察庁公安部外事3課の内部資料が大量にネット流出しました。犯人はまだ判明していません。

9位 パキスタンがCIAの対テロ戦争の最前線に
 パキスタンを震源地とするテロが頻発。9月にはドイツ人のアルカイダ・シンパなどがパキスタンで組織され、英仏独で同時テロを計画したところが摘発されたりもしています。
 アフガ二スタン東部を拠点とするCIA準軍事組織がパキスタン領内で無人機による攻撃を強化していますが、タリバンを水面下でパキスタン軍情報機関が支援しているとみられていて、米=パキスタンのインテリジェンス分野での協力関係があまりうまくいっていないようです。12月にCIA支局長の氏名がリークされましたが、これはパキスタン軍情報機関の仕業によるものとみられています。なお、アフガンのCIA拠点が自爆テロで攻撃され、CIA局員多数が死傷したのは09年12月でした。

10位 ロシア地下鉄自爆テロ
 3月から4月にかけて、ロシアでチェチェン・イスラム武装勢力によるテロがあいつぎました。戦死したゲリラ兵士の未亡人を自爆テロ犯にするという手口で、とくにモスクワの地下鉄で連続自爆テロでは乗客ら40人が殺害されました。

番外編

 その他に思いつくのは、以下のようなニュースですね。
▽MI6正史出版
▽スウェーデン連続爆弾テロ
▽メキシコ麻薬戦争激化
▽情報収集衛星ダウン
▽イラン核施設システムがウイルス感染

さて、2011年はどうなるでしょうか?
  1. 2010/12/22(水) 10:55:08|
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自衛隊が拉致被害者救出?

 新聞各紙の報道によれば、菅総理が10日の拉致被害者家族らとの懇談で、「朝鮮半島有事の際に拉致被害者救出のため、自衛隊を北朝鮮に派遣する可能性を政府内で議論している」と語ったそうです。
 これまで日本政府は、ソウルに取り残された邦人の救出すらも「戦闘地域には自衛隊を派遣しない」ということから否定していて、自力で安全な「非戦闘地域」まで逃れてきた邦人のみ「輸送」しましょうということで、そのために自衛隊内に「誘導隊」という妙な名称のタスクフォースまで編成してきたのですが、仮に総理発言が事実なら、いっきに別次元での自衛隊特殊作戦が検討されることになります。
 もっとも、おそらく総理の脳裏にあったのは、北朝鮮に乗り込んでいってランボーみたいに暴れまくるというのではないのではないでしょうか。たとえば、どこか安全な場所に逃亡した拉致被害者を救助するという程度のことではないかなと推察しますが、よくわかりません。いちばんの問題は拉致被害者の所在情報をどう入手するかということですが・・・。

 ところで、今月号の『軍事研究』を読んでいたら、「市ヶ谷レーダーサイト」という1pコラムで、筆者の北郷源太郎氏の筆致がふるってました。同コラムは通常は、防衛省・自衛隊の幹部の人事情報を紹介するものなのですが、ときおり防衛関連で大きな事件が起きたりすると、時事評論的な内容になります。それが毎回面白くてタメになるのですが、今回はかの尖閣ビデオ事件に関連し、いつになく辛辣な批判になっています。
 私は北郷氏の見方にほとんどいつも同意なのですが、今回もまたほぼ同意です。小心者の私にはとても書けない毒舌なのでここでは引用しませんが、いやあ面白いです。皆様もぜひどうぞ。
  1. 2010/12/11(土) 11:25:23|
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『軍事研究』に寄稿しました

本日発売の『軍事研究』に記事を2本寄稿しました。
①「北朝鮮暴発・軍事天才の歴史的快挙!? 延坪島砲撃とウラン濃縮」
②「外事警察内部資料ネット流出事件と日本のテロ対策」

 もともとテロ対策の記事だけの予定だったのですが、北朝鮮の砲撃事件で急遽、①を追加させていただきました。砲撃事件に関心が集中していますが、当ブログで再三指摘してきたように、ウラン濃縮こそが日本の安全保障上、死活的に重要な問題です。政府・防衛省、さらにマスコミの方々にも、この点にもっと真剣に取り組んでいただきたいものです。
 ②については同事件の概要を総括していますが、もちろん個人情報は伏字にしています。軍事とは直接関係ありませんが、テロ対策は日本の安全にとってきわめて重要なテーマなので、今回書かせていただきました。
 大手マスコミは同資料流出直後から、名前が登場した人物に総当りするなど熾烈な取材競争を繰り広げていながら、公安部との関係だとか他社の動向だとかに目配りしつつ、なんとなく奥歯にモノが挟まったような報道を続けていますが、軍研編集部には、こうして長文のレポートを書かせていただく場を提供していただいていることに感謝です。
  1. 2010/12/10(金) 10:22:44|
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ウィキリークスは是か非か

 昨夜、大阪毎日放送ラジオの「Radio News たね蒔きジャーナル」に電話出演させていただき、ウィキリークス問題についてお話させていただきました。テーマは「ウィキリークスは是か非か」ということでした。
 結論を言ってしまえば、問題はウィキリークスのほうではなく、アメリカの機密情報管理であり、ひいてはネット時代の機密情報管理のほうにあるというのが、私の考えです。
 ウィキリークス自体は、以前からある暴露系サイトの一種にすぎません。以前、当ブログでも紹介したアメリカの「クリプトム」を大規模にしたようなものです。こういうものは以前からあります。ウィキリークスを内部告発サイトと捉えるからモラル面が問われるのですが、暴露系サイトと考えれば、それほど存在として新しいものとはいえません。暴露系サイトにしても、運営者や協力者は、情報は公開されたほうがいいという信念でやっていますから、そこで議論しても、こういうものはなくならないと思います。情報公開のハードルがいっきに低くなるのがネットの特徴ですから、こうしたものはネットがあるかぎり存続していくと思います。
 もっとも、ウィキリークスは多くのスタッフ、ボランティア協力者、資金提供者がいて、それなりにシステマティックに運営されています。個人情報を守ることを信条とするスウェーデンのホスティング・サービスを利用しており、複数分散しているといわれるサーバーもログをとっていないといいます。暗号もかなり高度なものが使われているようです。こうして情報提供者が特定されないように徹底した措置がとられています。

 ウィキリークスはむしろ他の暴露系サイトよりも、情報がそのままアップされないだけ、有害情報の流出に対してはまだかなりマシなほうです。クリプトムや2ちゃんねるが、基本的に自由に書き込めるのに対して、現在のウィキリークスは、情報の公開にあたっては、協力関係にあるマスコミやジャーナリスト、専門家の精査を経ています。
 ウィキリークス側はそうしたシステムを採用することにより、自分たちもジャーナリズムの一部だと認識しているようです。ジャーナリズムは昔から、機密情報を入手することがひとつのれっきとした業務であり、それを有害でないかたちで人々に知らせることを任務としています。ウィキリークスはジャーナリズムの手法を一部に取り入れていますが、それは偽情報を排除するという点に力点が置かれていて、情報自体はもともと「すべて暴露すべき」という考えのようです。
 仮にウィキリークスを閉鎖させたとしても、ネットで情報がばら撒かれるしくみは残されます。ログでIPアドレスを特定しても、本気で注意深くやれば、不特定多数が使用できる端末を使うことで身元を隠すことは可能です。明らかな犯罪に関与していれば、ネット業者がログ情報を捜査当局に開示することもありますが、原則的には個人情報保護は業者にとっても信用の問題になりますから、そのハードルは高いです。
 たとえば、警視庁公安部テロ資料流出で、国内の多数のネット業者が警察に協力したようですが、それはこの資料が人道上看過できないレベルの危険文書であるという特殊な事情であるからです。それでも協力を拒否した業者に対しては、被疑者不詳の偽計業務妨害で捜査協力を求めたとのことですが、ルクセンブルグの業者などからは協力が得られていないようです。
 これからの時代というのは、ウィキリークスがあろうとなかろうと、ネットによる情報流出はいつでも起こりえます。精査されない生情報がネットで拡散するということは、今後も止められないと思います。
 そうした時代には、できることといえば、機密情報の管理を厳格化することぐらいしかないのではないかと思います。今回のウィキリークス事案が画期的なのは、ウィキリークスの存在ではなく、おそらくたった一人の内部情報提供者が、簡単に信じられないほど大量の機密情報を入手できてしまったということにあるのだと思います。ウィキリークスはたまたまこの内部情報提供者の受け皿になったということにすぎません。そこに今回の事案の最大の問題があるのだと思います。
 まだ実際のところはわかりませんが、いま出ている報道によれば、今年5月に「自分で自慢して捕まった」という23歳のアメリカ陸軍上等兵がほとんどの情報源の可能性が高いようです。彼はSIPR(シッパー)ネットという部内情報ネットワークを通じて、簡単に情報をダウンロードしたとのこと。報じられているところでは、この機密情報ネットワークに、なんと50万人もの人間がアクセスできたということです。50万人もの人間がアクセスできる情報を守ることは不可能です。
 民主主義を守るためには情報の公開が原則ですが、同時に機密情報を厳格に守ることも必要です。これらは両立すべきものではないかというのが、私の意見です。ネット以前であれば、機密情報が漏洩しても、メディア側が内容を精査して、自らの責任のもとに公開すべきものと秘匿すべきものを分けていました。
 しかし、今のネット時代は、情報がすべてダイレクトに拡散する時代になっています。ただ、今も昔も、情報を持ち出すのは、ほんの一部の内部の人間です。こうした人は今も昔も、これからも出現します。仮にウィキリークスが大人しくなって機密情報を暴露しないようになれば、情報提供者は別のやり方で暴露するだけです。
 つまり、情報漏洩は今後も起こります。その傷を小さく留めることが必要で、そのためには、流出することによって人々の安全に害が及ぶような情報は、機密情報としてアクセスを厳しく制限するしかないのではないかと思います。
  1. 2010/12/09(木) 14:51:24|
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国際テロ問題を学ぶ道

 先日、「インテリジェンスを学ぶ道」と題するエントリーを書いたところ、知人から「じゃ、国際テロ問題を勉強するとしたら?」と聞かれました。
 そこで、たとえば日本の大学で国際テロ問題を学ぶとすればどうすればいいかを考えたのですが、そう言えばインテリジェンス論と同じくらいに「ないなー」と思い至りました。
 基本的には、やはりインテリジェンス論と同様に、国際関係論や国際政治学の学部で学び、自分で〝テロ学”を研究テーマに選択するということになろうかと思います。
 とはいえ、もちろんこの分野を独自に研究されている先生方はいらっしゃいますので、そうした先生のおられる大学・学部で学ばれることもたいへん有意義であろうと思います。地域研究、国際紛争あるいは国際法の研究者の先生方に、テロリズム問題に取り組んでおられる方は少なくないかもしれませんが、いわゆる国際テロリズム論というようなかたちでいえば、防衛大学校人文社会科学群国際関係学科の宮坂直史先生が有名です。安全保障、危機管理の観点から鋭い論考を発表されている方で、安全保障一般を学ぶという点からみても、防衛大学校がこの分野ではやはり有利なのではないかと思います。
 国際テロリズム論ということではなく、個別の問題でいえば、現代の国際テロの本丸はなんといってもイスラム過激派のテロです。その分野では、静岡県立大学国際関係学部の宮田律先生が、また東南アジアのイスラム過激派の動向に関しては、獨協大学外国語学部の竹田いさみ先生が有名です(他にもいらっしゃるとは思うですが、私は学術誌や学界方面まではフォローしておりませんので、存じ上げません)。
 イスラム過激派のテロそのものではないのですが、その背景にあるイスラム社会の深層に関しては、東京大学先端科学技術研究センターの池内恵先生の著作がたいへん参考になります。もしもイスラム過激派のテロ問題を勉強されたい方がおられましたら、私は池内先生の御著書を強く推薦します。
 と、ここまで書いてふと気づいたのですが、先日当ブログでご紹介させていただいたインテリジェンスの先生方の多くは面識があるのですが、本日ご紹介させていただいた先生方とは、私はどなたとも面識がありません。つまり、専門誌編集者としてお話を伺いにいったり、原稿執筆をお願いしたことがなかったということです。『ワールド・インテリジェンス』でも、もう少し国際テロ分野をしっかりフォローしておけばよかったなと、今更ながら反省です。
 ところで、国際テロ問題は、きわめて時事的な問題です。その形態・動向は時代とともに激変しますので、たとえば数年前の国際テロ状況をいま勉強してもほとんど意味がありません。そういったことでは、学問というよりはジャーナリズムのフィールドになります。上記でご紹介した先生方が凄いのは、学術研究に留まらず、まさにジャーナリスティックな視点で現代の問題に継続して取り組んでおられるところですね。
 リアルタイムの国際テロの動向は、労力さえ惜しまなければ、いまやネットで膨大な情報を得ることができます。逆にいえば、個人でも充分に研究できるということなので、どこの大学のどの学部に在籍されたとしても、本人のやる気次第でいくらでも学ぶことが可能かと思います。
 なお、現在進行形のインテリジェンス・マターおよび国際テロリズムの動向に関してひとつだけ資料を挙げるとすれば、私は有名な『ジェーンズ・インテリジェンス・レビュー』を断然推薦します。取り寄せは安くはないですが(便利なWEB版もあるのですが、かなり高額)、『TIME』か『NEWSWEEK(日本版でも)』『Economist』あたりに加えてJIRを購読すれば(+欧米主要紙サイトのチェック)、そのあたりの動向はほぼフォローできると思います。
  1. 2010/12/09(木) 10:57:38|
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米軍の対北朝鮮作戦

 本日発売の『週刊朝日』に「米軍の北朝鮮壊滅作戦50XX」という記事を寄稿しました。米韓日と大規模な演習が続いていますが、その元になっている米太平洋軍の作戦計画について解説しました。
 なお、しばらく前に当ブログでも今回の北朝鮮砲撃事件に関連して、米軍作戦計画についてのエントリーを掲載していましたが、週刊朝日に寄稿することが決定した時点で、内容の一部が重複することもあって、業界の仁義で削除させていただいています。
 それと、現在発売中の『フライデー』にもほんの一言ですが、コメントを採用していただいています。
 また、明日8日の午後9時半頃より、大阪毎日放送ラジオで、ウィキリークスに関してコメントさせていただく予定になっております。
  1. 2010/12/07(火) 23:59:11|
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戦場カメラマン・イベント

 告知です。
 渡部陽一さんの大ブレークにあやかろうということで、知人が主催する下記イベントの司会役を仰せつかりました。お正月明けですが、是非ご参加ください。(ただし渡部さんご本人は、スケジュールが埋まっていて参加されないとのことです)

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「戦場カメラマン大新年会」
【出演】加藤健二郎氏、原田浩司氏、村上和巳氏、安田純平氏、ほか交渉中(横田徹氏、在京であれば出演とのこと)

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当日のみ¥600(飲食別)
  1. 2010/12/05(日) 11:25:35|
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写真館28(番外編1)伝説の早明戦1991

 明日12月5日は関東大学ラグビーの最終戦。ここまで無敗の明治と1敗の早稲田の決戦です。近年は長く絶不調が続いていた明治は、久々の優勝王手となりました。
 私はどちらのOBでもありませんが、高校時代に1年間だけ当時の花園常連校(今年も出場します)ラグビー部の補欠の補欠の補欠をしていたので、ラグビーはよくテレビ観戦します。
 今年の明治の快進撃は、監督就任2年目の吉田監督の手腕によるものと言われています。吉田監督といえば、主将として臨んだ1991年1月の伝説の大学選手権優勝ですね。1点ビハインドだった後半26分、左ウイングの吉田選手のセンターライン付近からのぶっちぎりの独走で逆転トライの劇的勝利でした。
 そのときの相手も早稲田。当時のスポーツ・メディアでは、早明戦というよりも、明治の吉田主将と早稲田の堀越主将の因縁の「吉田VS堀越」で盛り上がってました。
 で、じつは当時、駆け出しカメラマンだった私は某誌の補欠カメラマンとしてその試合を取材していて、なんと吉田選手の逆転トライの瞬間をバッチリ撮影できちゃったのです。
rby1.jpg
 じつは、これは狙ってました。あの時間帯は「ここで画になるシーンは吉田選手のトライしかあるまい」との読みで、明治側左ゴールライン前に陣取り、フィルム(当時はフィルムでした)交換してそれだけを待っていました。完全にマグレですが、人生たまにはこういうことも起こります。
rby2.jpg
 その年の早明戦が因縁の対決といわれたのは、直前の関東大学ラグビー最終戦で、早稲田が終盤に12点のビハインドを追いついて同点とし、土壇場で「両校優勝」に持ち込むというドラマがあったからです。
 下写真は、その関東大学ラグビー最終戦の夜の新宿コマ劇場前広場。ドンチャン騒ぎしているのは明治の学生たち。当時の大学生は今よりずっと騒々しかったですね。
rby3.jpg
 このすぐ後に、中東では湾岸戦争が勃発し、私も取材に向かいました。そちらではなかなか「決定的瞬間」というわけにはいかなかったですが・・・。(→写真館⑫1991湾岸戦争
 さて、明日の早明戦はどうなるでしょうか。
  1. 2010/12/04(土) 16:38:15|
  2. 写真館
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インテリジェンスを学ぶ道

 一昨日、大学時代の恩師である横浜市立大学名誉教授の山極晃先生に久々にお会いしました。先生は現代(大戦以降)の国際関係論がご専門ですが、とくに太平洋戦争中から戦後にかけての米中関係に詳しく、中国で教鞭をとっておられたこともあります。
 御著書に『米戦時情報局の「延安報告」と日本人民解放連盟』(大月書店)『冷戦後の国際政治と地域協力』(中央経済社)『米中関係の歴史的展開 一九四一年~一九七九年』(研文選書)『東アジアと冷戦』(三嶺書房)、共著書に『資料マンハッタン計画』(大月書店)『資料日本占領〈1〉』(大月書店)『現代中国とソ連』(国際研究叢書/日本国際問題研究所)などがあります。
 なかでも『米戦時情報局の「延安報告」と日本人民解放連盟』などは、まさにインテリジェンス・ヒストリーそのもので、じつは私は『ワールド・インテリジェンスvol①』で、先生に無理やり頼み込んで、同書からの引用を許可していただいたことがあります。
 私が在籍していた当時の山極ゼミは、母校の国際関係学科では唯一の国際政治学ゼミで、私はもっぱら現代の紛争に関する題材ばかり次々に手をつけていたように記憶しています。他のゼミ生もそれぞれまったく別個のテーマを選んでいて、ゼミ発表は毎回バラバラに話が飛ぶのですが、それはそれで面白かったなと思います。

 ところで、先日、コメント欄に「日本の大学でインテリジェンスを学べるところは?」「将来、情報機関へ就職するために良い学部は?」というような内容の質問をいただきました。
 私は学術畑の人間ではありませんし、さらに情報機関の職員だったこともありませんので、あまり詳しいことは知りませんが、いちおう社会人経験はそれなりに積んできておりますので、あくまで私見ですが、この点を書いてみようと思います。若い人向けに少し上から目線な書き方になるかもしれませんが、何卒ご容赦を――。
 
 まず現在の日本の大学(学部)で、インテリジェンス論の講座を常設で持っているところは、私はまったく知りません。コメント欄にも書きましたが、私の知っている範囲でいえば、大学院では元外務省国際情報課長の北岡元・元政策研究大学院教授が、非常設の短期集中講座ですが、拓殖大学大学院で「国際情報管理論」という講座を受け持たれています。(追記→)また、慶應大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の手嶋龍一先生もインテリジェンス関連の連続講座を受け持たれています。これらはまさに体系的なインテリジェンス論の講座といっていいかと思いますが、大学院ですので、これから大学で学ぼうという人向けの話ではないですね。
 大学の学部で学ばれる場合は、通常は国際関係論や国際政治学の学部で学び、ゼミ研究などでインテリジェンス系のテーマを自分で選択して研究するというかたちが多いと思います。
 もっとも、インテリジェンスは幅広いので、なにも国際関係論・国際政治学に限らず、歴史学系でも情報工学系でも経済学系でも、その気になれば研究テーマに選べると思います。インテリジェンス論そのものではありませんが、関連が非常に深い安全保障論ということでは、やはり防衛大学校がもっとも充実していると思います。
 一般の大学の場合なら、専門的な研究はやはり大学院となるでしょう。日本の大学院でインテリジェンス関連といえば、歴史学のなかの情報史学という位置づけで、京都大学大学院人間・環境学研究科の中西輝政先生、早稲田大学政治経済学術院の山本武利先生などがよく知られています。なかでも防衛研究所主任研究官の小谷賢先生や、皇學館大学講師の奥田泰広先生など、京大院の中西研究室からは多くの専門家が輩出されていて、アカデミズムの世界でインテリジェンス・ヒストリーという新たな分野を切り拓いています。
 他方、現代のインテリジェンスのほうは、文献資料があまり公開されないこともあって、なかなか日本では独自のアカデミックな研究領域とはなっていません。そこはやはり国際関係論や地域研究などの研究者がカバーするかたちになっています。それでも、私の知っている範囲だけでも(皆さんと面識があるわけではありませんが)、現代のインテリジェンスに精通された先生として、防衛大学校防衛学教育学群の太田文雄先生、慶應大学大学院政策メディア研究科の土屋大洋先生、東京工科大学コンピューターサイエンス学部の落合浩太郎先生などがいらっしゃいますので、こうした先生方から学ばれるチャンスがあれば、非常に有意義な勉強が可能かと思います。

 とはいえ、このように、やはりインテリジェンスそのものの研究は、日本の大学の学部レベルではほとんどないのが現状で、私の知っている若手の研究者も、アメリカかイギリスの大学院に学んだ方がほとんどです。
 もしも当ブログの読者の方のなかに、現在は高校生で、これからインテリジェンスを本格的に学びたいと希望されている方がいたら、経済的な事情が許されるならば、イギリスかアメリカの大学に進むことを検討してみるのもひとつの道ではあると思います。
 私の知人のインテリジェンス研究者の方のなかには、日本の高校には行かず、大検で留学資格を得て海外の大学に入り、そのまま博士課程まで進まれた方もいます。以前は海外の大学卒は日本での就職に不利でしたが、(業界にもよりますが)今ではむしろ有利なくらいだと思います。

 一方、情報機関への就職に関しては、自衛隊の情報部門であれば、当然ですが防衛大学校を経て情報職種に進むというのが、もっとも有利です。一般大学卒でも、幹部候補生から情報職種の幹部へという道があります。
 一般の隊員から情報関連に進むことも可能ですが、情報職種に進んでも対外インテリジェンスの関係はなかなか狭き門です。コンピュータ技術関係を別とすれば、語学力があれば断然有利ですので、できれば英語力を自分なりに鍛えておくことをお薦めします。
 それ以外の情報機関は、外務省でも警察でも公安調査庁でも内閣情報調査室でも、就職にあたっては出身学部はそれほど重要でないと思います。もっとも、なるべく偏差値の高い大学を出てキャリアを目指すほうが、役人として断然有利なことは事実です。
 ですが、もしも対外インテリジェンス関係の現場をご希望であれば、外国語学部でアラビア語、ペルシャ語、ウルドゥ語、インドネシア語、中国語、ロシア語、韓国語あたりを専攻していれば、断然有利ではあると思います。それで公務員試験をパスして公安調査庁や内閣情報調査室、あるいは警察に就職できれば、外事部門の即戦力として期待されると思います。
 さらにカイロやテヘランや北京などの留学歴があって、アラビア語の各方言までわかる人や、韓国語と中国語の両方ができるような人は、ものすごく大事にされることでしょう。
 とはいえ、道は無限にありますから、結局は各人がそれぞれ自分で考えて道を選ぶしかありません。いずれにせよ、自分がこういうことをやりたいという目標があれば、そのためにどうすればいいかということが見えてくるのではないでしょうか。自分の目標のために情報を収集して分析し、最良の選択肢を導き出す――まさにインテリジェンスそのものですね。
 それと、これはコメント欄にも書いた私の個人的な意見ですが、若い頃に海外の僻地を一人旅する経験は、後々非常に役立つと思います。その際、なるべく先入観を持たずに世界を見るということを心がけていただけるとベターです。
 私自身はたいしたこともやっていないのにエラそうなことを書き連ねましたが、インテリジェンスの道を志す若い方に、少しでも参考になれば幸いです。
  1. 2010/12/03(金) 22:51:02|
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ウィキリークスで暴露された天野IAEA事務局長のホンネ

 インテリジェンスを研究している立場からすると「これは良くないな」と思いつつ、やはりどうしても中身が気になってしまうのがウィキリークスです。次はどんなネタが飛び出すか?なんて、なんとなくワクワクしてしまうのも、しかたないですね。
 で、今回、「どうせそんなものだろうな」と感じつつも、「でも、これバレたら今後にものすごく悪い影響を及ぼすだろうな」と思われる話が飛び出しました。天野之弥IAEA事務局長に関する情報です。
 天野氏はなんと、昨年12月の事務局長就任の前に、アメリカのIAEA大使に対して「高官の任命からイラン核開発疑惑に至るまで、あらゆる重要な決定で一貫して米国に同調する」と誓っていたというのです。
 また、イギリスのミリバンド英外相が当時、タウシャー米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)との会談中に、「天野氏に我々が気合を入れる必要がある」と述べていたことも暴露されました。
 つまり天野氏は就任当初から、米英と気脈を通じ、イランを追及する立場で事務局長に就任したということになるわけです。
 実際、天野氏が率いる新IAEA事務局は今年2月、「イランがミサイル搭載可能な核爆弾を開発している可能性がある」と、IAEAとしては初めて名指しでイラン核ミサイル問題に対する懸念を明記しました。こうした天野氏に対して、イラン政府はかねてより、「エルバラダイ前事務局長よりも偏向している」と批判してきましたが、まさにそのとおりだったということです。
 折りしもイランと欧米主要国代表団との濃縮ウラン問題の交渉がスタートしますが、タテマエだけでもIAEAの中立性が損なわれると、イランや北朝鮮に言い逃れの隙を与える結果になりかねません。「まあ、そんなことだろうね」と多くの人はなんとなく感じていたとは思いますが、「それがバレちゃあ、おしまいよ」な話です。
  1. 2010/12/03(金) 09:54:30|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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