ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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ラフサンジャニはハト派?

 イランでは、最高指導者ハメネイのライバルであるラフサンジャニ元大統領(現専門家会議議長)の動向が注目されています。穏健改革派の重鎮で、国内外でいわゆる「ハト派」と見られている人物ですね。

【イラン騒乱】カギを握る実力者ラフサンジャニ師 不気味な沈黙続く
産経新聞
ハメネイ師の罷免権握る議長はラフサンジャニ師 『専門家会議』焦点に
東京新聞

 ただし、このラフサンジャニも必ずしもクリーンなわけではありません。アハマディネジャドが大統領候補者討論でムサビの背後にいるラフサンジャニを「腐敗している」と名指しましたが、これはイラン国内ではよく知られたこと。縁故贔屓が一般的なイランにおいても突出していたほど、親族をあからさまに利権役職に就けたりしています。
 ハト派というのも、外国人の私たちが考えるハト派というのとは少し違います。
 たとえば、ラフサンジャニは79年のイスラム革命直後、内相として政敵弾圧の片棒を担いでいます。ホメイニの私兵・革命防衛隊の創設を主導し、その初代副司令官にもなっています。
 ラフサンジャニは89年から97年まで大統領を務めていますが、その頃に海外で実行されたたくさんのテロが、実際には大統領府情報部にコーディネートされています。大統領府情報部長アハマド・べバハニもラフサンジャニの親族にあたります。
 イランはイスラム革命以降、一貫して国外に亡命した反体制イラン人の暗殺を続けてきました。強硬なホメイニ路線が徹底していた80年代中旬までがその最盛期かというと、現実はその逆で、ホメイニの指導力が低下した晩年から死去後までの88~93年がピークでした。
 暗殺の主舞台となったのは亡命者たちの本拠地であるパリですが、他にもベルリン、ウイーン、ドバイ、ラルナカ(キプロス)、イスタンブール、ローマなど、少なくとも21カ国以上で350人以上がこれまで殺害されてきました。とくに、ラフサンジャニが大統領に就いた89年以降、反体制組織司令官や元閣僚クラスの有力活動家が20人以上も殺害されています。
 ホメイニの著者死刑宣告によって、『悪魔の詩』関係者もテロに遭っています。日本でも91年に同書の翻訳者だった筑波大助教授が惨殺されました。未解決ですが、まず間違いなくイランによる暗殺と考えていいでしょう。
 こうしたテロ実行のメカニズムについて、欧州でのいくつかのテロ事件裁判を通じ、反体制派組織が詳細に明らかにしています。
 たとえば、96年8月、バニサドル元大統領が92年のミコノス事件(ベルリンのレストラン「ミコノス」で反体制派が暗殺された事件)の裁判で証言台に立ち、独自の情報網から得た情報として「イランの権力中枢には、ハメネイ最高指導者、ラフサンジャニ大統領、ファラヒヤン情報相、アリ・ベラヤチ外相らで構成する秘密会議があり、テロ作戦はそこで決定されて情報部に指令される」と証言しています。
 反政府側の情報ですが、権力内部に情報源を持つイラン反体制派の情報は比較的確度が高いので(核開発情報などもほぼ正確)、以下にその概要を記します。
A:決定はごく少数の権力中枢が構成する最高安全保障委員会が行う。
B:作戦実行については、大統領府情報部が作戦指令本部となり、情報省情報部と革命防衛隊特殊部隊「クドス部隊」が実行部隊となる。
C:外務省(外交郵袋による武器輸送と要員への外交特権付与)、国防省(武器調達と後方支援)、郵政通信省(通信及び情報収集)は側面から協力。各国のイラン大使館が全面支援する――。
 まさに国家をあげてのテロ体制ですが、その意思決定の中心に大統領、つまりラフサンジャニがいたことはまず間違いないようです。

 イランはまた、90年代に外国人用のテロ訓練所も運営していました。一説には11箇所あったという情報もありますが、そのうち最大規模のものが、コム近郊のイマム・アリ基地です。サウジアラビア、アルジェリア、エジプト、パレスチナ、ヨルダン、レバノン、リビア、スーダン、シリア、トルコからのイスラム過激派を訓練し、イラン主導の海外テロ作戦の主力要員を養成していたとみられています。97年までに約5000人が訓練を受けたとの未確認情報もあります。
 この訓練施設の創設は94年。監督は大統領府情報部で、運営はクドス部隊が担当です。当時の大統領はラフサンジャニですから、これも彼自身の決定によるものと考えられます。
 当時はイランのヒットマンとしてヒズボラが世界各地でテロをやっていましたが、アルゼンチンでは94年の対ユダヤ人施設テロ(96人殺害)の共謀共同正犯容疑者として、2006年にはラフサンジャニに逮捕状まで出ています。
 さらに、ラフサンジャニは91年12月にスーダンを訪問していますが、その直後から革命防衛隊が同国に派遣されています。彼らはいわゆる軍事顧問団としてスーダン軍を訓練するととももに、当時からスーダンを拠点としていたエジプトの「イスラム集団」を筆頭とする各国のテロ組織にも軍事訓練を開始しています。ちなみに、こうしたテロリストの多くが後にアルカイダに合流しています。
 また、イランは90年代前半、ボスニア内戦にもモスレム勢力側を支援するために革命防衛隊約1000人を派遣しています。これらの決定の背後に、間違いなく当時のラフサンジャニ大統領がいます。
 イランではこうした人物が今、改革派の希望になっているわけです。
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  1. 2009/06/24(水) 18:44:53|
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沖縄集団自決

 昨夜、ザッピングしていて思わず引き込まれました。NHKの「沖縄・慰霊の日特集~『集団自決』戦後64年の告白」。渡嘉敷島での集団自決で生き残った方の凄まじい告白です。
 アメリカ軍に捕まったら虐殺されると教え込まれた島民が、「生きて虜囚の辱めを受けず」と集団自決に踏み切りました。ところが、支給された手榴弾のほとんどが不発。やむなく互いに殺戮し合います。「とにかく早く殺してくれ」と頼む人も多かったし、逆に、逃げ回る子どもが殺されたケースもあったようです。この日、「玉砕場」に集結した島民700人の半分が死んだとのことです。
 当番組で初めてこの話を告白したという老人は、自分の両親と幼い妹弟を絞め殺しています。なんともむごい話です。
 老人は言います。「お国のため、お国のためなんて言って……人間が死んで、なにがお国のためだと……そう思うのですよ」
 直接は関係ないですが、大西瀧治郎とか牟田口廉也、辻政信とかをふと思い出しました。大西的・辻的な戦争指導者や軍人は当時はたくさんいたのでしょう。当然、末端の隊長にもそういうの多かったものと思います。そういえば、最後は沖縄で自決した長勇などというのもいましたね。
 戦後、辻や源田実などは国会議員になっています。彼らを支持する国民がたくさんいたということです。軍の自決命令の有無については現在も論争中みたいですが、「日本人なら玉砕すべし」という空気を主導した「愛国者」の責任は否定できません。その中核が勇ましい軍人たちだったのも事実でしょう。今も「日本軍は正しかった」とか言い張っている人もいますが、当時の国際環境がどうあれ、「みんな玉砕せよ」なんていう軍隊は最初からダメですね。
 ところで、渡嘉敷島では戦後ずっと、この話は島内のタブーになっていたそうです。
 学生時代、渡嘉敷島の隣の座間味島でキャンプをしたことがあります。座間味でも集団自決はありましたが、当時の私はギャルのお尻ばっかり追っかけていて、集団自決のことなどまったく知りませんでした。
「しゃべくり007」を視てて、番組前半を見逃しました。再放送を期待しています。
  1. 2009/06/23(火) 10:16:25|
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安藤隆春・新警察庁長官はテロ対策のプロ

 本日の閣議で、警察庁長官に安藤隆春次長が昇格することが決定した。
 安藤新長官は群馬県警本部長、警察庁長官官房審議官(交通局担当)、警視庁公安部長、警察庁長官官房総括審議官、官房長、次長と、主に警察庁中枢ポストを着々と昇っての長官就任である。
 もっとも、この安藤新長官は、警察庁警備局長の経験こそないものの、警備公安警察のボス的な人物として知られている。なかでも外事捜査、国際テロに精通しているが、これは若い頃よりその分野に深く関わっていたかららしい。聞くところによると、もともとかの「赤軍ハンター」だったということである。
  1. 2009/06/22(月) 14:30:28|
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イラン動乱の行方

 イラン情勢が動きそうな気配です。たとえば、下記のようなものが、今の時代は大きな起爆力を持っています。
イラン衝突、少女死亡映像に衝撃 ネットで大反響

 強権体制下で民主化要求するということは、結局は「体制否定」→「革命・政変」につながります。そこでピープルズ・パワーが続くかどうか、そのときいちばん重要なのは「人々が勇気を持てるかどうか」ということです。覚悟を決めた核心勢力が成立し、そこから群集心理でイケイケな空気が盛り上がったときのみ、その流れは成功するのだと思います。
 イランの場合、まず核心勢力がどうなるかは、そのシンボルに祀り上げられたムサビ元首相の「ハラのくくり方」に決定的に左右されますが、どうやら当初ビビっていた彼も覚悟を決めたようです。
 【イラン騒乱】分水嶺を越えたイスラム体制 改革派ムサビ氏、最高指導者に反旗
 この国では、ハメネイに逆らうということは、たいへんなことです。ムサビはもともとそういうキャラじゃなかったように思うのですが、今回はなかなか立派な決断をしました。
 80年代に8年間も首相をやったムサビとか、元国会議長のカルビとか、かつてホメイニ時代にイスラム共和党独裁を切り開き、政敵を弾圧し、海外への「革命の輸出」謀略工作に関わったような連中が、ハメネイ憎しというだけ(まあ、それだけでもありませんが)でいまや民主化要求・反独裁の急先鋒になっているのが面白いですね。ホメイニ後継レースでハメネイに敗れたモンタゼリなんかも、もともとは独裁強権政権側のゴリゴリだったのに、後にまさかの民主派転向です。ホメイニの孫のフセイン・ホメイニなんかも、いっぱしの民主化運動家になっています。このあたりは権力争奪戦の色彩も濃いわけですが、うまくムーブメントを牽引できればそれも価値があります。
 自身が直接ではなく、欧州の友好国あたりを通じてということだとは思いますが、アメリカ諜報機関が今、ムサビ陣営を煽っている可能性は非常に高いと思います。アメリカの思惑としては、前回のハタミ政権のような半端な改革ではなく、ハメネイを頂点とするイスラム体制をガタガタにしたいと考えているものと思います。ハメネイたちが自分から身を引くことは期待できそうにないので、結局は政変しかありませんが、ムサビも国民の圧倒的支持があるというわけではないので、ここで反政府運動を煽ることは非常に有効です。現状ではまだ、弾圧を受けて抑え込まれる可能性のほうが高いですが、それでも国民を武力で弾圧したという傷は、やがてボディブローとして効いてきます。
 今後の展開はまったく読めませんが、こんなチャンスはめったにありません。なんとかイランの人々が自由に発言・行動できるような社会になってほしいものと切に願います。

 以上は、前回のエントリにいただいた下記コメントとも関連するので、こちらに私見を述べたいと思います。
「中東の国々に本当に民主主義が根付くのでしょうか? アメリカ型の多数決主義は、イスラムの教えと相容れない気がするのですが、黒井さまはどうお考えですか?」(sin様より)

 正直言って、なかなか難しいだろうと思います。イスラムの教えというより、「イスラム社会」の抑圧体質が人々の自由を大きく阻害している現実があるからです。社会の根幹がタブーにより成立しているような場所では、真の民主主義はあり得ません。
 結局、現在のイスラム圏の現状は、自由に発言・行動できる社会環境にありません。軍事独裁でなく、自由選挙が機能している国(たとえばアフガンやパキスタンなど)でも同様です。そういう国では、「周囲のみんなが言っていることしか自分も言わない」文化になっているので、形式だけ民主主義にしても、有力勢力間の争いになるだけです。
 私は、独裁政権打倒も大事ですが、そもそもこれらの国が「宗教?面倒くせーな」なんて自由に言える社会になって欲しいと思っています。以前書いたこともありますが、中東イスラム圏の人々とはもう20年くらいそれなりに深い付き合いをしてきました。で、「そういうの、もう嫌だ!」という人が、報道されない水面下にかなりの数いるものと確信しています。そもそも「宗教なんて面倒くせー」とホンネでは考えている人もたくさんいます(そんな人とたくさん会いました)。
 そういうことでは、私はその道を切り開いていく可能性がいちばんあるのは、イランではないかなと考えています。ゴチゴチのイスラム体制ではありますが、たいていのアラブ社会などよりずっと寛容度が高い。そういう国民性なんでしょうし、国民の知性のレベルが高い印象もあります。
 タブーというものは、縛りがきつければきついほど、崩れるときは劇的に崩れる可能性もあります。90年前後の共産圏の崩壊が典型例です。あるいはこちらは外圧の力ではありましたが、敗戦後の日本も同様です。
 前回も書きましたが、人間は誰しも、抑圧・束縛が嬉しいなどということはありません。イラクでもフセイン政権がアメリカ軍に打倒された直後は、国民の多くがアメリカ式の民主主義に期待していました。「中東には中東の考えがあって、アメリカが民主主義を押し付けても余計なお世話だ」というような言説が多いですが、イラクがうまくいかなかったのは、イラク国民が民主主義を拒否したのではなく、部族・宗派間の抗争をコントロールできなかったことや、流入するテロ組織や誘拐犯罪などを防ぐだけの治安部隊が投入されなかったことなど、いわば「別の理由」があったからだと私は考えています。
 今は北朝鮮とか以外はどこの国でも衛星テレビやネットが入っています。中東の国の人だって、西側先進国の自由な社会に対する憧れはあります。
 ご質問の答えになっていませんが、中東の民主化は「難しいけれども、不可能ということではない」「イランがそのパイオニアになる可能性がある」ということではないかなと考えています。(個人的に、『イスラムの連中にそういうの無理っしょ』と突き放しちゃ、たまたまイスラムとして生まれただけの彼らが可哀想じゃん!という感情があるので、しょせんは願望にすぎませんが・・・)
  1. 2009/06/22(月) 10:36:51|
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イラン民主革命前夜?

 今週出演したNHKハイビジョン『世界発掘 時空タイムス編集部』では、20年前の東ドイツでの反政府デモがテーマでした。私は当時の東欧政変はタイミングが合わなくてリアルタイムでは取材できなかったのですが(翌年の統合直前に取材しました)、その頃の世界というのはそういう熱気があちこちに結構あって、私自身も中国やソ連でそうしたデモをずいぶん体験したものです。
 で、2000年代に入ってそういうのもなかなかなくなってきたところに、今回のイランです。イランはもう四半世紀も前になるイラン=イラク戦争最中の1984年と、やはり18年も前の1991年の湾岸戦争時に行っただけなので、最近の国内事情はまったく知らないのですが、中東諸国のなかでは国民がわりとオープンで批判精神に富んでいる印象があります。
 つまり、アラブ諸国などと比べて、隣近所だとか職場だとかでの精神的抑圧がそれほどキツくなく、周囲と違う意見を正直に話すのも、ある程度はOKなわけなのですね。
 そのかわり、政治的反体制派につながることをイスラムの名で徹底弾圧する秘密警察「コミテ」(イスラム革命委員会)や革命防衛隊(パサダラン)、民兵(バシージ)なんかのコワモテが国民をきっちり抑え込んでいます。お上に逆らうことはまずできません。
 そんなところに現職大統領に反対する大規模デモです。アハマディネジャドばかり矢面に立ってますが、要はイランの抑圧社会に対する「ノー!」というものが根底にあります。今回のデモについて、いろいろ解説がメディアでもなされていますが、人間は誰でも強制的に抑えつけられるのは嫌だということでしょう。
 冷戦終結や湾岸戦争の後、「CNN効果」という言葉もできました。以前なら独裁権力が強権的に反対派を弾圧しても、報道統制下ではそれはなかなか外部には流出しなかったものですが(中国の文化大革命、ソ連のスターリンによる粛清、70年代の南米軍事政権などは典型的ですね。戦中は日本も同じでしたが)、国際的なテレビ・ニュース配信が飛躍的に発達したことで、世界は事件をリアルタイムで知るようになりました。なにより当該国内で情報が飛び交い、本来弾圧する側にいる人間にもそうした情報が突きつけられるようになってきたわけです。
 NHK番組で紹介した東ドイツのデモなども典型例ですが、メディアの力が人々に勇気を与えたということはよくあります。イランの場合も、ネットが大活躍しています。
 イラクのように外部から軍事力で民主化をもたらそうとも、なかなかうまくいかないことが多いです。批判の矛先が外国に向かうからですね。やはり、東ドイツのように国内の人が勇気をもって自力で立ち上がることが必要です。ですが、勇気をもって発言・行動することが不可能な国も世界にはまだたくさんあります。
 中東諸国を取材していて思うのは、「なんとか自由に発言・行動する勇気を持てる社会にならないかな」ということです。ナチス・ドイツやアルジェリア(イスラム勢力躍進)のように、自由意思がおかしな方向に向かう可能性はありますが、私たち外国人は、その国民が自由に発言できるように手を貸すべきだろうと思うのです。
イランのデモ動画、ユーチューブへの投稿続く
【6月17日 AFP】

イラン大統領選:現職再選 抗議行動の市民、ネット駆使 情報共有、世界へ映像発信
毎日新聞 2009年6月19日

トゥイッターに点検延期要請…米国務省、イラン抗議行動激化で
6月18日 読売新聞

 イランからは久々に血が騒ぐ写真・映像が続々マスメディア&ネットに出ています。事情があって私は行けませんが、これほどの「画になる事件」はめったにありません。
 ある大手メディアの記者と話しましたが、今、外部からの記者の入国は厳しく制限しているそうです。知人のカメラマンもトルコで足留めをくらっているとのこと。そういうの突破するのが、私はわりと得意技なんですが……。うーん、やっぱり現場見たいなあ。
  1. 2009/06/19(金) 17:09:58|
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金正雲派が金正男を暗殺未遂?

 本日発売の『週刊朝日』に「三男・正雲後継で始動した北朝鮮『工作機関』の超攻撃シフト」という記事を寄稿しました。張成沢と呉克烈を軸に再編が進んでいる権力構造を、軍偵察総局、国家安全保衛部、人民武力部保衛司令部といった工作機関&秘密警察の動向などから検証しています。
 カギはなんといっても国防委員会で、そこが今後の権力中枢になっていく公算が大ですが、いまだ正雲のポジションについては諸説入り乱れています。

 そんな折、どうにもよくわらない報道が出ました。
「正雲氏側近が正男氏の暗殺図る」
中央日報
正雲の側近(?)がマカオにいる正男の暗殺を図ったものの、中国当局の妨害で失敗したということです。韓国KBSテレビのスクープですが、信憑性はまったく謎です。
ネットニュースにはこんな記事もありました。
【韓国ブログ】金正男暗殺報道も半信半疑「また誤報では?」
サーチナ・ニュース
中国金融情報のサーチナですが、韓国のネット世論関連記事には興味深いものが多いです。
【韓国ブログ】テレ朝の金正雲「誤」写真ハプニング、韓国ネット上の反応は?
 韓国のネットでは「韓国マスコミは日本マスコミに依存しすぎだ」との批判の声があるとのこと。私の周囲の日本の北朝鮮ウォッチャーは、実際には韓国マスコミ情報に依存している部分がかなりあって、「でも彼らもトバシが多いし、この情報はどう判断できるかな?」などと日々悩んでいたりするケースが多いので、この韓国ネット世論は少し意外でした。でも、たしかにここのところ、韓国のマスコミ報道では産経新聞などの報道から引用したネタがしばしば目につきます。
 他方、こんな記事もありました。
【韓国ブログ】何故?日本メディアの北関連情報に誤報が多い理由
 あるブログで以下のように分析されているらしいです。
「日本のメディアは比較的に正確な報道で定評があるが、唯一、北朝鮮関連の情報にのみ誤報が多い。専門家は日本が北朝鮮の動向にそれほど敏感であるためだと指摘している。北朝鮮に対する日本の危機感から北朝鮮の一挙一動に過敏になり、その結果誤報が発生する」
 まあそういう部分もあるかもしれませんが、それだけかなあ・・・・・・。末端のそのまた底辺にいる自分も含めて反省ですが、日本のメディア、大手も含めてけっこう誤報多いですよね。北朝鮮関連に限らず、海外報道や軍事関連などの場合とくに「実態が不明」→「マジ反論されにくい」→「トバシちゃえ」という確信犯も多いような気がします。本日新聞広告欄でも、某誌が「金正雲はすでに死んでいる!」とやってました。たしかに面白いからいいんですけど。

先週当ブログで告知しましたが、本日午後8時~9時半。NHKハイビジョン「世界史発掘~時空タイムス編集部」にちょい役で出演します。番組HPによると、再放送もあるようです。
6月21日(日)午後3:00~4:30
6月23日(火)午後2:00~3:30
  1. 2009/06/16(火) 10:44:18|
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シュタージと東独政変

 北朝鮮問題に関し、現在発売中の『週刊朝日』『週刊SPA』『フライデー』にコメントを採用していただいています。
 また、『軍事研究』今月号に「在日アメリカ諜報機関と秘密工作」という記事を寄稿しています。数ヶ月前に週刊誌に短く書いた記事をベースにしていますが、米陸軍情報部の求人票など、その後の取材でいろいろ判明した新情報も入れ込んでいます。わかっていること、わかっていないことそれぞれありますが、ほぼ全体像をまとめていますので、興味のある方はぜひよろしくお願いいたします。
 また、来週16日(火)午後8時~9時半、NHKハイビジョンの「プレミアム8 世界史発掘!時空タイムス編集部」に出演します。特集タイトルは「知られざる奇跡の行進~ベルリンの壁はこうして崩壊した」。東ドイツ崩壊のきっかけとなったライプチヒの民衆デモをめぐる攻防の舞台裏を検証します。私はかの悪名高き秘密警察「シュタージ」の実像、さらにソ連と東独指導部の関係などについて解説させていただいています。番組→http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2009-06-16&ch=10&eid=33099
  1. 2009/06/11(木) 14:57:10|
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北朝鮮を倒せ!?

 今度は弾道ミサイル再実験が秒読みのようです。国連安保理の動き次第で、日本も本格的に船舶検査に乗り出す可能性も出てきました。自民党では自衛隊に敵基地攻撃能力を付与せよという意見が出てきています。
 これまで書いたように、北朝鮮が核ノドンを配備したら、これはエラいことになりますので、なんらかのアクションはすべきですが、6カ国協議みたいなユルユルの枠組みではほとんど役に立たないので、やっぱり軍事制裁しかないのかも。つまり戦争(大小の段階はありますが)でしょうかね。
 ですが、アフガンやイラン問題を抱える今の米軍にはそれほど期待できないことは以前にも書きました。核ノドン配備というレッドラインに直面している日本と、そうでないアメリカとでは安保の条件が違いますから、ここは日本は独自戦略が要求される局面です。
 ということで、じつはここ数日、いくつかのメディアからコメントを求められました。日本はどうすりゃいいのか?と。で、いろいろ考えてみたのですが、当然ながら私ごときでは妙案が浮かぶはずもありません。
 ちょっと前に当ブログでお気楽にいくつか案を書いてみましたが、まあそれらも実際にはほとんど現実的ではありません。たとえば、「金正日を応援する作戦」。独裁政権が安泰なうちは核ノドンも撃たないだろうということでの逆説ですが、そりゃ論外ですよね。いかに人々の犠牲を抑えてあの政権を始末するかというのが、世界の課題になっているわけで、たとえ自国の安全保障のためとはいえ、将軍様の軍門に下るわけにはいかんでしょう。
 あるいは、「核ノドン配備前に北朝鮮をボコボコにする作戦」。北朝鮮と日本の全面戦争ですが、自衛隊の長距離爆撃作戦能力や渡航強襲揚陸能力が不足していることから、現状ではこれも実際には難しいです。相当数の巡航ミサイルを新たに装備し、自衛隊3軍が玉砕覚悟の決死的作戦でもすれば多少はなんとかなるやもしれませんが。
 ということで、日本はじつは八方塞がりな状態です。では、まったく方策はないのでしょうか?
 現状でいちばん合理的なのは、「MD大量配備」+「敵地攻撃能力導入」のセットでしょう。MDについては、私はこれまで述べてきたように、どちらかというとあまり期待はしていませんが、現在開発中のもの含め、ものすごい数を揃えて「迎撃ミサイルの弾幕を張る」くらいの防御態勢をとれば、抑止力とはならないまでも、万が一の場合の迎撃成功確率がそれなりに上がります。
 また、敵基地攻撃能力も、長距離巡航ミサイルの導入に留まらず、対地攻撃機、爆撃機(&地下貫通爆弾)、電子戦機、偵察機、空中給油機などを順次導入していくことで、時間はかかるでしょうがそれなりに向上させることが可能かと思います。陸自の一部を海兵隊化するための大型の強襲揚陸艦や、特殊部隊を送り込む潜水艇も不可欠でしょう。
 もちろんこれらの施策には当然ながら相当の時間と資金が必要です。で、とくに資金ですが、私は「海兵隊化部分以外の陸自の本土防衛部門」をいっきに大リストラするというのも検討に値するのではないかと考えています。どこかの国が海空自衛隊および在日米軍の防衛網を突破して日本列島に上陸してくるなどという局面は考えられないからです。米軍のボディガード役として破格の予算があてられてきた海自のP3C部隊とか、空自の要撃機部隊なんかも思い切りリストラしていいのではないでしょうか。それは周辺各国の潜水艦部隊や空軍も増強されてはいますが、まだ政治的に切羽詰まった状況ではありません。それよりは核ノドンのほうがずっと現実的な脅威ではないかなと思うわけです。
 それでも、そんな戦闘シフトを導入している最中にも核ノドン実戦配備が行われる可能性があります。そうなったらもう安全保障は不可能ですので、なんとかその前に戦争を起こしたいとなったとします。ということで、これも日本政府が採用することはないでしょうが、ひとつだけ手がありました。「米軍引きずり込み作戦」です。
 まず日本は独自に北朝鮮を攻撃します。もちろん現有の自衛隊の戦力だけでは効果は知れてますが、とりあえず攻撃します。これは、「自国を恫喝している〝ならず者国家〟が核ミサイルを実戦配備するのを食い止める自衛権の発動である」ということにします。国連のお墨付き抜きで他国攻撃に踏み切った米軍の対アフガン戦と同じ理屈ですから、アメリカはその日本の行動を認めないわけにはいきません。
 そうなれば当然、北朝鮮は反撃します。日本と北朝鮮が戦争状態になるわけです。その状況で通常弾頭ノドンを撃ち込まれる可能性はありますが、いずれにせよそうとなれば日本は日米安保条約にしたがって米軍に参戦を要求できます。これまでアメリカは自国の自衛戦争に自衛隊の参加を要求してきたわけですから、当然のことです。しかし、アメリカはもちろんそんなことは望んでいませんから、もしかすると助けてくれないかもしれません。ですが、それでは安保条約は死文化も同然。そこで、勇気をもって在日米軍の閉鎖を通告しましょう。それはアメリカはたいへん困るので、本気で動かざるをえません。以上が「米軍引きずり込み作戦」です。
 同じように、「中国引きずり込み作戦」も一考に価します。たとえば、これまで私は、「日本の核武装は北朝鮮に対する抑止力にはならない」と書いてきましたが、中国引きずり込み作戦には「核武装宣言」がいちばん効きそうです。
 いずれにせよ、現状では北朝鮮の脅威にもっとも晒されつつあるのは日本です。米中はそれほど切羽つまっていません。ということで、もしも近未来に北朝鮮が暴発した場合に日本だけが割を食う可能性があります。なので、これまで無害な草食系男子としてバカにされていた日本が、急に敵基地攻撃能力導入だの核武装だのというブラフをかますことは、対北朝鮮だけでなくアメリカや中国に対しても案外有効なのではないかなと思います。
  1. 2009/06/02(火) 10:26:17|
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文庫再出版ラッシュ

 現在発売中の『FRIDAY』北朝鮮記事にコメントを採用していただきました。
 また、かつて私が企画編集した2001年出版の『迷宮入り』(宝島社)が新装版で近々再出版されます→『新装版 迷宮入り』
 宝島社の文庫からは、私がかつて一部監修に参加した『暴走する検察』と、やはり一部参加の『昭和平成9大未解決事件の真犯人』(昨年末出版の『昭和平成コールドケース』を改題)もこの5月に出版されました。
また私の企画編集作品で、過去一度文庫化もされている『公安アンダーワールド』も新装再出版されるようです。
宝島社の過去作品文庫化がなにやらすごい勢いです。たいへんありがたいことです。
  1. 2009/06/01(月) 12:03:29|
  2. 著作・メディア活動など
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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