ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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北朝鮮=暴力団ルートの謎

 ワールド・インテリジェンスVol.3「北朝鮮&中国の対日工作」発売!皆様よろしく! 書店に注文の際は「軍事研究11月号別冊」と指定してください(雑誌コードがそうなっているので)。

 さて、今回の特集でもさまざまな角度からアプローチしたが、最後まで残った謎のひとつが、「北朝鮮工作機関と日本の暴力団の関係」だ。
今年5月に警視庁組対部(組織犯罪対策部)が一斉摘発して「北朝鮮=暴力団・覚醒剤ルート」のひとつが明らかにされた。「北朝鮮工作機関」→「在日朝鮮人ブローカー」→「暴力団」という構図だった。
 キーパーソンの在日朝鮮人(韓国籍)ブローカーは、実姉が北朝鮮に住んでいて、その姉の夫と組んで99年頃から日朝貿易を始めたらしい。まず中古車輸出を手がけたということだが、それが福岡の暴力団から盗難車を調達して送るということをやっていた。
 そもそも元から怪しい人物なわけだが、この人物の背景もじつはちゃんと明らかになっているわけではない。暴力団人脈は数多くあるようだが、今のところ朝鮮総連系人脈との深い接点はなさそうだ。

 北朝鮮側の窓口もいまひとつ不明だ。2001年の奄美沖工作船事件で、自沈した工作船からこの在日朝鮮人ブローカーが調達した携帯電話(au)が発見(しかもこのブローカーと交信記録があった)されているので、この工作船の関連組織がこの覚醒剤密輸に関連していたことは疑いない。
 この工作船はおそらく朝鮮労働党作戦部の運用するものだ。作戦部の工作船は、しばしば「35号室」や「党対外連絡部」といった朝鮮労働党の他の情報工作機関の工作にも参加しているので、覚醒剤密売もそうした機関の特殊作戦だった可能性も皆無ではないが、現在、北朝鮮では各機関がそれぞれ外貨稼ぎ競争を行なっている状況なので、覚醒剤密売の主役は党作戦部だった可能性が高い。もっとも、北朝鮮で現在、覚醒剤を含む不法外貨獲得工作を主導しているのは、金正日の外貨獲得工作を主導する党「39号室」という部署なので、そこが関与している可能性もある。
 また、在日朝鮮人ブローカーは福岡の暴力団組長に対し、自分は北朝鮮の軍人とつながりがあることを示唆する発言をしていたことがあった。とすれば、覚醒剤ビジネスにも軍が関わっている可能性もあるが、党の工作機関でも、作戦部はいわゆる戦闘員をメインとする組織なので、その要員は軍人とほぼ変わらない。作戦部の主任務は日本や韓国へ工作員を潜入させる場合の送迎だから、密輸もお手のものだろう。したがって、覚醒剤のそもそもの出所は39号室なり軍なりだったかもしれないが、密輸に関してはおそらく、「党作戦部」→「在日朝鮮人ブローカー」→「暴力団」という構図だったのではないかと思う。

 暴力団側の中心は、極東会榎本組という組である。そこが大卸の役回りで、そこから松葉会菊池組、住吉会、姉ヶ崎連合などの組に回されていた。
 ただし、そのルートだけが北朝鮮覚醒剤のルートだったわけではない。北朝鮮産覚醒剤が摘発された例はこれまで7件あるが、97年の事件では大日本平和会、98年には住吉会豊田組などの名前が上がっている。

 もっとも、それらの組が北朝鮮との関係のパイオニアというわけではもちろんない。それに、北朝鮮との関係は、組の系列というよりも、在日朝鮮人の組幹部の個人的な朝鮮人脈がそもそもだったケースのほうが多いようだ。

 北朝鮮と暴力団の関係といえば、未だに残る大きな謎が、オウム村井秀夫刺殺事件だろう。犯人は在日朝鮮人で、山口組羽根組の準構成員。「羽根組若頭の命令でやった」と自供したが、若頭の教唆は立証されていない。その男が、北朝鮮「対外情報調査部」(現在の「35号室」)の大物工作員の関係者とコネがあった。ここまでは判明している話だ。

 ここからはあくまで噂の域を出ていない話―ー。羽根組に村井暗殺を依頼したある山口組系の組織があるというのだ。その組は、北朝鮮やオウムの覚醒剤に絡んでいたとの説もあるし、その当時、ある巨大教団の利権を手がけていて、そこでジャマになった村井の口を封じさせたとか、当時の事件記者のあいだではいろいろ取り沙汰された。この手のネタでは必ず名前が出る有名な組だ。
 また、オウム幹部の早川紀代秀が北朝鮮に何度も渡航していたとの情報もあるが、オウムと北朝鮮との関係も謎だ。
 さらにオウム以外にも、統一教会が90年代に急速に北朝鮮との関係を深めているが、統一教会といえばその関連団体に国際勝共連合という右翼団体がある。そこと北朝鮮との関連もよくわからない。(ちなみに、国際勝共連合の後見人だったのが、かの「日本の首領」だったが、その跡を継いだ御子息も今や、なにかと日朝交渉との絡みで名前が登場している)

 もうひとつ謎なのが、「東京ディズニーランドに行きたかった」として日本に密入国を図って拘束された金正男(金正日の長男)の暴力団人脈である。
 金正男は日本では、朝鮮総連上層部のほかに、神奈川県大和駅前のビジネスホテルのオーナーだったK会長や、東京のN病院の創設者K院長などと接点があったようだが、その他に、住吉会系の組幹部とも非常に親しくしていたとの情報がある。この組幹部と金正男が赤坂の韓国クラブで豪遊していたらしい。
 このあたりは未確認情報だが、警察筋に強い事件記者・公安記者のあいだではほぼ定説になっていることも事実である。

 いずれにせよ、在日朝鮮人ヤクザとの関係を背景に、北朝鮮は日本の暴力団と水面下でかなり深い関係にある。問題はそれがどれほど組織だったものなのかということだが、それがよくわからない。
 終戦後から高度経済成長の時代の入口頃まで、かつて韓国闇社会との深い関係で知られた在日朝鮮人系暴力団の筆頭として、東京の東声会と関西の柳川組があった。そうした戦後の時代からあるいは北朝鮮とのウラの関係がずっとあったのか、それとも少なくとも両者のあいだに「太いルート」があったわけではなかったのか…。

 ところで、弊誌今号編集後記にも書いたが、ネット掲示板で面白い〝ネット世論〟が盛り上がっていたのを見つけた。
「北朝鮮とウラで覚醒ビジネスをやっていた暴力団に、アンチ北朝鮮を標榜する右翼団体はなで抗議しないのか?」
 ネットではとくに、すでに名前の出ている某広域暴力団とその系列の有名右翼団体(某自民党最高幹部との仲は有名)が槍玉に挙がっていた。まったく正論だと思う。
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  1. 2006/10/29(日) 03:55:56|
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狙撃映像集

イラクのアルカイダ系武装勢力が作成した「狙撃映像集」をアルカイダ系サイトの掲示板から入手しました。アメリカ軍兵士が次々と撃ち倒されていく場面が延々と収録されています。
被害者が絶命したかどうかまではこれらの映像からだけではわかりませんが、おそらくその多くが殺害されていると思われます。まさに、生身の人間の殺人瞬間映像集で、こういう映像は私も初めて見ました。

戦場での狙撃の瞬間ということでは、キャパの「崩れ落ちる瞬間の兵士」が有名ですが(たしかヤラセだった??)、イラクの狙撃映像集でみると、ああいう感じにのけぞるのではなく、ほとんどの標的=被害者が、そのままストンと落ちる感じで倒れています。
それがなかなかリアルで、やはり人間のそんな瞬間を目にするのはかなり不快な気持ちになります。
こういうのを見ると、やはり戦争は殺人なんだなということがよくわかります。戦争を報道する立場の人間は、つい民間人の犠牲者ばかりに目を向け、兵士の命を軽く考えがちですが、兵士も同じ人間だということがこの殺人場面集でよくわかります。

一方、先月入手した「爆弾テロ100連発」のほうは、人間が破壊される様子がはっきり見えないため、リアリティに若干、差があります。
受け止め方は人によって違うのでしょうが、私の場合は、最初の20発目くらいまでは単純に「うわ、すげえ」という感覚でしたが、30発目くらいから「こんなに殺すことないだろ」という気分になり、50発目くらいからは完全に気分が悪くなりました。
おぞましい映像ですが、こうして延々と続く殺人場面集は、ニュース報道よりもはるかに戦争のリアルを伝える力があると思います。
たとえば、9・11テロの世界貿易センターが崩れ落ちる映像は、多くの人がもう何十回となく目にしているはずですが、あれを単発で見ても、多くの人は「ひどい」という気持ちより「すごい」という気持ちを強く感じることでしょう。「すごい」という場面は戦争のリアルを伝えているとはいえません。

狙撃場面集でも爆弾テロ場面集でも、撮影者はこれから殺される人をあらかじめわかっていて、自分が殺されることを知らない無防備なその人にカメラの照準を合わせています。考えてみれば、これは恐ろしい行為といえます。

じつは、私自身、未遂に終わりましたが、同様の経験をしています。中米ニカラグアの内戦を取材中、ゲリラの小隊に従軍し、政府軍ポストを襲撃する場面に遭遇しました。
明け方にこちらはこっそりと敵軍兵舎に忍び寄り、敵が起き出した頃に兵舎ごと集中砲火を浴びせるという作戦でした。
こちらがブッシュで隠れていると、これから殺されることを知らない政府軍兵士が数人、起き出してきて立ちションを始めたりしました。兵舎までの距離はおよそ70メートルくらい。立ちション兵士との距離は最短で40メートルくらいまで近づきました。気づかれたら逆にアウトです。
私はそっとカメラのレンズを向け、これから行なわれる攻撃を待っていましたが、結局、その兵舎の前に赤十字の車両が停車していたため、政治問題化を恐れて隊長はその日の攻撃を中止しました。
私はそのとき、ものすごく安堵したことをよく憶えています。戦闘が怖かったということが半分、奇襲という名の殺人の現場に居合わせなくてよかったという気持ちが半分でした。
イラクの狙撃映像集をみて、あのときのことをふと思い出しました。
  1. 2006/10/26(木) 01:33:11|
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北京飯店のハニートラップ?

ワールド・インテリジェンス第3号「北朝鮮と中国の対日工作」校了。
今回ももう最後はほとんど倒れそうなスケジュールとなりました。
さて、どうなることやらと手探りで始めてみた弊誌ですが、なんとか隔月刊で軌道に乗ってきたので、今後は広く記事を寄稿してくださる人を募集したいと思います。
「ワールド・インテリジェンス」サイト(右下リンク先にあります)に要項を掲載しましたので、インテリジェンスの分野に興味のある方はぜひ御検討ください。

さて、今号の特集は「北朝鮮と中国の対日工作」です。
当然、その1つに上海のハニートラップの件も取り上げました。中国公安機関が、プロの女性との関係をネタに日本の領事を脅迫し、自殺に追い込んだという件の事件です。


関連の資料をいろいろ漁ったところ、「北京の外国人向け主要ホテルには中国工作機関員が配置されている」との説があちこちに書かれていました。未確認情報なので(実際に関係者が暴露したわけではない)、今回の本誌には書いていませんが、そういえば私にもこんなことがありました。
あれはもうふた昔近く前、まだまだ中国全土がお堅い共産主義バリバリの頃です。私は北京に取材に行く機会があって、有名な北京飯店に投宿しました。
で、ある日、非常に疲れが溜まっていたので、マッサージを頼みました。やって来たのは20代前半と思しき美青年。当時は、台湾や韓国あたりのホテルなら、「ホントにマッサージだけ!」と念押しして頼まないと、まず間違いなくその道の女性がやって来てしまうような時代でしたが、さすが共産主義の中国だからそんなことはないんだなと妙に感心しつつ(だいたい当時の北京はまだ人民服が主流で、ミニスカの女性などあり得ないような時代でした)、いい感じに肩を揉まれてつい、うたた寝しておりました。
と、気がつくとアソコに妙な感触が…。なんと美青年が私の股間を撫で回しているではありませんか…。
「や、やめろ!」
「なんで? いいじゃないの」
「オレにはそんな趣味はない!」
「男は初めてか? 大丈夫だよ」
 詳しくは覚えていませんが、たぶんこんなようなことを怪しげな英語でやり取りしたような…。結局、こちらが強く拒絶したので、ことなきを得ましたが、もしもあのまま禁断の世界に足を踏み入れていたら……もしかして、中国公安機関に隠し撮りされていたのかも???
  1. 2006/10/22(日) 09:18:25|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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