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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

誘拐犯(北朝鮮)とのネゴシエートで必要なタフな駆け引き

 明らかに核問題から争点をずらす工作である飯島訪朝の仕掛けですが(同じように、対韓では開城工業団地に争点をずらしてきていますね)、どうも安倍政権が安易に引きこまれてしまっている印象が、報道をみるかぎり感じられます。
 前々エントリーで書いたように、核問題優先の北朝鮮は、場合によっては拉致問題をカードとして切ってくる可能性があるので、乗ってみる意味は充分あると思うのですが(ただし、前も書きましたが、安易な期待はできません。秘密接触をいきなり宣伝しまくるところなど、どうも北の真意は計りかねるところがあります)、そこは誘拐犯とのネゴシエートと同様に、少しでも相手の譲歩を引き出す駆け引きが不可欠です。
 まだ実質的な譲歩を引き出せていないうちにこちらが前のめりになると、相手が準備していた譲歩をすべて引き出せないで終わるでしょう。

 16日、テレビ朝日「モーニングバード」で米露スパイ戦ネタ、昨日のテレビ朝日「報道ステーションSUNDAY」と本日のTBS「朝ズバ」は北朝鮮ネタで、それぞれVTRコメントを採用していただきました。
 また、本日発売の『週刊現代』では、中国ネタでコメント採用していただきました。
 また、『アサヒ芸能』先週号のモノクロ・グラビアで「米軍・厚木基地祭り探訪~ニッポンの中のアメリカを覗きに行った!」を寄稿しました。久々のカメラマン仕事でなかなか楽しかったです。
 また、現在発売中の『サイゾー』で、「世界と日本の最新スパイ事件レポート」と題した私のインタビュー記事(コメントで構成)を掲載していただきました。
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  1. 2013/05/20(月) 16:02:06|
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生放送でミス

 ボストン・テロでいくつか発言の機会をいただきました。
 昨日は「朝日新聞」夕刊でコメント(早版は不明)、「ひるおび」で文字コメント、「報道ステーション」でVTRコメント、本日は「朝ズバ」スタジオ、「モーニングバード」スタジオ、「スッキリ」VTRコメント、「ひるおび」スタジオです。また、もしかたしたら「ワイド・スクランブル」でもVTRコメント使っていただけるかも、ということです。
 今しがたモーニング・バードの出番が終わったところですが、生放送中、「ノルウェーのテロ」と言うべきところをついうっかり「デンマークのテロ」と口走ってしまい、10秒後くらいにハッと気づきました。わかる人が聞いたら、鼻で笑われてしまいますね。集中、集中!
 北朝鮮関連では、昨日発売の『週刊朝日』に「金正恩の本当の狙い」という短い記事を寄稿しました。また、同じく昨日発売の『フラッシュ』にもコメントを提供しましたが、採用していただけたかどうかは未確認です。
  
 あと、本日22時30分、ニコニコ生放送の「夏野政経塾」という番組にも出させていただきます。こちらは夏野剛さんとニコ生で定期的に番組をやっている漫画原作者・樹林伸が出るので、その友人というだけで出させていただくことになりました。彼は私の講談社時代の同期で、古い付き合いになります。普段は錚々たるIT企業家や経営者が出られている番組なので、私なんぞは何をどう話したらいいか皆目見当もつきませんが、お時間のある方はぜひどうぞ。
  1. 2013/04/17(水) 10:08:31|
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米韓軍の特殊作戦

 今週木曜、TBS「Nスタ」「ニュース23」でVTRコメント採用していただきました。また金曜「ひるおび」でもコメント使っていただきました。
 北朝鮮は毎日、いろいろな手を打ってきます。日本のメディアでも大きく報道されるようになってきました。
 しかし、それらの報道・解説をみていてやはり気になるのは、「北朝鮮はアメリカに交渉の席について欲しいため、アメリカを振り向かせるために挑発している」というのと「一連の挑発は国内向け」の2点ですね。すでにいろいろ書いているので繰り返しませんが、おそらく違うと思いますね。
 さて、それはさておき、ちょっと注目したのはこの記事。
▽開城工団:人質発生なら外交解決、韓米両軍による救出も(朝鮮日報)
▽半島有事に北の核施設制圧、在韓米軍に専門部隊(読売)
 当然、以前からさまざまな想定で特殊作戦は検討されてきたのでしょうが、その最前線でもいろいろ準備があるようです。
  1. 2013/04/06(土) 12:30:48|
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本当はまだアメリカと交渉したくない北朝鮮

 本日発売の『週刊新潮』の記事「狼少年とバカにできない金正恩の横須賀・三沢・沖縄攻撃宣言」にコメントを採用していただきました。
 ところで、ここのところ「日々のニュース」になっている北朝鮮ですが、本日はこんなニュース。

▽明白で現実的な危険…米、THAADをグアム(読売)
 KN-08に備えてのことでしょう。もしかしたら今月中にも試射をするかもしれませんが、そうなるとおそらく日本の上空を通過していくことになるでしょう。
 ヘーゲル国防長官の北朝鮮の脅威に対する評価は、「核の能力を保有し、ミサイルを発射する能力もある」「日本や韓国などの同盟国、米国のグアムにある基地、ハワイ、西海岸を脅かす」だそうです。KN-08の射程見積に苦慮している様子ですね。
 THAADはやはりいいですね。早急に日本も導入を検討すべきでしょう。

 対する本日の北朝鮮はこちら。
▽北「小型化した核攻撃で完全粉砕」…米に警告(読売)
 核攻撃の作戦計画に関して「最終的に承認されていることを、正式にホワイトハウスと国防総省に通告する」だそうです。毎度の「口撃」ですね。

 それより読売の注目記事はこちら。
▽正恩政権、米との対話を再三拒否…前国務次官補(読売)
「北朝鮮はアメリカを交渉に引きずり込むために、核ミサイル開発や軍事的挑発で一所懸命にアピールしている」といった見方もありますが、核ミサイル戦力保有のチャンスに、本気で交渉する気などなかったはずです。とにかく今は長距離核ミサイル配備までなんとか時間稼ぎをし、交渉するのは、長距離核ミサイルを配備して対米抑止力を実現した後のことでしょう。狙いも非核化というよりは、両者核保有国同士としての対等な平和条約といったところでしょう。
 北朝鮮はどんなにアメリカに圧力をかけられても核ミサイルを手放すなどということはしないでしょうから、日本政府もそこは深刻に考えたほうがいいと思います。個人的にはTHAAD導入がいいと思うのですが・・・。
  1. 2013/04/04(木) 11:38:21|
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金正恩の挑発 次の一手は?

 本日、テレビ朝日「報道ステーションSUNDAY」にてVTRコメントを使っていただきました。
 北朝鮮の挑発ですが、アメリカが折れて“手打ち”に向かうまで、まだまだネタは準備されていると思います。
 ちょっと思いつくことだと、以下。
▽全軍に1号戦闘勤務態勢を命令
▽西海で長距離砲の威嚇射撃&海上艦艇南下侵入
▽西海で軽微な対地砲撃
▽ムスダン、KN-08発射実験
▽テポドン2改の発射準備
▽4回目の核実験
▽地上部隊の移動・集結
▽金正恩が平壌を離れ、戦時指揮所に退避

 対するアメリカの対応ですが、ちょっと危険なのは、北朝鮮がこのタイミングで「テポドン2改」の発射準備に入ることでしょう。米軍は座視しないと思いますね。電撃空爆もあり得るのではないでしょうか。

 また、米側の圧力ですが、空母を日本海に入れるという手がまだ残っています。現在、横須賀母港のジョージ・ワシントンはたまたまメンテ中で動けませんが、アラビア海に展開していたジョン・C・ステニスが3月26日にインド洋の第7艦隊エリアに入りました。また、ちょうどメンテを終えて昨日、ワシントン州を出港したニミッツが、これからサンディエゴで最終訓練をしてからステニスの代わりにペルシャ湾に向かいますが、それを途中でまわしてくる可能性もあります。
 そうなると、北朝鮮はかなりレベルの高い挑発で応える可能性があります。金正恩にまともな判断力があるなら(あると思いますが)、全面戦争は必ず回避されると思いますが、米軍が空母を動かすかどうかが、今回の駆け引き戦の山場といえそうです。
  1. 2013/03/31(日) 12:55:13|
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戦闘準備態勢と一号戦闘勤務態勢

 北朝鮮がまた“口撃”に出ました。
「戦略ロケット軍部隊を含む全ての野戦砲兵軍団が『一号戦闘勤務態勢』に入った」そうです。
 韓国、在韓米軍に加え、ハワイ、グアム、米本土の米軍も攻撃目標だそうです。在日米軍は言い忘れたのでしょうか。
 今のところ、北朝鮮軍に特異動向はないので、“口撃”の段階です。これで北朝鮮軍がホントに動き出せば、米韓軍も対応態勢に入るので(空母の移動、空軍増派、陸軍増派など)、いっきに緊張が高まることになるでしょう。現時点では北側にそういう具体的動きはないので、今のところは単なる心理戦の段階です。
 なお、「一号戦闘勤務態勢」というのは初出の用語で、その意味するところが不明です。以前は党・勤労団体組織が「戦闘動員態勢に入った」とも発表していますが、それも実態はまだまだ戦争準備という規模ではないので、その意味するところは不明です。次は「祖国防衛戦闘態勢」「最高敵殲滅態勢」とか出すのでしょうか。

 ところで、昨日、TBS「ひるおび」VTRコメントを採用していただきました。北朝鮮軍の宣伝映像の解説でした。あれも心理戦の一環ですね。
 また、一昨日発売の『週刊現代』の記事「中国と日本 宿命の対決」と、昨日発売の『フラッシュ』の記事「森本敏前防衛相『日本は今こそ巡航ミサイル配備を』」にコメントを採用していただきました。

 ところで、日本の巡航ミサイル武装についてちょっと考えてみたのですが、実際に戦争になったとして、核ノドンを事前に発見して巡航ミサイルで破壊することは、よほど北朝鮮軍がマヌケでもない限り不可能です。核施設や各軍事施設を攻撃することはできますが、平時に日本が撃つことはないですし、有事となれば主なところは米韓軍が先にさっさと片付けています。有効な使い方がちょっと思い浮かびません。
 ただ、日本が攻撃を受けた場合に、反撃の意思を示すということでは、戦闘機部隊の長距離渡航爆撃作戦よりはずっと容易ですし、即応性もあります。
 北朝鮮側が統制不能にでもならない限り、北朝鮮が米軍の抑止力を無視して日本に核ノドンを撃ってくることはまず考えにくいですが、朝鮮有事の中途段階で、在日米軍基地を狙って通常弾頭のノドンを撃ってくる可能性は大いにあります。
 その場合、日本が攻撃されたことになりますから、日本も参戦の意思表示をしなければなりません。少なくとも等価レベルの報復をする必要がありますので、そういうとき、トマホークがあれば便利かなとは思います。
 F-2などでの爆撃もある程度は可能ですが、米韓軍との調整が面倒ですし、いくぶんは自衛隊側の被害の可能性もあります。通常弾頭ノドンでの日本側の被害状況にもよりますが、仮に人的被害が軽微だった場合、世論動向にもよりますが、やはり日本人は日本人被害に敏感ですから、トマホークのほうが使いやすいとは言えるでしょう。
  1. 2013/03/27(水) 08:57:41|
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北のサイバー部隊は偵察総局第121局と総参謀部「電子戦部隊」

 北朝鮮のサイバー部隊は、諜報工作機関である軍偵察総局の「第121局」が中心で、推定で3000人程度の陣容であることは、過去エントリーで紹介しました。
 それに加えて、軍総参謀部の隷下でも電子戦部門がサイバー工作に携わっているとみられていましたが、本日の『朝鮮日報』が脱北者インタビューのかたちで報じたところによると、総参謀部隷下の「電子戦部隊」と部内で呼ばれている部隊があって、1万2000人がいるとのこと。これは情報としては初出です。
 1万2000人というとかなりの大人数ですが、おそらく電子戦・情報戦全体を担当する部隊で、サイバー作戦に携わっている人数はその一部ということでしょう。こちらでは、サイバー戦の指揮を総参謀部情報統制センターが担当しているとのことです。

(追記)
この件に関し、本日、TBS「Nスタ」にてVTRコメントを採用していただきました。
  1. 2013/03/21(木) 14:17:10|
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金正恩政権の「思惑」をリアリズム目線で推測してみる

 JBPRESSに下記拙稿を寄稿。
 独裁者本人か、ごく近しい側近にしかわからないことですが、金正恩政権の「思惑」なるものをあれこれ考察してみました。
▽金正恩政権が核ミサイルを開発する本当の理由~「北朝鮮の思惑」のリアリズム的分析(前篇)

(追記)
 フジテレビ「とくダネ」で音声コメントを採用していただきました。
  1. 2013/03/19(火) 00:58:33|
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北朝鮮・昨年4月の「特別行動宣言」はやはりサイバー攻撃だった

 現在発売中の『週刊現代』の記事「アメリカはCIAを送り込んだ 北朝鮮 金体制を転覆せよ」にコメントを採用していただきました。アメリカ政府は公式には現在も、軍事作戦・対テロ作戦以外の政治的暗殺を大統領令で禁じていて、記事中に言及されている暗殺作戦の部分は私にはまったくわかりませんが、CIAの仕組みや軍事オプションの仮定などをお話させていただきました。

 ところで、今年1月16日のアルジェリア人質事件発生から、その後の一連の北朝鮮核実験関連などのニュースが続き、他のトピックのフォローが疎かになっていました。ひとつ紹介します。
 アルジェリア事件の発生と同日の1月16日、韓国警察庁サイバーテロ対策センターは、昨年6月9日に『中央日報』のシステムがハッキングされ、新聞製作用サーバーのデータが削除されるなどの被害を受けたサイバー攻撃について、「北朝鮮によるものとみられる」との捜査結果を発表しました。
 当局の発表によると、不正アクセスは少なくとも韓国内のサーバー2台と外国のサーバー17台(10カ国)が経由されていたことが判明。それらのサーバーのうち11台を解析したところ(4カ国の計8台はデータ開示を拒否した模様)、最終攻撃である中央日報の新聞製作用サーバーへの攻撃に使用された1台が、過去の北朝鮮サイバー部隊によるサイバー攻撃で使用されたものと同じサーバーだったことが判明。しかも、そのサーバーは北朝鮮国営の朝鮮逓信会社(KPTC=Korea Post and Telecommunications Corporation)が使用するIPでアクセスされていて、その接続元のPCは「IsOne」と名づけられていたということも判明しました(今回のサイバー攻撃では中央日報のサイトの改竄も行われましたが、その際、サイト画面に「Hacked by IsOne」と表示されるようにされていました)。
 また、一連の解析で、北朝鮮が過去のハッキングに使用したものと同一の悪性コードが使用されていたことも判明しています。
 北朝鮮の攻撃は周到に進められていました。初めて中央日報のサーバーにアクセスしたのは昨年4月21日。その後、1か月以上にわたって密かな情報収集と攻撃準備が進められ、6月7日にサーバー管理者のPCをハッキング。同9日に集中攻撃に出ました。
 タイミング的には、北朝鮮が昨年4月13日の銀河3号初号機の打ち上げ失敗の後、韓国との中傷合戦が過熱した際、4月23日には朝鮮中央テレビが「革命武力の特別行動がまもなく開始される」と宣言。攻撃の対象には韓国の保守系主要メディア各社も含まれるとしていたことに対応しているといっていいでしょう。
(しかも、北朝鮮はサイバー攻撃直前の6月3日にも、中央日報はじめ保守系メディアに対する攻撃を予告していました)。

 ちなみに、昨年4月にこの「特別行動」声明が発表された際、私は「サイバー攻撃の可能性が高い」と当ブログや「ひるおび」で予想してしていました。それほど難しくもない予想ですが、私の予想が当たることなどあまりないので(昨年4月と今年2月の核実験予想もマグレで当たりましたが)、いちおう書き留めておきます。
▽北朝鮮軍の特別行動(ワールド&インテリジェンス 2012年4月23日)
▽北朝鮮核実験と新軍部の動向(同4月27日)
▽北朝鮮のサイバー部隊(同4月30日)
(上記後者は北朝鮮のサイバー部隊の概要を紹介しています。ご興味のある方は是非どうぞ)
 ちなみに、上記記事でも言及していますが、サイバー攻撃は、とくに不正アクセスの部分で同じ手が通用しない世界なので、通常戦力とは違い、どこの国も自分たちの手の内を見せたりはしません。なので、今回の攻撃が彼らの本気のレベルのものかどうかはわかりません。決して侮ってはいけないと思います。
  1. 2013/02/27(水) 12:28:55|
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対米サイバー攻撃で名指しされた中国軍61398部隊

 まずは告知からですが、現在発売中の『週刊朝日』の記事「北朝鮮核ミサイルが飛来する日」で、コメントを採用していただいています。同誌では先週号に関連記事を掲載していただいたのですが、ちょうど発売日に核実験が強行されるというタイミングでした。いずれにせよ核ノドンの脅威は現実のものなので、少なくともミサイル防衛の強化は急務だと思います。
 また、本日は「核実験場で再実験の動き」のニュースも流れています。核問題は決して終わったのではなく、まだまだ続くとみるべきで、今後の動向に要警戒です。

 ところで、つい先ほど某メディアの方から下記の件で問い合わせがあったので、取り急ぎひとことだけ。
▽サイバー攻撃元は中国軍部隊…米情報会社(読売)
 同記事によると、サイバー攻撃の犯人は、中国軍の「61398部隊」だったそうです。
 この部隊は上海を拠点とする軍の総参謀部第3部第2局のことです。上海には対北米(アメリカとカナダ)を標的とする信号傍受分析機関として総参謀部第2部の「第2局」と「第12局」が置かれていますが、そのうちのひとつということですね。
 この部隊はもともと、北米の内外の通信を傍受して分析するのが主任務のシギント部隊ですが、衛星回線や光ファイバー回線への侵入能力があるうえ、おそらく米政府や米軍、米主要インフラなどのいくつかのクローズドなネットワークにも侵入できる可能性があります。さらに、アメリカの内部事情にも精通した分析官がいることもあって、最近はこうしたシギント部隊がサイバー・スパイの主部隊にもなっています。
 もともとシギントの部門は解放軍の正規隊員が主に行ってきましたが、サイバー・スパイ部門はそれだけでは能力的に不十分で、民間のハッカーやIT企業・研究機関と連携して民兵部門を組織しているともいわれています。
 米調査会社によれば、侵入者の侵入元が上海地区に集中しているとのことで、あまり高度に偽装されていない可能性がありますが、いずれにせよ国家によるサイバー攻撃はサーバーのデータをすべて開示することはありませんから、「自分たちは踏み台に利用されただけ」と言い逃れできます。そこがサイバー戦の難しさなのですが。
  1. 2013/02/21(木) 13:03:34|
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「脅威」の現実性評価

 中国海軍による火器管制レーダー照射を受けて、今週発売の週刊誌は「日中開戦」ネタが満載でした。
 その中で、『週刊現代』にコメントを採用していただきました(他にいくつか取材受けましたが、面白いことがいえないので不採用)。
 レーダー照射はたしかに状況によっては軍事衝突を引き起こし得る挑発行為ですが、日中に関して言えば、中国側も日本側が応戦しないのを承知でやっているわけで、そんなことではまず戦闘になりません。日中両国ほどの実力・存在感とその両国間関係があれば、開戦に至るにはかなり高いハードルがあります。ハラスメント合戦というのは今後も発生するでしょうが、要は駆け引き戦ということです、というような話をさせていただきました。
 もちろん将来的な軍事的緊張というものを想定して国防システムを準備しなければならないのは当然ですが、それはそれとして、「脅威」というものを現実性から考えることも重要でないかなと思います。最悪の事態に備えることは必要ですが、起こりそうなことと、起こりづらいことを分けて考えるということです。

 たとえば、まず起こらないだろうことは、私の考えでは以下になります。
▽日中全面戦争
▽日朝全面戦争
▽イスラム過激派が日本国内でテロ

 次に起こりづらいことは以下です。
▽日中が尖閣周辺限定で本格的戦闘
▽北朝鮮が正規の軍事作戦として日本を攻撃
▽イスラム過激派が在外日本大使館をテロ

 起こらない可能性が高いけれども、起こるかもしれないことは以下です。
▽中国軍が尖閣進出
▽近い将来の朝鮮半島有事
▽近い将来の金正恩政権崩壊

 起こる可能性がそこそこあるもの
▽尖閣海域でのちょっとした衝突
▽将来的な金正恩政権崩壊

 まず起こるだろうこと
▽中国の尖閣海域侵入常態化(日本の実効支配の崩壊)
▽北朝鮮の核ミサイル戦力増強
▽海外で日本人がイスラム・テロに巻き込まれる

 ざっとこんな感じでしょうか。
 こうしたことを勘案すると、まず喫緊の課題は、中国の尖閣侵入キャンペーンへの備え。それも有事ではなく平時でのカウンター策をもう今すぐ取り組むべきと思います。
 それと、軍事的脅威でもっとも恐ろしいのは、「将来的な金正恩政権崩壊」に付随する核ノドンの脅威です。他をいったんうっちゃっても、ミサイル防衛の強化は必要だという気がしますね。
 まあ、こうした脅威の評価は人それぞれで、異論のある方は当然いらっしゃると思いますが、上記は現時点での私の評価ということです。

 ところで、日中開戦シミュレーションの記事をみていつも思うのですが、どうして中国側のサイバー戦をスルーするのでしょうか。リアルに警戒すべきもののひとつだと思うのですが。
  1. 2013/02/16(土) 13:11:27|
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ついに核の脅威下に入ったらしいのに・・・

 昨日、TBS「朝ズバ」で文字コメントのみ、「ひるおび」でスタジオ出演させていただきました。
 私はこれまで、テポドン騒動では「先島諸島に落ちるなんてまずありません」「日本の安全保障とはあまり関係ありません」、オスプレイでも「とくに危険だということではないです」と、たいていは煽り情報の大火を火消しする側の発言をしてきましたが(イスラム・テロ関連などでも、これまでずっと「日本で原発テロなどやりません」と言ってきました)、今回ばかりは北朝鮮核ミサイル武装の脅威のリアルさをなんとか認知してほしいと、微力ながらこうした機会に発言しました。
 ですが、私ごときの声ではもちろんなんともならず、予想はしていましたが、本日のメディア各社の報道をみると、「核実験」はすでに過去の話になってしまったような雰囲気です。
 ですが、これがイスラエルなら問答無用で空爆していますね。アメリカでも黙ってはいないはずです。
 私は自分が人間としてボケナスであることを自覚しているので、これまで「平和ボケ」という侮蔑表現を一度も使ったことがないのですが、これでいいのかなとは思います。もちろんリアルな脅威、そうでない脅威をしっかり区別して読者や視聴者に届けられていないメディア(私もその末端のひとり)の責任なわけですが・・・。
  1. 2013/02/14(木) 10:05:38|
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核の小型化で日本が射程内に入る脅威

 ほんのちょっと前に韓国メディアから「核実験場から人員撤収」「中止か?」と報じられたばかりですが、実験に備えて現場から退避しただけだったのかも。
 北朝鮮の核実験は、何度も書いていますが、核ミサイル武装に向けた技術的なステップで、政治的な内外へのアピールはあまり関係ないと思います。おそらく今回の実験によって、核ノドンが完成となる可能性が非常に高いと思います。

 ちょうど本日発売の『週刊朝日』に、「実はテポドン発射実験より深刻 北朝鮮 核の小型化で日本が射程内に入る脅威」という記事を寄稿しています。日本は核ノドンの脅威を深刻に受け止めるべきだと思います。

 また、本日発売の『フラッシュ』で、「自衛隊X中国海軍」という記事と、「ゼロ・ダーク・サーティ」公開に合わせた「CIA最先端ハイテク捜査技術を暴く」という記事にコメントを採用していただいています。
  1. 2013/02/12(火) 13:05:57|
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冷静に、慎重に、現実的に、大胆に

 昨日、TBS「報道特集」でコメントを採用していただきました。北朝鮮核ミサイルの件です。
 また、現在発売中の『週刊新潮』でコメントを採用していただいています。北の工作機関のネタです。
 また、本日発売の『軍事研究』で、「ミサイル成功の陰で軍人トップを大粛清」という記事を寄稿しています。
 軍研3月号は、他にも興味深い記事が多いです。最近の軍研は、世界の安全保障情勢全般に関して非常に示唆に富むアップデートな記事が増えているように感じますね。

 北朝鮮の核実験、あるいは中国レーダー波事件、それに尖閣問題もそうですが、「熱くならずに、冷静に対処せよ」との主張を散見します。当然だと思います。こうした問題は、冷静に状況を分析し、慎重に対策を打ち出すべきです。感情で報復するなど、最悪でしょう。
 しかし、冷静に対処することと、「何もしない」はまったく違うと思います。冷静に分析し、慎重に判断した後は、現実的に、大胆に対策を進めるべきです。
 私は、北朝鮮の核実験は、日本の安全保障の根底を揺るがす大事件だと考えています。冷静に日本の安全保障を再検討し、早急にその強化を図るべきだと思っています。
 また、東シナ海の中国との国境問題は、中国側が着々と尖閣奪取の手を打ってきているのに、日本側の対処が信じられないくらい遅いと考えています。冷静に、慎重に、はいいのですが、そこで終わってしまって、ただ口で抗議するだけでは・・・これでは中国側はますます本気で尖閣を取りに来ると思います。
  1. 2013/02/10(日) 15:22:12|
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映画「ゼロ・ダーク・サーティ」関連

 告知です。
 今月10日(日曜日)21時~23時、CIAビンラディン追跡班の女性局員を主人公にした映画『ゼロ・ダーク・サーティ』の公開(2月15日)に合わせたニコニコ生放送のネット番組に呼んでいただきました。ご案内はこちら⇒▽映画「ゼロ・ダーク・サーティ」公開記念/徹底討論「ビンラディン殺害の真実について語ろうぜ」

 また、現在、全国のTOHOシネマズで配布している『TOHOシネマズマガジン』で同作品の紹介頁の監修を、全国のシネコンで配布している『月刊シネコンウォーカー』で同作品について短い解説文を書かせていただいています。

 それと、同作品の劇場配布チラシにも解説文を書かせていただいてるのですが、先日、近所のライトオンで買い物をしたところ、同作品の鑑賞券プレゼント・キャンペーン中で、レジで現物をゲットしました。
CINEMA.jpg

 アメリカでも注目されたこの映画ですが、けっこうスピーディにストーリーが展開するので、鑑賞される方は、その前に拙著『ビンラディン抹殺指令』を読んでおくと100倍楽しめます・・・かも。
▽ビンラディン抹殺指令
ビンラディン抹殺指令表紙

 映画に出てくるエピソードはほぼ同書内で書いたことと同じで、それ以外のこともだいたいは欧米のメディアやドキュメンタリーで知っていた内容だったのですが、映画版で1点だけ初めて知ったことがありました。
 ビンラディンの連絡員の電話を特定した経緯ですが、その連絡員の実親の電話を張っていてキャッチしたそうです。それまでは、パキスタンのイスラム指導者の通話先からキャッチされたという情報が出回っていました。制作チームはそのあたりのことはかなり調査したようですから、映画での情報がおそらく正しいのでしょう。
 あまり詳細に書くとネタバレになってしまうので、これ以上は自粛しますが、話題の映画ですので、ご興味のある方は是非、劇場でどうぞ。
  1. 2013/02/07(木) 17:18:52|
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尖閣の「棚上げ」幻想は捨てるべき

▽中国海軍:自衛隊護衛艦に火器管制レーダーを照射 (毎日)
 また、あいかわらず領海や接続水域への侵入も続いていますね。
 ちょっと前に中国側が尖閣の共同管理を提案したというような報道があって、日本の一部には領有権の棚上げ歓迎論も出てきて、対する側から「固有の領土を棚上げとはけしからん」との反論も出たりしましたが、現実問題としては、日本側内部の「棚上げ派VS実効支配強化派」ではなく、中国の一貫した尖閣併合路線に対しての「黙認派VS実効支配強化派」という構図になります。
 中国側は尖閣への野心を「行動」で示しています。今後しばらく、軍事衝突に至らない線でのチキンゲームで、実績を積み上げてくるでしょう。
 棚上げなどというのはもう幻想だと認識し、日本側も「軍事衝突に至らない線でのチキンゲームで、いかに実績を積み上げるか」を真剣に考えるべき局面かと思います。

(追記)
 現在発売中の「週刊アサヒ芸能増刊 日本の領土防衛の真実 2013年 2/20号」(⇒アマゾン)にコラムを2本寄稿しています。「尖閣を守りたいなら『平時の既成事実化競争』に負けてはならない」と「『もし日本と中国が戦えば~』シミュレーションは、なぜ『自衛隊の圧勝』論と『中国軍に敗退』論に分かれるのか?」の2本です。
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  1. 2013/02/05(火) 22:00:22|
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ウラン型実験で全面対決へ?

「本当は核実験をやる予定はなかったのに、アメリカの横暴のせいで自衛のための核武装強化を余儀なくされた」といった意味のことを北朝鮮が言い始めました。
 案の定ですが、この言い方からすると、「もともと平和利用の発電用だったウラン濃縮も、アメリカのせいで軍事転用に追い込まれた」と繋げる気なのかもしれません。
 これまで私は、端緒についたばかりのウラン濃縮は、もうしばらく平和利用の建前を掲げて、その間に高濃縮ウラン量産体制をひそかに整備したほうが北にとっては得策だと思うので、今度の核実験はプルトニウム型の起爆装置小型化実験ではないかと推定していたのですが、ウラン型にいっきに踏み込み、ウラン濃縮の軍事利用をカミングアウトする可能性を無視できなくなってきました。
 既存のウラン濃縮施設の本当の規模と稼動状況がわかりませんが、ある程度、目処が立っているなら、それはプルトニウム生産ラインの復活(原子炉+再処理)よりも、ウラン型メインのほうが今後の展開が有利になるかもしれません。
 しかし、仮にそうだとすると、これまで「平和利用だ」と主張してきたものを覆すわけですから、過去の路線の継続であるプルトニウム型の実験とは違い、ホンネ全開の対米対決モードに突入することになります。「ならず者国家」度のアップにともない、国際社会の圧力はいっきに高くなりますが、北はこのまま核武装国家としてアメリカと渡り合う覚悟を決めたということでしょうか。 

(追記)
 昨日、「ひるおび」呼んでいただきました。アルジェリア人質事件の関連でした。
  1. 2013/02/01(金) 17:56:04|
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あらかじめ計画された核実験?

 昨日のTBS「ひるおび」にスタジオ出演させていただきました(北朝鮮関連)。また、本日発売の『週刊現代』でコメントを採用していただきました(アルジェリア関連)。

 さて、北朝鮮が核実験一直線な感じです。
 それほど決定的な根拠のある予想ではありませんでしたが、昨年12月の衛星打ち上げの際、「核実験の布石かも」と当ブログやいくつかの媒体で発言してきたとおりの展開になりそうな気配です。
 そもそも昨年4月の打ち上げ失敗の直後、各メディアで「核実験間違いなし」との観測が流れるなか、「今回はやらない可能性のほうが高い」と天邪鬼に発言してきたのは、その衛星打ち上げが金日成生誕100年に合わせた政治的イベントで、技術獲得の要求とは別のタイムスケジュールに基づいたものだと推測したからです。
 ところが、昨年12月はそれほどの政治的要求がある日程とは思えませんでした。「強盛大国の大門を開く」としてきた2012年中にどうしてもやりたかったということはあったかもしれませんが、それも理由付けとしては弱い気がしていました。
 そこで、「これはそもそも核実験の予定があって、それで逆算して12月に衛星打ち上げをやったのではないかな」などと推測したわけです。
 あの国のことですから、その意図はあやふやな根拠による推測しかできないですし、実際に実施するまではどうなるか本当にわからないわけですが、現時点ではどうやら予想どおりに動いています。

 ところで、ワールド&インテリジェンスとはまったく関係ない話ですみませんが・・・。
 じつは本日の「朝ズバ」でもVTRコメント(アルジェリア関連)を使っていただく予定だったのですが、高見盛の生出演でコーナーそのものが飛んでしまいました。それ自体は「よくあること」なので、まあしかたないです。
 ですが、各メディアの高見盛引退の扱い、ちょっと大きすぎるような・・・。確かにたいへん印象に残る力士で、私自身も注目はしていましたが、今場所はなんといっても、先場所の一桁勝利でいきなりの大ピンチ状態だった日馬富士の、意地の全勝優勝でしょう!
  1. 2013/01/29(火) 04:59:50|
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日本企業の情報力

 昨日の『日刊スポーツ』にコメント採用していただきました。また、明日発売の『週刊エコノミスト増刊号』に寄稿しました。また、同じく明日発売の『週刊ポスト』にデータ提供し、コメントも採用していただきました。

 ところで、日本の情報力強化について意見を求められる機会がいくつかあったのですが、▽地元公安当局との人脈構築 ▽地元の欧米系企業&欧米情報機関の出先とのコネ強化、といったところかと思います。
 ただ、それも限界があります。今回の事件に関していえば、たとえば日本政府より日揮などの進出企業のほうが情報持っていますし(大使館はむしろ日本企業から情報を得ています)、何より最強の情報力を持っていたはずの英BPでさえ予期できなかったわけですから、たとえ日本企業や日本政府が多少の情報力強化策を採用したとしても、防げるレベルのテロではなかったかもしれません。

 それと、これはあくまで一断面の話なのですが、以前、ある人からこんなことを聞いたことがあります。
「昔は日本の企業は自ら危険エリアに赴いて情報を集め回っていたし、現地に詳しい日本人を現地採用で雇用して情報収集やウラ工作に当たらせてきた。今はほとんどそういう方面は現地のコンサルタント、あるいは欧米系のコンサルタントの出先に任せているので、ウラ情報に強い日本人がめっきり減った」
 もちろん実際にはまだまだ様々な地域で様々な日本人が活躍されているのでしょうから、一概には言えないでしょうが、全体的には確かにそういう傾向は否めないと思います。
 そういえば、確かに昔は、街中で拳銃を携行しているような謎の日本人ビジネスマンを何人も見かけたことがあります。本来なら、そういう人がたくさんいれば、「日本人」の対外情報力も底上げされるように思います。
  1. 2013/01/28(月) 00:07:57|
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北朝鮮核実験で日本はいよいよ核ミサイルの射程に入るか?

 速報。いよいよです。
▽「米国狙った高レベルの核実験実行する」=北朝鮮(聯合ニュース)
 かねて指摘していたとおり、核実験がそもそも計画され、そのスケジュールに合わせて逆算して、昨年12月のミサイル発射が行われていたということではないかなと思います。
 実験の動機は、政治的駆け引きなどというものではなく、単純に「小型起爆装置が完成したから」でしょうね。北朝鮮は過去、核とミサイルに関しては、開発優先でブレがありません。これでおそらく、日本は北朝鮮の核ミサイルの射程に入るという、新しい脅威のフェーズに突入です。
 成功の可能性はあると思います。北朝鮮はもう6~8発、最大に見積もっても10発程度のプルトニウムしか持っていませんから、それなりに自信がなければ浪費しません。
 日本の安全保障にとって、きわめて重大な局面です。

 メディア活動のご報告です。昨日、北朝鮮情勢とアルジェリア事件で、TBS「ひるおび」出演させていただきました。また、今朝のテレビ朝日「モーニングバード」で、アルジェリア事件に関し、VTRコメントを採用していただきました。本日発売の『週刊新潮』でもコメントを採用していただきました。
 また、大阪限定ですが、本日20時20分頃から約20分間、毎日放送ラジオに電話出演させていただきます。
  1. 2013/01/24(木) 14:58:47|
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アルジェリア・テロに関するコメントの難しさ

 昨日、TBS「ひるおび」に呼んでいただきました。また、「朝ズバ」「Nスタ」にてVTRコメントを採用していただきました。本日の「朝ズバ」でも押収武器に関するVTRコメントを収録しましたが、ご存知のように日本人犠牲者のニュースが出ましたので、もしかしたらボツになったかもしれません(未確認)。また、本日発売の『週刊朝日』でもコメントを採用していただきました。
 生出演では、当然ながら国民感情あるいは関係者への配慮がありますので、発言がたいへん難しいです。また、メディア情報をいろいろ見てみますと、情報および論調がバラバラなので、視聴者・読者も混乱するのではないかなと思いました。
 まず、日本メディアにはそもそも情報がほとんどありません。こうした場合は欧米メディアや中東メディアの引用が基本になりますが、今回は海外メディアでも不確かな情報が錯綜したので、非常に難しい面があったように見えます。
 それと、私などもその末席に加えていただいたわけですが、コメンテーターの理解がそれぞれバラバラですので、それに各メディアの論調が引きずられています。
 北朝鮮問題であれば、基本的なファクトはほぼ皆さん共有していて、あとは分析の違いということになるのですが、中東問題の場合は、状況の理解そのものが皆さん違うので、解説が林立する傾向があるようです。中東といっても、地域も分野も多岐にわたりますから、専門家の方も専門分野の違いによって、状況の理解に大きな乖離があると感じました。
  1. 2013/01/22(火) 17:33:07|
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アルジェリア過激派の組織名

 アルジェリア襲撃事件について、本日、フジテレビ「とくダネ」でVTRコメント、TBS「ひるおび」で音声コメントを採用していただきました。また、明日放送のTBS「放送特集」でもVTRコメントの予定です。

 ところで、今回の事件を起こしたイスラム過激派組織について、とくに組織名に関してメディア各社の報道が混乱しています。この組織はつい最近、元組織から分派し、名前を変えたばかりなので、そうした混乱の元になってます。
 もっとも、ああいった組織は自分たちでは「誰それがボスの組織」という考え方をするので、組織名は結構アバウトです。そういったことを含んで、自分なりに整理しおきます(精査していないので、間違っている可能性もありますが、現時点での私の理解に基づきます)。
 さて、元「マグレブ・イスラム諸国のアルカイダ」マリ地区司令官モフタル・ベルモフタルが率いるこのグループは、「マグレブ・イスラム諸国のアルカイダ」からおそらく昨年10月頃に分派しています。この一派は「マグレブ・イスラム諸国のアルカイダ」の隷下部隊だった頃から「顔を隠した者部隊」「ハーレド・アブー・アルアッバス部隊」などの名称を名乗っていました。「顔を隠した者部隊」をいくつかのメディアは「覆面大隊」とか意訳していますが、日本語でいう「覆面」よりは「ターバンを顔に巻いた」というようなニュアンスのようです。
 また、「ハーレド・アブー・アルアッバス」はベルモフタルの別名です。これらはおそらく同じ一派を指すもので、別々の組織を指すものでも、上部組織・下部組織を表すものでもないようです。
 それで、ベルモフタルはその後、昨年12月に新組織「血の署名者」を結成します。結成といっても改名のようなものですね。ちなみに、この「血の署名者」ですが、やはりいくつかのメディアが「イスラム聖戦士血盟団」「血盟団」「血判大隊」などと意訳しています。「イスラム聖戦士」との語句はないのでそれは「盛り」ですが、「血盟団」「血判大隊」などはなかなか秀逸な意訳と思います。ただ、「血盟団」は日本語では固有名詞なので、そのまま使うのは混乱のもとになるかと思います。
 なので、用語的にいうと、おそらく「マグレブ・イスラム諸国のアルカイダ」隷下の「顔を隠した者部隊」(別名「ハーレド・アブー・アルアッバス部隊」)が「血の署名者」に改名したということなのでしょう。ただし、そのあたりの面倒なことには当事者たちがアバウトで、とにかくベルモフタルのグループという意識だけで、組織名の扱いなどはかなり、いい加減なのだと思います。なので、欧米のメディアでも、今暴れまくっているこの組織が「顔を隠した者部隊」なのか「ハーレド・アブー・アルアッバス部隊」なのか、はたまた「血の署名者」なのかが混乱しています。本人たちでも、わりと自由に混同して使っていますが、要するに、どれも同じものかと思います。

(追記)
 オリジナルを書くのを忘れてましたね。「顔を隠した者部隊」はKATIBAT EL MULATHAMEEN(カティバト・エル・ムラサミ-ン)。カティバトは英語にするとバタリオンなので「旅団」でもいいですが、とくに部隊の規模とは関係ないので、普通に「部隊」でもいいかなと(どちらでもいいですが)。
 一方、「血の署名者」は、EL MUAKAEEN BI ALDAMI(エル・ムアッカイーン・ビ・アルダミ)。ムアッカミーンは「署名した者たち」で、ビ・アルダミは「自分の血で」となります。
  1. 2013/01/18(金) 23:47:54|
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そろそろ核ミサイル完成か??

 中央日報が数日前「北朝鮮が核実験を中国に通知」という報道をしたことを受けて、本日、TBS「ひるおび」に呼んでいただきました。中央日報では「今月20日までに」ということでしたが、ずいぶん急な話。今のところ情報は韓国紙1紙のみなので、判断のしようがありません。WC135Wも来ていませんし、そんな急にというのはちょっと考えにくいです。
 当面、次の国連安保理での制裁決議あるいは議長声明などの動きの後、北朝鮮がどうパフォーマンスするかに注目です。核実験をやる気であれば、これまでのパターンでいえば、激烈なアメリカ非難から核実験に向かうことになります。とくに、北は最近、韓国(の朴槿恵・次期政権)にソフト路線の態度をとっていますので、逆にこういうときは怪しいですね。
 問題は、北朝鮮が小型起爆装置を完成させたかどうかの一点で、それに関しては一切の情報がないのですが、そろそろ完成させていてもおかしくない時期ではなかろうかという気はします。北朝鮮は、技術的に実験が可能であれば、それはやるでしょう。

(と書いた直後にうつらうつらとニュースを眺めてたら・・・見落としていました)
▽米軍、沖縄に核実験監視機を派遣 北朝鮮偵察か(共同)
 本日18時20分に嘉手納到着。これはひょっとするとひょっとするかも・・・ですね。
 
  1. 2013/01/16(水) 00:27:32|
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引き篭もって情報機関の報告だけ聞いているアサド

 現在発売中の『サンデー毎日』の特集企画「ニッポン、世界はこうなる」にコメントを採用していただきました。シリア政権崩壊(これは必至)と、イラン危機緊迫化の可能性について私見をお話しさせていただきました。

 シリア情勢では、久々のアサド演説がありましたが、内容がゼロなのは予想通り。自分が追い詰められているという自覚すらない能天気なもので、ロシアとイラン以外の諸外国はまったく相手にしていませんし、SNSを見ても、シリア国民の間では“ジョークのネタ”以上のものにはなっていません。
 ジョークといえば、たしかどこかの国の首脳が、アサド演説の現実乖離ぶりを「アサドは部屋に閉じ篭って情報機関の報告ばかり聞いているのだろう」と茶化していましたが、実際そんなところなのでしょう。おそらくそれにSANAとかRTあたりのプロパガンダ記事をネットでチェックして、「ムハバラートの言うことはやっぱり正しいじゃないか!」とか信じ込んでいる(信じようとしている?)気配が濃厚です。

 シリアの現状がどうなっているかというと、北部、東部、南部のほぼ全域で、自由軍が支配地をかなり広げていて、基地に篭城する政府軍を包囲する段階になっていますが、とくに弾薬不足から現在は一進一退の状況のようです。
 劣勢の政府軍側は、相変わらず市街地に対して、空軍機での爆撃やロケット砲や榴弾砲での砲撃などの飛び道具攻撃を続けています。ある武器はなんでも使っている現状から、政府軍側でももしかしたら弾薬不足になりつつあるのかもしれませんが、そこは不明です。
 各種報道から考えると、政府軍の兵力は十数万人といったところと思いますが、離反予備軍も多いので、実際に自由軍の脅威になるのはせいぜい6~8万人くらいではないかなと推測します。兵力だけなら、もう反乱軍側が優位に立っているとみていいでしょう。
 政府軍はホムス、あるいはダマスカスのダラヤ地区など、自由軍が進出した重点地域に兵力を集中する作戦にシフトしています。今後はとくにダマスカス攻防戦の激化が予想されます。自由軍側とすれば、ある段階でいっきに首都大攻勢をかける必要があります。アサド軍もダマス防衛には全力であたるでしょうから、ある程度は長期戦になるかもしれません。最後はカダフィのときのように、アサドがラタキアに篭もって長い篭城戦という展開でしょうか。
 国際報道ではいまだに「勢いは完全に反体制側にあるが、戦力はまだまだ政府軍が優位」との従来からの解説が多いですが、どうも各地で進撃中の反乱軍側の意識は、もうそんな感じではなくなってきています。国際社会では政治的解決がどうのという話がまだ出ていますが、そんなものに期待する時期はもうとっくに終わっているというのが、SNSを見る限り、シリア国民の一般的な感覚と思われます。

 ところで、本日発売の『軍事研究』2月号に、ジャーナリスト・桜木武史氏のシリア北部ルポが掲載されています。結局、こうした外国人記者の潜入ルポがもっとも現地の実情を客観的に知り得る有力材料になりますので、シリア情勢に興味のある方は必読です。
  1. 2013/01/10(木) 10:02:48|
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テポドン、無人兵器、国防軍

 世間は政権交代一色な感じで、すでに北朝鮮衛星が関心から消えつつありますが、明日発売の『週刊朝日』に、「北朝鮮ミサイル発射の権力異変」という記事を寄稿しました。衛星打ち上げのウラで進行していた軍部内の粛清と黒幕・張成沢の暗躍について考察しました。
 ところで、金正日一周忌でいきなり金正恩の隣に登場した謎の人物が注目されています。ミサイル開発責任者説があるようですが、どうなのでしょう。夫人の父親などということは・・・・ない・・・でしょうねえ。

 また、本日発売の『週刊SPA』の特集記事「驚愕! 世界の最新兵器図鑑~日米ハイテク兵器から尖閣を襲う中国最新鋭機、シリア手作り兵器まで!」に資料提供し、さらに私めの短いインタビューも掲載していただきました。これからの兵器のトレンドのひとつとして、「無人機に注目!」というようなことを指摘してみました。

 ところで、ご存知のとおり自民圧勝選挙でしたが、ここ2日間、誰かと話をするたびに「国防軍になると戦争やるの?」というイメージを持っている人が意外に多いことに今更ながら脱力しています。自衛隊は軍隊ではなく、自分たちを守るためだけのもの。国防軍は軍隊で、他国を攻めるもの・・・と考えている人、まだ結構いますね。また、憲法改正⇒戦争賛成、という刷り込みも、まだまだ健在なのがよくわかりました。
 テレビをつけると、憲法改正は改悪だと前提しているとしか思えない番組もあったりします。民主主義とは多数決と思っていたのですが、「3分の1以上」の反対で「3分の2以下」の多数派の意見が覆されるというのは理解できません。
 
  1. 2012/12/18(火) 18:52:41|
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北朝鮮の欺瞞工作・心理戦

 12月12日、北朝鮮が衛星を打ち上げたことで、今週は何度かTBS「朝ズバ」「ひるおび」「Nスタ(VTRコメント)」、共同通信(コメント)などで解説させていただく機会がありました。
 もっとも、私自身は1週間はまず延期だろうと予想していたので、恥ずかしながら完全に外しました。直前に「第3段を交換」だの「発射台から取り外し」だのといった情報が韓国メディアから流れていましたが、情報の「出方」が曖昧なので、それ自体はあまり信じていませんでした。
 しかし、北朝鮮当局が「時期の調整を検討」「第1段に技術的不具合」「期間を1週間延長」と発表していたので、これは「延期間違いなし」と見立てていました。北朝鮮は堂々の宇宙開発とアピールしていますし、こうした情報を故意にオープンにしてきています。後で「やはり信用できない」などと追及されないための措置です。なので、北朝鮮がこの時点でそんなことを発表した以上、多少のトラブルは実際にあるのだろうと考えていました。
 結果的に予告期間3日目での打ち上げですから、深刻なトラブルが実際にあったとは思えません。仮にあったとしても微調整で済む程度のものでしょう。「一度、取り外してから夜のうちに再設置した」などという見方もあるようですが、そんなアクロバティックな無謀な賭けをする切迫した理由はちょっと考えられません。実際、アメリカの偵察衛星はずっと発射台に設置されていたことを把握してたようです。
(※追記⇒「何か」が発射台から一旦取り外されたということはあったようです。ただ、それでも再設置後は最初からチェックをし直すことになりますから、この短時間で発射されたということは、ミサイル本体が丸ごと外されたというのは、ちょっと考えにくいです)
 北朝鮮の意図についてあれこれ推測がメディアを賑わせていますが、よくわかりません。「欺瞞工作」「心理戦」というような見方もありますが、それにしてはあまりにスモールな気がします。メディアが踊ったくらいなもので、実際には米韓の監視システムにもほとんど影響を与えていませんし、いったい何が狙いだったのか不明です。
 もしかしたら何かの意図をもった欺瞞工作だった可能性はもちろんありますが、今回の騒動は、どちらかというと韓国メディアのフライングでしょう。韓国メディアは北朝鮮情報に関して、スクープも突出していますが、フライング報道もよくあります。とくに、情報ソースが「韓国政府筋」「韓国議員筋」「韓国情報部筋」の場合、具体的にそれらの中のどういう筋なのかによって、情報の信憑性が大きく変わってきます。カタい情報であれば、大手メディアはすべて後追いするので、単独メディアの独走パターンだと要注意です。
 今回の報道もそんな気配があったのですが、その後の韓国報道をみると、単なるフライングではなく、韓国政府筋の一部にも実際に誤情報はあったようです。一部報道では「アメリカは、韓国政府に伝えるとすぐ漏れるので伝えなかった」と報じられていますが、それも考えにくいので、おそらく韓国政府の中枢にだけ伝えて、そこで情報が止まっていたというのが、ありがちな線に思います。推測ですが。
(アメリカは偵察衛星情報などでは独占的な実力がありますが、ヒューミントでの韓国情報機関ソースの情報バーターや分析での協力関係も必要としていますから、この局面で情報提供遮断というのはちょっと考えにくいです。韓国政府中枢が誤情報の訂正をしなかったのは、サード・パーティ・ルールでしょう)

 この間、日韓のメディア報道をいろいろチェックしましたが、いつも思うのは、北朝鮮の意図など誰にもわからないということです。なので、さまざまな推測がありますし、それぞれそれなりの根拠はあるのでしょうが、ここでは私見を少し綴ってみます。北朝鮮の意図は誰にもわかりませんから、もちろんこれは単なる私見にすぎないことをまずお断りします。
 さて、今回のような北朝鮮関連の事件が起きていつも思うのは、北朝鮮の欺瞞工作よりも、むしろ日韓メディア側の根拠の薄い「深読み」の一人歩きが多すぎるのではないかなということです。金正恩政権の意図など誰も知らないのですが、「彼らの狙いは?」と考える。そうした視点で検討すること自体はインテリジェンスの基本であり、たいへん有益だと思うのですが、残念ながら、数多ある可能性の一部のみが拡大解釈される傾向があると思います。
 何度か当ブログでも描きましたし、いつも思うのですが、どうも北朝鮮の一連の核ミサイル開発について、「北朝鮮のアピールだ」という根拠の薄い見方が強すぎる気がします。私は、北朝鮮はこの現代において世襲独裁という不条理な権力構造をサバイバルするため、必死になって体制維持のための戦略を模索しているのではないかなと考えます。それはきっと想像以上に厳しいものでしょう。
 私が今、これは違うだろうと思っているのは、「北朝鮮はアメリカと交渉したがっており、振り向いてほしくてアピールしている」という見方です。そういう見方の元には「北朝鮮はアメリカと平和条約を締結し、政権を認知・保証してほしい。核ミサイル開発はそのための外交カードである」との認識があります。この論法でいえば、「アメリカが応じれば、北朝鮮は核ミサイルを放棄する」という理屈になりますが、非常に甘いと思います。
 私から見れば、とんでもなく楽観的なこの甘い見方がそれなりに広く認識されているのは、北朝鮮側が対外交渉でこうしたレトリックを故意に匂わせるからです。ですが、それが北朝鮮側による単なる時間稼ぎではないとは断定できません。
 周知のとおり、北朝鮮は「力の信奉者」です。力だけを信じ、力にしか屈しません。また、これも周知のとおり、目的のためにはどんな嘘も平気です。そんな彼らが、力に基づかない口約束の世界を信じるとは到底思えません。
 衛星打ち上げ期間を延ばしたり、もしかしたら発射台周辺で何らかのダミー欺瞞工作をやったのかもしれませんが、そんなものよりも、「北朝鮮が交渉を望んでいると思わせ、核ミサイル開発の時間を稼ぐ」のが真の心理戦かもしれないなどと思ってしまうわけです。
  1. 2012/12/15(土) 19:34:41|
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衛星打ち上げ期限を29日まで延長

「第1段ブースターの操縦発動機系統の技術的欠陥が発見された」そうです。北朝鮮当局としては、万全を期して臨みたいところでしょうから、十分に正常が確認されるまで、しばらくは延期ということになるのではないかと思います。
 なお、本日、TBS「朝ズバ」「ひるおび」に呼んでいただきました。また、「朝ズバ」では明朝用にも電話解説しました。
  1. 2012/12/10(月) 23:46:03|
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次はミサイル大型化へ

 昨日、TBS[ひるおび」に出演し、北朝鮮衛星問題について解説しました(報道各社は「衛星打ち上げと称する事実上の弾道ミサイル発射」と表記し、タイトルでは「北朝鮮ミサイル」と端折るのが一般的ですが、もう「衛星打ち上げ」でいいんじゃないかと思いますね。べつに北朝鮮の肩をもつつもりはないですが)。
 準備は着々と進んでいるので、不具合は今のところは生じていないようです。あとは天候次第という感じでしょうか。
 それより気になるニュース。
▽朝鮮新報「北、『銀河3号』以上のロケット作る」(中央日報)
 今回飛ばすテポドン2改は、旧来型モデルのマイナーチェンジなので、発射してもあまり軍事的な意味はありません。「ひるおび」でもちょっと触れたのですが、アメリカで「射程1万キロ」とか報じられたので、いよいよ凄まじく性能が向上しているとの印象がもたれていますが、あれは超軽量のペイロードで第3段ブースターを飛ばした後の部分の話です。今載せているのは100kg程度のものなので、ミサイルの弾頭とすれば軽量すぎます。
 将来的に核爆弾を搭載するとすれば、ペイロードも700~1000kgくらい欲しいので、そうなれば飛距離は全然短くなってきます。防衛省は最大で6000kmと推定しています。
 ペイロード1トン時のテポドン2改の射程は実際にはわかりませんが、ひとつの参考としては、衛星軌道投入用の低高度の飛翔経路で、第2段ブースターの落下予定地点が、発射地点から約3000kmですから、それよりは遠くなります。飛翔経路モニタリングと、外見からの第3段目部分の重量推定値(推定1トン程度と思いますが。それプラス今回は衛星分と仮定ですね)から、細かく計算すれば、だいたいの射程を推定できるので、それは防衛省が計算するはずです。
 それはさておき、上記の記事です。
 朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」が「宇宙開発5カ年計画の必須工程」と題し、「光明星3号の発射が成功してこそ次の段階に移行できる」とし「次の段階は静止衛星の開発。『銀河3号』より大きい大型運搬ロケットの開発にも着手する」と伝えたとのことです。
 まあ、そういうことでしょう。平和的な宇宙開発をタテマエにICBM開発というのは既定路線です。
  1. 2012/12/08(土) 12:38:46|
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18年前のフィリピン航空機テロ

 明日12月3日(月)21:00から、テレビ東京『実録世界のミステリー』に、VTRコメントでちらりと出させていただく予定です。テーマは1994年のフィリピン航空機テロ事件。日本人の乗客の方1名がなくなられています。
 あのラムジ・ユセフが実行した事件で、後の9.11テロに繋がった重大な事件なので、興味のある方は是非どうぞ。
  1. 2012/12/02(日) 09:40:12|
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週刊朝日でアイアンドーム紹介記事

 本日発売の『週刊朝日』で、アイアンドームの紹介を中心に、ガザ紛争について寄稿しました。
  1. 2012/11/27(火) 10:08:19|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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